教ドキュWeekly 5/27号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
教ドキュWeekly 2008.5.27号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先週のダイジェスト(5/20-5/26)
───────────────────────────────────
5/20 ガイアの夜明け「ネットの闇〜有害サイトから家族を守れ」(テレ東系)
学校裏サイトなど、子供が出入りする有害サイトが問題になっている。同じ
くネットによる犯罪の助長が社会問題となった韓国では、ネット実名性を導入
しているが、日本では法規制の是非が議論となっている。子供の方が大人より
も遙かに先に行っている現状に、教育の現場でも戸惑いが発生している。
・結局どうすりゃいいのかの提案が皆無。打つ手なしに近いのは分かるが。
----------------------------------------------------------------------
5/21 ためしてガッテン「?にお答えします」(NHK)
まずは大人に流行しているはしかについての警告。はしかに対する感染が減
少した今日では、一回の予防接種では十分な免疫が身に付かない例が多く、2
回の予防接種が必要。また快眠枕については、枕だけでなく布団の固さも重要
身体が沈みすぎる布団は良くない。またお湯につけるレタスの再生術は、レタ
ス以外にもイチゴなど他の野菜類にも応用可能。
◎情報が盛り沢山な分、かえって面白かった印象。
----------------------------------------------------------------------
5/21 その時歴史が動いた「日攻防北の黄金王朝〜奥州藤原氏VS源氏」
奥州藤原氏の祖である清衡の父は、京から送られた役人で藤原氏の一族だっ
た。奥州藤原氏は、朝廷に大量の金などを献上することで干渉を排しつつ、平
泉を中心に発展を遂げる。しかし転機は源頼朝の台頭。頼朝によって朝廷との
パイプを断たれた三代目の秀衡は、落ち延びてきた義経を保護し、源氏との戦
いを覚悟するが、その途中で病死する。四代目の泰衡は朝敵になるのを恐れて
義経の首を差し出して臣従の姿勢を示すが、結局は頼朝によって滅ぼされる。
○実際に奥州藤原氏が義経を押し立てて源氏と対決すれば、勝算はあったと思
うのですが・・・。秀衡の死が奥州藤原氏にとっての不幸でした。
----------------------------------------------------------------------
5/23 解体新ショー「本番でのあがり&暗いところでの読書」(NHK)
あがりの正体は興奮によるノルアドレナリンの分泌。沈めるにセロトニンの
分泌が必要だが、そのためには踏み台昇降運動などのような「リズムを刻む」
動きが効果的とのこと。また暗いところで読書すると目が悪くなると言われる
が、暗さに対する対応と目のピント調整は全く別機能。近さの影響の方がずっ
と大きい。また最新の研究では近くを見続ける生活をしていることで、眼球が
前後に長くなって近視になるということが明らかになってきた。
◎セロトニンにリズム運動というのは初めて聞いた。なお眼球の変形による近
視というのか真性の近視。これは回復訓練などでは効果は全くない。
----------------------------------------------------------------------
5/24 美の巨人たち「ゴッホ作「古靴」」(テレ東)
表題作は、ゴッホが彼を経済的に支援し続けていた弟のテオを頼ってパリに
戻った際に描かれたもの。当時のゴッホはミレーに傾倒していたので、その影
響が見られる。なおこの靴が誰の靴かについては諸説あるが、番組ではゴッホ
とテオの二人の靴ではないかとしている。なおゴッホはテオから経済的支援が
苦しくなったことを告げられたのを機に自殺し、それを後悔したテオも、ゴッ
ホを追うかのように間もなく亡くなってしまう。
○ゴッホの初期の作品って、こういう暗い色彩の絵が多いんですよね。それが
突然にあの色彩の爆発に変化しちゃうんです。
----------------------------------------------------------------------
5/24 サイエンスZERO「不思議生物粘菌の力をいかせ」(NHK教育)
粘菌を情報工学的スタンスから研究している例を紹介。粘菌が迷路の最短経
路を見つけるアルゴリズムをカーナビに応用したり、伸縮の機能のみのシンプ
ルなロボットを組み合わせたモデルだけで、粘菌の動きを再現するようなシミ
ュレーション、さらに細胞性粘菌が一定量集まってくるメカニズムについて、
化学物質の濃度によるシミュレーションで説明した例などを紹介。
○粘菌を情報科学的観点から扱っていたのが興味深い。
----------------------------------------------------------------------
5/25 所さんの目がテン!「茶」(日テレ系)
茶の味を左右するものとして、茶葉、作り方、入れ方などが影響する。茶葉
についてはやはり一番茶が旨味が強く、これは細胞が柔らかいため。また現在
は機械もみによる製法が中心だが、やはり手揉みの茶葉の方が、手間はかかる
が旨味は強くなると言う。さらに入れ方については、低い目のお湯で出して、
入れたらすぐに飲むのが一番美味しいとのこと。
○考えれば当たり前の事ばかりなんですけどね。
----------------------------------------------------------------------
5/25 ダーウィンが来た!「オットセイ ハレムの真実」(NHK)
一夫多妻制でハレムを形成するオットセイは、オスが圧倒的に優位でメスを
支配していると思われていたが、最近の観測でそうではないことが分かってき
た。ハレムのオスがメスに拒まれることもあれば、よそのハレムのオスのとこ
ろに行って交尾するメスがいたりなど、実はメスの子供でハレムのオスの子供
は1/4程度しかいないという。これは近親交配を防ぐためという性質もあり
オットセイの旺盛な繁殖力の源にもなっているという。
○なんかいずこの世界もオスにとってつらい時代になってきた。
----------------------------------------------------------------------
5/25 素敵な宇宙船地球号「海洋深層水のヒミツ」(テレ朝系)
富山湾は非常に豊かな漁場して知られているが、それは独特の地形が影響し
ている。富山湾は海底は1000メートルまで急激に沈降しており、それは海
のそばに迫った3000メートルの山までつながっている。この山の養分を含
んだ水が、富山湾の海底にわき出していて、これが海を養っているのである。
○富山湾の特異性は、以前にNHKスペシャルでも放送していました。しかし
こうして見てみると、自然の奇跡のようにさえ思えるのですよね。。
----------------------------------------------------------------------
各番組の詳細は教養ドキュメントファンクラブ
http://homepage1.nifty.com/sagi/
もしくは各番組のホームページへ
======================================================================
今週のキーワード
○「ノルアドレナリンとセロトニン」(解体新ショー)
興奮時に分泌され、心拍数や血圧を上げるのがノルアドレナリン。これに対
して抑制機能を持つホルモンがセロトニンである。
○「粘菌」(サイエンスZERO)
南方熊楠の研究で有名。単細胞の生物なのに、突然に集合して移動を開始し
たり、胞子を生成したりなどの多細胞生物のような行動を起こす。なおこの粘
菌とも心を通わすことの出来る少女が、風の谷のナウシカである。
======================================================================
今週の放送予定&期待度
───────────────────────────────────
5/27 ガイアの夜明け「巨大航空会社の苦闘〜JALは復活するか?」(テレ東系)
○相当やばい状態になってますからね、この会社は。
5/28 ためしてガッテン「あなたの知らない甲状腺の真実」(NHK)
○放射能が増えると甲状腺が一番影響を受けるって話ぐらいしか知らない。
5/28 その時歴史が動いた「養殖真珠宝石界に革命を起こす」(NHK)
○革命的技術は往々にして認めたくない者がいるものです。
5/31 美の巨人たち「岡本帰一作「コドモノクニ」」(テレ東)
○昭和になってもこういう調子の絵は多かったような気が。
5/31 サイエンスZERO「データから宝をさがせ」(NHK教育)
◎データが膨大になるとデータ処理技術が重要になってきます。
6/1 所さんの目がテン!「レスリング」
○オリンピックが近くなってくるとこういうネタが増えてくる。
6/1 ダーウィンが来た!「まるでイソップ?札幌リス物語」(NHK)
○アリとキリギリスは原作ではアリとセミだったとのことですが。
6/1 素敵な宇宙船地球号「食卓が危ない!?39%の恐怖」(テレ朝系)
◎食品の問題は今のうちに何とかしないと手遅れになる。
======================================================================
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
<<お知らせ>>
突然に話題の書籍になってしまいました・・・・。
『また「あるある」にダマされた』 三才ブックスより発売中
巷にインチキな健康・ダイエット情報が氾濫し、テレビがそのお先棒を担い
でいる時世に危機感を感じた私が、「全編完全書き下ろし」で仕上げました。
本著は「あるある大事典」での放送内容について、具体的に問題点を指摘す
ることで、巷に氾濫する誤った情報について斬っていく形式をとっています。
詳細な情報についてはこちらをご参考ください。
http://homepage1.nifty.com/sagi/book.html
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
晴耕雨読ヘッドライン
───────────────────────────────────
----------------------------------------------------------------------
鷺の主宰する時事コラムページ「晴耕雨読」
http://www.geocities.jp/ksagijp/
======================================================================
今週の一冊
───────────────────────────────────
次週までお待ち下さい。
======================================================================
展覧会レポート
───────────────────────────────────
近畿地方を中心にローカル線事情の視察を重ねてきた私だが、近くでありな
がら未だに空白区だったのが、海の向こうの四国である。四国に上陸したこと
はあるものの、鉄道で行ったのは高松まで、後はバスで徳島まで行ったことが
あるくらい。
四国の鉄道の視察を行っていたなかったのには理由がある。通常はローカル
線視察となれば青春18切符となるところなのだが、四国では青春18切符は
まるで役に立たないのである。と言うのは、JR四国の路線はその大部分が単
線非電化路線からなっており、運行本数が限定されることから、普通列車の運
行本数が極端に少ない上、特急列車をやり過ごすための時間待ちが多く、普通
列車を使用した場合には特急列車の3倍は時間がかかると言うのが四国の常識
だからである。つまりは四国を鉄道で回るためには、特急列車を普通列車の感
覚で使わざるを得ないということであり、これは旅費が大幅に増えることを意
味する。これが四国視察の最大の障害となっていたのである。
つべこべ言わず、素直に特急を利用すれば良いんだが、それだけの財力はと
ても私にはない。となれば知恵で補うしかない。こういう時は情報を調べるに
越したことはない。JR四国のHPその他諸々のサイトを綿密に調査した結果
行き当たったのが、いくつかのトクトク切符である。中には「1100円で普
通列車乗り放題」などという切符もあるが、先に説明したように特急を使えな
いことには始まらない。そのような諸条件を勘案した結果、今回は香川徳島フ
リー切符を使用することにした。この切符は香川徳島エリアの特急自由席が使
用できて2日間有効で6000円という代物。とりあえず四国地域視察の最初
としては、かって知ったる香川・徳島から始めようというところである。さら
に綿密なる計画策定の結果、出発地点は徳島と決定され、徳島までは高速バス
を使用することにした。
当日の朝はまず高速舞子まで移動、そこから徳島行きの高速バスに乗車する
。時間がまだ早いせいか乗客は数人程度でかなり空きがある。ここから1時間
以上のバスの旅だが、早朝出発の疲れのせいで淡路島に上陸すると間もなく眠
りに落ちる。次に気が付いたのは大鳴門橋の手前だった。そこから30分ほど
でバスは徳島に到着する。
徳島に到着するとそこで市バスに乗り換え。このルートはなぜか途中で乗り
換えがあるために無駄な時間ロスがあるが、それでも30分ほどで目的地に到
着する。
──────────────────────
「大正ロマン昭和モダン展−竹久夢二・高畠華宵とその時代−」
徳島県立近代美術館で6/22まで
大正から昭和にかけては、いわゆる「モダン」な挿絵が流行った時代である
。この時代にもてはやされた竹久夢二、高畠華宵を中心に、この時代を物語る
挿絵作品を展示したのが本展である。
日本画には浮世絵の流れの美人画があり、いずれの画家もこの時代の画家は
その流れの影響を受けている。竹久夢二の場合は特にそれが顕著だが、高畠華
宵辺りになるとかなり洋画的要素が強まっているようである。その混淆度合い
がいかにも昭和初期の空気を感じさせる。
本展はあくまで大衆アートであるので、よく言えば庶民的、悪く言えば下卑
た雰囲気がある。それをどう捉えるか。単純にレトロムードを楽しむというス
タンスでも間違いはないが。
──────────────────────
とりあえず徳島地区の美術館を攻略すると、徳島駅までとんぼ返りして昼食
に弁当を購入。さてここからいよいよ「鉄道で回る徳島・香川の旅」じゃなか
った・・・「徳島・香川地域JRローカル線現状視察」の開始である。
まずは徳島から阿波池田までよしの川ブルーラインこと徳島線での移動。こ
こでは特急剣山を使用することにする。私が乗車した剣山は3両編成で、先頭
車両と最後尾車両の一部が自由席。2両目に増結されたアンパンマン車両と最
後尾車両の一部が指定席である。車両は回転クロスシートのキハ185型気動
車。言うまでもなく全線単線非電化路線である。
乗客の少ない時間帯なのか、乗車率は2割以下という状況で、自由席でも余
裕で座席を確保できる。運転席のフロントビューが見える窓際の席(前から2
列目)という好位置を確保すると、いきなり先ほど徳島駅で購入した弁当(阿波
地鶏弁当1000円)をあける。ちなみにこの弁当、私が購入したのはおかず
付の方だが、おかずなしで800円のものもある。朝からコンビニおにぎりを
2個ほど食べただけなので、すきっ腹に鶏飯が心地よい。味付け的にも濃すぎ
ず薄すぎず、日本人ならしっくり来る味である。
やがて列車はゆっくりと発車する。高架駅の佐古を通過するとそこで高徳線
と別れて西進する。よしの川グリーンラインという名称から、吉野川沿いを走
行するのかと思っていたのだが、実際には山を遠くに見ながら田園地帯を走行
する路線である。途中からようやく右手に吉野川が見えてくるが、結構距離が
あって川の風景を楽しむという雰囲気ではない。
そこで昼食パート2とすることにする。ここで私が取り出したのは、徳島駅
の地下で購入した小鯛寿司(682円)である。どうやら徳島名物には鯖寿司な
どもあるらしい。ただ私は鯖があまり得意ではないので、小鯛寿司を選択した
次第。適度に酢が効いていて心地よい。
寿司を食い終わった頃から、ようやく線路が吉野川に近づいてきて、車窓の
風景が楽しくなってくる。上流に近づくにつれて岩が多くなってきて、この川
が大歩危・小歩危につながっているということを思い起こさせる。やがて右手
に箸蔵山のロープウェーが見え、眼下に大きな集落が見えてくるとそこが阿波
池田である。
剣山はここが終着駅。ここで乗り換えである。ここからさらに吉野川上流に
遡ると、奇岩の渓谷で知られる大歩危・小歩危に到達するが、阿波池田−大歩
危間に季節限定で週末に1日2往復のトロッコ列車が運行されている。今回利
用したフリー切符のエリアはちょうど大歩危までであり、この際だからトロッ
コ列車に乗っておこうという計画である。やはりローカル線の実力を測るには
沿線の観光資源についても調査しておくことは不可欠である。私は決して軽々
しい物見遊山にやってきたのではない・・・ということにしておこう。
トロッコ列車は二両編成。先ほどの剣山と同型車両であるキハ185にトロ
ッコ車両を連結している。ちなみに下り方向では1両目がトロッコ車両になる
ので、このトロッコ車両には運転設備が備わっている。阿波川口までは2両目
の客車に乗車し、阿波川口から指定席券を持っている乗客だけがトロッコ列車
に移動できるという仕組み。今回の遠征について、数ヶ月前から綿密かつ完璧
なスケジュールを組み立てている私は、当然のことながら事前に指定席券は確
保済みである。トロッコ車両に移るとまもなく車掌が検札に回ってきて、乗車
証明証を手渡ししてくれる。意外に乗客は少なく10人程度。青春18シーズ
ンと違うせいか、いわゆる鉄道マニア風の乗客はおらず、普通のカップルの観
光客が多い。
トロッコ車両は当然ではあるがふきっさらし。いきなり長いトンネルに突入
するが、風が肌寒い。トロッコ車両は冬は運行が停止されるのだが、今更なが
らその理由を痛感。今日は五月にしてはかなり暑い日であると思うのだが、そ
れでもトンネルを出る頃には少々からだが冷えてしまった。
トンネルを抜けた途端に、乗客の間から「おーっ」という声が上がる。そこ
に見えるのは奇岩がゴロゴロした壮観な渓谷の風景である。山がそこに迫って
くるぐらい近く、見下ろす渓谷は呆れるほど深い。その急斜面や山水画の世界
である。列車はビューポイントでは速度を落としながら風景を堪能させてくれ
る。
列車は次の小歩危駅で通過車両をやり過ごすために数分停車。これが乗客の
カップルたちには格好の記念写真タイム。男の一人旅が記念写真を撮っても仕
方ないので、私はもっぱら風景写真に専念。この辺りは観光開発も進んでいる
らしく、ホテル類が多い。また温泉もあるようなので、いずれこのあたりで一
泊してみても良いかも・・・。
なお一緒にトロッコ列車に乗ってくれる女性については募集中である。条件
は年齢20〜40歳ぐらい、職歴・経験不問、「家付き、カー付き、ジジババ
付き」でOKで貧乏に強い人。以下、些細な条件は要面談。われと思わん方は
ご連絡ください・・・って、こんな条件で希望者なんているかっての!
小歩危で後続の南風をやり過ごすと、再び列車は大歩危に向けて出発。途中
で吉野川を越える橋などのビューポイントも通過する。ただ一つ問題点は、こ
の路線は結構トンネルが多いのと、周辺に樹木が多かったりするなどして結構
視界が遮られることが多いこと。障害物の間から断続的に風景が見えるという
ようなもどかしさがあり、また邪魔な電線もあったりなど、写真撮影は非常に
困難である。やはりこの渓谷の絶景を堪能するには川下り船などが一番良いの
かも知れない。
阿波池田から40分弱の列車の旅で大歩危駅に到着。ここで高松方面行きの
南風に乗り換えて今来た道をUターンである。到着した南風はN2000系の
気動車である。キハ185系と同様の回転式クロスシート車両。4両編成にも
かかわらず乗車率は高く、なんとか座席を確保する。このN2000系は振り
子機能を持っており、山間のカーブの多い土讃線を高速で走行するために設計
されている。先ほどトロッコ列車でゆっくりと通り抜けた大歩危渓谷を高速で
一気に走り抜けてしまう。最大5度まで傾斜をするとのことだが、車窓を眺め
ていると派手に上下に地平線が揺れまくる。阿波池田を抜けるとそこからは左
右のカーブの多い山間地域なのだが、右に左に豪快に車体を傾けながら、高速
で突っ走るN2000系は私のようなディーゼル車好きにはたまらないものが
ある。なかなか痛快である・・・っていかん、まるで鉄道マニアみたいなこと
を言い始めている。
山地を抜けて平野部に出ると、今年の初めに訪問した琴平に到着。ここから
は電化路線なので路線には電車も混ざってくるが、南風はそこをお構いなしで
高松まで疾走する。もっとも私は今回は丸亀で途中下車である。先日琴平に訪
問した際に強烈なインパクトを受けた丸亀城を是非とも今回は訪問しておきた
いと思っていたのである。
麓から見上げる丸亀城は壮観である。やはりこれだけ高い石垣は見たことが
ない。丸亀城はそもそもはこの位置にあった山を利用して作られた平山城だと
いう。ただこの山が完全に孤立した状態にあるので、まさに平地の中にそそり
立って見えるのである。また石垣を作ることで自然の山にはあり得ない急な傾
斜ができあがるから、余計にそそり立って見える。なお希に石垣は内部まで石
を積み上げているかのような勘違いをしている者がいるが、石垣とはそもそも
は土砂を積み上げた表面を石で覆うことで土砂の崩落を防いで、単に土砂を積
み上げただけでは建造することが出来ない急斜面を作るものである(急斜面の
方が防衛上好都合であるのは言うまでもない)。この丸亀城はまさにこの石垣
の機能を最大限にうまく使っている。
重要文化財という一の門を見学すると、いよいよ天守に向かって登山である
。天守台に上る道は整備されているが、とにかく急な坂道である。身軽な状態
なら良いのだが、生憎と一泊用の装備や図録を背負っている状態で、荷物だけ
で数キロはある。天守台まで登り切った時には息も絶え絶えである。とりあえ
ず伊右衛門で水分補給。
当然ではあるが天守台もついでに見学する。ここの天守は非常にこじんまり
としているが、日本で数少ない木造の現存天守であり、重要文化財に指定され
ている。姫路城にしても松江城にしても、木造の現存天守はいずれもそうであ
るが、ここも階段が非常に急で恐い。しかもここまでの上り坂で足が完全に死
んでしまってグラグラになっているだけに、余計に怖さが増す。転落しては洒
落にならないので、手すりに捕まりながら一歩一歩慎重に上り下りすることに
なった。なおこじんまりした天守だけに、内部にはさして見るほどの展示もな
い。ただ石垣の高さ日本一と言われる城だけに、天守台からの眺めは抜群であ
る。遙か先には瀬戸大橋や岡山まで一望できる。これは非常に気持ちがよい。
丸亀城の見学をすませると、再び徒歩で駅まで移動する。それにしても気に
なるのは、丸亀駅前の寂れ具合である。特に駅前商店街は壊滅的状況で完全に
シャッター街と化してしまっている。丸亀には丸亀城のようなすばらしい観光
資源があるにもかかわらず、町の衰退を食い止められていないようである。こ
のような地方の荒廃が各地で起こっているのである。やはり日本各地の活力を
一人で吸い上げてはまるでガン細胞のように無秩序に巨大化している東京を、
早急に解体する必要があるということを痛感するのだった。
丸亀駅に到着すると、アンパンマン塗装をした8両編成のN2000系車両
が到着する。前の2両は高松行きの特急いしづち、後ろの6両が岡山行きの特
急しおかぜで、次の宇多津で切り離しになるとのこと。私はこのいしづちに乗
車して高松に移動する。なお予讃線は高松−伊予市間が電化されているので、
特急いしづちには新鋭電車の8000系もあるはずなのだが、今回の視察では
残念ながらこれを目にすることはなかった。
高松駅に到着するとバスでホテルまで移動。今回宿泊するのは先週にオープ
ンしたばかりというドーミーイン高松。ドーミーインの経営母体は温泉施設を
経営しているだけあって、このチェーンのホテルは大浴場にこだわりがあるの
が特徴だが、ここも人工温泉の大浴場があって一泊4900円。立地は繁華街
のど真ん中で至便、また部屋にはシャワーはない(大浴場があるので不要)が一
渡りの設備は整っている。また部屋の照明が明るいのと、洗面スペースがトイ
レとは別になっているのは私好み。料金が安いにもかかわらず、私のツボを非
常に良く押さえたホテルである。
ホテルに入るとまずは大浴場で汗を流し、そのまま夕食のために街へ繰り出
す。とは言うものの、夕食を摂る店については全く何の計画も情報もなしであ
り、ここは自分の嗅覚に従うのみ。結局、なかなかツボにはまる店がなく、高
松の繁華街を南から北まで巡回してしまう羽目になるが、ようやく繁華街の北
の端に近いところ(高松市美術館の近く)で、私の嗅覚にビビッとくる店を見つ
ける。
今回夕食を摂ったのは「天麩羅の店天銀」。とりあえず天麩羅のコース(1
500円)を注文する。まずは皿とご飯と漬け物(これがうまかった)としじみ
汁(これもうまかった)が出され、後は天麩羅が一品ずつ出るという形式。魚介
類がイカ、キス、穴子、エビ2本、貝柱、野菜類がシシトウ、ナス、レンコン
といった内容。オーソドックスな天麩羅であるのだが、揚げ方が絶妙(貝柱の
硬くなりすぎず生でもなくという具合は見事だった)で、揚げ油も東京などに
多い下品なごま油と違ってさっぱりしている。
なおこの店は天麩羅がメインではあるものの、それ以外の料理もあるようで
ある。天茶なんかもあるようで興味深いが、今回はコースを食べてしまってい
るのでそれはさすがに無理。そこで店主に適当に一品お任せでお願いする。
そこで出されたのが「白クラゲの酢の物」。私は今までクラゲなんて美味し
いと思ったことはないし、酢の物もそんなに好きではないのだが、これについ
ては絶妙。クラゲのコリコリとした食感が心地よい上に、またさっぱりとした
口当たりが天麩羅を食べた後には非常にさわやか。中にはこれを指名で注文す
る常連もいると店主が言っていたことにも納得の絶品。これは良い店を見つけ
たものだと、私の嗅覚もまだ地方では通用するらしいことを確認した(どうも
関東圏では惨々なのだが)。以上で合計2000円、納得の夕食であった。ち
なみにどうやらここが高松では結構評価の高い天麩羅屋であるらしいことを知
ったのは、私がホテルに帰ってからであった。
なおこのホテル、繁華街の近くという立地は申し分ないのだが、一点だけ難
点は近所にコンビニが見あたらないこと。繁華街のど真ん中というのが災いし
たか(コンビニは繁華街よりも住宅街の合間の方が多い)。もっとも四国はコン
ビニ自体が少ないという話も聞いたことがある。結局この後にコンビニを探し
てまたも高松市街をうろつく羽目になってしまった。この日は丸亀城登山と高
松繁華街周遊ウォークで2万歩を超えてしまったのである。おかげで疲労が溜
まって、この夜は「サイエンスZERO」を見ている最中に眠りに落ちてしま
う。
翌朝は起床すると「目がテン」とNHKの「おはよう日本」をチェック(私
の贔屓の首藤奈知子アナは、この春から週末担当に異動している)、その後は
朝風呂を浴びに大浴場へ。朝から入る露天風呂(と言っても空が見えるだけだ
が)がまた格別である。
風呂をすませると朝食のために食堂へ。このホテルはありがたいことに49
00円で朝食付きであり、この辺りも私のニーズにガッチリである。なお朝食
のメニューはいかにも香川らしく讃岐うどん。温うどんと冷うどんを選べるが
、温うどんのつゆがどうにも間に合わせなところもいかにも讃岐うどん(私の
讃岐うどんに対する一番の不満点はこれ)。ただ朝食自身は結構うまく、朝か
ら力が入る。実に私のツボを押さえたホテルである。美味しい和食の店があり
、ニーズに合致したホテルがあり、これで私も高松にも拠点が出来たかな・・
・と思ったが、よくよく考えると高松に宿泊することなんても、そんなにある
とは思えない。
この日はまずは高松市美術館を回る予定なので、開館時間に合わせて9時過
ぎまでホテルでまったりしてからチェックアウトする。今までホテルのチェッ
クアウトと言えば7時までというのが多い私(一番早いのは5時というのがあ
った)としては、いつもと違ってゆったりモード。やっぱりたまにはこんな余
裕もないといけないな・・・。
──────────────────────
「印象派の巨匠ピサロ ―家族と仲間たち― 展」高松市美術館で5/18終了
印象派の中心画家の一人にあげられるカミーユ・ピサロ。彼は独特の明るい
色彩の絵画で知られているが、彼の息子達も彼の影響で芸術の道を歩んでいる
。そのピサロと彼の息子達の作品を展示した展覧会。
展示作の中にはピサロの点描作品もあるが、ある意味ではこの作品がもっと
も印象派らしい作品のように感じた。色彩の鮮やかさが抜群である。ただこの
技法は目の悪いピサロにはかなり負担だったらしく、以降の作品ではもっと普
通の描き方になっている。そのような作品の場合、本展の冒頭部分に展示され
ているミレー、コローなどバルビゾン派の絵画の影響が顕著に現れることにな
る。こういうところを見ていると、ことさらに技法を追究した画家ではないよ
うである。
なお彼の息子達であるが、確かに父の才能を受け継いではいるが、それを超
えてはいないというのが正直な印象。特に長男の作品などは、父以上に保守的
に見えた。
──────────────────────
高松市美術館を訪問した次は、高松城を見ておいてやろうという気になる。
そう言えば高松城の裏手に歴史博物館があったはず・・・と訪問したら、なに
やら香川県立ミュージアムなる施設に名称変更していた。
──────────────────────
「静かなる情熱−藤川勇造とロダンの美」香川県立ミュージアムで5/18まで
高松出身の藤川勇造はロダンに師事して、彼の工房で助手を務めたことのあ
る彫刻家である。その藤川の作品やロダンの作品、また日本の代表的彫刻作品
などを展示してある。
正直なところ、藤川の作品以外は以前に「ロダン展」や「日本彫刻の近代展
」で見たことのある作品が多く、あまり目新しいものはない。なお藤川の作品
については確かに初期の作品においてはロダンの影響が顕著である。やがてそ
れを脱していくのであるが、そうなると今度は今一つ個性が希薄なところがあ
り、なんとなく印象が薄い。そもそも彫刻は守備範囲から若干ずれている私を
唸らせるような作品は、残念ながらなかった。
──────────────────────
香川県立ミュージアムではこれ以外にも歴史展示についても行っており、こ
ちらは香川の原始時代から現代までを学べるようになっている。じっくり腰を
据えて見て回ればそれなりに楽しめそうであるが(県立の歴史系博物館は大抵
そうだ)、残念ながら今回はそこまでの時間はなかった。
香川県立ミュージアムを出た後は高松城を見学。高松城は瀬戸内海から水を
引いて巡らした堀が防御の要の、典型的な水城である。かつての領域は今の高
松市街の大部分に及んだとか。高松城城主は松平氏であったと言うことなので
、親藩として四国の押さえについていたのであろう。高松の地が古来より瀬戸
内の要衝であったことを証明している。なお天守については明治時代に老朽化
のために解体され、残存していた門などもあのアホな戦争で焼失し(米軍によ
る空襲によって実に高松市街のほとんどが焼失したという)、現在は城跡しか
残っておらず、それらの領域は公園となっている。なお目下高松市では、天守
の復元を目指して資料を収集中とのこと。もし往時の高松城天守閣の写真や図
面等を所有している方がいれば、資料を提供したら喜ばれるだろう。なお私が
訪問した時には、天守台の石垣の修繕とのことで大規模な工事中であった。
高松城の見学が終わった頃にはお昼前、次の目的地への移動のために高松駅
に移動。列車の時刻までに余裕がないので、とりあえず昼食に弁当を購入して
、徳島行きの特急うずしおに飛び乗る。ここから高徳線で出発点であった徳島
に一端移動した後、鳴門線で最終目的地である鳴門に移動するというのが今日
の予定である。
特急うずしおは例によってN2000系車両。今回の遠征はつくづくこの車
両と縁がある・・・というか、JR四国の特急用主力車両がこれであるからな
んだが。3両編成の最後尾の自由席車両に座席を確保、後は徳島まで列車の旅
・・・となったところで先ほど購入した弁当を取り出す。今回購入したのは「
讃岐路牛めし(870円)」である。今回の遠征では2日続けて昼食が駅弁にな
ってしまい、まるで「四国一周駅弁の旅」みたいになってしまっているが、実
はJR四国でも駅弁業者の撤退が相次いでおり、今や駅弁が残存するのは数え
るほどだとか。鉄道の廃線だけでなく、こういうところでも風情がなくなって
いっているのは悲しい次第である。ちなみに私は、この四国の駅弁を制覇する
つもり・・・なんて当然ながらさらさらない。私は鉄道マニアではないし、ま
してや駅弁マニアでもない。今回はあくまで「移動時間を最大限優先し、食事
の時間はなるべく短縮」という遠征時の鉄則と、特急列車での移動という条件
が合わさった結果である(さすがにテーブルのない普通列車の中では弁当は広
げにくい)。
高松駅を出発した列車は、しばらく高松市街を一周するが、すぐに山間部に
突入する。路線図で見た高徳線のイメージは海沿いの列車と思いがちだが、実
際にはごく一瞬だけ海が見える部分があるものの、大半は山間部で、特に三本
松をすぎた辺りからはかなり深い山岳部となり、振り子列車が左右に豪快に車
体を揺らしまくるという状態である。そしてその山岳部を抜けて平地に出た頃
には徳島はもうすぐそこである。
徳島駅に到着すると、ここで鳴門線の車両に乗り換え。先ほどの特急列車と
はうってかわって、急に一両編成のワンマン車である。調べたところによると
、キハ47系という70年代末から80年にかけて製造されたかなりの老朽車
のようだ。内部はセミクロスシートであるが、JR西日本のローカル線でよく
見るキハ120のようなレールバス系と異なるのは、車長がかなり長いこと。
かなり大型な車両なので、これが一両だけ走るのは、近畿在住の私の感覚とし
てはどうも奇妙な光景である。
鳴門線は全線単線非電化路線。また実際の鳴門線は池谷からで、徳島から池
谷までは高徳線を走ることになる。運行頻度は毎時1本程度だが、私が乗車し
た時には乗車率はかなり高く、多くの立ち客がいるような状態だった。鳴門−
徳島間の輸送は既にかなりが路線バスに食われていると聞いていたが、それで
もまだ需要はそれなりにあるようだ。
沿線はのどかな郊外という雰囲気で、四国内では見慣れた風景でありあまり
珍しさはない。ただ池谷までの高徳線では特急の通過待ちが多く、やたらに停
車時間が長い。確かにこの調子で運行していれば、特急の3倍の所要時間がか
かるというのも納得。ややくたびれたロングシートの感触といい、今回の遠征
では終始特急の回転式クロスシートばかりに乗車していたのに比べると、何と
なく落ちぶれたような気持ちにとらわれる。人間、生活水準の上昇は簡単に出
来るが、その逆は落ちぶれたという気持ちにさいなまれて実に困難であると聞
いたことがあるが、何となくその気持ちが分かったような気にもなる。
池谷をすぎるとそこから鳴門線だが、鳴門線本体自体はたった8.5キロの
盲腸路線である。20分弱で鳴門に到着する。鳴門駅に到着すると西の方の小
高い山(妙見山)の上に城のような建物が見える。そこが次の目的地である。駅
前を徒歩で通り抜けると橋を渡って古い住宅街を突き抜ける。どことなく郷愁
を誘うような街並みであり、昭和を強く感じさせる。ただ町全体としての活気
が今一つ感じられないのが心配。やがて山の麓にたどり着くと、そこからは見
上げるような石段が歓迎してくれた。どうも私の四国遠征は石段とは切っても
切れない関係にあるようである。
ここは無理をせずにゆっくりと石段をアタックと思っていたのだが、思わぬ
身体のトラブルがそれを許さない事態となってしまった。ここで急に尿意を催
してしまったのである。周囲を見渡してもトイレらしいものはない。かといっ
て、そこらに排泄するのは文明人たる私としてはしたくはない。山頂に行けば
多分トイレがあるだろうと判断し、結局は最大スピードで石段を登る(と言っ
ても、荷物も重いし体力もないしで、駆け上がるというわけにはいかないが)
羽目になってしまったのだった。あの琴平とは比べるべくもないが、それでも
目の前に次々と現れる石段に気が遠くなりそうになりながら、なんとか山頂に
たどり着いて(トイレに駆け込み)人心地ついた時には、当然のように両足はガ
クガクになっていた。これは後でツケが来そうである・・・。
麓から見えていた城のような建物は今は目の前に建っている。実はこれは鳥
居記念博物館という博物館で、鳴門出身の人類学者・鳥居龍蔵の功績を記念し
て建設されたものである。内部には鳥居龍蔵による調査資料などが展示されて
いるが非常にマニアック。はっきり言って人類学には興味が皆無の私には意味
不明の資料ばかりである。最上階からは鳴門の風景を一望できるので展望台と
しての価値はあるのだが・・・。なおこの妙見山頂上にはかつては蜂須賀氏に
よって岡崎城という城が築かれていたのだそうだ(地形的に見て、この山頂に
城がなかったはずはない)。ただしその位置は現在の博物館の位置と微妙に違
うとのことだし、そもそも岡崎城には天守はなかったので、この建物の外観に
ついては歴史的根拠は皆無である。
なお現在各地にある天守閣の中で、一番ありがたみがあるのは姫路城や丸亀
城の天守のように当時のものがそのまま残っているもので、これは現存天守と
呼ばれて現在全国で12カ所のみ存在し、いずれもが国宝もしくは重要文化財
に指定されている。なおこれ以外では、戦災などで失われた天守をなるべく往
時の姿を再現するように再建した復元天守(名古屋城、岡山城など。多分高松
城もこれを目指している)、また大阪城のように往時の姿とは異なるものの天
守があったことが確実であるところに天守を建てたものを復興天守と呼ぶそ
うだ。なおこの岡崎城のようにそもそも天守なんてなかったところに天守を
建てたものは模擬天守と呼ぶとのこと。口の悪い者なら「なんちゃって天守
」などと言う場合もある。これよりすごいものとしては、そもそも城さえなか
ったところに城を建てる例。こういう「とんでも天守」についてはウィキペデ
ィアでは天守風建造物と分類してある。
なお誤解を招かないように言っておくが、私は城オタクではないが、城郭好
きではある。城郭好きの私としては、この類の「なんちゃって天守」は実は勘
弁願いたいところである。中には源平時代の城跡に戦国末期の形式の天守を建
ててしまったなんていうとんでもない例もあり、ここまで来るともはや遺跡で
はなくて単なるテーマパーク。歴史マニアとしては興ざめも甚だしいのである
さてこの「なんちゃって天守」を後にすると、ようやく次が最終目的地。そ
こはこの天守から若干下った位置にある。
──────────────────────
鳴門ガレの森美術館
アールヌーヴォーを代表するガラス工芸家であるエミール・ガレの作品を展
示した美術館。ガレのデザインになるランプなどの作品が展示されている。
ガレの作品についてはある程度は工房において量産されていることから、実
はガレの作品を展示した美術館は全国には数多い。その中では本館はどちらか
と言えば小規模な方に入ると思われる。展示作品についても、以前に名古屋の
大一美術館や長野の北澤美術館で見たものの方が印象的なものがあり、美術館
としてもガレの陶芸作品にターゲットを絞った松江の北堀美術館の方が独自性
を感じた。
──────────────────────
私が訪問した時は他に入場者はいない状態で、果たしてこの美術館は大丈夫
なのかと心配になったのだが、どうやらガラス工房などもあるようで、そちら
が本業といった雰囲気。確かにそうでないと経営はしんどそう。
これで今回の遠征のスケジュールはすべて終了した。後は来た道を引き返す
と、先ほどの石段を今度は駆け下り、鳴門駅から路線バスで高速鳴門バス停に
移動、そこから高速バスで帰宅の途についたのだった。なお先日の往路のバス
はガラガラだったが、今日の復路のバスは日曜の夕方というせいか満員で、補
助席に乗車する乗客も出るぐらいであった。往路のバスに乗った時には、これ
でこの路線の採算は合うのか心配になったのだが、どうやらトータルでは採算
は取れているようである。
なおこの日はやはり妙見山ウォーキングが効いて16000歩を数えていた
。そして私の予想通り、このツケは見事に翌日に私の両足に襲ってきたのであ
った・・・。
──────────────────────
──────────────────────
先週は四国を回ってきたが、トロッコ列車で風を浴びすぎたというわけでは
ないと思うのだが、翌週半ばから体調を崩して寝込んでしまう羽目になってし
まった。週末にはようやく社会復帰したが、まだ体調に自信が持てない状態。
こういう時は無理をしないで近場をぶらっと回るに限る。
と言うわけで、今週は昼過ぎに車で家を出て神戸まで。とりあえずは車を大
丸の駐車場に停める・・・のだが、毎度のことながらこの駐車場は大分遠くか
ら長蛇の列である。幸いにして客の入れ替わりの時間帯だから、出ていく車待
ちという事態はなかったが。
──────────────────────
「ルーブル美術館展−フランス宮廷の美」神戸市立博物館で7/6まで
フランス宮廷文化の最盛期と言えるのが、18世紀頃である。ルイ15世の
頃に花開いたロココ文化は、ルイ16世−マリー・アントワネットの時代辺り
から新古典主義へと転じていくわけであるが、この時代には豪華な装飾品の類
がもてはやされた。そのような宮廷文化をうかがわせる品々を展示したのが本
展である。
東京開催時には「ベルばらチケット」なるものが発売されたと聞くが、確か
にちょうどベルばらの時代にあたる。展示物も豪華華麗な装飾品中心で、絵画
についてもフランソワ・ブーシェなどの美しくて華麗なものが中心である。女
性の大好きな光り物が多いせいか、来場者の大半は女性というところに本展の
性格が端的に表れている。なお展示品に装飾品は非常に多いが、宝飾品はそう
多くない。
本展のポスターには「ようこそセレブの世界へ」と書いてあるのだが、確か
にこのキンキラキン具合と華麗ではあるが精神的深みがないというところは、
まさしくセレブの世界そのものだろう。そもそも「人間とはいかにあるべきか
」などといった深い問いかけはセレブには無縁のもので、これは貧乏人に固有
のものである(もっとも貧乏の度が過ぎれば、そんなことを考える余裕さえも
なくなってしまうが)。野次馬的興味で装飾品を楽しむも良しである。
──────────────────────
「小磯良平と東山魁夷展」大丸神戸で5/25終了
上品でモダンな洋画で知られる小磯良平と、日本の風景を描き続けて国民画
家と言われた東山魁夷は、共に神戸にゆかりのある人物である。その二人の作
品を集めた展覧会。
小磯良平の作品は小磯記念美術館や兵庫県立美術館でよく見ているし、本展
の出展作も両館の所蔵品が多いので個人的にはあまり目新しさはない。また東
山の作品についても、つい最近に東京で「東山魁夷展」を見てきた直後となれ
ば、どうしても見劣りする感は否めない(実際に大作は少なかった)というわけ
で、しんどい印象になってしまうのはなんともしがたいところ。
──────────────────────
美術館をざっと見て回ったところで、大丸で簡単に昼食を摂り、後は地下で
神戸土産の定番、ユーハイムのフランクフルタークランツ&バームクーヘンを
買い込む。実は今日はこれを買いにきたようなものかも。なお大丸駐車場は、
3000円以上購入で2時間無料なので、これは駐車場代の代わりともいえる
わけである。駐車場から車を出すとさらに一軒だけ足を伸ばす。
──────────────────────
「南画って何だ?!−近代南画 日本のこころと美」兵庫県立美術館で6/8まで
南画と言えば、我々が一般にイメージする中国の山水画である。南画とはそ
もそも、江戸時代において狩野派の定型的表現に反発した画家が、南宋画など
を参考にして独自に確立した分野である。その後、いわゆる文人画として画壇
の一潮流を形成する。しかし狩野派の定型的表現に反発したはずが、その狩野
派以上に表現が定型化する傾向が現れたためか、明治以降は衰退しかけたので
あるが、新たな試みと共に復活し、結局は今日まで日本画の底流の一つとして
息づいている。
本展では南画の祖とも言える池大雅、与謝蕪村などの作品から始まり、巨匠
・富岡鉄斎、奇才・水越松南、さらには村上華岳へとつながるのだが、最後は
洋画家の梅原龍三郎にまで南画の影響を見いだしている。
似たような絵ばかりなのであるが、微妙に個人による差があるのが面白い。
池大雅や与謝蕪村はさすがの風格があるが、それ以外では谷文晁が印象に残る
作品を描いていたのと、浦上春琴の繊細なタッチ、そして富岡鉄斎の自由奔放
な境地はさすがである。なお本展のメインは水越松南と村上華岳なのだが、松
南には才を感じるものの私の趣味ではなく、華岳は私には少々退屈である。華
岳の作品の中では、最初期の熊を描いた作品が四条派的色彩が強く、華岳らし
くなくて印象にのこったぐらい。
──────────────────────
以上で今週の遠征は終了である。それにしても近場とはいえ、車で動くとや
はり金がかかる。最後まで列車にしようか迷った挙げ句に、今回は体調が万全
でないことから車を選んだのだが・・・。来月からはガソリンが170円を超
えるとかいう話もあるし、こうなるといよいよ車での遠征は不可能である。
破れ奉行の速水右近辺りが、ガソリンの価格をつり上げている悪徳ファンド
共をバッタバッタと切り捨て御免でもしてくれないかと思う今日この頃。
──────────────────────
<連絡>
この度、新しいHPを立ち上げました。その名は「私的美術館紀行」。
今までに掲載した展覧会レポートを中心としながら、さらに新しい情報を付
け加えたページです。私が遠征のために集めた各美術館の展覧会スケジュール
データなども掲載しております。
URL http://www.b-kikou.com/
======================================================================
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
<<お知らせ>>
現在、超話題の書籍ということだそうです・・・。
『また「あるある」にダマされた』 三才ブックスより発売中
巷にインチキな健康・ダイエット情報が氾濫し、テレビがそのお先棒を担い
でいる時世に危機感を感じた私が、「全編完全書き下ろし」で仕上げました。
本著は「あるある大事典」での放送内容について、具体的に問題点を指摘す
ることで、巷に氾濫する誤った情報について斬っていく形式をとっています。
詳細な情報についてはこちらをご参考ください。
http://homepage1.nifty.com/sagi/book.html
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
======================================================================
あとがき
東京に続いて四国遠征を実行したのですが、これは私の財政と共に体力をも
破綻させてしまいました。おかげで先週は途中から完全に寝込んでしまい、先
週号の発行が不可能になるという事態に及んでしまいました。で、本来なら先
週号に掲載されるはずの四国遠征記が、今週号の神戸巡りの前にひっついてい
るという次第です。
教ドキュWeekly 発行者 鷺(さぎ) sagi@yo.rim.or.jp
---------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000125100.htm
---------------------------------------------------------------------


![転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出 転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/sya.gif)
![派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報 派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/haken.gif)
![アルバイト探しは[en]本気のアルバイト アルバイト探しは[en]本気のアルバイト](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/baito.gif)
![就職サイトは[en]学生の就職情報 就職サイトは[en]学生の就職情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/gakusei.gif)
![転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に! 転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に!](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/consul.gif)