2009/06/29
【第220号】漫画本エッセイ「銭ゲバ」
*********************************** ◆◆◆漫画本エッセイ◆◆◆ 第220号 2009.6.29発行 *********************************** 「銭ゲバ」 幻冬舎文庫 全2巻 作者:ジョージ秋山 出版社:幻冬舎 初出時期:1970年(週刊少年サンデー) 分野:少年マンガ ジャンル:社会・マネー 内容:極貧の生活から抜け出るために、殺人を繰り返しながら、ひたすら金銭 を求めて生き抜く主人公の蒲郡風太郎の過激な生き様を描いた問題作。 ◆昭和45年という、だいぶ古い時代の作品ですが、昨今でも問題になっている 格差社会にも当てはまるような内容が垣間見られます。格差は今に始まったこ とではなく、この時代にも、さらにずっと以前からもあったことだと思います。 もしかしたら現代よりもこの時代のほうが、さらにその格差の度合いは大きか ったかもしれません。他にもこの時代に有名になった「水俣病」なども取り上 げられていて、こういった公害に関しては、今でも問題視される利益追求至上 主義の企業倫理感から生まれたものではないかと思います。はたして「銭ゲバ」 とは一個人のものなのでしょうか。考えさせてくれる作品です。 ◆この作品が連載されていた時、作品の表現問題から一部の都道府県で有害図 書として扱われたそうですが、すぐにこういった少々過激な内容のものに、臭 い物に蓋的に扱うことは、いかがなものかと思ってしまいます。週刊少年サン デーで連載されてはいましたが、確かに少年少女には少々ハードルの高い内容 かもしれませんが、ちょっと低俗になったり、リアルな問題提起的な内容にな ったりすると、とかくマンガという表現が、小説よりも低俗に見られがちなの で、こういった扱いが起こったのではないかと思います。現代では、ようやく その地位も多少は上がってきているようにも思いますが、こういった問題提起 的な作品が少なくなったのも残念なことです。 ◆タイトルの「銭ゲバ」は、作品中で「金のためなら何でもする奴」と説明さ れていますが、「ゲバ」とはドイツ語のゲバルトからきている略語で、暴利行 為という意味で、昭和40年代に、左派政治運動に参加した学生の隠語として流 行り、国家に対する実力闘争を指しています。よく「お金よりも、もっと大事 なものがある」と言われますが、その言葉を言えるのは、必要最低限のお金が あってこそ言えるのであって、その必要最低限のお金すらない場合は、そんな 悠長なことは言ってられないでしょう。人間として幸せに生きるためには、最 低限のお金は必ず必要なのだと思います。 ◆作者のジョージ秋山氏にとってもだいぶ初期の作品なので、絵柄はだいぶ古 い感じがしますが、強い心象を描く際の見開き全ページのカットなどは、非常 に印象深く、迫力あるもので、作者のセンスの素晴らしさを感じます。作品の 舞台となる時代は昭和40年代ですが、今読んでも、何だか古さを感じさせず、 現代社会での問題点と重なってくるような部分も多いように感じます。ともか くじっくり読んでいくと作者の得意とする人間の業というものが、じわりじわ りと見えてくる興味深い作品です。 ◆ちょっと前に実写ドラマ化され、テレビ放映されました。時代設定こそ、原 作の当時の1970年代ではなく現代に置き換えていますが、内容的には大体同じ ような設定になっていますが、ドラマの最終回は原作とは少々違っており、賛 否両論があるようです。主演の松山ケンイチさんは、なかなかの好演だったと 思います。(まんじん) *********************************** 今号はここまでです。いつもご愛読いただきありがとうございます。 では、また次回の配信をお楽しみに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■「銭ゲバ」関連商品ご紹介コーナーはコチラからどうぞ■ http://www.gw-d.com/manga/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★内容に対する感想、ご意見、質問などは E-mail :info@gw-d.com ★配信の中止や再開、バックナンバーの閲覧などは、 http://www.mag2.com/m/0000120074.htm まで。 ※当方は、当メールマガジンで取り上げている作品、作者、出版社等とは一切 関係ありません。また、本文はあくまで管理人の主観的な感想です。 *********************************** 発 行:浪漫人(ロジン&まんじん) Copyright(C) 2003-2009 ROMANJIN All right reserved. 漫画本エッセイに掲載された内容を許可無く転載することを禁じます。 ***********************************


