2009/01/25
会計士監査こぼれ話「インドIT会社の粉飾決算」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−2009/1/25 NO.119 −− 「インドIT会社の粉飾決算」 発行部数1,222部 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− みなさん、こんにちは。 景気の悪さが身に沁みてきましたが、年明け早々から3月決算の第三四半期 が始まり忙しい日が続いています。内部統制監査も評価時点は期末ですので、 1月からがヤマ場です。例年であれば監査法人は比較的余裕があった時期 なんですけどね。 ところで、先日、現預金を架空計上していたということで、インドの大手 IT会社の粉飾決算報道がされました。会社はSEC上場企業でUSベース の内部統制監査を実施しており、監査法人も大手で、企業の経営管理体制も それ相応だったはずですが、現預金の水増しという古典的で単純な手口で、 なぜ数年間も発覚しなかったの??と素朴な疑問を抱きました。粉飾決算の 大まかな内容は以下の通りです。(日本経済新聞及び経営財務の1月19日 号等による) ・現預金の96%に当たる940億円が水増し計上 ・未収利息の71億円は架空 ・営業利益率は3%を24%にかさ上げ。 ・粉飾決算は7年間にわたって行われてきた。 ・創業者以外の取締役は知らなかった。 (会社の管理体制は?) 会社の管理上、財務担当者は当然に銀行預金残高と帳簿残高を照合する必要 がありますので、こういうケースでは当然財務担当者が共謀していたのでしょう。 しかし報道では他の取締役は知らなかったとなっていますので、財務担当取締役 はおらず、創業者がCFO的な役割を兼ねており、預金残高と帳簿を自己の 管理下においていたのではないでしょうか。いわゆるマネジメントオーバー ライド(経営者が何でも出来てしまう)状態だったと推測します。 (監査法人の監査は?) 監査法人による監査では預金監査の手続として、銀行に対して確認状を送り、 銀行から直接確認状を回収して預金残高を確認します。これはインドにおいても 変わらないと思いますが、このケースであれば監査法人への確認状はどこかで 偽造されていたと思われます。それにしても、これだけの預金が水増しされて いたら、まず受取利息の動きにおかしいところが出てきます。架空の預金残高 に見合う受取利息がないからです。それを誤魔化すため、会社は上述した架空 の71億の未収利息を計上したのでしょう。未収利息での71億はかなり巨額 で長期間に渡って計上し続けていたと思われます。しかし対銀行の未収利息で あれば通常はそれほど巨額・長期間にはならないので、監査人も何かしらの 不審点を感じていないとおかしいのではと思います。 会社はSEC上場企業でUSベースの内部統制監査も適用対象だったよう なので、財務の銀行残高と帳簿残高の照合・承認プロセス等は当然範囲に 入っていたと思います。しかし、経営者が何でもできるマネジメント オーバーライドの状態だったとすると、内部統制が機能しない状態であり、 書類を偽造等して誤魔化していたのではないでしょうか。 (今後の解明を待つ) USベースの内部統制監査を大手監査法人が実施している状況でこんな 古典的で単純な手口の粉飾決算が出来てしまうのは少々ショッキングな 出来事でした。詳細な手口やどのように監査を逃れていたかは今後明らかに なって行くと思いますので、注目していきたいと思います。 【発行責任者】 ************************ ペンネーム 会 啓示(かい けいじ) 連絡先 kaikeiji2000@yahoo.co.jp 質問やご不明な点あればいつでも連絡下さい。 まぐまぐ紹介ページ http://www.mag2.com/m/0000128296.html ************************


