2008/03/27
人材育成の110番-人材を人財に変身!
人材育成の110番 ― 人材を人財に変身!
株式会社 総合経営センター流人材育成の考え方
第97回「人生の転機にあたって」
●前回は暖かい年の瀬の配信。それから珍しく寒く、冷たい冬の日が続き、3月下
旬の今回まで長いごぶさたになりました。梅の開花が遅れ、春が遠いのかという予
感を覆し、桜の開花がまたたく間に報じられました。家の前の公園にある一本の木
蓮が一挙に白い花を咲かせました。春はひとまたぎ。咲き頃も2、3日で、もう盛
りを過ぎようとしています。今夏は、また暑い日が続く予感がします。
●さて、このメルマガが遅れた理由ですが、大きな人生の転機にあったからです。
この4月1日から思いがけず、中京大学大学院ビジネス・イノベーション研究科お
よび同大学経営学部教授に就任することになったのですが、昨年11月後半からまさ
に降って湧いたような話しのために、そちらの方に気持ちと時間をとられていたか
らです。そして、その後はシラバス作りなど、準備に追われたからです。
●仲秋の頃には、大学院の方の客員教授になる話しはほぼかたまりつつあったので
すが、経営学部の方で一人の教授が辞めることになり、その後任をめぐる人事の中
に、私が組み込まれたわけです。結論を言えば60名近い候補の中から私一人選ばれ
たのですが、これまでの実務家(中小企業診断士)としての経歴を、経営学部の教
授会が買ってくれたということでしょう。
●12月初旬の同学部人事委員会で推薦が決定し、その直後の教授会で内定、今年に
入って1月に決定しました。正式には2月の全学人事委員会で承認されました。その
結果、4月1日より就任することになりました。その決定により、客員であった大学
院ビジネス・イノベーション研究科の方も専任教授に格上げされました。
●この人事を身をもって体験し、しみじみ思ったことは「人生にむだ働きはない。
だからタダ働きを惜しむな」という、ビジネスマンとして生きていく基本の重みで
した。
●私が中小企業診断士の資格を取り登録したのは33歳の時の4月、その年の10月に
名古屋商工会議所中小企業相談所の経営指導員になりました。このことは以前にふ
れました。40歳になったら何が何でも独立しようという志のもと立ち上がりました。
●独立当初は仕事が来ません。そのため、名古屋商工会議所から依頼される商店街
振興組合の振興対策の調査報告書や、愛知県中小企業団体中央会からの組合の活路
開拓・活性化対策調査報告書、また名古屋市中小企業指導センター(現振興センタ
ー)からの経営指導書など、計20冊をまとめました。それ以外の著書や経営ハンド
ブック等を加えると30冊を超えるのですが、これらは経済的には貧しい時代の小遣
い欲しさのために、年度末にはいつも血圧を上げて書きまくりました。
●中小企業診断士として順調に売れていれば、多分その多くは受けなかったと思わ
れる原稿書きでしたが、実は今になってみればこれらが学術研究論文扱いされる結
果となりました。むだ働きではなかったということです。
●もう一つが非常勤講師です。10年間東邦学園短期大学、椙山女学園大学は3年間お
付き合いしましたが、これは、本当に、プロのコンサルタントには言えないような
薄謝です。自分なりの人生哲学と、使命感がなければやれる仕事ではありません。
しかし、これをやってきたお陰で、推薦される時には実務家でありながら一定の教
職の経験があるという評価になったものと推測されます。この経験もむだではなかっ
たのです。
●人間の運、不運というのは長い目で見ないと分からないものだなとしみじみ思い
ます。自分の場合は、ようやくこの歳になって自分が望んでいた最高の環境を得た
という実感があります。よくぞここまでがんばってきたな、という感慨です。
●しかし、一方では中小企業診断協会の、特に愛知県支部には大きな迷惑をかける
ことになりました。中京大学の定年が70歳。私のそれまでの期間はたったの2年。
支部長職は約1年の任期が残っています。支部長職を辞めるのかどうか、今年に
入って一番の悩みはこの一点でした。信頼する先輩に相談したところ、支部長代行
を置いて、任期いっぱいやったらどうかということでした。そして、2月半ば過ぎ
の支部常任理事会・理事会で、その事が承認されました。ほっとしています。我儘
を許してやろう、という温情です。これも、これまで3年間、自分なりの誠意を尽
くしてきた褒美だろうと思っています。
●今どき、大学教授では珍しい院卒学歴なし、学位なしの実務家教授が誕生します。
2月の大学院、3月の大学の歓送迎会では、最初の30分ほどは自分がそこにいること
が場違いな気がして腰が落ち着きませんでした。が、打ち解けるにつれて自分がそこ
にいることが自然な気持ちになりました。すると、不思議なことに、それまで雲の上
にいる人たちと感じていたことがさらりと消えていきました。今度は自分自身がごく
当たり前のように、この雲の上から物事を考えるようになりました。人間の新たな成
長は、環境が与えてくれるものだなと、このことも実感しました。
●それゆえに、どんな環境下にあっても、いつも前を向いて歩かなければいけないと
いうこと。厳しく、かつ試練の環境に遭遇した時に、人は新たな成長の機会を得るの
です。それゆえに、人生は「夢がなければ何事も始まらない。夢があるからチャレン
ジ精神が生まれる」ということ。
●間もなく4月。大学では、すぐに新入生を迎えるオリエンテーションが始まります。
それに「ゼミ」と「経営学概論」がスタートします。自分はどのように学生と向かい
合うか。
●考えあぐねた結論は、自分らしさを出すこと。自分には何を求められているかとい
う原点に戻ること。自分には学説を紹介することも、理論をベースにした授業を展開
することも出来難い。それらは他の先生の方が遥かに長けている。では自分の特色は
何か。それは数知れない経営の実務の中で得た実践学を学生に与えるということでは
ないか。これが私の結論です。
●出来もしないことを背伸びして「やれる」と言ってはいけません。知ったか振りも
いけません。やれることを地道にやること。それはマネジメントの現場で経験したこ
とを自分なりに体系化して、クライアントである学生に生きた経営実践学として提供
すること。このように結論づけると肩の重荷が下りて行きます。
●「本学では、初めて実務家が教授に起用された貴重な人材ですよ、あなたは」これ
は歓送迎会で語られたある教授の言葉です。だからこそ、実務家としての発想をせね
ばならないのだと思います。
●今までの一つひとつの仕事がそうであったように、手抜きをせず誠意を持って教壇
に立たねばなりません。2年で定年になるといっても、その間の充実度によってその
先の人生がどう変わるか分かりません。2年間の貴重な経験は、人間の幅をどのよう
に拡げるか。そのことを喜びとして、前へ。
●今回は久し振りの配信で、自分の出来事に終始しました。新年になってこれが最初
の配信になったのは、ようやく踏ん切りがついたからです。
●今年一年、またよろしくお願い申し上げます。次回は多分、4月の中旬になるだろ
うと思っています。
◇−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−◇
株式会社総合経営センター
代表取締役社長 加藤 靖慶
(中 小 企 業 診 断 士)
★ ご意見・ご感想をお待ちしております。
E-mail:katoh@skc-katoh.jp
URL:http://www.skc-katoh.jp/
経営革新サポーター&経営パートナー
◇−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−◇


