2009/08/30
荘司雅彦のメルマガ
こんばんわ。 荘司雅彦です。 今年の夏は、ホントーに湿度が高かったですねえ。 おかげで、すっかり湿度バテになってしまいました。 ■ 今回は、ゲーム理論について少々。 「男と女の法律戦略」(講談社現代新書)や、 「人を動かす交渉術」(平凡社新書)でも ゲーム理論は触れましたが、 今書いている本でも、触れるか触れないか迷っています。 そこで、次の利得表をご覧下さい。 企業B 〔戦略B1〕 〔戦略B2〕 〔戦略A1〕 (2,2) (-1,3) 企業A 〔戦略A2〕 (3,-1) (0,0) 企業Aと企業Bのそれぞれの利得は、 Aの利得が右側で、Bの利得が左側とします。 例えば、企業Aが戦略2をとり、企業Bが戦略1をとった場合、 利得は、利得表の左下となって、Aの利得が3,Bの利得が-1となりますね。 ■ このゲームが1回だけのゲームだとしたら、ナッシュ均衡はどこでしょう? ナッシュ均衡とは、相手の戦略に対して最適な戦略をとっている状態で、 戦略を変更する気になれない状態に双方にあると考えて下さい。 1 企業Aが戦略1をとると、企業Bは2より利得の高い3をとります。 つまり、企業2は戦略2をとることになります。 2 企業Bが戦略2をとれば、企業Aは-1より大きい0。 つまり、戦略2をとりますよね。 3 企業Aが戦略2をとれば、企業Bは戦略1へは動きません。 だって、動けば、0より利得の低い-1になってしまいますから。 ということで、ナッシュ均衡は右下の(0,0)となります。 ■ では、このゲームが無限回ゲームだとしたらどうでしょう。 真向かいにあるガソリンスタンドの値下げ競争と同じです。 最初は(0,0)になるかもしれませんが、 いずれ、両方ともばかばかしくなって(2,2)で落ち着くかもしれません。 隙を見て自分の店だけ値下げをすれば、 お客さんを全部取れるとして自社の利得は3となり、 お客さんを全部取られた他社の利得は-1になります。 ■ 対抗手段 このようなゲームでは、 「相手が裏切ったら次回にじ分も裏切り、 相手が次に相手が協力的になったら協力的に戻す」 という「しっぺ返し戦略」が最強だそうです。 ところが、 実際の企業の競争では、トリガー戦略が使われることが多いのです。 相手が値下げすれば、相手が根を上げるまで値下げで対抗する。 鉄鋼メーカーのH鋼をめぐる争いや、 航空会社の羽田札幌間のチケット値下げのように。 なぜ「しっぺ返し戦略」を使わず、「トリガー戦略」を使うか? というのは、実際の寡占企業の競争の場での「秩序維持」 という目的もあるのです。 「新入りが調子に乗って値下げすると、潰してやるぞー」 という、一種のシグナリングなのでしょうか? ■ 最近、トリガー戦略が通用しない分野が増えてきた。 最近、このトリガー戦略が通用しない分野が増えてきたように 私には思えてなりません。 具体的には、 現在の利得を1年後に受け取るとした場合の割引ファクターを αとしますと(αは割引ファクターなので、0<α<1)、 協調した場合の将来利得の合計πは以下のようになります。 π=2+2×α+2×αの2乗+2×αの3乗+・・・ 1 この式の両辺にαをかけますと、 π×α=2×α+2×αの2乗+2×αの3乗+・・・ 2 1式から2式を引くと (1-α)π=2 となり、 π=2/(1-α) となります。 もし、最初の裏切りで得た利得3がπより大きければ、 無限回ゲームでも裏切りの方が合理的ですよね。 つまり、 3>2/(1-α)の場合です。 で、計算しますと、 α>1/3であれば、無限回ゲームでも裏切った方が 両企業共に特です。 割引ファクターが1/3より大きくなる、 つまり、1年後の利得が1/3未満となれば、 現在の最大利得を追求した方が合理的なわけです。 技術革新が大きくて、1年後の同じ事業の価値が 3分の1どころか、4分の1、5分の1になることが当たり前の今日、 仲良くやるより取れるときに取ってしまえ! という方が数学的にも合理的なのです。 世の中がせわしなくなっている訳ですね・・・。 □□□□□□□□□□□□□□□□ 弁護士 荘司雅彦(しょうじまさひこ) WEB http://www.masahiko-shoji.com/ BLOG ぐうたら法律事務所 http://plaza.rakuten.co.jp/justice7711/ 中学受験 http://blog.livedoor.jp/justice7711/ イザ! http://justice7711.iza.ne.jp/blog/ mixi http://mixi.jp/home.pl


