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私立校で教壇に立つ、つきのみどりの、教育のホンネ話。ロゼッタストーンでのweb連載「つきのみどりの教育カフェテリア」で書けない話を中心に、ここでしか読めない最新の教育事情満載! ※当初は週刊でしたが、web連載のスタートに伴い、不定期化しております。

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2004/12/25

「週刊 みどりのひとりごと」Vol.038

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「週刊 みどりのひとりごと」(マガジンID: 0000123512)Vol.038 2004.12.25

☆はじめに☆

皆さん、こんにちは。今週もメルマガを読んで下さりありがとうございます。
そして、約2ヶ月もお休みして申し訳ありませんでした。あまりにも公私共に
多忙な日々が続いたのと、また、気がかりなことが多くあったため、メルマガ
の配信にまで全く手が回りませんでした。頭の片隅にはメルマガのことが毎日
あったのですが、書く時間が全く取れませんでした。本当に申し訳なく思って
おります。

これからもお休みしながらの配信になるかもしれませんが、濃い内容のものを
お届けしたいと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。どうかよろ
しくお願い致します。

なお、出版社関係・教育関係の会社などにご勤務で、私のメルマガに興味を持
たれた編集者様がいらっしゃいましたら、メールをちょうだいできましたら幸
いです。また、過去のメルマガや私のHPにリンクを張られる際は、事後でも構
いませんので、ご一報をお願いします。

○つきのみどりHP:http://tsukinomidori.hp.infoseek.co.jp/
○「まぐまぐ!週刊 みどりのひとりごと」紹介ページ
http://www.mag2.com/m/0000123512.htm
○つきのみどりメールアドレス:tsukinomidori@infoseek.jp


☆Vol.038 「最近の国語教育」 ☆

今回は「最近の国語教育」について考えます。
先日、日本の子どもの国際的なテストでの学力低下について、大きく報道があ
りました。ご記憶の方も多いと思います。さまざまなことが原因として挙げら
れ、とうとう中山文部科学大臣は「学力低下防止のためなら、(本来休みである
はずの)土曜日に授業を行なうこともやむを得ない」とまで言い出しました。

既に、一部の進学率重視型の公立高校では、受験勉強のために土曜に補講を実
施していますので、それを他の学校でも広げていくに過ぎないのかもしれませ
ん。しかし、文部科学大臣がこう発言したとなれば、あっという間に「土曜日
を休みにする学校は怠け者」という風潮になるのかもしれず、この発言の受け
取られ方に私は注目しています。

さて、私は国語教員ですので、他教科の教員と話をしていると、こういう形で
よく話を向けられます。「今の子どもは文章題が解けない」、「文章問題を理解す
る力がない」などの言葉の後、「国語の授業はどんなことをしているのか」とい
う問いに決まってつながるのです。これは、学力テストをめぐる報道の中で、
数学などで「文章問題に関して白紙、無回答が目立つ」という分析がありまし
たが、これは今の国語教育の抱える問題と無縁ではないでしょう。

今の国語教育は、新指導要領になって、わかりやすく言えば「話すこと、議論
すること」に重点が置かれるようになりました。中学の教科書では、ディベー
トや大勢の前でのスピーチなどがうまくできるようになるための項目が立てら
れています。これは、日本人が議論べた、スピーチべただという国際的風評を
くつがえすものとして設けられたものです。

この指導自体は悪いものではない、と私は考えます。確かに日本人は議論がう
まくできない、スピーチがうまくない、という話を今まで散々聞いて成長して
きました。私も中学生時代、英語の暗唱コンクールに出たことがあるのですが、
その時に作文部門で表彰された先輩が、あまりにも棒読みで、しかもずっと下
を向いたままで朗読をしていた記憶があります。その姿に私は大きな衝撃を受
け、「いくら内容が良くても、あんな姿では人を感動させることはできない」と
感じたものです。

ですが、その「スピーチ力をつけること」は、「週5時間程度国語の時間が確保
されている」状況でなら許されることではないのでしょうか。何度も繰り返し
書いていますが、現在の公立中学の国語の学習は「週に3時間」。この少ない時
間からスピーチなどに割けば、いったいいつ読解力をつければ良いのでしょう。

もしも学校がそのような学習状況であるのなら、文章を読み解くために必要不
可欠な、読解力は塾などでしか養えない、ということになるのです。こんな本
末転倒な話があるでしょうか。このような状況は絶対におかしいです。

また、中学生にもなれば、スピーチとは言っても、「論理的な思考体系に基づく
スピーチ」を身につけさせるように指導していかないと、単なる「口先だけ」
人間を養成してしまうことになりかねません。最近、文章を書かせるとさっぱ
りなのに、口でごまかそうとする子どもが目立つのは、あるいはこういう教育
の弊害なのでは、とさえ思うこともあります。これでは指導した意味がありま
せん。

今の高校3年生は、「最後の旧・指導要領の生徒」なのですが、この学年と、そ
れ以下とでは明らかに学習面で差があることが数多くあります。
国語に限っても、上級生と比較して「読解力・文章理解力の低い子」が高校に
入ってきています。

正確に言えば、読解力の高い子もいるため、低い子との間の「学力格差が
広がっている」のです。読解力がある子は、おそらく中学時代塾などで
しっかり勉強をしたり、本を多く読んできているのでしょう。こういう
子は問題ないのですが、読解力の低い子でも、高校に入ったら、難しい
評論や高度な読解力を必要とする小説を読まねばなりません。

いくら学習内容が削減されたと言っても、高校生の現代文を例にすると、「1年
生では芥川龍之介の『羅生門』、2年生では夏目漱石の『こころ』、3年生では森
鴎外の『舞姫』」は、教科書に不変のスタンダードとして掲載されています。こ
れらは戦後の教科書に一貫して掲載されているので、おそらく読者の方も高校
生時代に学校で習っていることでしょう。

ですが、こういった文章は、中学生までに基礎的な学力がついていない限り、
読むことができません。学力のない子にとっては、わけのわからない文章を
目の前にして、おとなしく50分を座って過ごせというのは苦痛でしかないのです。

今の子どもは、漫画、PC、TVゲームなど、字を読まなくても楽しめるものがた
くさん身近にあふれています。また、実生活でもケイタイメールなど、絵文字
と短文の羅列でやりとりが成立してしまうのが当たり前の状態です。このよう
な状況下で、読解力を養うのは非常に大変です。たとえば小学校で「朝の10
分間読書」を実施しているところもあるようですが、その後の休み時間や家庭
で子どもたちがその本を続けて読んでいないため、「結局読書の習慣が身につか
ない」と嘆く声も多く聞かれます。

そこで私なりの提言をさせて下さい。子どもは、楽しい、わくわくするような
ものなら心をひかれるものです。ですので、たとえば、教師をはじめ、保護者
や地域の大人、誰でも良いので、「この本を読んで、実生活でこういう感動があ
った、こういう発見があった、そして自分の視野が広がった」、ということを、
週に1回、2週に1回程度、5分でも10分でも話してやることが重要ではない
のでしょうか。

もちろん、学年に応じた話題や本を選ぶのは言うまでもありませんし、
全て本の内容を説明する必要はなく、「続きは本で」という形で導いても
良いでしょう。そして、同時に読書の時間も学校で設けます。朝の10分間読書
などの形で構いません。このような形で、「本を読むと人生にプラスになるこ
とがある、それは他では得られない」ということを自然に身につけていくよう
にできれば、読書の習慣がつき、そして、読解力もついていくのではないでし
ょうか。ただ口だけで「読書をしなさい」と言っても絶対ダメなのです。

また、私の子ども時代の話をしますと、小学生時代、新聞の投書欄を「声を出
して」読むのが好きでした。それは母親が「ここに、あなたと同じ小学生の意
見が載っている」と教えてくれたことがきっかけだったように覚えています。

投書欄は一般の方が書いているので、一般記事よりも読みやすく、話題によっ
ては子どもでも充分読むことができます。家事をしている母親のいる横で、声
を出して新聞を読むと、読めない字があってもすぐに聞くことができましたし、
母と感想を話し合うこともできました。そして、成長に従って国語力がつくと、
他の記事も読めるようになり、社会全体への興味がわいていったのです。その
頃には音読せずに、一人でどんどん記事を読んでいました。

祖父母、保護者、学童保育の指導員さん、そして、教員。誰でも良いのです。
周りの大人が「読書や新聞を読むことで心が豊かになる」ことを身をもって示
し、子どもに「物を読むことで得られる心の豊かさ」を理解させない限り、絶
対に、子どもに読書習慣は根付きません。「家で親に本を読みなさい、と言われ
る」という子どもは多くいるようですが、その親が読書している姿を見せない
で、どうして子どもが読書するようになるのでしょうか。

読書の習慣のない子は、例外なく国語の成績が悪いです。「どうしたら国語がで
きるようになりますか」と、生徒に聞かれることも多くありますが、高校生ま
でで読解力がある程度養われていないと、授業だけ聞いても、決して理解度は
あがりませんし、また、「物を読んで考える」習慣がないのでは、難解な文章を
読み解くことなど不可能です。そして、もちろん良いスピーチなどできるはず
もありません。国語に関して言えば、「授業以外に物を読むことがない」状態な
ら、実力は決してつかないのです。

今はメールなどで、見ず知らずとの相手と文章だけでビジネスをすることが当
たり前になっています。こういう場合、ずばり個人個人の国語力、文章力が問
われてきます。文章の理解力がない人のメールはさっぱり要領を得ず、ビジネ
ス面で損をしていますし、また、誤解を招く書き方をしてトラブルを生むこと
だって珍しくありません。このような今こそ、国語力を養うことが重要なので
す。その点に気づいた東京・世田谷区は「国語特区」を申請して、国語力強化
方針を打ち出していますが、この試みに私は大いに着目しています。

お子さんがいる方は、学校での国語の授業内容をよく聞いてみて下さい。「読み、
書き」の基礎的な力が養われていてこそ、スピーチの力は生きてきます。文章
も読まずにスピーチなどの練習ばかりしているようでは、その学校ではお子さ
んの真の国語力を養うことは、絶対にできないのです。そういう学校には、国
語の授業方針について質問をしてみて下さい。

☆あとがき☆

今週は、「最近の国語教育」について考えました。今の指導要領で、やる気のな
い教員にならっていると、絶対に子どもの国語力はつきません。この点だけは
しっかり認識しておいて下さい。次回は「教員社会の閉鎖性」を予定していま
す。2005年1月上旬に配信するつもりです。

最後になりますが、皆さんのおかげで1年間メルマガをどうにか続けてくるこ
とができました。本当にありがとうございます。来年も、つきのみどりは、メ
ルマガその他で情報を発信していきたいと考えていますので、どうかよろしく
お願いします。

感想・質問などのメールをお待ちしています。では皆さまどうぞ良いお年を。

つきの みどり
http://tsukinomidori.hp.infoseek.co.jp/
tsukinomidori@infoseek.jp
※このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ から発行して
います。配信中止はこちらまで http://www.mag2.com/m/0000123512.htm
※無断転載を禁じます

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