2009/03/11
啄木の歌とともに・・・第225号
第225号 2009.3.11(毎週水曜日発行) 2004.6 創刊 ******************************************************************************* 啄木の歌とともに (その四) 「あ こ が れ」 -21- ******************************************************************************* 啄木の歌を手本に手慰み 一日一首 ただあるがまま (一郎) ******************************************************************************* 参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行) =============================================================================== あ こ が れ =============================================================================== 啄木 アカシヤの蔭 たそがれ淡き搖曳(さまよひ)やはらかに、 収まる光暫しの名殘なる 透影(すいかげ)投げし碧の淵の上、 我ただひとり一日を漂へる 小舟を寄せて、アカシヤ夏の香の 木蔭に櫂(かい)をとどめて休らひぬ。 流れても涯も知らざる大川の 暫しと淀む翠江(みどりえ)、夢の淵! 見えざる靈の海原、花岸の ふる郷(さと)とめて、生命(いのち)の大川に ひねもす浮かびただよふ夢の我! 夢こそ暫し宿れるこの岸に ああ夢ならぬ香りのアカシヤ。 野末に匂ふ薄月(うすづき)しづかなる 光を帯て、微風(そよかぜ)吹く毎に、 花房ゆらぎ、眞白の波湧けば、 みなぎる薫りあまきに蜜の蜂 群るる羽音は暮れゆく野の空に 猶去りがての呟き、夕の曲。 纜(ともづな)結(ゆ)ひて忘我(われか)の歩みもて、 我は上りぬ、アカシア咲く岸に。−−− 春の夜櫻おぼろの月の窓 少女(をとめ)が歌にひかれて忍ぶ如。 ああ世の戀よ、まことに淀(よど)の上の アカシア甘き匂ひに似たらずや。 いのちの川の夢なる青淵に 夢ならぬ香の雫をそそぎつつ、 幻過ぐるいのちの舟よせて、 流るる心に光の鎖なす にほひのつきぬ思出(おもひで)結ぶなる。 淀める水よ、音なき波の上に 沒藥(もつやく)撒(ま)くとしたたるアカシアの その香、はてなく流るる汝(な)が旅に 消ゆる日ありと誰かは知りうるぞ。 ああわが戀よ、心の奥ふかく、 汝(なれ)が投げたる光と香りとの (たとへ、わが舟巌に覆へり、 或は暗の嵐に迷ふとも、) 沈む日ありと誰かは云ひうるぞ。 はた此の岸に溢るる平和(やはらぎ)の 見えざる光、不斷の風の樂、 光と樂にさまよふ幻の それよ、我が旅はてなむ古郷の 黄金の岸のとはなる榮光と 異なるものと、誰かははかりえむ。 ああ汝(なれ)水よ、われらはふるさとの 何處なりしを知らざる旅なれば、 アカシヤの香に南の國おもひ、 戀の夢にし永遠(とは)なる世を知るも、 そは罪なりと誰かはさばきえむ。 ああ今、月は静かに萬有(ものみな)を ひろごり包み、また我心をも 光に融かしつくして、我すでに 見えざる國の宮居に、アカシヤと 咲きぬるかともやはらぐ愛の岸、 無垢なる花の匂ひの幻に 神かの姿けだかき現かな。 水も淀みぬ。アカシヤ香も増しぬ。 いざ我が長きいのちの大川に 我も宿らむ、暫しの夢の岸。 暫しの夢のまたたき、それよ、げに、 とはなる脈のひるまぬ進み搏打(う)つ まことの靈の住家(すみか)の證なれ。 (七節から最終節まで) (甲辰六月十七日) ----------------------------------------------------------------------------- 一郎 アカシヤの歌が流行っていた バス通りに面した窓枠に腰を掛け 聞き覚えた歌を知らず知らず口ずさんでいた 私は中学生になっていただろうか 安保闘争のことなど何も知らなかった 敗戦で父の生き方は変わったという 安保闘争は父の人生をまた変えた 中学三年生になったころようやく私も変わった 父が読む新聞を私も読んで政治に関心を持つようになった アメリカの原潜の入港がそろそろ問題になっていた 高校生になった私を 父はある集会に連れて行ってくれた そこで他の高校の仲間と出会い 原水禁などの平和運動や青年運動に私も参加していった 安保闘争のこともアカシアの歌の意味も分かるようになった 社会変革の運動に身を投じることが 後悔しない生き方だと思った 社会を「私の大学」にすると勉強はしなかった 人間らしくありたいという願いと 野蛮な欲望との矛盾に悶々とする日々でもあった 若者らしい夢と情熱と使命感に燃える一方で 心の奥の闇の淵では 残虐的快楽への誘惑が沸々とたぎっていた 政治的人間として思想を貫くことも 性的人間として欲望に堕落してしまうことも出来なかった 高校を卒業し社会人として働きだしてから二年目 無責任にすべてを投げ出し出奔してしまった それからの長い年月は川の淀みにできる小さな渦のように 同じところをぐるぐる回るだけの生活だった それが自分にふさわしい自分らしい生き方だった 一九七〇年 大阪で運送屋の運転手をしていた 夜はなんとなく小遣い稼ぎに会社の乗用車で 白タクまがいのことをしていた カーラジオで安保改定のニュースを聴いていた 運送会社の組合の専従に誘われて 名古屋に引っ越したのは二十五歳だったか 父に近づけた気がしたが こころは労働者ではなかった 京都の営業所に移り運送会社も辞めてしまった スナックで深夜まで働くようになった 有線で西田佐知子の歌がよく流れていた あのアカシアの歌も・・・ 六十年安保を知らない私も六十を過ぎた そして気持ちはまだモラトリアム =============================================================================== 注:メルマガで表示されない旧漢字は新字体を使用しています。(一郎) =============================================================================== 参考「goo辞書」http://dictionary.goo.ne.jp/ ******************************************************************************* 参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行) ******************************************************************************* ご意見、ご感想、短歌の投稿をお待ちしています。 ichirof55@hotmail.com ******************************************************************************* ◇◇ひとりごと◇◇ 第225号をお送りします。 詩集 カラーブラインド blog http://colorbd.livedoor.biz/ 詩集カラーブラインド blogでは、詩人tomoさんによる最新の詩を掲載しています。 2009年02月28日 幸せであるために http://colorbd.livedoor.biz/archives/51595251.html ------------------------------------------------ 2009年3月11日 一郎 幸せな時間のじゅずつなぎ mixiの「しあわせになるために。」というコミュに参加している 知り合いが開設したコミュだから義理的に参加した そのコミュのトピックのひとつにコメントしている コメントはほとんど私だけ 最初は義理的にしていたことがいつしかささやかな楽しみになった コメントはほとんどDVDで観たドラマや映画のこと 幸せな時間はDVDを観ている時間 映画は夢 劇場は夢空間 ならば幸せな時間は夢の中 幸せな時間はじゅずつなぎ 気になる人の過去の作品へ 過去の作品で気になる人の過去の作品へ DVDで過去の作品をたどれる幸せ 今日観たドラマの最終回で大泣きできた幸せ ******************************************************************************* [編集/発行人] 一郎 [HP] http://www.interq.or.jp/black/ichiro/ [mail] ichirof55@hotmail.com ******************************************************************************* <お知らせ> 次週の発行は、3月18日(水曜日)の予定です。 ******************************************************************************* 日刊メルマガ「花を歌うかな」もどうぞよろしく。 http://www.mag2.com/m/0000155181.html Yahoo!ブログ「万葉集を歌うかな」は随時更新。 http://blogs.yahoo.co.jp/ichirof57 Yahoo!ブログ“それぞれの「一握の砂」”への歌の投稿をお待ちしています。 http://blogs.yahoo.co.jp/ichirof58 =============================================================================== ◎◎おすすめします◎◎ =============================================================================== 最後の一文字を読み終えた瞬間、思わずホッとして頂けるような詩 をお届けします。疲れた体に、疲れた心に、癒しの言葉を。 あなただけにそっとお教えする偉人の言葉付き。 メルマガ「★ カラーブラインド ★」 http://blog.mag2.com/m/log/0000172982/ ブログ「カラーブラインド blog」 http://colorbd.livedoor.biz/ blog 「詩人tomoの出会いが人を変えてゆく」 http://ameblo.jp/tomo1663/ ******************************************************************************* このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発行しています。 ............................................................................... 配信中止はこちらへ: http://www.mag2.com/m/0000133102.htm *******************************************************************************



