2008/12/23
「関学出て鞄職人」Vol:79 「つばめ <最終章:ギフト>」
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■【関学出て鞄職人?】
〜 魅力ある物作り、人が、私を変えていった 〜
Vol:79 「つばめ <最終章:ギフト>」
発行人:田村幸樹
隔週発行
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人は失敗して成長します。 人は体験して成長します。
そして人は人と出会い成長します。
このメルマガを読んで一人でも多くの方が、
物作りに興味を持っていただけたら幸せです。
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発行人プロフィール: 昭和53年 大阪府立泉陽高校卒
昭和59年 関西学院大学文学部卒
昭和60年 有限会社JOB設立
最初はメーカーに依頼して鞄を作っていたが
5年目ごろから独学で鞄を作り始め、現在にいたる
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◆12月24日号 menu
1.Vol:79 「つばめ <最終章:ギフト>」
2.今年もやりますコスプレカラオケ!
3.あとがき
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皆様!こんばんわ!
ご無沙汰してます。元気でした?
私はとっても元気です。
今年に入り、TIPZONEというブランドの立ち上げのお手伝いをしていて、
とっても忙しくて、てんてこ舞いでした。
この、TIPZONEは今年の神戸セレクションにも選定され、
時代に流されない大人のバッグブランドを目指しています。
http://www.kobe-selection.jp/authorization_goods/result03.html#tip-zone
もう少ししたら、ホームページも出来上がるので又メルマガで紹介しますね。
楽天の方のページは出来上がりつつあるので、
今ご紹介しておきます。
お気に入りにでも入れておいてくれるとありがたいです。
↓ ↓ ↓
http://www.rakuten.co.jp/tipzone/
さて、以前発行してからあっという間に半年が過ぎてしまいました。
本当にごめんなさい。
もう、みんな話の内容も忘れていると思うんで、
簡単にあらすじだけ書いておきます。
1995年1月17日に起こった「阪神淡路大震災」により、
工房を焼失し行き場を失った私達夫婦は、
そのマンションの大家さんの計らいで、
自分達の手で焼け跡に自分達の工房を完成させました。
「ジョブさん。何があってもここで頑張るのよ!」
大家さんにそう言われた私達は、その地で頑張りつづけました。
その次の年の冬、お金に困った私達は毎年恒例にしていた、
工房前でのバーゲンをすることを決意します。
ところが災害時に、
水に濡れた商品を被災した街の人々に配った私達には売る商品がありません。
それに、被災した街は焼け野原となり以前の住民の姿もありませんでした。
それでも、昔取引していたメーカーの社長さん達が協力して商品を貸してくれたおかげで、
無事、バーゲンの準備を終えることができ、当日の朝を迎えることが出来ました。
「お客さん来てくれるやろか・・・」
そんな私達の不安をよそに、朝工房につくと黒山の人だかりができていました。
震災時に鞄を配った町の人たちが、避難所から次々と集まってくれたのでした。
「街は生きていた・・・」
そう実感した私達夫婦でしたが、そんな私たちに詐欺師が近づきます。
「信用調査会社のものですが・・・」
そう名乗った男は、震災後焼け跡で営業する私の不安をついてきました。
「依頼主様が、御社をこの先、もっと活用したいのだが、
御社がそれに見合う能力があるのかどうか見極めてほしい・・・というのが依頼内容です。
焼け跡で営業されているのですか?それはまずい・・・」
それならば、調査会社のメンバーになれば、
それ相応の調査報告をするという男の言葉に心がぐらついた私でしたが、
その依頼されたというS社の社員に電話を入れて目が覚めます。
「巨大企業のS社のFさんは会社の体裁など気にせず私の会社と付き合ってくれている。
焼け跡で営業していることを卑下していたのは自分自身だった」と気付きます。
工房の入り口に作られたつばめの巣から顔を出す雛たちを見つめ、
改めて、この焼け跡で頑張ると決意します。
ところが震災から必死で立ち直ろうとする神戸の企業ですが、
その影響がじわじわと押し寄せ、私の取引先も、一軒、又一軒と潰れていきます。
又、私自身の物作りもうまく行かず、B社の展示会では注文が付かない状態が続きます。
そんなある年の展示会の日、「煎餅屋の鞄」の話題から、
私の鞄が「一生懸命すぎる。それが見えてはいけない」と指摘されます。
楽しんで鞄を作る重要性を知った私は、
やっと展示会で注文を受ける商品を作ることが出来るようになります。
一方、手作りの工房の隣に、ある印刷屋の親子が引っ越してきます。
長田で被災したその親子は私の工房の隣で頑張り続けます。
「こいつが大きなるまで頑張る。」と言っていた父親でしたが、
それも叶わず、再び長田に戻ります。
けれども、昨年偶然、スーパー銭湯で親子に会った私は、
少年が成長したのを見て感動します。
で、いよいよ最終回です。
それでは、今日も長いお話ですが、
Vol:79「つばめ <最終章:ギフト>」
楽しんでください!
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1.Vol:79 「つばめ <最終章:ギフト>」
今年の夏、私の工房の隣のマンションにつばめが巣づくりを始めました。
ところが、そのマンションの大家さんがそれを嫌がったのか、
数日後、その場所にはベニヤ板が張られてしまいました。
けれども、つばめはそれに臆することなく、
少し入り口から外れた場所に又巣づくりを始めました。
「頑張れつばめ!頑張れつばめ!」
私の家内とスタッフ達は、毎日のようにそのつばめたちを見つめては、
そう、エールを送りました。
私はそんな彼らの様子を伺いながら、
もう十年も過ぎ去ったあの頃の事を思い出していました。
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震災から4年が過ぎた1999年。
私の工房があった松本通りは新しい局面を迎えていました。
松本地区は震災前から神戸市の都市整備再開発事業地に指定されていました。
震災前、遅々として進まなかったその都市整備再開発事業が、
震災を機にいっきに進められていきました。
街には「松本地区街づくり協議会」が設置され、
市と住民が参加しての新しい街づくりの計画が進められていきました。
市のこの街の街づくりの基本方針は、私の工房があるマンションの前の道、
‘松本通り’の道路幅を広くすることでした。
「街づくり協議会」では、この広くなる松本通りをどうするかで、
喧喧諤諤の意見が交わされていました。
私は、「街づくり協議会」が発行するビラで、
‘松本通り’の計画が進んでいる事を知る度に、複雑な気持ちに苛まされていました。
「もう、後どれ位ここにいる事が出来るのだろう・・・
この後、僕達は何処へ行くことになるんだろう・・・」
街づくりが進む事は私達がこの街から出て行くことを意味していました。
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一方で、震災で焼け野原となった私の工房のあるマンションの裏手では、
一軒、又一軒と新しい住居が建ち始めました。
古い街だったので地権者を確認をするのに手間取っていた市が、
ようやく、その作業を終え、
市との交渉が成立した住民から順に、新しい住居を建設し始めたからです。
一軒建設が始まると、そのスピードは凄まじいものでした。
街には見る見るうちに新しい家が建ち並び始め、
気が付くと、市との交渉が残っているのは、
私の工房があるマンションと、
もう一つの、松本通りにある大きなマンションの住人だけになっていました。
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その年の11月のある日、
私の会社が入居しているマンションの大家さんが、ひょっこり工房に顔を出してくれました。
「ジョブさん。いよいよ、このマンションの市との交渉が始まるからね。
市のほうから、ジョブさんに日にちの連絡があるから、頑張るのよ!」
「へ?何の事ですか?」
「何言ってるの、立ち退き交渉じゃないの。」
大家さんは、その大きな目をぐりぐりと動かして、にっこりと私を見つめました。
「うちは住民じゃないけど、立ち退き交渉があるんですか?」
「あたりまえじゃないの。覚えてる?
ジョブさんが震災後ここに戻ってきた時、私が言ったこと・・・」
私は、自分達で壁に絵を書き、
テントを張って工房を復活させた日の事を思い出しました。
「ジョブさん!何があってもここで続けるのよ!
ここで、頑張ったら必ずご褒美がもらえるから・・・」
あの日、大家さんははっきりとそう言ってくれていました。
「この事だったんだ・・・」
暫く呆然としている私の肩をポンと叩き、大家さんは又にっこりと微笑んで、
「とにかく、頑張るのよ!」
そう言って、工房を去って行きました。
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12月に入ると、先に市と交渉を終えた隣のクリーニング屋さんが、
店を畳んで出て行きました。
「もう、出て行くんですか?」
引越しの準備をしていたご主人に私がそう尋ねると、
「当たり前や、立退き料もうたらここにおる必要あらへん。
それにしても、ちっぽけな額やった!」
そう吐きすてるように言い、舌打ちをしました。
私は、最初からこのクリーニング屋さんが、
何故こんな焼け野原となっている街に店を構えたのが疑問でしたが、
やっと、その理由がわかりました。
「これぐらいやったら、ここに来た意味あらへんかったわ。」
クリーニング屋さんは後味の悪さだけを残して去って行きました。
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正直言って、震災後の私の会社はもう、いっぱいいっぱいでした。
家内と二人で必死になって働いてきましたが、
とても、転居して再出発する余裕などありませんでした。
そして、立ち退きが迫って来たこの頃では、
「もう、駄目かな・・・」
そんな気持ちでいっぱいでした。
そこへ、この立退き料の話でした。
クリーニング屋さんの言葉から、たいした額は期待していませんでしたから、
「次の、事務所の権利金の足しになるぐらい出たらいいな・・・」
そんな感じに思っていました。
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市との交渉は街の北に建てられたプレハブ小屋の中で行なわれました。
「松本地区街づくり協議会」と書かれた看板が立てられたその部屋の中に入ると、
市の職員の方が2名来られていました。
「ジョブさんの場合は震災前からここでされていますし、
駐車場、倉庫も借りられていますから、これぐらいでどうでしょうか?」
市の職員さんは、私の会社の情報が細かく書かれた書類を私に見せながら、
一枚の紙をスッと差し出しました。
このとき、私は大家さんが私達のために、
小さいながらもマンションの奥に倉庫を作ってくれた意味。
マンション横手の通路を駐車場として貸してくれた意味。
それが、初めてわかりました。
その金額は私の想像をはるかに越えるものでした。
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市との交渉は交渉と呼べる物ではなく、
私は、二つ返事で書類に判を押しました。
交渉を終えた頃、大家さんが又私の工房に来てくれました。
「どうだった?いっぱいご褒美もらえた?」
ドア越しに顔を出し、ニコニコとそう尋ねられました。
「はい!本当にありがとうございました。」
私がそうお礼を言うと、
「ジョブさん、本当のご褒美はね、頑張ったことなのよ・・・」
そう言ってサッと去っていかれました。
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その次の年の2000年夏・・・
私は近所に自宅がある中道通りに工房を借りました。
そこで、4年間過ごした後、
2005年に現在の場所に工房を移し今に至っています。
今、とっても広く、綺麗な工房で仕事をさせて貰っていますが、
震災後5年間過ごしたあの手作りの工房の事を忘れる事はありません。
家内も同じ気持ちでしょうが、
彼女は逆にこの5年間に起こった出来事はほとんど覚えていないと言います。
それだけ、必死に働いていたんだと思います。
震災はとても悲しい出来事でした。
只、私の心を変えてくれる大きな出来事でもありました。
立退き料が貰えたのは偶然なんかじゃありません。
運が良かったわけでもありません。
「一番大切な事はね、負けない心を持つことなんだ・・・」
震災は私にそう教えてくれました。
それは、その後の私にとってかけがえの無い贈り物となりました。
終わり・・・
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2.今年もやりますコスプレカラオケ!
年に一度のコスプレカラオケ!
一年分、思いっきり笑いましょう!
昨年の様子は ↓ ↓ ↓
http://blog.livedoor.jp/jobplanning/archives/51481432.html
日時、場所は追って連絡します!
参加したい方はメールを下さい。
たむたむと思いっきり遊びましょう!
bag @job-jp.com
このメルマガに返信してくれても結構です!
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3.あとがき
この原稿を書いている今は12月23日です。
明日はクリスマス!
私の後ろでは、昨年からうちで働いているI君が鞄を作っています。
明日のクリスマスに奥さんにプレゼントする鞄です。
I君は30代半ばで子供も二人います。
最初、うちで「働きたい!」と言ってきた時、
私は断りました。
独身ならまだしも、家庭がある彼が一からうちで修行をするなんて、
とても無理と思いましたから・・・
けれども、彼は奥さんと話し合い、
「自分がしたい事ができる最後のチャンスだから・・・」
と、うちにきました。
奥さんへのプレゼントの鞄作りはひと月前から、
毎晩夜遅くまで、休日も出てきて続いています。
奥さんには内緒で作っているので、毎日遅い彼を、
少し怒り、少し心配しているそうです。
今日、鞄は完成し、明日プレゼントされます。
きっと、今までの心配が喜びに変る瞬間を迎えるんだろうね!
人生なんてそんなモンです。
もし、あなたが今、
「今年は何も貰っていないな・・・」
そう思ったなら、
そっと目を閉じて、今年一年を思い出してください。
ねっ!いっぱい貰ってたでしょう?
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発行人:田村幸樹
JOB inc.
発行者WEBサイト
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たむたむブログ あそびにきてね!
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最後までお読みいただいて本当に有難うございます
Vol.80 頑張って書きます! まっててね!
乞うご期待!
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