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2008/04/12

言葉の森新聞 2008年4月3週号 通算第1027号(完全版)

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言葉の森新聞 2008年4月3週号 通算第1027号
文責 中根克明(森川林)


■■パターンを学ぶ構成作文と縦列駐車

 言葉の森の作文の書き方は、あるパターンを指定してその枠に沿って書く形になっ
ています。こういうスタイルで作文の勉強をしているところは、ほかにはないと思い
ます。 

 なぜパターンや表現項目を決めて書くかというと、事前指導に力を入れるためです
。事前に作文の書き方のアドバイスができるので、生徒は作文を書きやすくなるので
す。 

 一つの書き方を何ヶ月も続けていると、作文を書く形が決まってきます。しかし、
それで不自由になるかというと、そうではありません。 

 4.2週の言葉の森新聞に高3のM君のメッセージがあります。その中に、次のよ
うなことが書いてありました。「作文を書くのが得意になってきたら、だんだんこの
『設計図』を、自分なりに『崩してゆく』ことをしたいと思うようになるでしょう。
私の場合、最初は学校の作文などでも、言葉の森で習ったような型で書いていました
が、作文が楽しくなると、それを自分なりに変え、いくつかの学期でのポイントを組
み合わせるようになりました」 

 つまり、自分なりに自由な書き方をするための土台として、構成を決めて書く練習
があるのです。設計図どおりに書く力があれば、設計図を自由に変更して書くことが
できるようになります。 

 自動車教習所で縦列駐車を学ぶときの方法も似ています。「車の左の角があの目印
のとこころに来たらハンドルを左に切って、そのあと右の角があの目印のところに来
たら右に切る」。これで、初めての人でも一度で縦列駐車ができるようになります。
しかし、その方法は、その場所に停めるときにしか使えません。ところが、何度もそ
の場所をその方法で停めていると、次第に縦列駐車一般の停め方が身についてきます
。 

 似たことは、勉強の仕方にもあてはまります。成績を上げるコツは、同じ参考書や
同じ問題集を何度も繰り返し勉強することです。ところが、多くの人はつい、同じも
のを何度もやるよりも、違うものを少しずつやった方がいいと思ってしまいます。 

 一冊の問題集を繰り返し解く場合、一回目で解けなかった問題が二十パーセントあ
り、二回目で解けなかった問題が十パーセントあり、三回目で解けなかった問題が五
パーセントあれば、その問題集は最終的に九十五パーセント消化したことになります
。しかし、一冊目の問題集で二十パーセント解けない問題があり、二冊目の問題集で
も二十パーセント解けない問題があり、三冊目の問題集でも二十パーセント解けない
問題があれば、それらの問題集は最終的に八十パーセントしか消化できなかったこと
になります。そして、かかる時間は三冊の問題集を解く方がずっと多いのです。 

 まずパターンをすっかり身につけるということを勉強の中心に置き、そのパターン
の中身を豊かにする方法として、読書や体験に力を入れていくというのが作文の勉強
の考え方です。


■■がんばれ、ならちゃん!(なら/なら先生)

<<え2006/82jみ>> この記事を書いているのは、東京マラソンからほぼ1ヶ月後
となります。自分の中では、もう遠い昔のことのようで、細部のあれこれは既に記憶
のすみっこに追いやられているようです。この感覚は不思議! 1年以上前からこの
日のためにぼちぼちと練習を重ね、当日も体と気持ちをフルに使って42.195キ
ロを走ったはずなのに……。強いて言えば「楽しかったなぁ。」という思いくらいし
か、残っていないのです。人間の記憶というものは、案外、自分の都合のいいように
できているものかもしれません。

<<え2004/247jみ>> 今回の本番で気付いた一番大きなこと、それは、言葉と体
の連動です。実は、私は「がんばる」とか「がんばれ」という言葉は、あまり好きで
はありませんでした。がんばらなければ・何とか気合を入れなければ進めていけない
ようなこと、それはその人が本質的に求めるものではないし、適性のないことである
・「がんばろう」と思わなくても言われなくても、自ら進んでやれることを見つける
べきだ、と思っていたのです。もちろん、自ら進んでやれることを見つけてそれに取
り組んでいる姿を他の人が見たら、「おぉ、がんばっているね。」と思うかもしれま
せんね。ただ、やっている本人の自覚としては、「がんばろうと気合を入れなくても
、前向きに取り組めることをやっているのだ。」という方が、望ましくあるべき姿だ
と思ってもいました。また、安易に他人に「がんばれ」というのも、その人の状況や
今までの取り組みを無視するようで、あまり口にしたくない言葉という感覚もあった
のです。

<<えa/168み>> 本番前に風邪をひいて体調が思わしくないまま、走り始めまし
たが、練習のときよりも全く体は動きません。正直、2キロくらいで「もう、ダメか
も。」と思い始め、どこでリタイアするか、そればかり頭の中で考えている始末。先
は40キロもあるのにね。そんな中で、何とか走れたのは、他ならぬ「がんばれ」の
声だったのです。声の主は2名プラスアルファ。一人は、私の家族です。予定地・時
間を大きくはずれたにも関わらず、そして、道の反対側にいたのに私を見つけ、大き
な声で「がんばれ!」と叫んでくれました。そして、もう一人は友人です。ウェアと
ゼッケン番号を頼りに、マラソンルートを先回りして、私を探してくれたとのこと。
3万2千のランナーの中から私を見つけ出してくれたのは、35キロ地点に差しかか
ったところでした。私は「ならさーん、がんばって!」という声は空耳かと思い、そ
れでも振り返ったところに友人の顔を発見し、どんなに力を与えてもらったことか。
そして、プラスアルファ。沿道にはたくさんの応援の方、運営スタッフ・ボランティ
アの人がいます。直接の知人ではなくても、「がんばって!」と声をからして応援し
てくれます。スタート2キロ時点でリタイヤを考えていた私が、何とか完走できたの
は、「がんばれ」の声があったから、これに他なりません。

<<え2007/305み>> 「がんばれ」と言われ「がんばろう」と思う。これで、どれ
だけ体が反応するか。それは、今まで私が実感したことのない現象でした。その声が
自分に向けられたものだと認知したときに、体が確かに軽くなり、足が前に出たので
す。もちろん、脊髄反射のように、言葉には関係なく体が反応を示すこともあります
。しかし、自らの意志で動かすということは、言葉なくしてはありえません。それが
、自らの言葉であれ、他者からの言葉であれ、動きに大きな影響を与えるという当た
り前のことを、私たちは忘れてはならないのだと思います。

 そう考えると、自分自身に対しても、また、教える立場にあるものとして、生徒と
話すときにも、肯定的なフレーズを積極的に用いるということは、とても大切なこと
だと思います。何の根拠もなく「できる、できる。」というのは余りにも空疎です。
人は羽を持たないのに、「絶対に空を飛べる!」と言ったからといって、ビルの屋上
から空を飛べるわけはありません。しかしながら、不安を与えたり緊張を引き起こす
ような言葉は、持てる力を押し込めてしまいます。「がんばれ」「がんばろう」とい
う言葉に対する思いも、ずいぶん変わりました。前向きな気持ちを育み、成功した場
面をイメージできるような言葉を、自分にも、他の人にも投げかけていきたい……そ
う思わせてくれた東京マラソンに感謝しています!


■■介助犬のおしごと(かいす/きあ先生)

 みなさんは、介助犬(かいじょけん)を知っていますか?

 盲導犬(もうどうけん)が目の不自由な人の目になるように、聴導犬(ちょうどう
けん)が耳の不自由な人の耳になるように、介助犬は、体の不自由な人のお手伝いを
するために特別な訓練をした犬です。数年前に、テレビで介助犬にスポットをあてた
ドラマ「シンシア」が放送されたり、2002年に身体障害者補助犬法が制定された
こともあって、少しずつですが介助犬の存在も知られるようになりました。

 先日、介助犬のお仕事を見学させていただく機会がありました。兵庫県介助犬協会
所属の「アルト」は、真っ黒な引きしまった体に、クリクリの目がとてもかわいらし
いラブラドール・レトリーバーです。介助犬は、家のなかで仕事をすることが多いの
で、仕事で必要なとき以外は、絶対に吠えないように訓練されています。トレーナー
からの指示があるまで、大きな音がしても、大勢の子供たちにさわられても、同じ場
所で伏せのままジッと動きません。

 「ひろって!」というトレーナーの声で俊敏に動いて、床に落ちてピタッと張り付
いたテレホンカードも上手に拾います。ペットボトルもつぶさないように優しくくわ
えて持ってくることができるし、人が座った重たい車いすも安全なスピードで引っ張
ったりします。その他にも、ドアの開閉や洋服を脱いだり着たりすることも手伝いま
す。指示する言葉を40種類も覚えているのだそうです。

 人間でも、だれかのお手伝いをするのは大変なことですよね。アルトは毎日大変な
思いをしているのだろうなあと、ちょっとかわいそうな気もしました。ところが、き
びきびと動くアルトを見ていて気付いたのです! お手伝いをしているとき、アルト
のしっぽがずっとフルフル、フルフル忙しく動いています。まるで「わーい! わー
い!」とはしゃいでいるように。

 トレーナーさんは言います。「介助犬はお手伝いをして、喜んでもらうことが大好
きです。お仕事も、アルトにとっては遊んでもらっている感覚なんですね。うれしく
てたまらないんです」。

 電車のなかやデパートで盲導犬や介助犬を見かけたら、それは大切なお仕事中です
。優しく見守ってあげて下さいね。ちなみに、盲導犬は全国で1000頭が活躍中。
それに比べて介助犬はわずか40頭です(必要とされているかたは1万5千人)もっ
ともっと、「わーい! わーい!」とお仕事にはげむ介助犬が増えることを願ってい
ます。


■■「待ちます」宣言(たんたん/はらこ先生)

 東京のとある美術館には、エレベーターに「閉」のボタンがない。いつもは1秒で
も早くドアを閉めて目的の階へ移動したいという人も、せめて美術館の中だけは急が
ずゆっくりと時間を過ごしてほしいという願いから、「閉」ボタンが取り付けられな
かったらしい。

 テレビを見ていたら、こんな話が紹介されていました。たしかに、先生もエレベー
ターにのったら、すぐに「閉」のボタンをおします。ドアがなかなか閉まらずに、ボ
タンを連打することも(笑)。いそがしいわけでもなく、だれかを待たせているわけで
もないのに、なぜか急ぎたい心理にかられます。

 なんだか現代人は「待つ」ということが苦手になってきている気がします。どこか
で待ち合わせをしていて、少しでもおくれそうになると、携帯電話という文明の利器
(りき)が登場! 「ごめん、ちょっとおくれる。いま、○○駅だから」と、相手に居
場所が伝えられます。先生は大学1年のころ、まだ携帯電話を持っていなかったので
、朝ねぼうの友達を駅で待ちつづけてボーッと30分……なんてことは日常茶飯事(さは
んじ)でした。今だったら電話やメールで「先に行くね」と伝えられるので、待ち時
間はゼロです。

 でも、待つことは悪いことばかりではありません。大学生だった先生は、駅でその
友達を待ちながら、人間ウォッチングをしたり(あやしい?)、宿題のレポートには何
を書こうかなと考えたり(おっ、まじめ!)、キヨスクの本を立ち読みしたり(ちょっ
とめいわく?)していました。自分の時間がちょっと増えたと思えば、待ち時間も有
意義なものに変身です。

 先生もふくめて大人という生き物は、そんなに急いでいなくても「早くしなさい」
という言葉を子どもに言ってしまいがちです。みなさんの中にも、学校のほかに塾や
習い事などでいそがしい人もいることでしょう。そんなときこそ忘れていけないのが
、心のよゆうかもしれません。せかせかして、心のゆとりのドアを「閉」めてしまわ
ないように気をつけなくては、と自分を見つめ直しました。待てば海路のひよりあり
。待つことで幸運がとびこんでくるかもしれませんね。


■■探査衛星「かぐや」(きりこ/こに先生)

 3月の進級試験が終わりました。4月から新しい課題フォルダになります。4月から
変わることは、作文用紙の1枚目に自分の住所シールをはるようになることです。こ
れが、返却時のあて名になりますので、絶対に忘れないように貼ってくださいね。

 今月は、月の探査衛星「かぐや」について書こうと思います。

 「月」といえば、秋のイメージが強いのですが、春の月もまた違った美しさがあり
ます。春の月は、一般的に「朧月(おぼろづき)」と呼ばれます。やわらかくかすん
で見える春の夜の月のことを朧月と表現します。

 うさぎが住んでいて、もちつきをしているかもしれない、いやいや、宇宙人がいる
かもしれない月に、1969年7月、アメリカの宇宙飛行士であり、アポロ11号の船長だ
ったニール・アームストロングさんが初めて足を踏み入れました。

 それ以来、月の調査について、アメリカとソ連が競争をしながら行ってきましたが
、昨年9月に日本が月探査衛星「かぐや」を打ち上げました。この「かぐや」には、
人が乗っておらず、観測機器が月の周りを回りながら、月の姿や月の誕生について調
べています。ちょうど半年たちましたが、月のことが少しずつわかってきているよう
です。

 ハイビジョンカメラで写された月面の写真は、紙面にふれると指先に立体感を感じ
るくらい鮮明でした。みなさんも、新聞や雑誌で写真を見る機会があったことと思い
ます。まだ見ていない人は、ぜひ一度見てください。「月周回衛星かぐや」というホ
ームページからも見ることができます。

 日本は、今の計画として、2010年代には、無人探査機を月面に着陸させ、2020年ご
ろに日本人を月面に着陸させ、2030年ごろに2,3人が滞在できる月面基地建設をめざ
しています。ちょうど、皆さんの成長を待っているかのような計画ですね。皆さんが
月面に着陸することができるかもしれませんね。



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