ファンタジー長編小説「紅龍の夢」第205号
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┃フ┃ァ┃ン┃タ┃ジ┃ー┃長┃編┃小┃説
┃紅 ┃龍 ┃の ┃夢
┃第205号
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□ 巻の五
── 緑柱石(エメラルド)の記憶/The Memory of Emerald ──
◇第39回
*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……*……
10.緑柱石の貴婦人(4)
「僕が二人目? ……じゃあ、一人目はリオンじゃないんですか?
彼の手にも紅い痣があったし、前に、サマエル様のお弟子だったんでしょ
う?」
ワルプルギスで倒れた僕を、彼が天使の代わりに看ててくれたとき、別れ際、
バイバイと振ったその手に、紅い龍そっくりの模様が見えたんだよ。
あ、だからヴェパルはあのとき、僕のこと、『リオンみたい』って言ったの
かな。
強過ぎる力を、サマエル様に封印してもらいに来たんだと思って、魔族達に
も、そう伝えてくれたんだろう。
助かったな。
だって、河童の他にもちょっかいを掛けてくる魔物がいたら、もっと早く僕
の魔力が暴発して、大変なことになってたかも知れないもの。
相手がシンハだったから、気絶くらいで済んだんだ。
……多分、河童と同じレベルの魔物だったら、死んじゃってたかも。
そしたら、せっかくのお祭りも、目茶目茶になってただろうな……。
サマエル様はうなずいた。
「そうだよ、一人目はリオンだ。
彼もまた、すさまじい力の持ち主だった……そのため、母親が彼の魔力を
封じ、亡くなるときに、私を見つけて封印を解いてもらうようにと言い残した。
そこで彼は、長年私を探し続け……女王と出会ったのを機に、ついにこの山
の存在を突き止めて訪ねて来たのだ。
彼が屋敷にいられたのは、ほんの二月ほど……その間に彼と闘ったことも
あるが、素晴らしい力で、将来が楽しみだと思ったよ……」
僕は驚き、訊き返した。
「えっ、リオンって、人間なのに、魔族のサマエル様と闘えるくらい強いん
ですか?」
「ああ。前に……たった一度だけ、ちょっとやってみただけだが、おそらく彼
の力は、キミよりもさらに上を行くだろうね……」
「えっ、僕よりももっと……?」
さらにびっくりしたけど、学院で僕を助けてくれたときのことを考えると、
それもうなずける気がした。
でも、楽しみだなんて言いながら、サマエル様がどことなく、辛そうな表情
をしているのはなぜなんだろう。
「さあ、それはさておき、シュネ、少し手伝ってもらえないだろうか。
ダイアデムの目を覚まさせたいのだが……」
はぐらかすようなサマエル様の言い方は、なんか引っかかる。
そのとき僕は、サマエル様達の話し合いの結末を聞いていないことを思い
出した。
ダイアデムの目を覚まさせたい? ってことは……。
「手伝うのは構いませんけど、話し合いはうまくいかなかったんですか?」
サマエル様は眼を伏せた。
「……うまくいった……と、私的には思っているのだけれど。
彼は、本体の“焔の眸”に戻って、ずっと眠ったままでいてね……」
「眠っている? どうして……彼は今どこに? 地下室ですか?」
「そうだ。キミには話しておかなくてはいけないね。
実は、“焔の眸”には四人の化身がいて……その最後の化身の呪縛を解く
ことができたから、妻になってくれるとは言ってもらえた。
けれどなぜか、疲れたと言って、地下室にこもったままでいるのだよ。
私のわがままで、彼らの休養を邪魔するのは心苦しいのだが、一人でいると
淋しくて……もう二度と、目覚めてくれないのではないかと思ったり……。
だが、私一人で行っても、相手にしてもらえないのではないかと心配で……
だから……」
そう言いながら、サマエル様はとっても切ない顔をしてる。
サマエル様はホントーに、すっごくダイアデムのことが好きなんだなぁ……
って、僕はそのとき実感した。
「それに、暗闇に浮かぶ“焔の眸”は美しい……この世のものとも思えない
ほどにね。
その姿を、キミにも一度は見せたいと、かねがね思っていたのだよ。
幼少の頃、初めて“王の杖”にはめ込まれた“焔の眸”を見たとき、私は
身も心も震え……一目でその美しさの虜(とりこ)となった。
麗(うるわ)しいその宝石が獅子の姿となって、泣いている私を慰めに現れた
と知ったとき、私は彼を得るためなら、どんな犠牲でも払おうと心に決めた。
そして……長い間の紆余曲折(うよきょくせつ)を経(へ)て、それが今、よう
やく叶ったのだ、だから……」
「じゃ、さっそく行きましょうよ、彼を起こしに。
大丈夫ですよ、二人がかりなら、ダイアデムもすぐ起きますって」
失礼かも知れなかったけど、僕はサマエル様の話をさえぎった。
早く、“焔の眸”の本体を見てみたかったんだ。
サマエル様は、我に返ったように言った。
「あ……ああ、済まないね、私の昔話など、詰まらなかっただろう」
「え、いえ、そんな……」
「いいさ、では行こう、さ、手をつないで。
──ムーヴ!」
地下へ行く階段も通路も、屋敷にはない。
魔法で移動することしかできないんだ。
地下室と呼ぶには広すぎて、地下の迷宮と呼んだ方がピッタリくるかもしれ
ない、この山の内側全体に広がる深い鍾乳洞。
前はちょっぴり怖かった、どこまでも続く闇のトンネルも、僕が少し大人に
なったせいなのか、今ではそれほど暗くも思えず、それどころか神秘的な美し
さに満ちている感じがした。
一番大きくて、よく魔法の実験に使っていた広間に“焔の眸”はいた。
遠くからでも、その妖しいまでに美しい紅い光が、暗闇に慣れた眼を射る。
人を惑わし、魅きつけてやまない、眩(まばゆ)い光を放つ“焔の眸”は、
その広い空間の真ん中あたりに浮き上がって、ゆっくりと回転していた。
「暗闇の中でこそ、その真の美しさを現わす魔界の至宝、“焔の眸”……」
サマエル様が、うっとりとした口調で手を差し伸べた。
「あれ? 紅い宝石なのに、角度によって、全然違う輝きが見えますね」
「美しいだろう?
力ある者が覗き込めば、結晶面に過去や未来の情景が視えるともいうよ」
「ふうん、すごいな……」
近づくにつれて、一層、魅惑の輝きは強くなっていく。
大人の握り拳二つ分ほどもある巨大な深紅の宝石、その中に揺らめく、黄金
色をした炎のような煌き。
その炎自体が生き物でもあるかのように、うごめいているのが見える。
ファイディー国の至宝として、小さなペンダントになっていた彼の右眼を
見たときよりも、インパクトは強いけど、それも当然だった。
こっちが本体なんだから。
サマエル様が夢中になるのも、分かる気がする。
だいぶ近づいてから、宝石の真下に、紅い小さな輝きが散らばっていること
に僕は気づいた。
「何だろ、これ」
拾い上げてみると、それも宝石だった。
スタールビーのように星の光を秘めた、神秘的な紅い輝きが、闇の中で煌く。
「それはダグリュオンだよ」
「ダグリュオン……これって、彼の涙なんじゃ……?」
「よく分かったね、それは“ダイアデムの涙”とも呼ばれる。
彼は“貴石の王”、自分自身が類希な宝玉であるだけでなく、宝石を創り
出す力も持つ……。
だが、彼にその話はしないでくれないかな。思い出させたくないのだ。
ダグリュオンは彼にとって辛い記憶と、分かちがたく結びついているのでね
……」
「さてと、ダイアデムを起こそう。
生まれ変わったキミを、彼も見たいだろうからね」
「そ、そうです……ね」
彼が気に入ってくれるといいけどと思いながら、慌てて僕は、ドレスの胸元
や裾を直す。
でも間近で見ると、“焔の眸”はさすがに大きくて、迫力があった。
最初に出会ったときの、シンハの瞳と同じ……ううん、あのときよりも、
もっとずっと綺麗だと僕は思った。
「ダイアデム、シュネが来たよ。
眼の色や髪も変化して、“紅い封印”も施し終えた……もはや彼女は、完全
に大人の女性になったよ。
それを見たくはないか? 起きておいで……」
「ダイアデム、僕だよ、起きてよ、サマエル様と約束したんでしょ!」
僕とサマエル様は、交互に声をかけた。
「わ……っ!」
すると、いきなり宝石の輝きが増して、僕はとっさに手で眼をかばった。
普段の彼が変身するときよりも、もっと眩しい感じがする。
やっぱり、本体の宝石の姿をしてるからかな。
いつものように、紅毛の少年が現れる。
「よう、シュネ、久しぶり……ってほどでもないか。
なかなかイカスぜ、眼も髪も。ドレスも、似合うようになったな」
変身した“焔の眸”は、サマエル様もいたのに、わざわざ僕に話しかけて
きた。
「ありがと。元気そうだね、ダイアデム。
サマエル様から聞いたよ、うまくいってよかった」
彼は肩をすくめた。
「そりゃあ、こっちのセリフだ。心配して損したぜ。
やっぱガキは単純で、立ち直りが早くていいよな」
「どうせ僕は子供さ、キミ達から見ればね。
でも、子供なりに色々考えていたんだよ。
たとえ僕が死んだとしても、両親はもう帰っては来ない……なら、今の僕に
何ができるんだろう?
……そう考えてたら、この力を使って、タィフィンみたいな困ってる人達を
助けることが、僕の罪滅ぼしになるのかもしれない……って思えてきたんだ。
だから僕はもう、死のうとか考えるのはやめた」
「へっ、いっちょ前なこと、ゆってくれるじゃねーかよ、おい!
たしかに大丈夫みてーだな、よかったぜ、ホント!」
そう言うとダイアデムは、僕の肩を思い切りどやしつけた。
「わっ、い、痛いじゃない!」
「ははは、威勢がいいな!
じゃ、オレ達は、話の続きがあっから、先に帰っていいぞ!」
ダイアデムは、にやにやしながら、上を指差した。
「済まないね、シュネ。ありがとう、後は私達で……」
「分かってますって。お邪魔虫は消えますよ」
サマエル様の言葉を、僕も笑ってさえぎり、一人で自分の部屋に戻った。
それからの僕は、魔法を使うのがとても楽になった。精神的にも肉体的にも。
もちろん、間違った召喚獣を呼んでしまったりってこともなくなった。
……それらは全部、無意識に力を抑えようとした結果だったからだ。
“紅い封印”が僕を自分の力から守ってくれ、強烈な罪の意識も消えた今は、
ただ魔法の勉強に専念すればよかった。
そんなわけで今、僕は、生きてきた中で一番幸せに思える時を過ごしていて
……こんな毎日が、このままずっと続いていくような気がしていたんだけれど
……。
to be continued...
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◆ 後記 ◆
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PCが壊れた!? と思って焦って、NTTに修理頼んだら……。
修理の人が持ってきたPCではちゃんとネットができるのに、自分のでは
つながらず、色々やってみたら、なんとZONE ALARM のせいでした。
試しに切ってみたら、接続できました……(汗)。
セキュリティレベルはずっと「高」で、昨日まで大丈夫だったのに。
「中」にしたらOKでしたが、相棒は、ZONE ALARM のせいで、OSを再インス
トールしたことがあったそうで。
まあ、無料のセキュリティソフトだから仕方ないんですかねぇ。
「ゲド戦記」。
見ましたけど、最後まで内容がよく分からずじまい(笑)。
大体「ゲド」って何? 人の名前? それとも場所?
エンディングロール見て初めて、人名だと分かりましたが。
「戦記」ったって、ほとんどバトルシーンもないし。
原作読んだことない人には、かなり不親切。
説明不足もいいところで、残念……って感じでした。
原作者にもかなり不評みたいですね、このアニメ。
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