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外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析します。

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2008/10/12

3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース 第304号

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■■      ◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 
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ブッシュ大統領、公的資金注入を正式表明=早ければ今月実施

−G7声明、銀行間市場の短中期債務保証は盛り込まず−

【2008年10月12日(日)】 − 先週末(10日)、ブッシュ大統領は、ホワイトハウスで
テレビを通じて緊急声明を出し、金融危機を克服するため、7000億ドル(約70兆円)の
金融安定化対策の一環として、国が銀行の株式を取得、自己資本の増強を支援する意向
を正式に表明した。

 ブッシュ大統領は、「7000億ドルの金融安定化法は、財務省が金融機関のバランスシ
ートを再構築するため、株式取得を含むさまざまな措置を取ることを可能にする」と述
べたものの、市場は好感せず反対に下げをきつくしただけだった。

 結局、ダウ平均は8営業日続落の前日比128ドル安(1.5%)安の8451.19ドルで引け、
週初来の下落率は22.1%と過去最悪となった。これをダウ・ジョーンズのウィルシャー
5000総合株価指数で見ると実に2兆4000億ドル(約241兆円)の時価が消えた計算だ。

 また、1年前との比較では8兆4000億ドル(約844兆円)の時価損失となったことにな
る。いかに、株価の下落が凄まじいかが分かる。

●ブッシュ大統領、銀行間市場の債務保証に言及せず

 金融安定化法に基づいて、公的資金注入が可能というのは、法律では、財務省が買い
取ることができる不良資産の定義について、住宅市場の悪化で不良債権化した「不動産
ローン」と「その証券化商品(MBS)」、そして、財務長官が金融市場の安定化のために
必要と判断した「その他金融商品」となっているからだ。政府は、この「その他」に金
融機関の株式が含まれると解釈しているのだ。

 ブッシュ大統領が、公的資金注入について正式に言及したのはこれが初めてだった
が、それでもダウ平均が下げ幅を拡大したのは、それ以外では特段、目新しい材料とな
るものは示さなかったからだ。

 ブッシュ大統領は、FDIC(米連邦預金保険公社)による預金保護上限額を25万ドル
(約2500万円)に引き上げることなどすでに明らかになっている対策を列挙しただけだ
った。

 むしろ、市場が即効性の観点から高く評価していた銀行間市場(短期金融市場)の金
融取引(短中期資金の貸し借り)に対する政府保証に言及しなかった失望感の方がかえ
って大きかった。

 この短中期債務の政府保証は、英国のアリスター・ダーリン財務相が自国での導入を
発表したあと、米国側にも同様な対策を取るよう検討を働きかけているものだった。

 英国の発表によると、今後3年間、国が2500億ポンド(約43兆円)を限度に、銀行間市
場の短中期債務を保証(債務不履行時の元利金支払いを保証)するというものだ。

 これは、銀行は他の銀行の破たんを恐れて銀行間で貸し渋りが起きているため、企業
や家計の末端レベルでも貸し渋りが起きていることから、打開策として導入が決まった
ものだ。

 しかし、ホワイトハウスは、この英国案は、短中期期資金の貸し借りをしている銀行
だけの救済となり、それ以外の金融機関との関係で公平さを欠くことになるとして難色
を示している。

●G7、銀行間の金融取引への政府保証を盛り込まず=市場の期待とギャップ

 ブッシュ大統領の演説と並行して、ワシントンで開かれたG7(先進7カ国財務相・中
央銀行総裁会議)は10日午後6時(日本時間午前7時)に共同声明を発表した。

 しかし、ここでも銀行救済の即効薬になると見られていた銀行間市場の短中期債務に
各国政府が協調して保証を与えるという、市場が最も期待していた協調行動が全く明記
されていなかった。

●米国の公的資金注入、早ければ10月中か

 もともと、公的資金の注入のアイデアは、英国が8日に世界各国に先行して発表してお
り、米国はそれに追随する形となっている。

 英国の場合、銀行に対し、優先株の取得と引き換えに500億ポンド(約86兆円)を限度
に公的資金を注入、不足している自己資本を増強、金融危機を乗り越える体力を付けさ
せるというものだ。

 米国の場合、ポールソン長官は、会見で、「公的資金の注入はできるだけ早い次時期
に実施したい」とし、「広範な金融機関が対象になる」と述べているが、財務省は早け
れば10月末から銀行の普通株か、優先株の取得を通じて公的資金を注入すると見られて
いる。

 国有化を目指すかどうかについては、同長官は、「銀行が民間からの資金調達の補完
的役割を果たすものだ」と述べ、国有化を否定。取得する株式についても議決権を持た
ないため、銀行の経営権を目指すものではないとも述べている。

 しかし、問題は公的資金の注入で、銀行の貸し渋りを解決するためには、経営が悪化
している銀行に注入するよりも、むしろ、健全な銀行に注入した方が効果は大きいと指
摘する学識経験者やエコノミストが多いことだ。

 また、ABA(米銀行協会)は公的資金を多くの銀行を対象に注入すれば、米国の金融界
全体がかなり悪いという印象を与えかねないとして、限定的な注入を要請しているが、
実際、フタを開けてみれば、注入を希望する銀行数はかなり減ると見られている。

 こうした問題点をかける中で、財務省が効果的な資本注入制度を作れるかどうか、市
場は当面、政府と議会の協議の進展を見守らざるを得ないようだ。(了)

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発 行 元   :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者  :編集主筆 増谷栄一
ホームページ  :http://www.asahi-net.or.jp/~fl7e-mstn/usfile.html
メールアドレス:FL7E-MSTN@asahi-net.or.jp
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