2007/01/05
こころのともしび(第41号)
■─────────────────────────────────┐ ☆ ☆ ☆ こころのともしび【第41号】 ------仏教の教えより------- ☆ ☆ 2007.1.5 ☆ └─────────────────────────────────■ --------------------------------------------------------------- ■鈍海のちょっとコラム 因果応報(いんがおうほう) ■ごあいさつ ■編集後記 --------------------------------------------------------------- --------------------------------------------------------------- ■鈍海のちょっとコラム 因果応報(いんがおうほう) --------------------------------------------------------------- 昔、インドの或る町の片はずれの貧しい農家に、一人のお婆さんが住んで いました。若い頃に夫に死に別れ、必死に働いて一人の息子を育て、 嫁さんをもらいました。 そして、幸せに暮らすはずだったのですが、最初のうちは大事にしてくれた 嫁さんは、年月が経つうちにだんだんお婆さんを邪魔者扱いするようになっ たのです。 お婆さんはもともときれい好きで、家の中などきちんと整頓していましたが、 嫁さんは不精屋で、家の中は散らかり放しであったことも一つの原因でした。 又、お婆さんが情け深い性質で、困っている人を見ると捨てておけず、 色々と施しをするのも気に入りませんでした。賢いお婆さんは、嫁さん との衝突を避けるためボケたまねをしていました。 そうすることによって、二人の間にかもし出される とげとげしい空気を 和らげる効果があることを知っていたからです。 家は相変わらず貧しかったので、嫁さんはお婆さんに食べさせるための お金が惜しくなりました。ある夜のこと、夫である息子に「お母さんはボケ て私には面倒が見切れません。どこかへ行ってもらいましょう」ともちかけ ました。 驚いた息子は、「どこかへ行ってもらうってどうする気なのだ」と聞きました。 嫁さんはお婆さんの世話の大変なことを、有ること無いことつき混ぜて 涙声で訴えるのでした。 始めのうちはそんなことが出来るかと思って聞いていた息子でしたが、 幾晩も幾晩も聞かされているうちに、だんだん釣り込まれてその気に なってしまいました。 そしてとうとう森の中の空き地に穴を掘って、その中でお婆さんを焼き 殺してしまうという 恐ろしい相談がまとまったのです。二人は前もって 森の中に大きな穴を掘り、枯れ木を集めてその中に入れておきました。 或る夜、二人はお婆さんに「よいお医者さんに診てもらおう」と言って 森の中に連れだし、穴に突き落として枯れ木に火をつけてしまいました。 必死に抵抗したお婆さんでしたが、何といっても年寄りで、二人相手には かないません。あっと言う間に穴の中は火の海になりました。 「死んでたまるか」とお婆さんは穴の周囲をたたきながら逃げ回りました が、火と煙が迫ってきます。ところが不思議なことに、たたいた穴の淵の 一箇所が崩れ、かがんで通れるくらいの穴がぽっかり空いたではありま せんか!お婆さんは無我夢中でその穴へ逃げ込みました。 中は立って歩けるくらいの高さでどこかへ続いています。助かった!と ばかりにずんずん逃げて行きますと、しばらくして地上へ出ることが出来 ました。 だいぶ離れたところに、さっきの穴で燃えているらしい火と煙がうっすら と見えます。「くわばらくわばら」とばかりにそこから離れると、近くに 洞穴があります。「今夜はここに隠れて休むことにしよう」と決めた お婆さんは、こわごわ暗い洞穴の中に入ってみました。 何かずいぶん足場が悪いので、高い方に上がって窪みに体を横たえ ました。うとうととまどろんでいたお婆さんは、がやがやと話しながら 灯りを持って洞穴に入って来た男達の声にはっと目を覚ましました。 その窪みはちょうど下からは影になって、みつかる心配はないようです。 聞くとも無しに男達の話を聞いていると、彼らは盗賊団の一味で、この 洞穴は盗み出した品物の隠し場所だったのです。見つかれば殺されるに 違いありません。 お婆さんはだんだん恐ろしくなり、やがてガタガタ震えだしました。 何も知らない盗賊達は獲物の分け前の話しに夢中です。冷や汗をかいた お婆さんはだんだん寒くなり、とうとう辛抱しきれず「ハックショーィ」 と大きなくしゃみをしてしまいました。さあ〜大変! 驚いたのは盗賊達です。誰もいないと信じ切っていた洞穴のどこからか 大きな音がしたのです。盗賊達は今まで物を盗むために人を殺したり 傷つけたりしてきました。 ところがこの頃は取り締まりが厳しくなり、どこにいても見張られて いるように思えて、ビクビクしながら暮らしていたのです。だからお婆 さんのくしゃみも「警察が来た」と受け止めてしまったのです。持ち物を 全部置いたまま雲を霞と逃げていってしまいました。 お婆さんはそこに散らばっていた宝石を五・六個ポケットへねじ込むと、 明るくなった森を出て自分の家に帰りました。 家に帰ると、出てきた嫁さんは腰を抜かさんばかりに驚いて、お婆さんに 「どうして帰って来たの?」と聞きます。 お婆さんは、わざとニコニコしながら「森の中の穴の中は不思議だね。 枯れ木に火がつくと神様が現れて、私をきれいなところに連れて行って くれたんだよ。おまけにこんなお土産をくれたよ」と言って、洞穴で 拾った宝石を一つ、嫁さんに渡しました。それは今まで見たことがない 高価な宝石でした。 嫁さんはその宝石をみているうちに、自分ももっと宝石が欲しくなり ました。その夜、嫁さんは夫にむりやり頼んで、自分も森の穴に入る ことを決めました。夫と二人で新しい穴を掘り、沢山の枯れ木を入れ ました。 夜になるのを待ちかねて、胸をワクワクさせながら穴に飛び込んだ嫁 さんは、「早く火をつけて」と叫びました。夫は仕方なく火をつけると、 不安な思いを抱えて家に帰りました。でも、幾日待っても、宝石を抱 えた嫁さんの姿を見ることはありませんでした。 お婆さんはポケットに残った宝石をお金に換えて、全部貧しい人に 施しました。息子も少しずつ元に戻り、お婆さんを大事にするように なりました。そして、命終わって二人とも仏様の国に生まれたと いう事です。 -------------------------------------------------------------------- ■ごあいさつ -------------------------------------------------------------------- 皆様、新年あけましておめでとうございます。途切れ途切れの発行で ご迷惑をおかけしておりますが、いつも「こころのともしび」のご愛読、 深く御礼申し上げます。 年頭早々からではございますが、ご報告申し上げます。 私(編集人:ぱせり)の父であります、山野鈍海(本名:西澤祥英)が 2006年12月13日、午後11時37分、入院先の滋賀県の病院で78歳の 生涯を閉じました。(お浄土に還らせて頂きました) 院號は「円融院釈祥英」、本願寺より頂戴しました。 もの言わぬ父に代わりまして、読者の皆様にひとこと御礼を申し上げます。 どこの誰ともわからない者の拙い文章を、毎月毎月読んで下さり、本当に 有り難うございます。本来ならば、はるかに短かかったであろう命ですが、 自分を待っていて、読んでくれる人がいるという未来への明るい希望が、 大いに父を動かしたとしか考えられません。深く深く御礼申し上げます。 きっと父も お浄土から皆様に心より感謝し、手を合わせていると思います。 2006年10月20日が最後の発行となってしまいました。 この「こころのともしび」の原稿が、発行期日までに出来てくるか どうかが父の健康のバロメータでもありました。本人は書きたくて伝え たくてたまらないのに、病魔にその手を阻まれてしまった事は、非常に 心残りであったと思います。 「パジェット癌」という病名が付いてから、わずか一年ほどの命でした。 高齢者に多く発症する予後の良くない癌で、発見が遅れると命取りになり かねません。あまり数のない希な癌とのことですが、皮膚病と間違いやす く、いつまでも治らないと言って自己療法で薬を塗っていたりすると、手 遅れになる恐れがあります。 以下に詳しい事が書かれておりますので、ご参考までにご一読下されば 幸いです。父のような病気で亡くなる人が一人でも少なくなりますよう。 パジェット癌…兵庫県立加古川病院 医療ニュースより http://www6.ocn.ne.jp/~kakogawa/iryounews/news_03.htm#4 「靖国問題を考えるに当たって」「自然医学に学ぶ」は連載途中でありま したが、継続出来なくて申し訳ございません。勝手ながら40号にて連載終了 とさせて頂きます。 残念ながら私は親不孝者で、父が書かんとしている教えの事はまだ良く わかっておりません。この号で廃刊に…とも考えましたが、父がどれ程の 希望を抱いてこのマガジンを始めたかを考える時、ここで灯火を消しては いけないと思い止まりました。 生前預かった、父が書き残したものがありますので、読んで頂ける方が あればと思い、内容は以前に比べ期待を裏切る形になるかも知れません が、遺志を継続していく決心を致しました。 この「こころのともしび」発行申請をして許可を頂いた3年前、長い間の 念願叶って父は大喜びでした。多くの方に読んで頂ける事が、父の何より の願いでした。 ちょうどその時、父からもらった手紙が出てきましたので書き留めます。 ---------------------------------------------------------------- 前略、 試行錯誤を繰り返しながらやっています。 保存で迷ってNo.2の1〜2を失いました。 幸いコピーがとってあったのでそれをコピーして送ります。 申し訳ないが、パソコンに入れてやって下さい。今度からは きちんとメールで送れると思います。 これから準備して「こころのともしび」登録の件、知り合い へ通知を出します。色々と本当に有り難う。 でも、いよいよですね。胸が高鳴る想いがします。 今迄とは舞台がもう一つ大きくなります。よい死に土産になります。 まずは取り急ぎご連絡まで。 合掌 釈祥英 ---------------------------------------------------------------- 今まで、もっぱらワープロを駆使していた父に、データを取り込むのに パソコンの方が便利だと言ったところ、その年にして初挑戦、格闘する ものの なかなか上手くいかない様子と、同時に、この上ない喜びを得て 希望に夢膨らませる父の心境がうかがえます。 当初、100名余りの方々が登録してくださり、父に報告すると涙を流して 喜んでいました。未だ見ぬ多くの方々に深々と頭を下げる姿が、今も私 の目に浮かびます。 期待して読んで下さっていた方には、このような結果になって申し訳ござい ません。登録を解除される場合は、以下のページから出来ますので宜しく お願い申し上げます。 http://search.mag2.com/reader/Magsearch?keyword=124366 --------------------------------------------------------------- ■ 編集後記 --------------------------------------------------------------- 2006年11月末に、呼吸が苦しいのでと、入院した父でした。それからわずか 半月ほどでお浄土へと還って行きました。とても早く、あっけない別れでした。 初七日の法話を聞いていますと、死の瞬間、あの世からご先祖様で近い身内 が父を迎えに来て、お浄土まで導いてくれるそうです。 今頃は、なつかしい両親や姉さん、昨年若くして亡くなった姪(57歳)達と 再会を果たし、喜んでいる事でしょう。 自分が死んだら、金庫に遺言書が入っているから読んでくれと、以前から母に は伝えていました。開けてみると、葬式の手順や連絡先などがびっしりと書き 込まれてありました。出来れば、自宅から葬儀を出して欲しいとも。 葬儀場ですれば簡単には済むのですが、やはり見送って頂く方にご足労を おかけせねばなりません。妹夫婦達が、父の最後の願いだから叶えてやろうと 言う事で、自宅から葬儀を出すよう取りはからってくれました。 日曜学校の生徒さん、ご近所の方々、中央仏教学院の方々など、大勢の 皆様が父を見送って下さいました。滋賀医大に献体登録をしていたので、 葬儀後、遺体は医大へ搬送されました。 葬儀が済んで3日後の事です。階段の踊り場にある窓のブラインドを開ける 父がいて、満面の笑みで妹の方を見ている。そして、徹夜で仕事をしていた 妹に、「無理をしたらあかんよ」と声をかけるので、妹は、具合が悪いと 思っていたけど、良くなったんだ、よかった〜。と思ったとたんに目が覚め、 現実に引き戻されたようです。 これがホントの怪談…だねと、亡き父が言いそうです(マジメな人なの ですが、時々、ぼそっと冗談を言うので…) この妹はふた月ほど前に肩を痛めており、生前から父が自分の病気そっち のけで非常に気にかけておりました。 この話を聞いて、悲しみが少し安堵に変わりました。 遺言通りにしてくれて有り難う。大変世話をかけたね。南無阿弥陀仏と唱え れば、いつも私は側にいるよと、父の声が聞こえます。 お聞き苦しい私事を、長々と申し訳ございませんでした。お許し下さいませ。 読んでやろうとお思いの方、どうぞ末永くおつきあいの程、お願い申し上げ ます。皆様もお体を大切になさって下さいませ。 皆様にとって幸多き一年でありますよう。 (ぱせり記) -------------------------------------------------------------------- □□ 次号(第42号)発行予定日 2007年2月頃 -------------------------------------------------------------------- ◆バックナンバー<http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000124366> -------------------------------------------------------------------- □□ 著者:山野鈍海 <http://www.eonet.ne.jp/~panacee/> □□ 発行責任者:ぱせり <http://plaza.rakuten.co.jp/maywind/> □□ 叱咤・激励のお便りはこのメールマガジンに「返信」して下さい。 -------------------------------------------------------------------- □□ mag2ID:0000124366 『こころのともしび』不定期発行 -------------------------------------------------------------------- □□ 読者登録解除は下記のホームページからお願いします。 http://www.eonet.ne.jp/~panacee/ -------------------------------------------------------------------- □□ 『まぐまぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/ -------------------------------------------------------------------- Copyright (C) 2004-2007 Donkai Yamano All Rights Reserved. -------------------------------------------------------------------- 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