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2009/06/27

今の美術業界を考える(その277)

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        今の美術業界を考える(その277)

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 炎の人                   2009年6月27日
 〜画家・ゴッホの生涯〜

先日、ゴッホの生涯をお芝居にした「炎の人」を観劇してきました。久し
ぶりの観劇でしたので、お芝居としても楽しんできました。
このお芝居は、「ゴッホの手紙」にかなり忠実に脚本を描かれているな、、
というのが正直な感想です。もともと、ゴッホの弟であるテオとのやりとり
が、ゴッホという人物を知るためには非常に重要な要素になるのですが
私の頭の中でイメージしたゴッホ像と、今回のお芝居で拝見させてもらった
ゴッホは、かなり近いイメージでした。

もともと、内容が暗い内容なので、このお芝居を見た後は’どよーん‘と
した気分になってしまいましたが、色々と勉強させられました。どうやら
このお芝居は1951年に劇団‘民藝’の三好十郎という方のリバイバル
のようです。お芝居の素晴らしい所は、今の人が理解しやすいように状況
説明が入り、目と耳から情報が入ってくるので、ゴッホに対して感情移入が
しやすいところです。貧しいけれど、才能があり偏屈で、生きている間には
全く評価されなかった画家というイメージがあり、そのせいでしょうか、
日本のみならず、海外でも絵描きは貧しく、亡くなってから価値が上がるもの
だと思っていらっしゃる方がたくさんおります。

私自身、画商になり、15年もこの業界で働くまでは、その程度の認識でした。
しかし、今の私は、ゴッホはそれでもまだ絵描きとしてかなり恵まれている
 方だと思います。才能があっても評価されない方を、何人も見てきましたし、
 これからもみ続けると思います。また、絵描きは偏屈で変わっているという
 評価もどうかと思います。芸術家でも常識のある方はたくさんいらっしゃいます
 し、そのほうが生きている間に成功する確率も高くなると思います。
 芸術性の高さに対する評価は、ゴッホも印象派の仲間との交流があり、既に
 成功されている印象派の作家たちから一定の評価を受けていたことが、作品が
 後世に残り、後に高い評価を築くことになる礎なのだと思います。
 ですから、ゴッホの真似をして、自分は生きているうちは無理かもしれない
 けれど、死んでからだって可能性があるという考え方は甘いと思っています。
 ゴッホの時代だけでなく、芸術家として生きていくことは厳しいものです。
 お金の問題も、もちろんですが、精神的にも厳しい仕事です。また、日本でも
 芸大の油彩画をでれば絵描きになれるかといえば大間違いです。芸術の世界で
 学歴は通用いたしません。

 厳しいことを言うようですが、中途半端な気持ちで絵描きになろうという
 素人絵描きが多い日本社会のなかで、厳しさを教えてくれる良いお芝居だった
 と思います。

                       文責    野呂 洋子


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