2009/01/10
ファンタジー長編小説「紅龍の夢」第228号
≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≫≪≫≪≫≪≫ *.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.: \ \\☆ \ \ \\ ┃フ┃ァ┃ン┃タ┃ジ┃ー┃長┃編┃小┃説 \ ★ \ ┃紅 ┃龍 ┃の ┃夢 ┃第228号 *.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.:*・゜*.。.: ≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≪≫≫≪≫≪≫≪≫ □ 巻の六 ── 死の花嫁 / The Bride of Death ── ◇第18回 *……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*…… 4.迷宮の宝石(3) 「よー、タナトス。お前、ニュクスにフラれたんだってなー、ドジ!」 汎魔殿にあるタナトスの私室に着き、魔界王の顔を見た途端、ダイアデムは 言い放った。 タナトスは、きつい緋色の眼を激しく燃え立たせた。 「──この無礼者! いちいち気に触る言い方しかできんのか、貴様!」 「だあ〜って、ホントのことだもんよ、お前ってば、女の扱い、ヘタ過ぎ。 ちったーサマエルを見習っちゃどうだ?」 少年は下唇を突き出す。 「何だと、こんなスケこましの、どこをどう見習えというのだ!」 カッとした魔界の王は、弟王子に指を突きつけた。 「……やれやれ、お前達と来たら……。 人聞きの悪いことばかり言うところは、そっくりだね」 ため息混じりにサマエルが口をはさむと、タナトスとダイアデムは同時に 彼の方を向き、叫んだ。 「誰がそっくりだと!」 「オレのどこが、このバカに似てるんだよ!」 サマエルは苦笑し、取り成すように言った。 「まあまあ、落ち着いて、二人共。 今は、そんなことを言い合っている場合ではないだろう?」 「あ、そうだったな。分かっちゃいるんだけどさ、こいつがホントーにバカな もんだから」 紅毛の少年は、魔界の王を指差した。 「くっ、言わせておけば……!」 「へっ、ホントのこと言って何が悪りーんだよ!」 「タナトス様、ダイアデム殿、どうか、お静まりを!」 またも一触即発の二人の間にプロケルが割り込み、引き離す。 サマエルは真顔になった。 「じゃれ合いは、そこまでにしてもらえないかな。 まずは何をさておいても、ニュクスの身を確保することが最優先だ。 彼女はかなりの空腹なはず、邪(よこしま)な考えを持つ者の心に惹(ひ)かれ、 何か問題を起こしてしまう前に、早く連れ戻さなければ」 タナトスは拳を握りしめた。 「……たしかに、今度問題を起こしせば、俺がどうかばってやっても、よくて 幽閉、最悪の場合、処刑もあり得るからな。 そんなことになったら、すべては俺のせいだ。 俺が戯(たわむ)れに、肉体など創ってしまったせいで……」 「そーだ、お前が悪い!」 反省している様子の魔界王に、元魔界の至宝は容赦なく、突っ込みを入れる。 「き、貴様!」 それに対してタナトスは、どうしても反応してしまうのだった。 「これ、ダイアデム、話が進まないよ、少し黙っていてくれないかな」 声にほんの少しに苛立ちを込めて、サマエルが言う。 「分かってるってばよ。でも、どーやって“黯黒の眸”を探すんだ? 汎魔殿の地下は、ちょー広い天然の迷宮なんだぜ。 いくらオレだって、そー簡単には……」 「心配はいらないよ。探すのではなく、呼び戻せばいいのだから」 「呼び戻す? それができておれば、これほど苦労などせんわ!」 顔をしかめる兄に向けて、サマエルは言った。 「それはひとえに、お前の気持ちにかかっているのだが」 「俺の気持ちだと……?」 タナトスは、さらに険しい顔になった。 「そうだ。お前は“黯黒の眸”を本気で愛しているのか?」 「くっ、何ゆえ、そんなことを貴様に言う必要がある!」 タナトスは歯を食いしばった。 「──これは大事なことなのだぞ。 お前が心底彼女を愛し、帰って来て欲しいと望まなければ、“黯黒の眸”は 永遠に地下迷宮に封印されたままとなるのだ。 私の眼を見て答えるがいい、真実彼女を愛していると言えるか?」 魔界の王は、弟王子を睨みつけた。 「それは、俺が心の中で思っていればいいことだろう!」 厳しい表情のまま、サマエルはうなずいた。 「その通り。これは本来なら、私が口をはさむ筋合いのものではない。 しかしお前がニュクスに、『お前を愛している』と口に出して言えないよう なら……。 明瞭に口にしなければ、彼女には伝わらない。呼び戻しに成功したところで、 再び同じことが繰り返されるだけだぞ」 「そ、そんなことは分かっている! あいつが還ってきてくれたら、何度でも、何十度でも──あいつが納得する まで繰り返し言ってやるさ、愛していると!」 「よし、言ったな、忘れるなよ、その言葉を!」 「魔界の王の名誉にかけて、忘れはせん!」 「……そんじゃあ……この話聞いても、そう言えるのかなぁ、お前……?」 ダイアデムがその時、ためらいながら口をはさんだ。 タナトスは、露骨に嫌な顔をした。 「何だと、まだ何かあるのか、このくそ忙しいときに!」 「ホントは……できれば、言わずに済ましちまいたいこと、だったんだけどな ……。 この際だから、言っといた方がいいかなぁって思って……。 後になって、騙されたとか言われたら、“黯黒の眸”だって立つ瀬がないし さ……」 ダイアデムは珍しく、タナトスの眼を見ようとはせず、口の中でもぐもぐと 言った。 「ぐずぐずした言い方はよせ、貴様らしくもない! 俺は急いでいるのだ、もったいをつけずに早く言ったらどうだ!」 「うん……それじゃあ、言うけどさ……。 オレ達……魔界の至宝の正体が、裏切り者のスパイだったとしても、あいつ に愛してるって言ってやれるのか? お前も、どうだ? サマエル」 「ス──スパイですと?」 「何を言い出すのだ、貴様……」 タナトスだけではなく、プロケルもあっけにとられた顔をした。 「私の気持ちは知っているはずだよ、ダイアデム。 それはともかく、どういうことなのか、詳しく話してくれないか?」 平静な表情のままでいたのは、サマエルだけだった。 「あのな、多分、“黯黒の眸”が姿を消したホントの理由も、ここにあるんだ と思うんだ。 ……そんで……う〜んと、何から話したらいいんだろーな……」 分かりやすく説明しようと、ダイアデムは頭をひねった。 「そう──つまりさ、オレはともかく、真っ黒い宝石の“黯黒の眸”、そして、 サマエルがオレを復活させるのに使った“盲(めし)いた瞳”……こいつに至っ ちゃ、ただの透明な石だろ? なのに、何で“瞳”って呼ばれんのか、その理由を、お前ら考えてみたこと あるか?」 「お前の中に、黄金の炎のように燃え上がる輝きが瞳を思わせ、三つ一緒に 発見されたから、すべてを“瞳”と呼ぶようになったのではないのかな?」 間髪(かんぱつ)入れずサマエルは答え、ダイアデムはうなずいた。 「そうだ、オレ達は三つ子。しかも天界のスパイとして創られた、“発見し、 監視し、信号を送る者”……だからこそ、“瞳”って呼ばれるんだよ……」 「て、天界のヤツらが、貴様らを創っただと!? ならば、今まで貴様らは、偽りの忠誠で我々を騙していたというのか!? この裏切り者!」 タナトスは大声を上げ、再び、ダイアデムにつかみかかろうとした。 「待て! 最後まで話を聞け、タナトス!」 「お静まり下され、タナトス様!」 サマエルとプロケルは、慌てて彼を押さえる。 ダイアデムは激しく首を振った。 「──違ぇよ、お前達に対する忠誠は本物だった! それに、今まで言わなかったのは、騙そうとしたからじゃない! 信じてくんなくてもいいけど、サマエルが“盲いた瞳”を使って復活させて くれるまでは、思い出せなかったんだ! 二つの石の力が合わさることで、眠っていた記憶に意味が与えられたんだ から!」 「何だ、それは! 屁理屈をこねて、また騙そうと言うのか、この嘘つきめ!」 二人に腕をつかまれたまま、タナトスは吼える。 「──そうじゃねーってば! 創り出された直後は、赤ん坊とおんなじで、自分のしてることの意味なんて 分かんなかったんだ! “自分”を持って初めて、物事の意味が分かるもんなんだ、それは前にも 話したろっ!」 「そうだったな……分かった、もう危害は加えん、最後まで聞いてやるから 手を離せ」 タナトスは自分を捕らえている二人にそう言い、自由の身になると、腕組み をした。 「続けろ。それで貴様は、何を思い出したと言うのだ?」 「うん……思い出したことってのは、こうだ……。 どんくらい昔のことになるのか、とにかく、ものすっごい大昔のことだ。 天界人……いや、その祖先だな、ヤツらがそれまで住んでた星が、消滅の 危機にあるってことが分かってさ。 その星系の太陽は、もう寿命で爆発しそうになってて、それに巻き込まれ そうになってた、みたいな感じで。 そこで連中は、新しい星……移住先を探すことにして、何百、何千という “意ある宝石”……“瞳”を三個一組にして、あちこちに送り出した……。 その一組がオレ達なのさ」 「何だと、それが、我ら……魔族が襲われた真の理由だというのか! おのれの星が滅びかけたからといって、大量殺戮(さつりく)が許されるわけ はないぞ!」 タナトスは眼を怒らせた。 「まったくさ。今も昔も、天界のヤツらって、自己中もいいトコ、大人しく 初めの母星ごと消えちまやよかったのに、ってつくづく思うよ」 ダイアデムは悲しげに言い、絞り出すように続けた。 「……あとさ、“瞳”にはそれぞれ役割があったんだけど……」 「役割だと? 単にスパイするだけではなく、か?」 「うん」 宝石の少年は、こっくりとうなずいた。 「“盲(めし)いた瞳”は“推進力の石”……送り込まれる前に注入されたエネ ルギーを使って、目的地に移動するための石。 移住先の星へ到達した後は用済みで、機能を停止する。 だから、ずっと何の精霊も宿らずにいて、今は、オレの本体になっちまって るわけさ。 二番目の“黯黒の眸”は、“破壊の石”。 負の感情を吸収してため込み、目的の星にいる先住生物……特に高い知能を 持つ生物を一掃するためのエネルギーを蓄える石」 そこまで言うとダイアデムは、誰の顔も見られなくなってしまってうつむ いた。 瞳の中の炎は揺らぎ、声にも力がない。 「……そしてオレ、“焔の眸”は“破滅の石”。 先住生物達の心を狂わせ、同士討ちを誘い、絶滅させるか、数を減らしとく ための石……ついでにそれで流された血も、“黯黒の眸”と同じく、魔力と して蓄えといて、生き残りをその力で滅ぼす……。 オレ達は、んな仕様で創られてたんだ」 それはあまりに身勝手な話だった。 to be continued... ====================================================================== ◆ 後記 ◆ ---------------------------------------------------------------------- 明けましておめでとうございます。 今年も紅龍の夢をよろしくお願いします。 ところで、新年早々、事件が起きました。 なんと、HP「紅龍の夢」が、トロイの木馬系のウイルスに感染! 今年に入ってご訪問になった方は念のため、ウイルススキャンをお勧め します。 あ、今は駆除済みです(笑)。 1/3頃から、HPのレイアウトが崩れ始めて、変だなと思っていたのですが、 1/5に、いきなりウイルス警報が! 外国のサイトに強制接続するよう、htmlが書き換えられていたんです。 ↓ gogo2me.net(アクセスしちゃ駄目です。googleで検索すると、「この サイトはコンピューターに損害を与える可能性があります」と表示されることも) 慌てて相棒の一葉に確認すると、PCがウイルスに感染してました(汗)。 幸い私のPCは無事だったので、すぐに感染前のソースに戻し、相棒もウイル スを駆除、セキュリティソフトも入れ、一安心。 と、思ったら。 翌日、またまた昨日と同じ、見覚えのないソースがずら〜〜っと! どうやら、HP更新用のFFFTPのパスワードが盗まれてしまったらしく。 誰かがこっそり書き換えてるかと思うと、もう、気持ち悪いやら、腹が立つ やらで。 ともかく急いでパスを変え、他にも検索で調べた対抗策を取り入れ、それで 収まりましたが。 でも、本格的なウイルス攻撃を受けたのは初めてて、かなりびっくりして ます。 やっぱり、ウイルス対策ソフトは絶対必要ですね。 ---------------------------------------------------------------------- アルファポリス、HPとWEBコンテンツランキングに参加しています♪ ↓どうぞ応援(クリック)お願いします(毎日でもOK) m(_ _)m↓ http://www.alphapolis.co.jp/site_access2.php?citi_id=200061015 http://www.alphapolis.co.jp/cont_access2.php?citi_cont_id=875003507 ネット小説ランキングに参加中☆ ↓よろしければ、投票お願いします(お一人月一回です) m(_ _)m↓ http://nnr2.netnovel.org/rank05/ranklink.cgi?id=aw72sqon ---------------------------------------------------------------------- ■発行者 :流河 晶 ■マガジン名:紅龍の夢 ■マガジンID:0000131099 ■発行周期 :週刊 ◎バックナンバー: http://archive.mag2.com/0000131099/index.html ◎発行者Webサイト: http://www12.ocn.ne.jp/~tower/ ◎ご意見・ご感想・連絡等はコチラ: http://www12.ocn.ne.jp/~tower/mailform.html ◎メルマガ配信中止はコチラ: http://www.mag2.com/m/0000131099.htm このメールマガジンはインターネットの本屋さん「まぐまぐ!」 http://www.mag2.com/を利用して発行しています。 Copyright (C) 2004-2009 流河 晶 All rights reserved. ※メールマガジン内の文章等を無断複製・転載することを禁じます。 ======================================================================



