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「陰陽師の力を持つ高校教師」及びその生徒たちの青春を描く「オカルト風味の青春小説」です。

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2006/05/25

陰陽師教師・橘麗華 千鶴の一番長い1日

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「あれ?先生たちも?」
 「噂をすれば影が差す」という諺はよく言ったもので、そこへ朝倉ジュン、風間純代が姿を見せた。鳳舞ともう1人、谷口みづきも一緒である。
「あのね……」
 千鶴は四人を誘導してなにやら小声で話す。どうやら今までの経緯を話しているらしい。
「ところで衣装やけど……」
 麗華は聞いた。「……ほんま、どないしはります?」
「まさか神社ではウェディングドレスは駄目だよね」
 香澄は言った。「……お色直しのときに披露する程度ならいいんだけどね」
「あほなこというたらあかんわ」
 楓が関西弁で突っ込む。「……神社では角隠しやて」
「それについて僕もいろいろ考えてみたんだけど……」
 杉本は言った。「……ここは国語教師らしく平安衣装はどうかと思うんだけどね」
「平安衣装?」
 楓と梓は唖然とする。香澄も目を丸くした。
「つまり僕が束帯、彼女が十二単なんだけど……」
 杉本は言った。「……もっとも僕のほうが神主に間違えられる可能性はあるけどね」
「神主に間違えられる可能性がある……って……なるほど」
 麗華が頷く。神主に間違えられる可能性があるというのは神社の神主の正装は束帯もしくは狩衣だからである。
他に略装として直垂や羽織を着ている場合もある。葬式の火葬場や御霊祭などのときの墓などではそうなのだ。
 本当の神主は千鶴なのだが、女性の神主というのは割と珍しい存在なのである。
もっとも萱島神社の宮司であるところの千鶴の伯父に言わせると「伊勢神宮や賀茂神社の斎宮の例を持ち出すまでもなく
昔は神主は女性の仕事だったのだからいわば仕事を返すようなもの」なのだそうだが。
「なるほど」
 ジュンがちらっと麗華たちのほうを向く。「……それで姉貴が式神を使って私たちを呼び出したわけね」
「マリアが……式神を使ったって?」
 サーラスヴァティやハーリティは一緒にいるし……?と、千鶴は変な顔になる。
「来たのはこれだったけどね」
 ジュンは折鶴を見せた。「……だってこの羽根に『茅島神社に来るように』って書いてあるからね」
 マリアがぺロッと舌を出す。
 ところで式神といっても二種類ある。
麗華のシュリーやマリアのサーラスヴァティのように「恒久的な式神」と、今ジュンが持ってきた折鶴のような「一時的な式神」である。
厳密にいうと「折鶴に力を吹き込んだもの」であり、用事が済むと力が自動的に抜けるようになっているのだ。
 麗華の母方の先祖に当たる安倍清明にいたっては木の葉をちぎって式神にしてカエルを撃ち殺した話が
「宇治拾遺物語」に載っているくらいである。
 同じ占術クラブでも美樹は確かに占い(東洋占術)は着実にマスターしているが、式神などの術は使えない。
これは麗華のえこひいきによるものでもなんでもなく、陰陽師の術を使うためには「左利き」でなおかつ
「五臓六腑が左右逆になっている」という条件に合致してないと駄目らしいのだ。
たまたま麗華はこの条件に合致していたために先祖の安倍清明に術を授けられたのだが、実はマリアも
同じ条件に合致していたのである。
「実際、一卵性双生児の片割れって左利きの人が多いよね」
 仮にも理科教師である以上は梓もこれくらいは知っている。「……内蔵が逆転しているという可能性が高いのは一卵性の特徴」
「やっぱり一つの卵子が受精後に分裂したからかな」
 ましてや保健体育教師の楓が知っているのはむしろ当たり前とすら言える。「……二つに分裂して受精した
二卵性だと両方とも普通の子になる可能性が高いんだけどね」

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