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2009/11/10

●見聞録230(2-完) 歴史や文化に関するものから新渡戸稲造の『武士道』まで日本にひかれたエジソン

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      隔日刊   『 心が元気になる オンリーワン見聞録 』 

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●2009年11月10日(火)

●見聞録230 エジソン発想法:非常識なアイデアが 大成功を生む

●今日の視点

「参戦を続けるか否か社内でかなり議論した。 コスト削減などあらゆる手を尽く
して頑張ってきたし、ファンからも唯一の日本の自動車メーカーチームとして応援
をいただいた。 しかし、今の経済状況を考えると撤退という苦渋の決断をせざる
をえなかった」(11月5日 産経新聞)

これは、「エンジン含むF1からの完全撤退」を表明したトヨタの豊田社長のコメ
ントである。 あのトヨタが、なかでもF1の推進役を務めた豊田社長の苦渋の決
断である。 この真意はどこにあるのだろうか。 コスト削減という短絡的な見方
ではないだろう。 

恐縮ながら前編の繰り返しになるが、鳩山首相が掲げる「日本は温室効果ガスを、
2020年までに90年比25%減」という宣言は、太陽光発電や風力などの自然
エネルギー産業を活気づく。 陰に隠れていた原発産業、CO2に無縁の原子力発
電が、放射能の及ぼす危険を是非を問う事なく半ば公然と認知されだした。 

そして自動車業界も俄に慌ただしい。 最大手のトヨタは、プラグインハイブリッ
ドプリウス を年末に投入するとしているし、日産もゴーン氏自ら宣伝役となって陣
頭指揮をとる電気自動車「リーフ」の発売と、自動車産業の対応も素早い。

ここにきて、リチウムイオン電池が脚光を浴びてきたが、自動車業界は電池をエネ
ルギー源とする「電気自動車」にシフトするこの流れが実に悩ましいに違いない。
 一つは、複雑な燃料エンジンが不要となれば、極論すれば、町工場でも作れる時
代になるという事になる。 その局面が現実化すれば、大国中国が自動車産業を席
巻する事は必定である。

当面は他社からリチウムイオン電池を求めるにしても、あのトヨタが主力の技術
を、他の産業に依存する「ビジネスモデル」など有る筈がない。 トヨタの経営資
源の矛先は「燃料電池の開発と実用化」に有るのではないか、というのが本稿の見
立てである。

( 参考サイト 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%87%83%E6%96%99%E9%9B%BB%E6%B1%A0 )

ここで浮上するのが、電力インフラ問題である。 トヨタや日産の様に多くの自動
車が夜間に充電する時代は、自動車が夜間電力の有効活用の一つとして各家庭の蓄
電装置の役割をも担う事になるのである。

電力の供給先である川下では、太陽光発電や風力発電を促進する施策が実行される
と売電比率が供給電力の10%を超える事態を迎えるのはそう遠くでは無い。 買
い取り政策次第では、日常的に電力が川下から川上へ逆流する時代を現存の配電シ
ステムではもたなくなる。 又、余剰電力を蓄電するシステムも必要となる。 

一方ゾーンで考えれば、1日24時間、落差の激しい電力需要を、最適に制御する
機能、更に狭いエリアから広域エリアまでそれぞれに電力を制御・管理する機能を
備えた全く新たな配電システム「スマートグリッド時代」を迎えるのである。 

正に上から目線の自民政権から、国民目線の民主政権が標榜する「新しい政治シス
テム」に変貌した様に、電気の流れも一方向から双方向、且つ最適の電力供給を可
能ならしめる「新たな配電システム」時代を迎える事になる。  低炭素社会は、
産業構造も生活基盤をもチェンジしなければならない。

さて、時の流れを逆流すれば、電球を発明し、送電から発電まで電気の事業化に道
を切り開いたのは、言う迄もなくエジソン。 エジソンと言えば、どうしても触れ
なければならないのは、「天才とは、1%のひらめきと~」という名言の事。

「自然界のメッセージを受け取る受信機」と例えるほどひらめきを重視していたの
が、エジソン自身である。 又、「エジソンほど無駄な努力を嫌がった人はいな
い」と、浜田和幸氏も記述している。 とすれば「99%の努力が重要である」と
いう「努力」に力点を置く解釈では、エジソンの真意に、沿っていない事になる。

実際は『1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄である」というエジソン
の発言だった。 言い換えれば『1%のひらめきさえあれば、99%の努力も苦に
はならない』という事である。 

1879年、電球の発明をしているが、竹のフィラメンで成功したという逸話があ
る。 20人の科学者を世界各地に派遣し6000種以上の植物繊維を取り寄せ試
みてもうまくゆかなかった。 ところが手元にあった日本の扇子が目にとまり、0.
3ミリの竹ひご状にして炭化させて実験して見事に成功。 「フィラメントには竹
が一番」とわかったエジソンは、助手のモーアを日本に派遣し、「やわたの竹」に
たどりついた。

その後タングステンのフィラメントが出回るまでの約12年間、八幡や嵯峨野を中
心にした真竹が大量にアメリカに輸出され、年間2~3千万個の電球が、世界の家
庭で夢の光として輝いたという。

1万回失敗しても挫折せずに努力し続けえられたのは、このヒラメキこそがエジソ
ンを支えたものであったと思われている。 つまりエジソンには、ひらめきによる
成功への確信があったのであろう。

今風に言えば、段階的にアイデアを絞り込み続ける論理思考(So what? Why so
?)と、ひらめきは、相互に補完しあう関係という「ビジネス論理思考」につなが
るのである。

というところで、後編となるの回は浜田和幸:著 『怪人エジソン』から「歴史や
文化に関するものから新渡戸稲造まで日本にひかれたエジソン」を、取り上げて締
めとしたい。

●今日の引用資料

浜田和幸:著 「快人エジソン」
 http://item.rakuten.co.jp/book/1199979/

●見聞録230(2-完) 歴史や文化に関するものから新渡戸稲造の『武士道』
まで日本にひかれたエジソン

エジソンのもとには、渋沢栄一はじめ、かなりの日本人が訪れている。 彼らとの
出会いが積み重なり、エジソンの日本への関心はより深まった事が想像される。 
マイナ夫人も夫の日本好みを知るにつけ、徐々に日本贔屓になっていった様であ
る。 

特に、渋沢栄一から奈良時代の灯ろうを模した電気スタンドや、金子子爵から平安
神宮の石灯ろうのレプリカを贈られてからは、日本の花瓶や真珠を熱心に集めるよ
うになった。 敷地内には日本の竹や楓を植え、そのそばで日本製の竹の日傘をさ
して夫とくつろぐのが晩年の習慣となっていた。

エジソン夫妻の日本へ寄せる熱い思いが伝わってくる。 エジソンが日本の和紙を
使って、おしゃべり人形の改良に取り組むようになると、マイナ夫人はエジソンの
事を「仕事熱心な日本の手品師」とまで呼ぶようになった。

又、夫妻の元を訪れた日本人はみな大歓迎を受け感動し、新しい科学文明の最先端
に触れて大いに発奮したのである。 振り返ってみると、エジソンの発明によって
アメリカや世界の今世紀の産業基盤はできたといっても過言ではない。 そして現
在、われわれはその恩恵なくしては一刻たりとも生活できない時代を暮らしてい
る。

エジソンの残した膨大な蔵書、なかでも彼が晩年、ベッドの脇に置いていた愛読書
の中には、日本に関するものがたくさんあった。 日本の歴史や文化に関するもの
から新渡戸稲造の『武士道』まで、何冊かが常に枕元にあった。 英文の『武士
道』では禅や陽明学に触れながら、日本人の精神的拠り所としての「義」や「勇」
についての解説が丁寧になされている。 その上、『旧約聖書』や当時欧米で広く
読まれていたシェークスピアやマルクスの著作などとの対比を通じて、日本の心を
伝えようとの工夫が凝らされている。 この書を通じてエジソンも日本に関する好
奇心を大いにかきたてられたに違いない。

エジソンが晩年、追い求めた精神世界とのコミュニケーションには、実は『武士
道』の様な日本的価値観の道しるべが必要だったのである。 人類の未来を常に見
通す努力をしていたエジソンに、影響を与えていた東洋的思想をわれわれはもう一
度見つめ直す必要があろう。便利さや快適さと交換に置き去りにしてしまった、
「正義」や「勇気」、「誠」や「礼」、「名誉」や「忠義」といった品性を取り戻
すべきではなかろうか。

エジソンが機械文明の発達の先にイメージしていた「あちらの美しい国」とは、新
渡戸稲造や渋沢栄一が描いた精神性の高い世界のことでなかったかと思われる。

そこでエジソンの最後のメッセージに、いまいちど静かに耳を傾けてほしい。

「我々はこの世に存在するものの真のパワーを全くといっていいほど理解していな
い。 我々が知っているつもりのことでも、本当は1%の1000万分の1もわ
かっていないのである。 これからの機械文明を生きるには、心を進化させる事が
必要である。 人間はあらゆる存在からパワーを感じる事ができる様にならねばな
らない。 そうすれば、宇宙のエネルギーは不変であり、人間の魂はもちろん、全
ての存在は結びついている事がわかるようになるだろう。

例えば、わたしの発明はすべて宇宙という「マスター・マインド」からのメッセー
ジを受け止め、練り上げただけなのだ」

金子子爵も渋沢子爵も、「真珠王」御木本も、野口英世も星一も、岡部芳郎も、エ
ジソンのいう「努力と思考」を成功へのキーワードとしていた様である。 更に言
えば、日本人としての品性を大切にしつつ、エジソンと心を共鳴させながら、世界
を相手に挑戦的な人生の足跡を残したといえる。

●内容情報】(「BOOK」データベースより)
ベンチャー起業家の草分けにして、「大」のつく親日家…。 これまでほとんど語
られなかった天才発明家の実像を、精力的な調査で描き出したユニークな人物伝。
 「天才とは、1%のひらめきと99%の努力のたまもの」の真意とは? 単行本
に大幅加筆。

●目次(「BOOK」データベースより)
第1章 男の友情とユーモア/第2章 マーケティングの天才/第3章 霊という
名の電子集団/第4章 軍官僚と対決した愛国者/第5章 創造的教育の原点は記
憶力/第6章 時を超えて生きる未来学者/第7章 二人の妻と六人の子供たち/
第8章 武士道に魅せられた親日家

●浜田和幸(はまだ・かずゆき)
1953年鳥取県生まれ。 東京外国語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシント
ン大学大学院にて政治学博士号を修得。 戦略国際問題研究所主任研究員等を経て
帰国。 現在、国際未来科学研究所代表。 日本バイオベンチャー推進協会理事、
国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、特許庁工業所有権副読本選定普及委員な
どを歴任 著書に『エジソン発想法』『ヘッジフアンド』『「国力」会議』『ウ
オーターマネー「水資源大国」日本の逆襲』『石油の支配者』『大恐慌』ほか多
数。

●最後までご覧頂き有難うございました
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     発行  肝 付 博 昭 (有限会社 新規事業開発 代表)

●プロフィールはこちらから  http://www.sbrain.co.jp/theme/T-20528.htm
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