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ポピーは魔法世界に住む少女。彼女たちは、キャビッチという不思議な野菜を使って魔法を行使する。ある時、親友のヨンベが恐ろしい鬼魔(キーマ)にさらわれてしまう。助けに行くんだ! ポピーの旅が始まる。冒険ファンタジー『魔法野菜キャビッチ』8月2日連載開始!

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2008/08/23

葵マガジン*魔法野菜キャビッチ 3

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      ◇◆◇◆葵マガジン 2008年8月23日号◆◇◆◇

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今までのお話はこちらでお読みいただけます☆

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         ◇◆◇◆魔法野菜キャビッチ◆◇◆◇

              第3話(全22話)


「そうだなあ」おじさんはゆっくりと空を見上げた。「一番早いとして……来
年の秋、ぐらいかな?」
「エーッ!」私とヨンベは同時に叫んだ。「一年半以上も先じゃん!」
「そりゃあお前の魔力ではそんなもんさ」おじさんはしゃがんで、キャビッチ
たちの品定めをし始めた。「大人でさえ、長ければ一年はかかるんだぞ」
「そんなにかかる?」私は疑った。復活の実なんて、大人たちは結構ホイホイ
と収穫したり、売ったりしているじゃない。
「ベベロナおばさんなんかは、二年ぐらいかも」おじさんはそんなことを言っ
て、ぺろっと舌を出した。
 私とヨンベは顔を見合わせ、ぷっと吹いた。
 ここまで陰口を叩かれてしまうベベロナおばさんって、一体何なんだ?
「あ、ねえ父さん」ヨンベが急に立ち上がって、畑の方に行った。私もついて
行った。
「うんー?」おじさんは、土の上のキャビッチたちをひとつひとつ手で撫でた
り、軽く掌で叩いてみたりしている。真面目な顔になっちゃっているってこと
は、あんまり満足できるものがないってことなんだろう。
「さっきポピーが言ってたんだけど、ベベロナおばさんが、いいキャビッチを
手に入れたって、知ってた?」
「――」おじさんは、ちらっとヨンベを見て、それから一個のキャビッチを土
から抜いた。「うん……聞いたよ」その答えは、なんだか慎重に答えてるって
感じがした。
「ねえ、いいキャビッチって、どんななの?」
「……」おじさんは、自分のキャビッチをじいーっと見ていた。
 私には、おじさんはあんまりその話をしたくないように見えた。
 そう見えはしたけれど、そうなると余計に知りたくなるのが、ニンジョーっ
てもんだ。(ニンジョー、だよね?)
「父さんも、よくは知らないなあ」おじさんは小さい声で、そう答えた。その
声の最後の方は、ほんのかすかにだけど、震えていた。多分、ベベロナおばさ
んに嫉妬みたいなものを感じているのを、隠そうとしてたんだろう。
 つまり「いいキャビッチ」っていうのは、それほど手に入りにくい代物だっ
てことなのだ。
 それなのに、普段あんまり努力とか苦労とかいうものをしようとしないベベ
ロナおばさんが簡単にそれを手に入れたわけだから、なるほど大人の人たちに
とってみれば、口惜しいことだろうなと思う。……うちのママはどういうわけ
か、ケラケラ笑い飛ばしてたけど……
 私とヨンベは、顔を見合わせ、その場は黙って引き下がった。つまりそれ以
上は何も訊かずに、ヨンベの部屋へ戻ったのだ。
 プィプリプクッキーは、もう残り少なくなっていたけど、私たちはそれを平
らげることも忘れて話し合った。
「ねえ、どう思う?」
「ん、見たい」
「見たいよね!」
「うー、気になる」
「うん、気になる」
「……行ってみる?」
「……ベベロナおばさんちに?」
「うん」
「いいけど……でもベベロナおばさんて、やばくない?」
「うーんふふふふ」(これはヨンベの"考え困り苦笑"だ)
「捕まったらたぶん、すごくウルサく言われるよ」
「そかあ……それにあそこんち、リューダダを飼ってるんだよね」
「そうそう! 信じらんないよね、なんであんな、可愛くもない鬼魔(キーマ)
を飼う?」
「あれってでもさ、すっげえ弱っちいっしょ」
「そうそう! たぶんあたしでも、キャビッチスローでやっつけれる」
「まじっすか!」
「たぶん、ね」私はハッタリで言い切ってしまったけれど、まさかその時には、
本当にそうしなきゃいけなくなるなんて、夢にも思っていなかった――リュー
ダダを、ではなかったけど――
「じゃあさあ、キャビッチを持って行っとこうよ」ヨンベは瞳をきらめかせて
言った。「あたし今週、まだ一個しかキャビッチもらってないの。あと二つ、
ポピーとあたしと一個ずつ持ってさ」
「あ、いいねえ!」私も賛成した。
 繰り返すけどその時には、まさか本当にそのキャビッチを"投げる"ことにな
るなんて、ちっとも思っていなかったのだ。
 私たちは再び、ヨンベの家の庭に降りた。
 おじさんはもう、そこにはいなかった。
 多分台所でキャビッチを何かと"融合"させていたのだ。なぜかというと、妙
な匂いが漂ってきていたから。
 私たちは、土の上に顔を覗かせたキャビッチたちを品定めし始めた。
 キャビッチ――
 魔法の、野菜。
 大きさも、色も、さまざまある。
 私たち部族はある年齢に達すると、神様からキャビッチ畑を授かる。
 一人にひとつずつ。
 正確には、畑の「土」が授けられるんだけど、その土をよく管理すれば、そ
の中に「キャビッチ」たちが、発生する。
 お店に行けば、いいキャビッチを生み出させるための薬が、たくさん売られ
ている。
 それをいくつか選んで土に混ぜて、各自でいろいろ工夫して、少しでもいい
キャビッチを手に入れようと、皆努力しているのだ。
 結婚すると、夫婦の土を一緒にして、ひとつの畑にするのが普通だ。そうす
れば、キャビッチそのものの魔力が倍増するからだ。
 でもただ、夫婦の仲が悪くなっちゃうと、逆に魔力は半減してしまう。ここ
のところが、けっこう難しいみたいだ――って、大人が話しているのをちょっ
と聞いただけなんだけど。


                       ◇◆◇◆次号へ◆◇◆◇

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            ◇◆◇◆後記◆◇◆◇

葵むらさきです。ご購読ありがとうございます。

配信が一週間飛びまして、申し訳ありません。

しかしわたくし葵むらさきは、ボンボン暴言を吐き散らしておきながら
「そういう意味じゃなかった」とか「あれは方言だ」みたいな言い訳をする政
治家みたいなことはしません。

で、すみませんが、来週の配信も一回ほどお休みさせていただきます。
次回の『葵マガジン』配信は、9月6日土曜日となります。
よろしくお願い致します。

……て、“開き直る”ところは、政治家と一緒か……? 誠にすみません。

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           それでは次回をお楽しみに。

             発行者:葵むらさき
             aoi@xi.peewee.jp
       ◇◆◇◆葵むらさき言語凝塊事務室◆◇◆◇
         http://murasaki.aoi.peewee.jp/

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