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石川啄木の短歌から一日一首を読み、思い浮かんだイメージを歌にします。「三行日記」のつもりで気軽に書いていきます。「一握の砂」「悲しき玩具」「一握の砂以前」の短歌を終了し、現在は詩集「あこがれ」を取り上げています。

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2009/03/04

啄木の歌とともに・・・第224号

第224号 2009.3.4(毎週水曜日発行)              2004.6 創刊
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   啄木の歌とともに

    (その四) 


  「あ こ が れ」

      -20-


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啄木の歌を手本に手慰み
一日一首
ただあるがまま  (一郎)
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参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行)

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 あ こ が れ    

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啄木

    アカシヤの蔭


たそがれ淡き搖曳(さまよひ)やはらかに、
収まる光暫しの名殘なる
透影(すいかげ)投げし碧の淵の上、
我ただひとり一日を漂へる
小舟を寄せて、アカシヤ夏の香の
木蔭に櫂(かい)をとどめて休らひぬ。

流れても涯も知らざる大川の
暫しと淀む翠江(みどりえ)、夢の淵!
見えざる靈の海原、花岸の
ふる郷(さと)とめて、生命(いのち)の大川に
ひねもす浮かびただよふ夢の我!
夢こそ暫し宿れるこの岸に
ああ夢ならぬ香りのアカシヤ。

野末に匂ふ薄月(うすづき)しづかなる
光を帯て、微風(そよかぜ)吹く毎に、
花房ゆらぎ、眞白の波湧けば、
みなぎる薫りあまきに蜜の蜂
群るる羽音は暮れゆく野の空に
猶去りがての呟き、夕の曲。

纜(ともづな)結(ゆ)ひて忘我(われか)の歩みもて、
我は上りぬ、アカシア咲く岸に。−−−
春の夜櫻おぼろの月の窓
少女(をとめ)が歌にひかれて忍ぶ如。

ああ世の戀よ、まことに淀(よど)の上の
アカシア甘き匂ひに似たらずや。
いのちの川の夢なる青淵に
夢ならぬ香の雫をそそぎつつ、
幻過ぐるいのちの舟よせて、
流るる心に光の鎖なす
にほひのつきぬ思出(おもひで)結ぶなる。

淀める水よ、音なき波の上に
沒藥(もつやく)撒(ま)くとしたたるアカシアの
その香、はてなく流るる汝(な)が旅に
消ゆる日ありと誰かは知りうるぞ。
ああわが戀よ、心の奥ふかく、
汝(なれ)が投げたる光と香りとの
(たとへ、わが舟巌に覆へり、
或は暗の嵐に迷ふとも、)
沈む日ありと誰かは云ひうるぞ。
(四節から六節まで)
              (甲辰六月十七日)

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 一郎

アカシヤの歌が流行っていた
バス通りに面した窓枠に腰を掛け
聞き覚えた歌を知らず知らず口ずさんでいた
私は中学生になっていただろうか
安保闘争のことなど何も知らなかった

敗戦で父の生き方は変わったという
安保闘争は父の人生をまた変えた
中学三年生になったころようやく私も変わった
父が読む新聞を私も読んで政治に関心を持つようになった
アメリカの原潜の入港がそろそろ問題になっていた

高校生になった私を
父はある集会に連れて行ってくれた
そこで他の高校の仲間と出会い
原水禁などの平和運動や青年運動に私も参加していった
安保闘争のこともアカシアの歌の意味も分かるようになった

社会変革の運動に身を投じることが
後悔しない生き方だと思った
社会を「私の大学」にすると勉強はしなかった
人間らしくありたいという願いと
野蛮な欲望との矛盾に悶々とする日々でもあった

若者らしい夢と情熱と使命感に燃える一方で
心の奥の闇の淵では
残虐的快楽への誘惑が沸々とたぎっていた
政治的人間として思想を貫くことも
性的人間として欲望に堕落してしまうことも出来なかった

高校を卒業し社会人として働きだしてから二年目
無責任にすべてを投げ出し出奔してしまった
それからの長い年月は川の淀みにできる小さな渦のように
同じところをぐるぐる回るだけの生活だった
それが自分にふさわしい自分らしい生き方だった

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注:メルマガで表示されない旧漢字は新字体を使用しています。(一郎)
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参考「goo辞書」http://dictionary.goo.ne.jp/
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参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行)

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◇◇ひとりごと◇◇

第224号をお送りします。

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2009年02月21日
熱
http://colorbd.livedoor.biz/archives/51589654.html

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2009年3月4日 一郎
熱

小さいころの記憶は少ないが
そのなかに一度だけ熱を出して寝込んだ母の記憶がある
記憶の中の母はいつも働いていた
母が寝ている姿を見た記憶が無い
熱で寝込んだ日のたった一度の記憶以外は

その日は父と一緒にどこかの労働組合の会議か集会に出かけた
夜遅く家に戻ると母が寝込んでいた
私は布団に入って母に抱きついた
母のおっぱいをまさぐっていた
やわらかく温かかった

母に触れたことはもっとあったはずなのに
母の肌の記憶はその一度だけ
それは母の熱のせいだったのか
女の肌の記憶が
まだ若かった母の熱っぽい肌だけとは・・・

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