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人材育成は組織にとって命です。その命を育むためのヒントをこの場で、あらゆる角度から提案していきます。人間としての生き方を問う基本から、時事的で身近な問題まで、人材育成に関する全情報を取り上げます。

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2007/09/27

人材育成の110番-人材を人財に変身!

人材育成の110番 ― 人材を人財に変身!

株式会社 総合経営センター流人材育成の考え方

第92回「働く時間と家庭のバランス」 

●9月は真夏の酷暑がそのまま続きましたが、お彼岸を過ぎてだんだん日の入りが早
くなってきました。夜や早朝にわずかですが冷やりした涼しさを感じることもありま
す。暑さと紫外線に弱い私にとって、ようやく、待ちこがれた秋が訪れようとしてい
ます。

●最近日経新聞で「長時間労働の是正の方策」が載っていましたが、先日もある会社
の部長職の人で、ほぼ連日遅くまで仕事につき、休日も休みを取らないという例があ
ります。職場の若手社員からは、「あの人がトップに立ったらついていけないな。そ
のときは会社を辞めることになるのかな」という嘆きさえ出ています。若手社員にし
てみれば、部長の勤務ぶりは家庭を顧みず、家庭を犠牲にしていると映るのでしょう。
そのことは後でふれます。

●大体長時間労働をやる人は、多くの場合状況判断が悪く、業務処置上の意思決定が
遅いという欠点を持っています。そのため、意外に仕事の守備範囲が狭いという欠点
も持っています。一方、仕事を手早くこなせる人には、仕事が集中することが多いで
すね。上から見れば業務処理能力の高い部下は、緊急で重要度の高い人が入ると、そ
の人を頼りにしやすいでしょうから … 。

●「企業の屋台骨を支える30、40歳の男性が長時間労働を強いられている」と日経新
聞は指摘しています。厚生労働省が「過労死の危険ライン」とする週平均60時間以上
働く人は、30歳代後半の男性雇用者で21.6%(06年)に達していた、と報告していま
す。

●07年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)によると、30〜40歳の男性雇用者で
週平均60時間働いている人の比率は急上昇しています。大手企業は経常利益をこの数
年間過去最高を更新しているのに、雇用者の待過改善は賃金が国際的にかなり高い水
準にあるため、それほど進んでいません。

●賃金が上げずらいのであれば、労働時間等の面で改善が求められるのですが、若手・
中堅社員に対する教育投資を怠ってきた企業が多いため、仕事ができる30〜40歳代に
しわよせがきています。しかし、彼等が本当に効率よく業務処理しているかどうかは
疑問です。

●私たちは経験的に1日当たり自分が物事に集中できる時間がどの程度かを知ってい
ます。週60時間を5日間で計算すれば、日当たり12時間実働しなければなりません。
この時間をすべて「働く」時間に当てることは大変なことです。本人は「働く」、し
かし、実態は「動く」という時間になっていないでしょうか。「働く」とは付加価値
を生み出す仕事。「動く」は付加価値に貢献しないムダな作業。

●仕事の効率性を評価するために、仕事の成果を労働時間の長さで割り算する方式を
主張する識者がいます。この方式は、ムダなサービス残業をなくすには良案の一つで
すね。

●堀場製作所の堀場雅夫最高顧問は「人間、嫌なことは、最低限やって逃げようと左
半身ですやん。でも好きなことや面白いことなら、労力や時間をかけても疲れない。
こうしたらどうや、と次々アイデアも生まれ、成功の確率が高い。経営でも同じです」
「面白いと感じる仕事の能率は3倍になり、疲労度は3分1に減るという研究結果も
ある。要は自分の気持ですよ。好きでやらないと、まず絶対にイノベーションは起き
ない。だから採用の時もうちの会社を面白いと納得してもらったうえで採ります、配
属も自己申告した希望に近い部署にしている」と語っています。(07.9.13「日経産
業新聞」)

●私が親しく付き合っている従業員50名の精密切削メーカーの事業承継者で、30歳代
半ばの副社長は、1日16時間は会社にいます。朝8時から夕方7時までがトップとし
ての勤務。子供たちと夕食するためにいったん帰宅しますが午後9時には会社に戻り、
深夜まで残務整理自分にとって気になる、必要な情報収集。そのため1日8紙の新聞
を読む。そして思索の時間にあてます。日曜日は家族サービスに使いますが、土曜日
は出社することが多いです。

●それでも彼はいたって元気です。本質的にモノづくりが好きな上に、深夜の思索の
時間に今後の戦略を考えるので、一日が自分なり充実しているのです。他人に強制さ
れることなく自分の裁量でやれることは、楽しいことです。だから、ゴルフに興ずる
こともなければ、夜のクラブ活動も接待以外は一切しません。

●人間は、一つの業務でも、プライベイトな趣味でもひとたび没頭するという経験を
するとそれを習慣化することができます。その習慣が人生の成果となるはずです。

●事業承継者のその副社長は、自社の行き先を多方面から情報収集し、分析し、その
インプットをもとに戦略を磨いています。父親の経営方針を修正し、自分の指針を通
すようにして今日まで5年間来ていますが、しっかり経常利益は確保しています。

●一方前述の部長のケースは、若手社員には「家庭を犠牲にした古いタイプの会社人
間」というように映っています。しかし、本人は真面目一方ですから、すでに持ち家
を得ています。奥さんと揉めているようには見えませんし、子供もちゃんと成長して
います。偉いのは、経済的に家庭をしっかり守っていることです。

●会社では残業することなく退社する人が、途中で居酒屋からバーを梯子して酔いつ
ぶれて家へ帰る、パチンコですって帰るという例は数多く見られます。一方、毎日真
面目に定時に帰宅する人が、奥さんや子供たちに歓迎されているとは言い難い。つま
り、会社人間といわれる管理職が「家庭を犠牲にしている」とは一概にはいえません。
その家庭に入って見なければ分からないことです。

●まわりから判断力が鈍い、決断しないから仕事が遅いと批判されていても、本人が
長時間自分のやり方で、給料を貰っている会社に貢献しているのであれば、それもよ
しではないですか。

●知恵のしぼり方が上手で効率よく業務処理できる人は、早く帰り、自分の時間を充
実する、という人がいる一方で逆の人がいてもいいと思うのです。組織というのは、
そんな所ではないですか。成果が上がらないのはいけませんが、まわりに文句言わせ
ないような実績を残していればいいでしょう。

●仕事の上で、会社と家庭を天秤にかけて「犠牲」という言葉は使いたくないですね。
会社が従業員の家庭を犠牲にするのは、業績不振になって年収を大幅ダウンさせる、
あげくの果てに倒産し解雇される時でしょう。

●会社が厳しい市場の中で生き残り、従業員に持ち家が得られるような報酬を与えて
いれば、まずは合格とすべきではないですか。仕事と家庭のバランスはそれぞれの人
がそれぞれに考えることです。それはその人の人生観、価値観です。

●しかし、組織に対して成果を上げられないような人は、組織から必要な存在でなく
なることは事実です。良きビジネスマンとは、組織にとっても、家庭にとっても必要
な存在になり続けることです。

     
       
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              株式会社総合経営センター
               代表取締役社長 加藤 靖慶 
              (中 小 企 業 診 断 士)
                ★ ご意見・ご感想をお待ちしております。
        E-mail:katoh@skc-katoh.jp
                URL:http://www.skc-katoh.jp/
           経営革新サポーター&経営パートナー
          ◇−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−◇

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