関学出て鞄職人?  RSSを登録する

バギーポートの鞄を作っている鞄職人の私が、様々な魅力ある物作り人と出会い成長して行く様を時におかしく、時に悲しく思いつくままに綴っています。物作り人必読!

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2007/11/04

「関学出て鞄職人」Vol:74「つばめ<第一章:時代>」

 
  
 
 
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                            ■【関学出て鞄職人?】
        
                〜 魅力ある物作り、人が、私を変えていった 〜
 
     Vol:74  「つばめ <第一章:時代>」
 
                         発行人:田村幸樹
                                                   隔週発行
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人は失敗して成長します。 人は体験して成長します。
 
そして人は人と出会い成長します。
 
このメルマガを読んで一人でも多くの方が、
 
物作りに興味を持っていただけたら幸せです。
 
 
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発行人プロフィール: 昭和53年 大阪府立泉陽高校卒
             昭和59年  関西学院大学文学部卒
             昭和60年  有限会社JOB設立
             最初はメーカーに依頼して鞄を作っていたが
             5年目ごろから独学で鞄を作り始め、現在にいたる
 
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◆11月4日号 menu    
 
1.Vol:74   「つばめ <第一章:時代>」

2. ∽∽〜かおりん、たむたむの裁断したろかあーー〜∽∽

3.あとがき


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皆様!こんばんわ!

前回発行してから、あっという間に11月になってしまいました。

本当に、ごめんなさい。


あの後、すぐに続けて発行できると思っていたのですが、無理でした。

やはり、スタッフが一人少なくなったことは大変な負担でした。

ですが、先月叉一人スタッフが加わり、なんとか軌道に乗りかけています。

ご心配してくださった皆さん、本当にありがとう!


で、そんな中で、先月ラジオに出演いたしました。

ラジオ関西の「宇宙人の声」という番組です。

放送は既に終了してしまいましたが、

収録の模様がこちらのホームページで見ることが出来ます。

動く、たむたむを見たことがない方、

叉、鞄作りの工房を見たことがない方、是非覗いて見てください。

※「10月14日の 有限会社ジョブ 田村幸樹」の横をクリックしてね!!!


    ↓ ↓ ↓ 動いてる!しゃべってる!!!

  http://www.fls.co.jp/radio/





見てくれました?

結構広い工房でしょ!

少しずつ、少しずつ移転を繰り返し、現在こんな立派な工房に移ることが出来ました。

でも、ずっとずっと前、

少しずつ大きくなっていった工房が一度だけ小さくなった事があります。

それは、震災直後のことでした。

でも、とっても思い出がいっぱいの自慢の工房です。


今回より、連載で震災から次の工房に移るまでの5年間、

その小さな工房で過ごした私達夫婦のお話をしたいと思います。


それでは、Vol:74「つばめ <第一章:時代>」
 
楽しんでください!
 
 
 
 
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1.Vol:74 「つばめ <第一章:時代>」 


つばめは、次の目的地に旅立つ時、

今まで暮らしていた自分達の巣の周りを、何週か飛び回ってから去っていきます。


私と家内は工房の前で、ぐるぐると飛び回るつばめ達を並んで見ていました。

「もう、来年はあなた達の家はここには無いんよ。

 来年は、新しい家を見つけるんよ。」

家内が飛び回るつばめ達に向かってそう語りかけると、

その中の一匹のつばめが返事をする代わりに、

私達の目前をくるりと一週低空飛行をし、

そのまま真っ青な空に向かって飛び立って行きました。


「『ありがとう』って言ってるね・・・」

私達夫婦はつばめを見送りながら、

自分達の未来をその姿に重ねていました。

2000年・・・あの大震災から5年の月日が流れた夏でした。 



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1995年1月17日。

あの震災後、私達夫婦はたった一週間で仕事を再開しました。

周りが全て焼き落ちた街で、

マンションの一角の只一軒延焼を免れた私のたちの工房。

そこで、私達夫婦は、二人だけでミシンを踏み始めました。


信じられない事ですが、工房から北へ200メートル程上がった地域では、

震災などなかったかのように、電気が届いていて明々と各家に灯りが燈っていました。

私は、近所の電気屋さんがその地域から自力で電気を引く事を聞き、

費用を出して私の工房にも電気を引っ張ってもらいました。


それから朝から夜遅くまで無我夢中で働きました。

未だに、その頃自分たちがどんな仕事をしていたのか思い出せないぐらいです。


やがて、日が経つに連れ、街は活気を取り戻して行きました。

電気が通り、ガスが流れ、

蛇口を捻ると元のように水が溢れ出すようになりました。

街のあちこちで、トンカン、トンカンと工事の音が響き渡り、

砂煙が街を覆い尽くすようになっていきました。


そして、街が復旧すると同時に、新たな問題が私達の前に立ちはだかりました。



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工房の入っていたマンションは四階出ての鉄筋コンクリート作りでした。

幸いにして、地震による倒壊は免れましたが、

先ほど述べたように、東南角にあった私の工房以外、

その隣にあった私が倉庫として貸してもらっていた店舗も含め、

全てに火が入ってしまいました。


当然、マンションは復興する為に改修工事を施さなければなりません。

大家さんは全ての契約者と一旦契約を解除し、

マンションを新しくした上で、新しい契約を結ぶことを余儀なくされました。

改修工事は一年以上はかかります。


震災後もそのまま入居をしていたのは私達だけでした。

叉、大家さんは私の知人のお母様で、

私達夫婦が結婚した時から、何かにつけ私達を気にかけてくれていた方でした。

けれども、当然のことながら、

再契約については、私達もその例外ではありませんでした。


私達は、裁断機等の大きな機械はマンションに残させてもらい、

知り合いの空き店舗にミシンを運び込み、しばらくそこの片隅で仕事をさせてもらいました。

「地下鉄サリン事件」のあった3月のことです。


6月になるとその空き店舗も契約者が決まりました。

私達は、必死で働きながらも行き場を失ってしまいました。


そんな時、

大家さんが一つの提案をするために、

かっての工房のあったマンションに私達を呼び出してくれました。



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「あなた達、自分達でここを綺麗にしてみる?」


私達の工房があったマンションは、

改修工事のための防塵テントを張る足場が組み立てられようとしていました。

そのマンションの、以前私が倉庫にしていた焼け焦げた店舗の前で、

大家さんは、穏やかな口調で私達夫婦にそう言いました。


「あなた達が自分達で直すなら、今すぐにでも戻って来ていいわよ!

 ほら、壁を塗りなおして・・・なんなら壁一面に絵を画いてもいいわ!」

真っ黒に焼け焦げた壁を見つめ、

歳に似合わぬ綺麗な大きな目を見開き、笑いながら大家さんはそう続けました。


「本当に、いいんですか?」

大家さんの傍らで、一緒に壁を見つめていた私がそう聞き返すと、

「本当よ!好きにしなさい!」

大家さんはそう言って、その笑顔を私に向けてくれました。


次の日から、二人の子供達も加わって、私達による、私達だけの改修工事が始まりました。



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「一週間で終わらせよう!」

私の掛け声に、

モップやほうきを持った子供達、そして私の家内が「おう!」と声を合わせました。


荷物を全て運び出した空っぽの部屋は、とっても狭く思われました。

およそ幅5m奥行き3mの長方形のその部屋は、

天井は煤で真っ黒、

床はフローリングが焼け爛れ、それがあちこちでめくれ上がり、

壁は、消火時の大量の水で煤が流されたシミがべったりと全面にこびリついていました。

傍から見ると絶望的なその部屋の中で、

私達家族はえも知れぬ昂揚感に包まれていました。


「もう一度ここに戻ってこれる・・・
 
 ここで、仕事が再開できる・・・」

そんな、希望の灯が私達家族に異常なほどのエネルギーを与えてくれました。


「壁の絵は俺が画くからね!」

「お父さんは駄目!気持ち悪い絵しか画けへんもん!」

「賛成!お父さんは画いたらあかん!壁塗り係り!」

「えー、俺はしんどいとこだけかい!」

皆モップをせっせと動かしながらも、部屋は明るい笑いで包まれました。



--------



倉庫として使用していたと言っても、

入り口は白とグレーの観音開きのおしゃれな木のドアをつけていました。

その両サイドに格子の窓。

幸いにもガラスの一部が割れただけで、

店舗前面はガラスを入れ替えるだけで、そのまま使用することが出来ました。


叉、入り口にはかってテントが張られた枠組みが残っていました。

私は生地屋さんで、鞄用の赤、イエロー、グリーンの厚手のビニールを買い、

それを縫い繋いで、一枚の大きなテントにしました。


私がその手作りのテントを枠組みに結び付けていると、

一人の初老のおじさんが私に話し掛けてきました。



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「これ、あんた一人でやったんかい?」

「はい。」

私がロープを結びつけながらそう返事をするとおじさんは、

「ふむ。」

と頷きながら、テントの内側を繁々と見回し始め、

そして、

「ここと、ここ。そんで、こことここ。これを最初に結ぶんや!」

私が怪訝な表情でおじさんを見やると、

「わしは、テント屋や!」

おじさんはそう言ってにこりと笑いました。

そして、しまいには

「貸してみ・・・」

そう言って、私からロープを取り上げ、次々と結んでいってくれました。


「これが、わしの最後の仕事になったな・・・」

おじさんはできあがったテントを見つめ、そう呟きました。

私がお礼を言うと、

「兄ちゃん。頑張りや!」

そう言って名前も言わず去って行きました。


その後、街でおじさんに会うことはありませんでした。



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作業は予定通り、順調に進みました。

持ち込んだラジオからは中島みゆきの「時代」が何度も流れていました。


蛍光灯は、以前工房として使用していた隣の部屋の物を持ってきました。

床は、知人にもらった50cm角のグレーの絨毯をひき詰めました。


綺麗に洗い流した壁は、アイボリーのペンキを塗り、

正面から右手に見える裏口のドアはグリーン、

左手に見える同じ形のトイレのドアはオレンジと塗り分けました。


そして、家内が正面の壁に、

右手に南国の花。

左手にパインツリーを壁いっぱいに画き上げました。

トイレの壁には、娘がこれまた巨大なライオンの顔を壁一面に画き上げました。


残念ながら、天井は手をつけることが出来ず、煤で真っ黒のままでした。

私は、そこに星を一つ画きました。

「うん、あれ一つだけなら許してあげる!」

私に絵を画かせることを拒否した家内と娘が笑いながら星を見上げてそう言いました。


ここに、後に訪れた取引先の誰もが、

「まるでラスタマンの住むような凄いおしゃれな工房!」

と感嘆した、私達の、私達による、手作りの工房が完成しました。



--------



完成した工房に、ミシンや機材を運び入れていると、

噂を聞いた大家さんが駆けつけてくれました。

「まぁ、本当に絵を画いたの?」

大家さんは、目をぱちくりさせて工房を見回して笑いました。


そして・・・

「ジョブさん!何があってもここで続けるのよ!

 ここで、頑張ったら必ずご褒美がもらえるから・・・」


真剣な眼差しで、私達にそう言ってくれました。

私は「はい!」と返事をしたものの、

この時はまだ、大家さんの言葉の本当の意味を知りませんでした。


次回に続く・・・




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2. ∽∽〜かおりん、たむたむの裁断したろかあーー〜∽∽

|このコーナーでは、わが愛妻かおりんが、世の風俗世相を
|油圧裁断機のごとくたった一言で、がつんと切り落とします!! 
     
    ■ 今回のかおりんは・・・携帯電話を持たない
     アナログ夫婦のたむたむとかおりん。
     ところが、息子が「携帯を持つように・・・」と買ってきて、
     しぶしぶ、携帯を持つことになったかおりん。

    娘に電話番号を登録してもらおうとして・・・



    かおりん:「あ、携帯をもつことになったから、
          電話番号を登録してくれる?携帯からすぐにかけるから!」

    娘   :「ええよ〜!」


    ・・・と切ったものの、電話をかけるのに、とても手間取ったかおりん。
      やっと、電話をかけると娘に・・・


    娘   :「すぐかけるんちゃうかった?」
   
    かおりん:「うっ、うん・・・。画面が・・・出てけえへんかってん・・・」

    娘   :「電話ぐらいちゃんとかけて〜!」

    



    電話をかけるのに十分もかかったらしい・・・   byたむたむ
     


  
  
   
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            perfume289@hotmail.com

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            http://blog.goo.ne.jp/perfume289/2.     


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3.あとがき


私が震災で学んだ事はいっぱいあります。

その中の一つが、

「困難な事に出会ったときは、一つの転換期に出くわしたんだ。」

そう考える事ができるようになった事です。


あの時、何故あんなに凄いエネルギーで工房を作り上げる事ができたのか?


煤はこびりついて、なかなかとれませんでした。

壁一面ペンキを塗るのは大変でした。

蛍光灯を自分で取り付けるのも難しかったです。

そして、テントなんか、本当なら素人ができるわけもないのに、

助けてくれる人がいて、綺麗に張ることができました。

しんどかったけど、メチャクチャ楽しかったです。

そして、それが次の活力になり、現在の私がいます。


中島みゆきの「時代」・・・

大好きな歌です!


「時代」            

今はこんなに 悲しくて
涙も 枯れ果てて
もう 二度と 笑顔には
なれそうも ないけど


そんな時代も あったねと
いつか話せる 日が来るわ
あんな時代も あったねと
きっと笑って 話せるわ
だから今日は くよくよしないで
今日の風に 吹かれましょう

まわるまわるよ 時代は回る
喜び悲しみ くり返し
今日は別れた 恋人たちも
生まれ変わって めぐり逢うよ




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発行人:田村幸樹
 
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最後までお読みいただいて本当に有難うございます
 
 
 
Vol.75 頑張って書きます! まっててね!
 
 
 
 
 
乞うご期待!
 
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