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何だかちょっと生きることがむずかしい時代です。親鸞の著書『和讃』を東本願寺末寺の住職・南岳がひもといた著書『和讃素描』を再編集しました。小さなひとつのきっかけになればと思っています。

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2008/04/25

『和讃点描』vol.24

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親鸞に学ぶ〜日々を生きるために〜
『和讃点描(わさんてんびょう)』
VOL.24 08.04.25
http://www.mag2.com/m/0000125708.html
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■このメールマガジンは、真宗大谷派(本山・東本願寺)末寺(九
州)の住職が親鸞聖人の『高僧和讃』をひもといた私解を綴ってい
ます。1994年頃の著書からです。
南岳により描かれた内容に、木蓮(もくれん)が前書きを加えて配
信しています。
本来、親鸞聖人の『高僧和讃』をひもとくことで、宗教的読み物と
しての理解や仏教への理解を深めたり、日々のヒントとしていただ
くことができるのではと考えています。

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■はじめに

こんにちは。木蓮です。

「半年間発行がないと発行停止します」とまぐまぐさんから
メールが届きました。

いけませんね。ずいぶん間が開いてしまいました。
お許しください。

今日は見事な快晴です。
梅雨に入るまでのさわやかな期間。
目に飛び込んでくるサツキの鮮やかさ。

光の春と温度の春がようやく一致したかと思うと
もうすぐ汗ばむほどのゴールデンウィークに突入です。

時間が過ぎるのが実に早く感じられる最近。
体内時計でも遅かったり早かったりするのでしょうか。
せめて大事なものを見落とさないようにと思うのです。

頻繁に発行できず申し訳ありませんが
どうぞのんびり見守っていただければ幸いです。
(木蓮)

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■和讃21

本願円頓一乗(ほんがんえんどんいちじょう)は
逆悪(ぎゃくあく)摂(せっ)すと信知(しんち)して
煩悩菩提体無二(ぼんのうぼだいたいむに)と
すみやかにとくさとらしむ

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■大意

弥陀の本願は我ら五逆十悪(ごぎゃくじゅうあく)の者をも
余さず救いとってくださると信じて
煩悩と言うもその体は本来一(ひと)であることを
さとることができるのである。

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■私解

この一首は特にどれそれの句を基にしてつくられたというものでなく
『論註(ろんちゅう)』全体の意義を要約したものであると言われて
いる。

初めの二句は真宗的で後の二句はどちらかと言えば、仏教的なところ
が感じられる。

そうは言っても、聖人ご自身、「円頓(えんどん)」「一乗(いちじ
ょう★註1)の語を本願に続けて一句として使っておられるので、分
ける必要もないことだが、本来は天台宗などで使われる言葉をとって、
直ちに本願が円頓であり一乗であることを感得なさったのであろう。

『愚禿鈔(ぐとくしょう)』という書物の中に「円頓は、円融円満
(えんにゅうえんまん)に名づく。頓は頓極頓速(とんごくとんそく)
に名づく。/本願一乗海は、頓極、頓速、円融、円満の教えなり。知
るべし」と解してある。

これは正しくこの第一句の内容を押さえたものと見ることができよう。

本願念仏の教えはあらゆる人間の体質や個性に妨げられるところなく
円かに融け合い、直ちに平等の証りを開くことのできる身となった。
その喜びを『論註』に託して、讃歎されているように思える。

私が今ペンを執っている間でテレビは湾岸戦争を繰り返し報道してい
る。このところ書物を読んでいても、話をしていても何か落ち着かな
い日がずっと続いている。こうしていていいのだろうか、という思い
である。

お念仏の教えをいただくということは、どういうことだろうかという
思いが戦争の映像と重なっているのである。

そんな気持ちの中での、この「逆悪摂す」の言葉である。

聖人は『信巻』の終わりのほうで、「五逆」と「謗法」の問題をあげ
ておられる。

そこに『論註』の八番問答(はちばんもんどう)をあげ、「法をそし
るということは、個人的なことであって、五逆というのは社会的事件
であるから、こちらが罪が重いではないか」という問いに「五逆の罪
はどこから起こるかというと、正法が無いところから生ずるものであ
る。だから法をそしる罪が最も重いのである」と答えている。

このところは、小さくは個人的、家庭的問題から、大きくは世界を揺
るがす大事件に至るまで、問題の根っこが押さえられた言葉のように
思える。

お互いに民族、宗教、正義、人道の名のもとで殺し合わずにおられな
いということが「誹謗正法(ひぼうしょうぼう)」と言えるのではな
いだろうか。

もちろんこのことは他に対してのレッテルではない。
言わば、人間であることの悲しみといってもいい。
聖人はこの「謗法」のところに立たれたのであろう。

十八願に、十万衆生は残るところなく助けるが、「五逆(★註2)」
と「謗法(★註3)」は除くとある。

この除かれるところに、自分をご覧になったのであろう。

本願は人間の上に成り立ったのなら「除く」の言葉はなくなりそうだ
が、願成就の文に至っても、依然としてなくならない。

『信巻』で初めの方はなくならないが、あるところでなくなる。そし
て、そのしばらく後のところに出てくるのが「誠に知りぬ。悲しきか
な、愚禿鸞、愛欲の広海に沈没し、名利(みょうり)の大山に迷惑し
て定聚の数に入ることを喜ばず、真証(しんしょう)の証(さとり)
に近づくこと快(たの)しまざることを。恥ずべし、傷むべし、と」
の「悲嘆述懐(ひたんじゅっかい)」の文である。

そうだ。この言葉こそ、聖人が自らの上に聞き取られた「除く」(唯
除)のお心であると教わるのであった。

そこにおいてのみ、「逆悪摂す」の信念に立てるのであろう。単に逆
悪を抑えとどめるという消極的意味でなく、本願に反逆する我ら人間
であることを自覚せしむる仏心であろう。

そこに「信心」と仰せられる、知ることのできた喜びというものを感
じるのである。                    (南岳)


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■用語の解説
★註1・一乗(いちじょう)=
唯一の乗物。唯一の教え。声門(しょうもん)や縁覚(えんがく)
のような、自分一人を救う教えである二乗もすべて含み、大きな真
実の教えであることを標榜する。

★註2・五逆(ごぎゃく)=
5つの罪。
1/父を殺す
2/母を殺す
3/阿羅漢を殺す(阿羅漢とは原語「アラハント」の音訳で
価値あるという形容詞から生まれた言葉。
供養するに値する、の意)
4/仏の身に血を流させる
5/教団の和合を破らせる

★註3・謗法(ぼうほう)=
法を謗ること。「こんな教えなど自分には役に立たない、信じても仕
方がない」などと言うこと。

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