2009/03/04
啄木の歌とともに・・・第224号
第224号 2009.3.4(毎週水曜日発行) 2004.6 創刊 ******************************************************************************* 啄木の歌とともに (その四) 「あ こ が れ」 -20- ******************************************************************************* 啄木の歌を手本に手慰み 一日一首 ただあるがまま (一郎) ******************************************************************************* 参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行) =============================================================================== あ こ が れ =============================================================================== 啄木 アカシヤの蔭 たそがれ淡き搖曳(さまよひ)やはらかに、 収まる光暫しの名殘なる 透影(すいかげ)投げし碧の淵の上、 我ただひとり一日を漂へる 小舟を寄せて、アカシヤ夏の香の 木蔭に櫂(かい)をとどめて休らひぬ。 流れても涯も知らざる大川の 暫しと淀む翠江(みどりえ)、夢の淵! 見えざる靈の海原、花岸の ふる郷(さと)とめて、生命(いのち)の大川に ひねもす浮かびただよふ夢の我! 夢こそ暫し宿れるこの岸に ああ夢ならぬ香りのアカシヤ。 野末に匂ふ薄月(うすづき)しづかなる 光を帯て、微風(そよかぜ)吹く毎に、 花房ゆらぎ、眞白の波湧けば、 みなぎる薫りあまきに蜜の蜂 群るる羽音は暮れゆく野の空に 猶去りがての呟き、夕の曲。 纜(ともづな)結(ゆ)ひて忘我(われか)の歩みもて、 我は上りぬ、アカシア咲く岸に。−−− 春の夜櫻おぼろの月の窓 少女(をとめ)が歌にひかれて忍ぶ如。 ああ世の戀よ、まことに淀(よど)の上の アカシア甘き匂ひに似たらずや。 いのちの川の夢なる青淵に 夢ならぬ香の雫をそそぎつつ、 幻過ぐるいのちの舟よせて、 流るる心に光の鎖なす にほひのつきぬ思出(おもひで)結ぶなる。 淀める水よ、音なき波の上に 沒藥(もつやく)撒(ま)くとしたたるアカシアの その香、はてなく流るる汝(な)が旅に 消ゆる日ありと誰かは知りうるぞ。 ああわが戀よ、心の奥ふかく、 汝(なれ)が投げたる光と香りとの (たとへ、わが舟巌に覆へり、 或は暗の嵐に迷ふとも、) 沈む日ありと誰かは云ひうるぞ。 (四節から六節まで) (甲辰六月十七日) ----------------------------------------------------------------------------- 一郎 アカシヤの歌が流行っていた バス通りに面した窓枠に腰を掛け 聞き覚えた歌を知らず知らず口ずさんでいた 私は中学生になっていただろうか 安保闘争のことなど何も知らなかった 敗戦で父の生き方は変わったという 安保闘争は父の人生をまた変えた 中学三年生になったころようやく私も変わった 父が読む新聞を私も読んで政治に関心を持つようになった アメリカの原潜の入港がそろそろ問題になっていた 高校生になった私を 父はある集会に連れて行ってくれた そこで他の高校の仲間と出会い 原水禁などの平和運動や青年運動に私も参加していった 安保闘争のこともアカシアの歌の意味も分かるようになった 社会変革の運動に身を投じることが 後悔しない生き方だと思った 社会を「私の大学」にすると勉強はしなかった 人間らしくありたいという願いと 野蛮な欲望との矛盾に悶々とする日々でもあった 若者らしい夢と情熱と使命感に燃える一方で 心の奥の闇の淵では 残虐的快楽への誘惑が沸々とたぎっていた 政治的人間として思想を貫くことも 性的人間として欲望に堕落してしまうことも出来なかった 高校を卒業し社会人として働きだしてから二年目 無責任にすべてを投げ出し出奔してしまった それからの長い年月は川の淀みにできる小さな渦のように 同じところをぐるぐる回るだけの生活だった それが自分にふさわしい自分らしい生き方だった =============================================================================== 注:メルマガで表示されない旧漢字は新字体を使用しています。(一郎) =============================================================================== 参考「goo辞書」http://dictionary.goo.ne.jp/ ******************************************************************************* 参考資料「石川啄木作品集 第一巻」昭和出版社(昭和三十八年十二月一日発行) ******************************************************************************* ご意見、ご感想、短歌の投稿をお待ちしています。 ichirof55@hotmail.com ******************************************************************************* ◇◇ひとりごと◇◇ 第224号をお送りします。 詩集 カラーブラインド blog http://colorbd.livedoor.biz/ 詩集カラーブラインド blogでは、詩人tomoさんによる最新の詩を掲載しています。 2009年02月21日 熱 http://colorbd.livedoor.biz/archives/51589654.html ------------------------------------------------ 2009年3月4日 一郎 熱 小さいころの記憶は少ないが そのなかに一度だけ熱を出して寝込んだ母の記憶がある 記憶の中の母はいつも働いていた 母が寝ている姿を見た記憶が無い 熱で寝込んだ日のたった一度の記憶以外は その日は父と一緒にどこかの労働組合の会議か集会に出かけた 夜遅く家に戻ると母が寝込んでいた 私は布団に入って母に抱きついた 母のおっぱいをまさぐっていた やわらかく温かかった 母に触れたことはもっとあったはずなのに 母の肌の記憶はその一度だけ それは母の熱のせいだったのか 女の肌の記憶が まだ若かった母の熱っぽい肌だけとは・・・ ******************************************************************************* [編集/発行人] 一郎 [HP] http://www.interq.or.jp/black/ichiro/ [mail] ichirof55@hotmail.com ******************************************************************************* <お知らせ> 次週の発行は、3月11日(水曜日)の予定です。 ******************************************************************************* 日刊メルマガ「花を歌うかな」もどうぞよろしく。 http://www.mag2.com/m/0000155181.html Yahoo!ブログ「万葉集を歌うかな」は随時更新。 http://blogs.yahoo.co.jp/ichirof57 Yahoo!ブログ“それぞれの「一握の砂」”への歌の投稿をお待ちしています。 http://blogs.yahoo.co.jp/ichirof58 =============================================================================== ◎◎おすすめします◎◎ =============================================================================== 最後の一文字を読み終えた瞬間、思わずホッとして頂けるような詩 をお届けします。疲れた体に、疲れた心に、癒しの言葉を。 あなただけにそっとお教えする偉人の言葉付き。 メルマガ「★ カラーブラインド ★」 http://blog.mag2.com/m/log/0000172982/ ブログ「カラーブラインド blog」 http://colorbd.livedoor.biz/ blog 「詩人tomoの出会いが人を変えてゆく」 http://ameblo.jp/tomo1663/ ******************************************************************************* このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発行しています。 ............................................................................... 配信中止はこちらへ: http://www.mag2.com/m/0000133102.htm *******************************************************************************



