「週刊 みどりのひとりごと」Vol.036
「週刊 みどりのひとりごと」(マガジンID: 0000123512)Vol.036 2004.10.4
☆はじめに☆
皆さん、こんにちは。今週もメルマガを読んで下さりありがとうございます。また、
配信が遅れて申し訳ありませんでした。このところ寒暖の差が激しいので、体調を
崩されている方もいるかもしれませんが、お気をつけ下さいますよう。
今回からメルマガを読んで下さっている方も多くおいでのようで、とても嬉しいです。
よろしければ、今までのバックナンバーは以下のサイトで読むことができますので、お
時間のある時にご覧下さいませ。また、出版社関係で私のメルマガに興味を持たれた編
集者様がいらっしゃいましたら、メールをちょうだいできましたら幸いです。
もちろん、今までの読者の方も併せて、皆さまどうぞごひいきに願います。
○つきのみどりHP:http://tsukinomidori.hp.infoseek.co.jp/
○「まぐまぐ!週刊 みどりのひとりごと」紹介ページ
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○つきのみどりメールアドレス:tsukinomidori@infoseek.jp
そろそろ各大学では推薦入試・AO入試の声が聞こえてきています。高校3年生を受け持つ
と、大学に提出する、生徒の作文などの書類の添削に追われる日々が続きます。そうい
った中で、「大学に推薦入学させるため」に、成績を改ざんしている、という話も、周
囲から少なからず聞こえてきます。
こういった行為は公文書偽造で罪に当たるはずなのですが、何の疑いも持たない教員も
いるようです。あちこちの私立校では、成績改ざんは、「無理が通れば道理引っ込む」
とばかり、まかり通っているのでしょうか。私はまだそのようなことを言われたことが
ありませんが、もしかしたら私のつけた成績も、私の知らぬ間に、担任教員が勝手に書
き換えているのだろうか、などとも考えることがあります。無論私は、そのようなこと
を行なったことなどありません。
☆Vol.036 「帰国子女の教育問題」 ☆
今回は「帰国子女の教育問題」について考えます。
今まで、塾や学校で、私は数多くの帰国子女に接してきました。どれだけ多くの生徒に
出会っても、共通項でくくれることは「外国帰り」ということくらいで、その子どもご
とに抱えている事情や背景は全く異なっていると痛感します。そして、その背景を全く
思いやらず、しかも、何もケアをしない教員も多く存在するということも、幾度も痛切
に感じてきました。
帰国子女が海外で通っていた学校は、おおむね、次のどれかにわけることができます。
1.海外現地校(またはインターナショナルスクール)に在籍
2.海外の日本人学校に在籍(日本では「公立校」に通うのと同じ
3.日本の学校法人が経営する学校に在籍(日本では「私立校」に通うのと同じ)
1.の現地校、というのは、文字通り海外で生活していた土地の学校に通うことです。こ
の場合、平日は現地の学校で勉強し、土曜日は近くに日本人向けの補習校があれば、そ
ちらで日本の教科書を用いて、日本の学校にあわせた勉強をします。この補習校は、保
護者が教師であることも多いので、学校間でレベルに大きな格差があるようです。補習
校がない場合、日本の教育出版社の通信添削などを利用することもあるようです。現地
の言葉や習慣に早くなじみたい場合など、これを選択します。
2.の場合、日本のカリキュラムに準じた教育を受けることはできますが、海外のその土
地の友人などはあまりできません。また、その土地の言語も詳しく習うわけではないの
で、たとえばイギリスに行ったとしても、英語が使い物にならないままで帰国すること
も珍しくありません。これは、「日本の勉強に遅れたくない」などの理由がある場合、
選択します。
3.は、海外で学校を経営している私立校に行かせるケースです。が、少子化と経営難
で、最近は閉校する私立校が目立っています。ですので、この選択肢は最近、急激に減
っています。学校側から見れば、寮を作ったりしなければならず、負担が大きいのに、
少子化では採算が取れないのでしょう。なお、このタイプの学校には、親が日本にい
て、子どもだけ「海外留学」の形で通わせることもできます。私の小学校の同級生で、
卒業と同時にこのタイプで進学した子がいましたが、その子の親は子どもの留学中も日
本で生活していました。
最近は、長引く経済状況の悪化や、ITの発達によって現地法人の人員が削減されたため
か、10年以上滞在した外国から、急遽一家で帰国したケースも目に付きます。このよう
な家庭の子どもは、幼児期に外国に行っているため、たとえ両親が日本人であっても、
言葉を覚えたのはその土地の主な使用言語が最初だったりします。
また、今は通常の入試シーズン以外に、海外や国内の転編入試験などで、9月に入学する
ケースも多いです。このような場合、海外で、9月が新年度となる学校に在籍していた場
合、たとえば現地で中学3年生を終えて高校に進学する予定だった子でも、日本ではまだ
新年度ではないので、もう半年中学3年生に在籍しなくてはなりません。
そして、私立校の編入試験はたいてい春と秋の年2回なので、それ以外の時期に帰国した
場合、義務教育年齢ですと、とりあえず地元の学校に編入しておいて、また数ヶ月以内
に私立校の編入試験を受けて、改めてそちらに入学、ということもあります。
なお、インターナショナルスクールに入学できれば、現地の学校で在籍していたのと同
じ学年に編入できますが、インターナショナルスクールは日本の学校法人ではないの
で、文部科学省からの助成金がいっさい出ません。ですから、全て父母の学費で学校運
営資金をまかなわねばならないので、毎年100万円以上の学費を払い続けるのが「当たり
前」のようです。
今はインターナショナルスクールがブームですが、仮に小学校入学から高校卒業までイ
ンターナショナルスクールに在籍したいのなら、「100万円×12年=1,200万円」を用意
しなければなりません!!これだけの財力がある親は限られますから、いきおい、偏った
家庭の子どもしか集まらないのも当然でしょう。また、芸能人の子どもがインターナシ
ョナルスクールに行っている、というケースが多いのもうなずけます。なお、中華系な
どで、これほど学費を必要としない学校もありますが、そういったところは現在大変志
願者が殺到している状況です。
今、規制改革が政府でも議論されていますが、その中で「インターナショナルスクール
などにも助成金を出す」というものがあります。これが実施された場合、特に東京都心
では、志願者が殺到し、理念や特色のない私立校では大いに入学者が減ることも予想さ
れます。
話を戻します。私の知る、「海外で、日本語よりも先に現地の言葉を覚えた」というケ
ースでは、両親共に日本人ですが、子どもはフランスで育ったため、日本語よりもフラ
ンス語のほうがはるかによくわかる、というものがありました。言語の発達において、
言語を使う環境は非常に重要ですから、その生徒に、「家では何語で会話するの」と聞
いたことがありました。すると、「親とは日本語、きょうだいとはフランス語」という
回答だったので、その子にとってはフランス語が第一言語なのだ、と実感し、それを念
頭に置いて私は指導を心がけました。
こういう子どもでも、突然帰国して、日本の学校に通うようになれば、毎日朝から晩ま
で「日本語の洪水の中」に放り込まれます。その際、慣れるまでは、国語や数学(算
数)で「取り出し授業」と称して、別の形で授業をしてくれる学校もあれば、「全く配
慮なし」で、日本国内からの転入生と同様に扱い、ほぼ全て同じ授業を受けさせる学校
もあります。また、「帰国子女クラス」ということで、完全に独立した編成を取る学校
もあるはずです。そして、英語などの外国語のみ「帰国子女クラス」で行なう学校もあ
るようです。
このような場合、「どのスタイルが良い」と一概に決め付けることはできません。それ
ぞれに長所・短所があり、各学校はその長所を生かす方針で授業をしているはずだから
です。
「取り出し授業」の場合、日本の勉強に早く追いつくことはできるかもしれませんが、
クラスメイトと一緒の授業が少ないので、友達ができるまで時間がかかり、不安を覚え
るかもしれません。
また、「全く配慮なし」の場合、2.の日本人学校に通っていたような場合ならまだし
も、1.の現地校に通っていた場合は、子どもにとって、最初はよく理解できない「日本
の勉強の洪水」に放り込まれることになります。この時に、学校や家庭できちんとした
フォローをしてやらないと、のちのちその子どもの勉強に大変なマイナスになることも
あります。ですから、このタイプに該当するケースの子どもがいる家庭や学校では、き
めこまかく、かつ連携したフォローが欠かせません。
帰国子女の受け入れをする学校では、統一した方針でカリキュラムを組んでいるところ
もあれば、全く教師任せで統一方針のないところもあります。どちらが良いのかは言う
までもありません。統一方針がない場合、担当になった教師によって子どもの発達や勉
強に、取り返しのつかない差が生まれてしまうことだってあるのです。こんなかわいそ
うな話はありません。
そして、帰国子女には、必修の補習も欠かせません。学校の授業をだけでは、ついてい
くのが困難だからです。成績が一定の水準になるまで、補習を続けることは非常に重要
です。
更に、海外で覚えてきた外国語を、さびないようにブラッシュアップし続ける環境があ
るかどうかも重要です。帰国子女が多く、休み時間に外国語が飛び交う学校や、夏休み
などを利用して「英語漬け」の合宿をする学校などもありますので、「外国語力が落ち
ないように維持できるか」という点でも学校の受け入れ態勢が測れます。
ですから、帰国子女を受け入れている学校で、良い学校の目安になるのは、主に以下の
ことが挙げられます。
1.授業の方針がはっきりしていて、学校全体で統一されたものである
2.補習は必修である
3.外国語力が落ちないように維持できる環境がある
帰国子女をいじめない、とか、教師がからかわない、というのは基本中の基本です
ので、ここではあえて示していません。そのようなことがまかり通る学校は、今どき鎖
国時代の観念で授業をしているのか、と私は疑ってしまいます。
最後に一言。主に、アメリカからの帰国子女を見ていると、このような子が多くいるこ
とに気づきます。授業中ぼーっとしていて、ノートも取らなかったり、果ては授業に関
係ない手帳などを出したり…。こういった子は、アメリカではADHD・LDなどの「学習困
難児」として扱われていて、取り出してケアをされていたようです。ですが、日本に帰
ってくればそのケアはなくなりますし、親も、「日本でケアをしてもらえないのだか
ら、学校に言う必要はない」というのか、学校にアメリカでのケアの事実を伏せている
ようです。ですが、今まで受けていたケアが突然なくなるのは、子どもの発達にとって
大変なマイナスです。
こういった生徒は例外なく非常に成績が悪いのですが、それは単に「努力をしていな
い」のではなく、「学習能力に何か問題がある」からかもしれません。ですので、海外
でケアを受けていた子どもは、日本に帰ってから、専門病院などでケアが継続して受け
られるようにして、学校側もその事実を冷静に受け止め、ケアしてやる体制を作るべき
なのではないでしょうか。
以前、メルマガVol.017で「ADHDなどは教師によって認識に大きな差がある」と書いたの
ですが、帰国子女の教育問題とも関連していますし、この差は今後是正されていかねば
ならないと私は考えています。
☆あとがき☆
今週は、「帰国子女の教育問題」について考えました。
次回は「帰国子女の勉強法」を予定しています。私なりに
試行錯誤してきたことを、少しでもお伝えできれば、と思っています。
10/11までの3日間での配信を予定しています。
感想・質問などのメールをお待ちしています。
つきの みどり
http://tsukinomidori.hp.infoseek.co.jp/
tsukinomidori@infoseek.jp
※このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ から発行して
います。配信中止はこちらまで http://www.mag2.com/m/0000123512.htm
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