髪と体の健康
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〜髪と肌の美容健康法〜 第9号 2004/11/30
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●髪にまつわる手記―第1回―
前回予告していただきましたが、毛髪を中心に、それと関連する皮膚、そして
からだの健康とさまざまに格闘してきたことを手記という形にして、何回かに
分けて連載させていただくことになりました。髪や肌、体や心についてお悩み
の方に少しでもお役に立てれば幸いです。(投稿者より)
【こころとからだ】
小学生の頃は元気に遊びまわる男の子でしたが、扁桃腺をよく腫らして熱を出
すので親に病院へ連れて行かれたことを思い出します。今ではほとんどないと
思いますが、当時は腫れた扁桃腺を切ってしまう手術が普通に行なわれていた
そうです。医師も切除をすすめたので、子供心に切り取る手術はものすごい恐
怖を覚えました。しかし検査の結果、わたくしは血が止まりにくい体質だった
ようで、扁桃腺を切る手術はできないと医師が判断し、扁桃腺に太い注射針を
刺し薬を注入する治療に切り替えました。それでも眠れないほど怖かったこと
は確かです。
今の時点で考えるのですが、扁桃腺は外からの病原菌をガードする大切な免疫
器官で、漢方的な考え方からすると、喉が痛くなったり、扁桃腺が腫れるのは、
それらと関連する肺機能の弱りからきているということです。喘息持ちのお子
さんがアトピー性皮膚炎も伴うことが多いように、皮膚は肺とも関連がありま
す。肺=皮膚が弱いと外からの病原菌を守る抵抗力も衰え、カゼを引きやすく
なったりします。また、この肺=皮膚は毛髪とも密接な関係がありますので、
いずれこの手記の中で述べようと思っています。
血が止まりにくい体質ということで思い出すのは、ちょっとしたことで鼻血が
出たことです。野球をしていてボールが鼻に軽くかすっただけで血が出たり、
部屋にいて急にのぼせたのか鼻血がタラ〜と流れ出たこともありました。元気
に遊びまわる子供だったといいながら、よく思い出してみると、小学低学年ま
ではよくカゼをひき、熱にうなされていたせいか、よく眠れず、天井の木目の
模様がいろいろな動物に見えたり、そばに置いてあった帯のようなものがヘビ
に見えたりしていました。また学校給食の飲食物を吐き戻したことも一、二度
ありました。大人になってからはノド風邪の他に、吐く風邪になることも時々
ありました。子供時代は抵抗力がまだしっかり身に付かない段階なので病気に
なりやすいともいえるかもしれませんが、わたくしの場合、後年に現われたい
ろいろな症状は、遠く子供の時の体質にも一因があったのではないかと思われ
るのです。
こころも小学生の頃から敏感だったように思います。小学生になってもまだ吃
音(きつおん)、ドモリがしばらくはあったので、ストレートに物を言えない
もどかしさがあり、それがもとで自分の心に目を向けがちな子供になっていた
のかもしれません。敏感という点で思い出すのは小学5年生の時に、ある子供
向けの芸能雑誌を何気なく読んでいた時、当時全盛期だったあるグループサウ
ンズのメンバーにインタビューをした記事が載っていました。「この世の中で
一番怖いものは何ですか?」その人は「死ぬこと」と答えていました。子供心
に初めて死の恐怖というものを実感し、しばらく夜眠るのが怖くなりました。
後で知ったのですが、その芸能人の誕生日は奇しくもわたくしと同じ日でした。
中学生の時は坊主頭だったので髪の状態ははっきり思い出せませんが、小学生
の頃は髪も太く丈夫でフサフサしていたのに卒業間近の写真を見ると前髪が少
しパサつき跳ね上がっているようにも見受けられます。近所の遊び友達数人と
銭湯に通うのも遊びの一環でしたし、子供だったこともありちゃんと洗髪して
いたかどうかあやしいものです。それまでは父に銭湯に連れていってもらい、
髪をていねいに洗ってもらっていたのを今はなつかしく思い出します。
そして坊主頭になり短髪になったので洗髪も楽になり、石鹸や安物のシャンプ
ー剤で自分の手でザツに洗っていたように思います。側頭部に白雲(白癬)が
できたのもこの頃です。子供に多い皮膚病だそうですが、坊主頭なのでそれが
目立ったのか、級友からからかわれ子供心に傷つき、それから頭皮が気になり
出しました。
中学生も後半になると、性の目覚めとともに恋に悩みはじめモンモンとした日
々を過ごしていました。また高校受験を控え毎晩遅くまで勉強していたことも
重なって、頭病みのようになったのか、無性に頭が痒くなり爪を立てて頭皮を
ボリボリ掻いていました。そうすると爪の間にフケの固まりがたまるのです。
制服の襟にはフケがいつもたまっていたように思います。おそらくこれも後に
ヘアトラブルに見舞われるようになった遠因でしょう。爪で頭皮を引っかけて
いたので、頭皮には細かい傷ができて炎症も起こしていたと思われます。
今の時代は中学生の中には親御さんもビックリするほど男女交際がそうとう進
んでいる例もあるようですが、わたくしの場合は気の合った男女数人で公園や
遊園地へ遊びに行くのが関の山で、一対一の交際になりかけたときもありまし
たが、どう対応していいかわからず自然消滅してしまいました。クラスではひ
ょうきん者を装っていましたが、どちらかといえば内にこもりやすく傷つきや
すい性格も災いしたのか、また恋にはオクテだったせいもあったのかしれませ
ん。その時はまだそれほど深刻に髪には悩まずにいましたが、好きになった女
子との交際がうまくいかなかったことには大いに悩み、それを忘れるために受
験勉強に精を出したフシもあります。
晴れて高校受験に合格し、高校生なりに色気づき、異性にアピールするために、
これからは髪を伸ばし思い通りのヘアスタイルにできるのを楽しみにしていま
した。しかしその希望もつかの間、高校生になり髪が伸び始めてから徐々に髪
のトラブルが表面化してきたのです。まず、白髪に気が付いたのは高校生の級
友からの指摘でした。つむじ付近にチラホラ2、3本ある程度でそれほど気に
も留めていませんでしたが、抜け毛が多いのは気になっていました。それでシ
ャンプー剤も市販品を二、三試してみましたが、汚れはよく落ちて髪もサラッ
とするわりには洗髪後かえって乾いたフケが出やすくなりました。しだいに髪
が細く元気がなくなってくるように感じ、白髪も右前頭部に増えてきました。
高校生になると自分の容姿が非常に気になり、絶えず髪に意識が集中していま
したが、加えて思春期特有の恋、性の悩みや妄想、進路の悩み、性格の悩み、
親や学校への反抗、人間関係、生きる意味の模索、現実を越えた遠い世界への
夢や憧れやらでこころの中は混沌とした毎日を過ごしていました。風邪を引き
やすくなり年に2、3回寝込むようになったのもこの頃からで、からだも次第
に元気がなくなってきたように思います。
ヘアブラシとしてはナイロンブラシをフケ取り用として使っていました。シャ
ンプー剤や育毛ローションなど小遣いが許す範囲で、なるべくよさそうなもの
を選んで使用していました。とくに育毛ローションは大学受験や思春期でイラ
イラやモヤモヤした頭にスッキリ爽快感があり、抜け毛やフケも多少は軽減さ
れたように感じ数年間使い続けていました。ところが脂っぽいフケが増えたり、
次第に髪にコシがなくなりネコ毛になり、白髪も少しずつ増え、とくに前頭部
右側に集中するようになり、髪は悪くなる一方でした。誰にも相談することが
できず落ち込む日々を過ごし、髪のことが最大のコンプレックスとなり以後数
年間は悩み通しでした。抑ウツあるいは軽いウツ病が続いていたようなもので
した。
中学生の時は恋の悩みから受験勉強にのめり込みましたが、高校生になると今
度は、悩みそのものを見つめることから、人間の内面のこころ模様に興味を持
つようになり、詩や小説を読むことにのめり込みました。とくに孤独感や疎外
感、喪失感を主題にしたものを好んで読みました。また髪の悩みをきっかけに、
生きること自体に悲観したり絶望してもいましたので、ペシミスティックな人
生論を説く哲学にものめり込んでいました。
世界は形として目に見えるものだけではなく、形を越えてその奥にある究極の
ものを研究するのが形而上学(哲学)だということを高校二年生の時に知り、
強い衝撃を受けました。大げさかもしれませんが、小学生以来、物心ついた時
から、色々なことで自分の心を持て余してきたのを、この言葉で理由付けられ
た気がしたからです。しかし一方では「生きるのがわからなくなった、世界が
わからなくなった……」という言葉がズシリと響く時代でもありました。
【食事と運動】
その当時の食生活を振り返ると、小学から中学生にかけては昭和30年代から40
年代初めでしたので、家での食卓は今で言う「粗食」が多かったように思いま
す。しかし小学高学年のときに通った塾の行き帰りに駄菓子屋でアイスキャン
ディーや甘いお菓子類を好んで食べていたのを思い出します。
中学生になると間食はほとんどなくなりましたが、高校生から大学受験期間は
挫折感やら空虚感、青年期の不安感やら焦燥感から逃れるように食物を胃袋に
詰め込むような食べ方でした。食事ではとくに辛い物や揚げ物、肉類が好物に
なっていたように思います。そして主食以外にその頃に出始めたカップヌード
ル、ジュースやコーラ、スナック菓子、菓子パンなどの偏食に走りがちでした。
運動に関しては子供の頃は勉強よりもからだを動かす方が好きで毎日遊び回っ
ていました。鉄棒と徒競走が得意で体育の成績だけは良く、父親も皮膚を鍛え
て健康になるといい、夏休みになると海水浴に頻繁に連れていってもらいまし
た。泳げと言われれば一日中でも海水に漬かって泳ぐこともできるぐらい泳ぎ
にも自信がありました。高校では体育の授業の一環として、夏休みには伊豆の
白浜で泊りがけの水泳教室がありました。クラスではほんの数人でしたが、一
日中でも泳げる最上位のグループに入って遠泳していました。
しかし大学に入る頃は海水に入ることを考えただけで尻込みしてしまいました。
実際に入ろうとしてもからだが受けつけなかったかもしれません。そのころま
でにはすっかり子供時代の元気が奪われ、からだが冷え、体力も低下していた
のかもしれません。また直感的に海水や紫外線はただでさえ髪が悪くなってい
るのに、なおさらひどくなるのではないかと思って海水浴する気にもならなか
ったのかもしれません。
小学から中学にかけては夏休みの大半を海やプールで過ごしましたが、今振り
返ると、海水に含まれる塩分や汚れ、浜辺での強烈な日差し、あるいはプール
の水の消毒に使われる塩素などで、知らず知らずのうちに髪や頭皮を徐々に傷
めていたのかもしれません。それでも10代の頃は日焼けしても自然と回復す
るようですが、悪いことに皮膚の治癒力が衰える20代校半に大学時代の友人
知人たちと1週間ほど海辺でキャンプを張ったことがありました。その時は皮
膚が火ぶくれを起こしたように焼けたので、皮膚のようにヒリヒリ感はないに
しても、髪や頭皮も相当傷めたと思います。また仲間内で火傷したような日焼
けが一番ひどかったのは自分だったので、皮膚自体も弱っていたのかもしれま
せん。またそれから何年かして顔にもシミがいくつか目立つようになりました。
話しは前後しますが、大学生になり自由な時間が増えたので、髪を治したい一
心で健康法の本や雑誌をあれこれさがしましたが、今から数十年くらい前でし
たので実践的な髪の療法を詳しく紹介したものは見つかりませんでした。そこ
で自分なりに考えて、髪を治すためにはからだ自体を健康にしなくてはならな
いのではないかと、元気な体づくりのための食事療法や運動療法を実践してい
きました。
もう一つのキッカケは大学に入学した春に父がクモ膜下出血で倒れたせいもあ
ります。10時間にも及ぶ二回の大手術は成功し、リハビリ後は仕事にも復帰
できました。倒れた場所が脳外科医の権威がいる病院のすぐ近くだったこと、
長時間の手術にも耐えられる体力があったこと、そして後遺症が比較的軽かっ
たことも幸いしました。父は持病の高血圧で降下剤を長い間欠かさず飲んでい
ましたが、倒れれる前の父は壮健そのものでした。それでも倒れたことを疑問
に思い、健康あるいは医療について考えるようになりました。
それはさておき、偏食を続けるとかえって栄養不足になることがわかり、まず
は足りない栄養素を補おうと食品成分表に則った食事を心がけました。次は酸
性に傾いた体質を治すのに生野菜や果物をジューサーにかけて飲むようにしま
した。また健康雑誌などで髪にも肌にもよいと紹介されていた小麦胚芽、きな
粉や胡麻ドリンクにも飛び付きました。完全食品として本や雑誌には必ずとい
っていいほど載っていた玄米食も圧力鍋で炊いて試してみました。
運動は早朝のジョギング、帰ってきて冷水シャワー、そして朝食に温かい味噌
汁といった冷温交互療法、一日数回教本を見ながらヨガのポーズとくに白髪や
抜け毛に効果があるというポーズを中心に行なうといったスケジュールを組み
ました。民間療法にも興味を持ち、創始者の個人名が冠されている○○式健康
法の教室にもいくつか通いました。その一つは指導者の方が60代にもかかわ
らず髪が黒々フサフサしてきたという体験を持つものでした。独特の運動法と
亀の子タワシで皮膚や頭皮をマサツするというものでした。
しかし食事法や運動法はどれも長続きしなかったせいもあるのか、髪や体の改
善には結び付きませんでした。場合によってはかえって悪くしていたものもあ
ったかもしれません。それを本当に自覚したのがわりと有名な健康法で、専用
の木の板と枕で寝たり、金魚運動を行なったり、宿便をとるための特殊な飲み
物を飲むものでした。
下剤療法など忠実に実践したのはよかったのですが、結果として風邪をこじら
せ急性肺炎で1ヶ月近く入院する羽目になり、退院後は体重が落ち髪も今まで
で最悪になったようにすら感じました。父の病気や看病、生きることそのもの
の苦悩や新たな人間関係の葛藤も加わり、青春を謳歌するはたちの春とは裏腹
にからだも髪も、こころさえも擦り減ってしまったような気がしました………
退院後しばらくして精神的に少し落ち着いてきたので久しぶりに大学へ行って
みると、入院中にテレビのニュースで聞いていた通り、学費値上げと校舎移転
に反対する一部の学生が構内をロックアウトしていて、勉学どころではありま
せんでした。学生運動の余波がまだ続いていたようです。やむなくまた自室に
こもって、今後の生きかたを思い描こうと試みましたが、進むべき明確な道は
見つかりませんでした。
本や雑誌の健康情報を鵜呑みにして、それらを渡り歩き、運動法や食事法のジ
プシーになりかけていたのを反省し、一つのしっかりした糸口を探り当てるよ
う努めました。新たに運動をするという気力は湧いてこなかったので、まずこ
ころを変える方向からアプローチしてみることにしました。
というのもこれまでの経験から、ストレスで張りつめた心は、身体の筋肉をこ
わばらせるだけでなく、頭皮も緊張させ血行を阻害してしまうことが実感でき
たからです。心をリラックスさせる方法として手始めに行なったのは、今で言
うところの「癒し」系の音楽や映画に身をゆだねることでした。(つづく)
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【編集後記】
投稿者の方のお話は興味津々ですね。身体や心にお悩みの方にも勇気を与えら
れそうで、編集人にとってもこれから連載させていただくのが楽しみになりそ
うです。
髪や肌、身体に関するご相談もお受けしています。カウンセリングやアドバイ
スご希望の方、あるいは本誌の内容についてのお問い合わせは→
k-line@canal.ne.jp
このメールマガジンは『まぐまぐ!』http://www.mag2.com/ を利用して発行し
ています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000132409.htm
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※無断転載禁ず Copyright(c)2004 横浜毛髪研究所発行事務局
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