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何だかちょっと生きることがむずかしい時代です。親鸞の著書『和讃』を東本願寺末寺の住職・南岳がひもといた著書『和讃素描』を再編集しました。小さなひとつのきっかけになればと思っています。

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2005/12/25

『和讃点描』vol.19

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親鸞に学ぶ〜日々を生きるために〜
『和讃点描(わさんてんびょう)』
VOL.19 平成17年12月25日
バックナンバーは
 http://blog.mag2.com/m/log/0000125708
ご感想は、<akiim_2004@yahoo.co.jp>
                              
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★このメールマガジンは、真宗大谷派(本山・東本願寺)末寺(九州)の住職
が親鸞聖人の『高僧和讃』をひもといた私解を綴っています。1994年頃の
著書からです。
南岳により描かれた内容に、木蓮(もくれん)が前書きを加えて配信していま
す。

本来、親鸞聖人の『高僧和讃』をひもとくことで、宗教的読み物としての理解
や仏教への理解を深めたり、日々のヒントとしていただくことができるのでは
と考えています。

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はじめに
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皆様メリークリスマス!

本年は「和讃点描」をご愛読いただきまして、ありがとうございました。

いつにない寒波です。
先日、仕事部屋のエアコンが壊れてしまい、途方に暮れている木蓮です(泣)。
前も同じことがあったので替え時かなと、昨日電器屋さんに行こうと試みました。
が、クリスマスイブの日は、電気屋さんへの車も行列。
(おもちゃも売ってる電器屋さんなので、なおさらでした)。

……でも、たくさん着ていれば、何とか過ごせるものですね。エアコン無しの
状況に、少し慣れつつあります(笑)。

さて、今回の第19首は、最後の二行に書かれているように、実際には前首と
同じ時に南岳が綴っています。それが8月9日であると記されています。

時間的な差がありますが、そのまま原文に忠実に記しました。8月9日に一気
に書いたという南岳の胸のうちに思いを馳せたからでもあります。

本年あと6日半になりました。

あと6日しかと考えるか、あと6日もあると考えるか。
それによって、今年の過ごし方が変わってくるのでしょうね。

あと6日もあるこの年。
どうぞ大切に、またご無理のないようお過ごしください。
そして、良き年をお迎えください。

                    (木蓮)

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【和讃18】

四論(しろん)の講説(こうぜつ)さしおきて
本願他力(ほんがんたりき)を説きたまい
具縛(ぐばく)の凡衆(ぼんしゅう)をみちびきて
涅槃(ねはん)のかど(★註1)にぞいらしめし

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【大意】

(本師曇鸞和尚は★註2)ひとたび浄土門に帰入されてからは
これまでの四論の講義を中止して
煩悩のきずなに縛られている一般大衆の凡夫人をみちびいて
浄土念仏の道に入らせてくださった。



【私解】

前首と共に曇鸞大師のお仕事をおおまかにまとめるとこういう形になる。

四論というのは、
・龍樹大師の手になる中論
・   〃     十二門論
・   〃     大智度論
・その弟子提婆(だいば)の百論
であり、三論集の所依(しょえ)の論とされている。

大智度論(百巻)は、先の龍樹章のところで「智度論にのたまわく如来は無上
法皇なり 菩薩は法臣としたまいて 尊重すべきは 世論なり」とあったが、
その智度論のことである。
大部の書であることから、大智度論とも言われている。

大師はもともとこの三論宗(さんろんしょう・中論、十二門論、百論に説かれ
る大乗思想を研究する学問)の方であったから、この学問宗に専念されていた
のだろう。
その大師が本願他力を説き始められた。

私は専門学者ではないので、こういう仏教学のことには触れないが、四論とい
う名で加えられている智度論のことで言うならば、智度というのは「般若波羅
蜜(はんにゃはらみつ★註3))」のことである。

お彼岸の御法話などでよく聞かれるが、いわゆる
・布施(ふせ)
・持戒(じかい)
・忍辱(にんにく)
・精進(しょうじん)
・禅定(ぜんじょう)
・般若(はんにゃ)
の六波羅蜜(★註4)の六つの知恵を締めくくる、空を観ずる知恵の完成を示
す教えである。極めて高い仏智を学ぶ学問のひとつ、根本的な仏教学と言って
いいであろう。

その学問を中止して、本願他力の教えを説かれたというところに、この一首の
生命がある。

大師は、天親菩薩の「浄土論」を基に「浄土論註(じょうどろんちゅう)」と
いう注釈書を書かれたが、聖人は「註論」と名付けて単なる註釈というのでは
なく、もはや「論」であると尊ばれた。

もしこの「論註」がなければ「浄土論」の意義は判らなかったであろうとまで
(曇鸞章・第十一章)参じられたことはこれまで再三申しあげてきた。

ここで「本願他力」とあるが、「他力本願」という言葉が今、一般的に誤用さ
れるほどに日常化している。この言葉を初めて使用されたのが、曇鸞大師であ
る。

本願力は、根本聖典の「大経(だいきょう)」では、「其仏本願力(ごぶつほ
んがんりき)」とされる。
あるいは、龍樹菩薩は「彼仏本願力(ひぶつほんがんりき)」、浄土論では
「観仏本願力(かんぶつほんがんりき)」などとそれぞれ言い表される。

本願力は、我ら凡夫の力でなく、阿弥陀仏の願力であるから他力と断言された
のである。
聖人はこれを受けて「他力とは本願力なり」と相続展開されたのである。他力
本願ではなく、本願他力である。どちらでもいいのださろうが、ここでは「本
願他力」と明示してある。

「具縛の凡衆」とは束縛の持つ我ら凡夫ということを思わせる。いろんなもの
に縛られ通しで、身動きできない人間の状態である。自分で自分を持ち上げる
ことはできない。できないのにできるように思っている身がここにあるのであ
る。

阿弥陀仏の願に三願と呼ばれる願に、第十八願、第十九願、第二十願がある。
第十八願が本願中の本願で、「王本願(おうほんがん)」と言われ、念仏往生
の願とされる。その歩みが第十九願を生み出すのである。

我が身をたのみ、我が心をたのむ自力の歩みで善根功徳(ぜんこんくどく)を
積んで仏になろうとする理想主義の人間の歩みである。

この道は必ず行き詰まる道である。しかも行き詰まるところに、仏心の歩みが
あったのである。

私に先立つ願い。アプリオリ、という言葉があるが、先験性、我らの経験に先
立つもの、本願の本には「先」の意があるとも言われている。

「すでにして悲願まします」(化巻)。我らの歩みを見通しあればこそ「すで
にして」なのである。
「涅槃のかど」とは涅槃に至る門、すなわち念仏の道である。

首題からややそれたが、筆に勢いの赴くままに一〜二首を一気に続けて綴った。
長崎原爆の夜十一時記す。
(南岳)


用語の解説************************************************************

★註2・曇鸞(どんらん)=
北魏孝文帝の承明元年(476年)五台山の近くで生まれた。この山は文殊菩
薩の霊跡と伝えられている。

★註2・涅槃のかど=
浄土に往生し涅槃に至る門、すなわち念仏。

★註3・般若波羅蜜=
「波羅蜜」とは、サンスクリット語。「最高の状態」を意味し、現代語訳では
「完成」とされる。
「智度」の「智」は般若、「度」は波羅蜜であり、合わせて「般若波羅蜜」。

★註4・六波羅蜜(ろくはらみつ)=
・布施波羅蜜(ふせはらみつ)…布施業の完成
・持戒波羅蜜(じかいはらみつ)…持戒の完成
・忍辱波羅蜜(にんにくはらみつ)…苦難に堪え忍ぶ行為の完成
・精進波羅蜜(しょうじんはらみつ)…仏道に励む努力の完成
・禅定波羅蜜(ぜんじょうはらみつ)…精神統一する集中力の完成
・般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)…空性を観察する知恵の完成



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発行責任者:木蓮(もくれん)
共著:南岳
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