2008/11/25
教ドキュWeekly 11/25号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 教ドキュWeekly 2008.11.25号 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先週のダイジェスト(11/18-11/24) ─────────────────────────────────── 11/18 ガイアの夜明け「独占取材 "事故米"問題の真相」(テレ東系) 事故米事件の中でも島田化学工業の米デンプンはその売却先が明らかでない ことからかなりの広がりが問題化している。その中で同社のデンプンの使用を いち早く発表して対策を打ったのがすぐる食品。しかし結果としては風評被害 で同社の売り上げは激減、正直者が馬鹿をみた構図になってしまっている。ま た同様に美少年酒造でも汚染米と無関係の銘柄まで風評被害で撤去されるなど 深刻な影響を受けている。さらに取材の過程で、農水省の極めて杜撰な検査体 制も明らかとなった。 ○この題材を扱った意気は認めるが、肝心の一番ダークな部分は規制がかかっ ている印象で、番組自体の歯切れは悪い。現在のマスコミの限界が見える。 ---------------------------------------------------------------------- 11/19 ためしてガッテン「慢性痛最新治療法」(NHK) 慢性痛はそもそもの病巣は完治していたり、元となる病巣自体がない事例で ある。これらは神経が傷ついて修復する際、痛覚神経と触覚神経などが混線す ることで発生するという。またあまりに強烈な痛みを継続的に受けていると、 脳内に何かの時にその痛みを思い出すような回路ができてしまうことも明らか となってきた。慢性痛に対しては、神経ブロックなどによって痛みの回路を遮 断する治療法が効果的で、ペインクリニックなどで治療を受けると良い。 ◎原因自体がないのに痛みだけあるというのは何とも理不尽な話です。人間の 身体ってまだまだ分からないことが多すぎる。 ---------------------------------------------------------------------- 11/19 その時、歴史が動いた「幕末最後の60日!新政府誕生への道」(NHK) 薩摩藩の小松帯刀、西郷隆盛、大久保利通の三人は協力して新政府誕生に貢 献した。抜群の交渉力を持つ小松帯刀は慶喜の信頼も得て、大政奉還を実行さ せるに及ぶが、朝廷側には未だに政務を執れる体制が整っておらず、実質的に は慶喜の権力が排除できていないことに危機を感じた大久保と西郷は、ついに は武力クーデターで実権を掌握、ついには幕府との武力衝突へと突入する。 ・結局は西郷・大久保は武力で幕府をつぶすしかないと見ていたわけで、結果 としては流血の事態になった。その辺りの評価が難しいところ。 ---------------------------------------------------------------------- 11/21 解体新ショー「錯覚」(NHK) 夕日が大きく見えるのは、回りに建物などの線が見えることで、夕日をとて つもなく遠くにある巨大なものと脳が処理することによる。人間の脳は視覚を 三次元に再構成する作業を行っている。またアニメでキャラクターが本当に喋 っているように思ってしまうのは、聴覚が時間変化の成分については視覚より も優先するからだという。これは危機認識などには聴覚の方が視覚よりも有効 なことなどから起こった習性だと考えられるという。 ◎人間の視覚は結構いい加減だということは様々な事例から分かっています。 それが限度を超えるとないはずのものまで見えてしまうことも。 ---------------------------------------------------------------------- 11/22 美の巨人たち「並河靖之作「京七宝」」(テレ東系) 並河靖之は独学で京七宝を再現し、高い評価を受けた。彼の作品は海外で特 に高い人気を博して、折からの日本の工芸品輸出政策と欧米での日本ブームに も乗って海外に多くが輸出された。しかし彼自身は芸術と工芸の狭間で苦悩す ることになり、やかで日本ブームの変遷と共に彼は工房を閉じてしまう。しか し彼の再現した技法の多くは今でも謎のままであるという。 ○七宝は工芸による宝石とも言われたぐらいきらびやかな作品です。ただ、工 芸関係はやはり私の守備範囲とはずれるんだな。 ---------------------------------------------------------------------- 11/22 サイエンスZERO「生活史から見る不思議のサル」(NHK教育) 霊長類が様々な繁殖戦略をとる中で、人類がとったのは多産戦略である。他 の霊長類と違って人類は乳児期が短く、母親はすぐに繁殖に入れるようになっ ている。また共同生活で餌を分け合ったりすることで、子供を持つ母親の負担 を減らし、子供の成長を確実にすることができる。また人類は共感するという 能力を持っており、子供を教育するということも他の霊長類とは異なる点であ るという。 ◎「閉経後の女性には生きている価値がない」と言った差別主義者の馬鹿知事 がいましたが、人類では祖母が子育てに加わることも、子供を確実に育てる戦 略だったとか。くだんの知事の知恵がサル以下という証明ですな。 ---------------------------------------------------------------------- 11/23 所さんの目がテン!「地震」(日テレ系) 地震の死因で多いのは家具などの下敷きになること。フローリングの床の方 が家具は転倒しにくいし、建物の形などから揺れの向きを考えて家具の置き方 を考える必要がある。また食器などの落下を防ぐには、重心を考えてなるべく 安定化する置き方をするように。また火災が発生して逃げる場合、姿勢を低く すると煙は上にたまるので視界を確保しやすい。また人が出口に殺到しての混 雑を防ぐ方法に、あえて出口の手前に障害物を置くことで人の流れを制御する という方法もある。 ○全体的に常識レベルの内容が多いです。ちなみに食器の置き方は、以前に「 あるある」のまともな回で扱ったことがあります。 ---------------------------------------------------------------------- 11/23 ダーウィンが来た!「しっぽに技あり!砂漠のリス」(NHK) カラハリ砂漠に住むジリスは、体長の半分もある大きな尻尾で影を作って、 炎天下の昼間に餌探しをすることができる。ジャッカルなどの天敵が活動でき ない暑い昼間が一番安全な時だという。彼らの餌は地面に落ちている木の実な ど。地面に掘った彼らの巣穴には、他の動物たちが入り込むこともあるが、コ ブラなどの危険な動物に対しては、彼らは尻尾を盾に果敢に戦いを挑む。 ○砂漠でリスが住んでいるというのが驚き。しかも彼らは砂漠をはい回るのが 主で、木には登らない模様。珍しいリスだな。 ---------------------------------------------------------------------- 11/23 NHKスペシャル「病の起源6 アレルギー〜2億年目の免疫異変〜」 アレルギーの原因となっているのは、ほ乳類に固有のIgE抗体。本来は吸血 ダニなどの寄生虫に対抗するためのシステムだったが、寄生虫の減少で敵を失 って暴走していると考えられる。また疫学調査から、家畜と接触している者に はアレルギーが少ないことが判明したが、家畜の糞などに含まれるエンドトキ シンに一歳までに触れることで、免疫細胞が対細菌感染用の免疫細胞が優位に なって、IgE抗体の生成が抑制されるのではと推測されている。 ◎つまりは過剰なまでの清潔がアレルギーを量産しているというわけで、現在 の日本の異常な抗菌ブームは百害あって一利なしということ。これは常識。 ---------------------------------------------------------------------- 11/23 素敵な宇宙船地球号「よみがれえ!八女の水車」(テレビ朝日系) 八女で線香のための杉葉の粉を作るのに水車が使用されていたが、老朽化に よって修理が行われることとなった。この水車を作ったのは今は亡き名人と言 われた水車大工の中村忠幸氏。彼の水車は水流から最大限のパワーを引き出す ことで有名だった。今回その修理にあたったのは彼の最後の弟子で、日本最後 の水車大工と言われている野瀬秀拓氏。彼は師匠を越える水車を作るために、 様々な試行錯誤を行う。そして再び水車は力強く回り始めたのだった。 ◎水を受ける板の角度一つで水車のパワーはまるで変わるのだとか。彼の作業 に協力した次男のいかにも水車好きそうな様子が微笑ましいですね。将来に彼 には是非とも良い水車大工になって日本の伝統を伝えて欲しいです。 ---------------------------------------------------------------------- 各番組の詳細は教養ドキュメントファンクラブ http://homepage1.nifty.com/sagi/ もしくは各番組のホームページへ ====================================================================== 今週のキーワード ○「神経ブロック」(ためしてガッテン) 麻酔などで神経の信号をブロックすることで、痛みなどを抑える治療法。慢 性痛などを専門に扱うペインクリニックなどで受けることができる。 ○「IgE抗体」(NHKスペシャル) ほ乳類に固有の抗体。そもそもは寄生虫などに反応して、炎症物質を分泌さ せたりする機能を持っていた。しかし寄生虫が減少した現代社会では、敵を失 って暴走気味にあり、それがアレルギーを起こす原因と見られている。 ○「エンドトキシン」(NHKスペシャル) 大腸菌などの細胞膜に含まれる成分。乳児期にこれを浴びることで細菌感染 に対応する抗体の割合が増加して、アレルギーが起こりにくくなるとか。ただ し後でこれを接種などしてもショック症状を起こすそうなので、現状でこのま まアレルギー治療に使えるものではないらしい。 ====================================================================== 今週の放送予定&期待度 ─────────────────────────────────── 11/25 ガイアの夜明け「もうかる農業を目指せ」(テレ東系) ◎農業が産業として成立することは、日本の将来において重要事です。 11/26 ためしてガッテン「香り17倍!ゆず大革命」(NHK) ○ゆずってあんまり得意な柑橘類ではないんですよ。 11/26 その時、歴史が動いた「戦国の「ゲルニカ」」(NHK) ○再放送。戦争って常に庶民にとっては残虐なものです。 11/29 美の巨人たち「ドガ作「エトワール又は舞台の踊り子」」(テレ東系) ○かなり有名な絵です。私はそんなに好きではないですが。 11/29 サイエンスZERO「アルツハイマー病研究最前線」(NHK教育) ○高齢化社会を迎えて重要な病になってきています。 11/30 所さんの目がテン!「タラ」(日テレ系) ○鍋によく使う魚ですが、あっさりしすぎていてあまり良い印象がない。 11/30 ダーウィンが来た!「3羽?分身!謎の鳥」(NHK) ◎他の鳥の巣で育つ鳥って、カッコウとはまた別の鳥なの? 11/30 素敵な宇宙船地球号「猟師が教える命の食べ方」(テレ朝系) ◎これも大事なことなのですが、現代人は分かってませんよね。 ====================================================================== ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ <<お知らせ>> 突然に話題の書籍になってしまいました・・・・。 『また「あるある」にダマされた』 三才ブックスより発売中 巷にインチキな健康・ダイエット情報が氾濫し、テレビがそのお先棒を担い でいる時世に危機感を感じた私が、「全編完全書き下ろし」で仕上げました。 本著は「あるある大事典」での放送内容について、具体的に問題点を指摘す ることで、巷に氾濫する誤った情報について斬っていく形式をとっています。 詳細な情報についてはこちらをご参考ください。 http://homepage1.nifty.com/sagi/book.html ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 晴耕雨読ヘッドライン ─────────────────────────────────── 11/18 大阪で再び飲酒運転による引きずり殺人。常習者には強制治療を。 11/19 麻生政権早くも政権末期?景気失速に対しても全くの無策。 11/20 飲酒運転撲滅訴える警視が飲酒運転。どこまで広がるアル中社会。 11/21 元厚生次官が殺害される。卑劣なテロの可能性も。 11/22 ビッグ3CEO、自家用機で乗り付けて「公的支援依頼」の非常識。 11/24 やはり口封じか?元厚生次官殺害犯の不可解な犯行動機。 ---------------------------------------------------------------------- 鷺の主宰する時事コラムページ「晴耕雨読」 http://www.geocities.jp/ksagijp/ ====================================================================== 今週の一冊 ─────────────────────────────────── 「ローマ人の物語 迷走する帝国」塩野七生著 新潮文庫 繁栄を誇ってきたローマ帝国であるが、いよいよその終末が見えてきつつあ る。内ではカラカラ帝よるローマ市民権大安売りのせいで、ローマ市民として の意識の低下に加えて財政の悪化が顕著になってきた。それに加えて、外から も蛮族の侵入がいよいよ本格化してきて、今までの絶対防衛戦が破られてロー マは守勢に回ることが多くなってくる。そうなると必然的に開放的なローマ精 神そのものも衰退してくる。 これに対して何とか手を打とうとした軍人皇帝達も存在するのだが、国の滅 びる時とはまさにこのようなものなのか、それなりの功績を挙げた皇帝に限っ て、暗殺などによって途中で倒れる羽目になり、国の指導者がめまぐるしく入 れ替わるといった状況になって、未曾有の国難に対する対応力を著しく失って いくのである。 さらにはローマ精神の破壊者とも言えるキリスト教徒達の暗躍、これらが帝 国の終焉に向けて歯車のように噛み合ってきているのが感じられ、ここまで本 シリーズを読み続けてきた立場としては一抹の悲しさが漂い始めるのである。 人間は歴史から学ぶべきと言うが、国難を前にしてのこのローマ帝国指導者 層の醜態は、まさしく現在の日本の与党の醜態ぶりと重なって見られずにはい られない。しかしローマの皇帝達は暗殺で倒れたのだが、日本の指導者達は自 ら無責任にも職務を投げ出したのだから、ひどさではローマ帝国を遙かに上回 ってしまっているのが悲しくなる。 そして一番不気味なのは、ローマ帝国が滅亡後は当時のカルト宗教であるキ リスト教に支配された暗黒時代が到来したということである。これだけは今の 日本では再現してもらいたくないものだ。 ====================================================================== 展覧会レポート ─────────────────────────────────── 金融システム崩壊で急激に不況の足音が近づいてきて、世の中が戦々恐々と した嫌な雰囲気になってきている。ただ今回の金融システム崩壊は、一つだけ 世の中に良いことももたらした。それは原油の価格を不当につり上げていた悪 徳ファンドが破綻したことで原油価格が暴落、ようやくガソリンが妥当な価格 に落ち着いてきたことである。1リットル当たり120円台という価格は、安 いとは言いにくいものの、一時期のあまりに不当な価格を考えると現実的な価 格になったと言える。 私は従来は青春18シーズンには鉄道を中心の遠征、それ以外のシーズンに は車を中心にした遠征を行ってきた。それが今年はガソリンの異常高騰のあお りを受けて車を全く使えない状態になり、鉄道の遠征ばかりになっていた(だ から私が鉄道マニアと間違われることになったのだろうが)。しかしようやく 従来のような車による遠征も考えられるようになったというわけである。 今回は車の機動力を最大限に活かすことにした。まずは車でないと非常に行 きにくいために、ガソリン価格が高騰してからご無沙汰になっていた美術館を 訪ねる。 久しぶりに山陽自動車道を突っ走る。ただ今日は三連休の初日のせいか、妙 な運転をする車が多いのには閉口する。後ろから猛スピードのメルセデスが強 引に左から追い越しをかけていったのでついて行ったところ(誤解のないよう に行っておくが、私は追い越しをかけられた腹いせで相手の車を追いかけ回す ような下品なドライバーではない。快調にすっ飛ばす車があると道が空くので 、それに便乗するだけである。)、上り坂では非力なカローラ2の悲しさで車 間がどんどん開くのに、坂を上りきって下りに入った途端に急激に車間距離が 縮むのである。「?」と思って危険を避けるべく、距離を置いて後ろから観察 していたところ、そのメルセデス君がぶっ飛ばすのは平地の直線と上り坂だけ だということが判明した次第。その後もそのメルセデス君は、下り坂になるた びにブレーキ踏みまくりで後続車につつかれていた。運転技術の伴わないドラ イバーに高出力エンジンは、何とかに刃物みたいなもので危険極まりない。 これ以外にも渋滞している車列の最後尾にピッタリとつけては、やたらにブ レーキを踏みまくっていたイライラ君やら(そのうちにブレーキが灼けつくぞ) 、オービスが近づいて車列が一斉にスピードを落とした途端に、最後尾からフ ル加速で全車両をごぼう抜きにしていった特効野郎Aチームなど(彼の身に災 いが降りかからないことを祈るのみである)、連休の高速道路は様々な人生の 縮図を示しながら流れていったのであった。 順調に突っ走って鴨方で高速を降りると、そこから最初の目的地に移動であ る。ここの美術館は駅から遠いのにバスの便がほとんどないため、車でないと なかなか来にくいというところである。 ────────────────────── 「彩艶 金谷朱尾子−うつろう心−」笠岡市立竹喬美術館で11/24まで 金谷朱尾子は岡山出身の日本画家である。池田遙邨門下として日展などで活 躍、また後進の育成などにも尽力したが、残念なことに51才で画業未だ半ば にして早逝したとのこと。 画風としては典型的な現代日本画の画風であるが、彼女が卓越しているのは そのデッサン力や表現力だろう。また「燃え立つような」と言えそうな、その 激しくも幻想的な色遣いも印象深いところである。彼女の画風自体は20代の 頃に既に確立しており、その後も根本的なところは変化しなかったようである 。もっともこれからという時に彼女の生命の方が尽きてしまったのだが。 ────────────────────── 久しぶりの美術館を後にすると、そのまま北上する。次に立ち寄ったのは井 原市立田中美術館。彫刻家平櫛田中の作品を展示した美術館である。私の訪問 時にはコレクション展と言うことで、平櫛田中の作品と所蔵の絵画を展示して いた。既に何度も目にしている作品なのであるが、相も変わらず田中の彫刻の 生々しさには圧倒される。なお絵画コレクションの方については印象に残る作 品は残念ながらなし。 次の目的地に移動する前に、とりあえずは昼食を先に摂ることにする。今回 に立ち寄った店は「キッチン喜多川」。入り口を入ると扉がラーメン屋と洋食 屋に分かれているが、内部はオープンキッチン形式でつながっているという奇 妙な形式の店である。今回入ったのは洋食屋の方で、注文したのは「ビフカツ 定食(2300円)」。 出てきたビフカツを見て驚く。分厚い肉がレアで揚げられており、ビフカツ と言うよりはビフテキに衣をつけたという印象。また肉の質がかなり良いよう で、箸で切れるぐらいに肉質が柔らかい。 ただビフカツとして考えた場合には少々難がある。まず牛肉が前に出すぎで ビフカツとしての一体感がない。ビフカツとして考えた場合はもう少し肉に火 を通している方がバランスが取れそうである。またかかっているソースが渋み と酸味の強いタイプだが、これが自己主張が強すぎて、衣付きのビフカツの場 合はかなりくどくなり、せっかくの肉の風味を殺してしまう。最初からかかっ てくるのではなく、別につけて食べる方がバランスが取れたのではないかと思 われる。 と言うわけで、ビフカツ定食として考えた場合には少々残念というメニュー であった。しかしこの店はかなり良い牛肉を使っているのは確かであり、次回 には是非ともビフテキ定食を食べたいと感じた。なおチキンカツ定食やトンカ ツ定食などさらに安価なメニューもあるので、費用を抑えたい向きにはそれも 一つの選択肢か。 昼食を終えたところでさらに車を走らせ、次の美術館へと向かう。 ────────────────────── 「パリの美神 マリー・ローランサン展」華鴒大塚美術館で11/24まで エコール・ド・パリの画家の一人としてあげられるマリー・ローランサンの 作品を展示した展覧会。長野のマリー・ローランサン美術館の所蔵品によって いる。 ローランサンの初期から晩年の作品まで一堂に展示している。彼女の作品に ついてはある年代以降は目に見えた変化は少ないので(実は微妙な色遣いの変 化などはあるのであるが)、むしろ初期の試行錯誤期の彼女らしくない作品の 方が面白いのでは。 なお私の場合、ローランサン美術館所蔵品による展覧会は今まで何度か訪れ る機会があったので、同館自体はまだ一度も訪問していないにもかかわらず、 展示作については何度か目にしたものが多かった。 ────────────────────── さて久しぶりの美術館をいくつか回ったところで、今日はわざわざ車で出て きたのだから、それを最大限に活かすべく洞窟探検の方も行うことにする。実 は成羽の西部の磐窟渓と言うところにダイヤモンドケイブと呼ばれる鍾乳洞が 存在する。今回はそれを探検しておいてやろうという計画。 井原から国道313号をひたすら北上、成羽川に当たったところで国道と分 かれると西進、そこから案内に従って狭い山道へと入っていく。しかしこの山 道が本当に狭い。もし対向車が現れると私の運転技術では進退窮まりそうな箇 所がいくつもある(すれ違い可能場所までの距離が長い上に湾曲しているとい う箇所が複数ある)。途中で一台だけ対向車に出くわしたが、幸いにして道幅 の広い箇所だったのでそれは事なきを得る。 しばらくうねうねと山道を走った後、小さい駐車場に行き当たる。どうやら ここがダイヤモンドケイブへの登り口のようである。なおダイヤモンドケイブ は斜面の中間に位置しているのだが、上から降りるルートと下から登るルート があるとのこと。鍾乳洞マニアのHPによると、上からのルートの方が道路も 駐車場も整備されているとのことだったのだが、どうも私は下のルートにたど り着いてしまったようだ。カーナビに適当に場所を打ち込んだのが失敗だった か。 とりあえずここから300メートルほど登ることになるのだが、これが難行 苦行。辺りが静かなので自分の心臓がバクバクと言っている音が聞こえてくる 。心臓にはあまり自信がないだけに、今にこの音が急に止まるのではと不安に なることしきり。また日頃から運動不足の悲しさで、足が痛くなるなどの前に 吐き気の症状が出てきて途中でゲーゲー言う始末。最近は城やら洞窟やらでや たらに階段を登る機会が増えているのだが、相変わらずの情けなさである。 なお今回は洞内撮影のために三脚を持参している。前回の井倉洞訪問でやは り鍾乳洞内での撮影ではストロボを使ってもうまくいかないことを痛感したこ とと、洞窟内撮影ではいっそのこと三脚か一脚を持参した方が良いとの知人か らのアドバイスに従ってのものである。今回持参したのは、Kissデジを購入し た時におまけでついてきたスリックの軽量三脚。Kissデジをこれに装着すると トップヘビーになりすぎて安定性が悪い(特に私の場合はさらにレンズが重量 級に換装されているし)と言うことで今までお蔵入りしていたのだが、それが 再び日の目を見たというわけ。実は今回の遠征のために軽量三脚について調査 したのだが、カーボン製などの高級品なんか手が出るわけがなく、結局は私が 用意できる予算だとスリックの製品ぐらいしか選択肢はなく、「それだったら そもそも持ってるじゃないか」となったというのが情けない現実である。 さてそうやって出動した三脚だが、その初仕事はカメラを支えることではな く、杖代わりに私を支えることになってしまった。激しい息切れでフラフラし ながらようやく入洞受付までたどり着く。ここで入洞料800円を払う。管理 人からは「下からだったら大変だったでしょう」といかにも気の毒そうな言葉 をかけられる羽目に。 さてダイヤモンドケイブという名前の由来だが、ここの洞窟はそもそもは小 さな洞窟だったのが、奥が爆破された時に閉鎖された鍾乳洞が発見されたのだ という。その閉鎖洞窟の中では方解石の結晶が多くあり、キラキラとガラスの ように輝いていたのだという。 しかし残念ながら、開放されたことで洞内の方解石の風化が進んでいるよう で、私が訪れた時には既にガラスのようなキラキラした鍾乳石は見あたらなか った。風化により、透明→白→茶色と色が変わってきているようである。また 観光のために設置している照明の周辺ではコケの付着も見られ、観光窟化する ことによる洞窟内の劣化という悲しき宿命も顕著になっていた。また鍾乳石を 守るために張り巡らされたと思われる緑のフェンスが邪魔になっている。残念 ながらこれも観光窟化するとどうしてもマナーの悪い入洞者もいるので必要悪 なのだろう。特にここの場合は手を伸ばせば届く位置に鍾乳石が伸びていると いう事情もある(その上に細い石筍も多いので、いかにも馬鹿がへし折りそう なのである)。 さて私は洞内で撮影にいそしんだわけであるが、三脚を持参してもやはり洞 内の撮影というのはかなり困難であるということを痛感せずにはいられなかっ た。まずここのように狭い洞窟では、どうしても十分な画角を得られない。ま た照明している部分と照明していない部分との明暗差が激しいので、そのバラ ンスが取りにくい。今回は基本的には絞り開放状態のシャッター速度はオート で撮影したのだが、やはり一部が白飛びして後は真っ暗という写真も少なくな い。またKissデジの場合、全体が暗すぎると焦点を取れなかったり、フェンス のあるところではその手前のフェンスの方に焦点が合ってしまったりなどの、 オートフォーカスにまつわるトラブルが頻発した。そのたびにマニュアルフォ ーカスに切り替えてしのいだのだが、これはなかなか大変だ。なお今回の事例 ではシャッタースピードは数分の1秒から最長4秒程度。やはり三脚がないと 無理な条件だ(一脚ではぶれるだろう)。今回の鍾乳洞は狭くても観光客が私一 人(私が入洞する時に入れ違いで二組が出てきて、その後は入洞者はいなかっ たようだ)だったので三脚を広げる余地があったが、観光客が多い場合は三脚 を広げるのは不可能だろう。洞窟撮影は非常に難しいと聞いていたが、つくづ くそのことを痛感した。ちなみにプロが専用の写真を撮る場合は、洞内の数カ 所にストロボを仕掛けてシンクロ発光させるマルチストロボ撮影をするそうだ が、そんなもの一般観光客である私ができるわけもないのは言うまでもないこ とである(そもそもそんな機材も持ってない)。 ダイヤモンドケイブの見学を終えると再び山道を迷いながら脱出(途中でカ ーナビが道を見失い、現地の人に道を聞く羽目に)、成羽町美術館に向かう。 しかし途中で時間を費やしたのが祟って、到着時には既に閉館時間を過ぎて しまっていた。仕方ないので外回りを見学。 なおこの成羽町美術館がある場所は、かつてこの地域に勢力を誇った山崎氏 の御殿があった場所で、野面積みの石垣が残存しており史跡となっている。建 造物は一切残っていないが(そもそも安藤忠雄設計による近代的な美術館が上 に乗っかっている)、大手門の跡などが観察できる。当時の御殿と言えば単な る豪邸という意味ではなく、軍事上の要塞の意図も兼ねていたので、ここでも かなり堅固な守りの施設を備えていたことがうかがえて面白い。 これでもう今日の予定は終了である。高梁まで走って、そこから山間の道路 をひたすら登って岡山道の賀陽ICまで到着、後は山陽自動車道と姫路バイパ スを乗り継いで帰途につくだけだ。ただその前に、竜野西ICで降りた後(賀 陽−竜野西間がちょうど100キロ以内でETC通勤割引の対象となる)、夕 食を姫路で摂ることにする。 立ち寄ったのは仕出し・会席の「手柄ます徳」。注文したのは姫路名物の大 型穴子でんすけを使用した「でんすけ御膳(2625円)」。 店の雰囲気が何となく落ち着いていると言うよりも、活気がないと言った方 が良いような空気が漂っていたので、正直大丈夫かなという疑問があったのだ が、出てきた料理を食べた途端にその心配は吹き飛んだ。 御膳自体は穴子寿しに天麩羅、酢の物などで構成としては平凡と言って良い のだが、味が非常に良い。カニと貝柱とキュウリの酢の物などは味付けが絶妙 なので、キュウリが大嫌いの私がキュウリごと全部食べれてしまった。また天 麩羅も食感はサクサクと、味わいはあって非常に頃合いが良い。 一番感心したのはメインの鍋。出し汁に絶妙な味わいが出ており、その豊か さには表現に困るぐらい。板さんの話によると、脂ののった穴子にゴボウを組 み合わせることで非常に深い味が出るそうな。ちなみにこれは後で店主(?)か ら聞いたのだが、実は穴子は既に旬を過ぎてしまっており、通常ならこの時期 の穴子は脂が乗っていないので焼きでもしないと駄目なんだそうな。それが今 年は海水温が高いせいで、まだ脂ののった穴子が近海で取れているとか。なお 水温が高いと言うことなので、今年は牡蠣はまだまだとのこと。 と言うことは、牡蠣遠征はまだ先に延長した方がよいようだ。やはりこうい うことはプロに聞くに限る。結局今回は、岡山地区の久しぶりの美術館を攻略 し、洞窟にもぐり、穴子を食って帰ってくるということになったのであった。 ────────────────────── <連絡> この度、新しいHPを立ち上げました。その名は「私的美術館紀行」。 今までに掲載した展覧会レポートを中心としながら、さらに新しい情報を付 け加えたページです。私が遠征のために集めた各美術館の展覧会スケジュール データなども掲載しております。 URL http://www.b-kikou.com/ ====================================================================== ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ <<お知らせ>> 現在、超話題の書籍ということだそうです・・・。 『また「あるある」にダマされた』 三才ブックスより発売中 巷にインチキな健康・ダイエット情報が氾濫し、テレビがそのお先棒を担い でいる時世に危機感を感じた私が、「全編完全書き下ろし」で仕上げました。 本著は「あるある大事典」での放送内容について、具体的に問題点を指摘す ることで、巷に氾濫する誤った情報について斬っていく形式をとっています。 詳細な情報についてはこちらをご参考ください。 http://homepage1.nifty.com/sagi/book.html ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ====================================================================== あとがき 嫌な事件が起こっています。元厚労省次官の殺害事件は、彼らが証人喚問さ れる可能性があったということを考えると、やはり口封じの陰謀だったという ように思われます。しかしそうだと、恐らく真相は永久に表には出てこないで しょう。日本でもそのような暗黒面は存在するということです。北朝鮮じゃあ るまいし、そんな連中は一掃したいものですが・・・。 この三連休は久しぶりにゆっくりと休養できたという感じです。どうも最近 は疲れが溜まっていたようです。昔のような無理がだんだんと利かなくなって ます。まだ老け込む年ではないと思いたいんですが。それにそもそも私はまだ 独身なんですし・・・。 教ドキュWeekly 発行者 鷺(さぎ) sagi@yo.rim.or.jp --------------------------------------------------------------------- このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して 発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000125100.htm ---------------------------------------------------------------------


