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2009/08/22

今の美術業界を考える(その285)

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        今の美術業界を考える(その285)

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 のぶカンタービレ                        2009年8月22日
                                    辻井 いつ子 著                      
 
 友人からのすすめで、盲目のピアニストのお母様である辻井いつ子さんの
 書かれた本を2冊 (今日の風 なに色?)を 読ませていただきました。
 また、あわせてCDとDVDを購入し、辻井伸行さんの演奏を堪能しました。
 明らかに、障害者という枠を超えていて、一人の芸術家として生きていくの
 だろうということを彼の演奏から確信しました。
 
 音楽と美術、そして芸術家の育成という意味で多くのことを学ばせてもらい
 ました。まず、母親としての絶望から辻井さんの子育てが始まったという
 ことで、子供を持つ親としても教わることの多い本でした。辻井いつ子さん
 ご本人は正式な音楽教育を受けたことのない方でしたので、伸行さんを
 育てるにあたって、多くの演奏をきくだけでなく、楽譜を読む勉強から、
 目の見えない息子に代わって、ありとあらゆる音楽に関する勉強をされて
 います。もちろん、子供の成長に合わせて、先生を変えていくことも忘れずに
 常に、一流の指導者との出会いを大切にされていることにも感動しました。

 私たち、画商も絵描きさんという芸術家を育てる仕事をしておりますが、
 美術の場合、作品と作家本人が物理的に離れてお付き合いすることが
 可能なため、どうしても作品本位のおつきあいになってしまうことが多々
 あります。そもそも、物故作家といって亡くなられた作家の場合は、ご本人
 ではなく、遺族の方とお付き合いをすることがありますが、画商さんに
 よっては一切 絵描きさんとのお付き合いをしない画商さんもいらっしゃい
 ます。それは、絵描きさんという人たちとのお付き合いから喜びを見出せ
 ないからだと思います。確かに、絵描きさんによってはお付き合いしづらい
 方もいらっしゃいますし、社会性のなさから傷つけられることもままあります。
 それと同時に、感動するほど美しい心を持った作家さんがいるのも事実です。
 
 親に勝る教育者はいないのかもしれません。辻井いつこさんの
 本を読んで、思いました。また、音楽界を取り巻く大きな挑戦に対して、
 きっとこの親子は乗り越えていくのだろうと思わせるものがありました。
 それと同時に、美術界を取り巻く大きな閉塞感に対して、一石を投じたいと思う
 私の夢にも火をつけてくれました。ある意味、私と一緒に仕事をしている社長で
 ある夫が在るときは強力な味方でありながら、在るときは強烈な反対勢力として
 立ちはだかるのです。しかし、社内で反対してくれるからこそ、外部の画廊の方々
 とのお付き合いにおいて注意すべきことが明確になり、社長を説得することが
 できれば、外部の画廊の方々も協力してくれる可能性が飛躍的に高くなることを 
 毎日実感しています。
 
 

                               文責    野呂 洋子




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