2007/09/13
人材育成の110番-人材を人財に変身!
人材育成の110番 ― 人材を人財に変身!
株式会社 総合経営センター流人材育成の考え方
第91回「違いを見せる」
●8月後半に出さなければいけなかったメルマガですが、残暑の、それも猛暑の連続
で、気だるくてすっかり忘れてしまいました。それにしても暑い夏でしたね。この先
北極熊が激減するという寂しい予測もうなずけます。核兵器の議論よりも、温暖化対
策を優先して各国の課題にせねばいけませんね。
●猛暑の中、寒い話しも多いですね。「元気な中部」といわれているこの地方ですが、
愛知、岐阜、三重3県の7月の倒産企業は前年同月比53%増となり、この先も暗い見
通しです。
●経営支援しても将来的に経営改善が困難な企業に対して金融機関が新規融資は打ち
切るのはやむを得ないことです。場合によっては融資引き揚げすら覚悟しておかねば
なりません。
●今後も零細企業の息切れ倒産は増大するでしょう。中には法的整理をせず夜逃げを
するような集計値に入らない破綻も多くなると思います。
●トヨタですら国内販売は苦戦の連続です。国内生産が順調なのは、外需のお陰です。
縮小していく国内市場を頼りにする中小製造業、外食・小売りなど内需依存型企業が
脱落していくのは、目に見えています。
●百貨店が統合を急ぐのは、この10年間全国百貨店既存店売上高は10年連続でマイナ
ス成長が続いているからです。この間総売上高は約2兆円減少しています。市場が伸び
ない以上シェアを上げなければ生きていけません。各社が規模の拡大をテコにした競
争力の拡大をはかるのは当たり前の話しです。
●このようなことは前々から言われていたことですが、いよいよ待ったなしの状況に
なったのです。このことによって弱小店の倒産・廃業は加速化すると予想されます。
●百貨店経営で見事な質の違いを見せているのは伊勢丹ですが、06年度の日経流通
「店舗別売上高ランキング」によれば、トップの三越本店(日本橋)が平方メートル
当り売上高2,015千円に対し、伊勢丹(新宿本店)は約2倍の3,997千円です。三越本
店はのれんの強みで法人売上げ、宝飾品・美術品などの高額品の売上げは伊勢丹の比
ではないと
思います。
●それにもかかわらず、どうしてこのような差が生まれるのでしょうか。それは売り
場力の差なのです。商品企画、品揃え、接客応対、感度(ファッション性)、販売技
術など、売り場を構成する力が圧倒的に伊勢丹が強いという事実を私たちは学ばねば
なりません。
●07年「働きやすい会社」ランキング1位に松下電器が選ばれました(日経新聞社)。
同社福島常務は、このように言っています。「松下は01年度に連続最終赤字4000億
円という未曽有の経営危機に陥った。6年かけてなんとか業績を回復したが、その間
に組織、人事、労務制度に抜本的な手を入れることができた」。
●松下電器は困難な時期に戦略を断行したといえます。組織は苦しくなると内向き、
後ろ向きになりやすいですが、そんな姿勢から得られるものは何もありません。本物
の戦略は崖縁に立たされても前を向いて行動しようとしている人たちから生まれるも
のでしょう。
●「きれい事ではなく、会社の成長は従業員個人の成長なしには達成できなくなって
きている。働きやすくやりがいのある職場をつくることで、社員に『自分は大事にさ
れている、財産だと思われている』と認識してもらうことが大事だ」という松下電器
の姿勢が「働く側に配慮した職場づくり」でも首位になった要因でしょう。
●人財を創るためには人材という素材を得なければいけませんが、多くの中小企業に
人材が集まらないのは、人事・労務の制度面に根本的な格差があるからです。中小企
業はおいそれと松下電器にはなれませんが、一点集中の戦略で抜きん出ることはでき
ます。
●好例があります。先の新潟県中越沖地震で、上場企業といえどもトヨタの連結純利
益の20分1、完成車8社売上高合計の0.16%の売上げしかない下請企業が、並みいる
大企業を震え上がらせました。その企業はピストンリング、変速機部品のシールリン
グを製造するリケンです。
●被災によってリケンは製造不能に陥りました。あわてたトヨタは修復のために300人
の技術陣を派遣、グループ企業もその倍以上の派遣をしました。リケンはピストンリ
ングで市場シェア5割、シールリングで7割を占める、紛れもなくその分野の強者で
す。
●直径わずか10cmの小さな部品が、完成車メーカー各社を操業停止に追い込んだので
す。なぜこれほどまでにリケンが力を持ったか。それは30工程にもおよぶ複雑な加工
が必要なことと、鋳造設備などの投資負担が重いからです。そのため完成車メーカー
は内製をあきらめてきました。
●国内自動車部品メーカー7000社のたった1社、3万点以上におよぶ部品のたった2点
が、完成車メーカーをキリキリ舞いさせたのです。この2点については、リケンは堂々
たる市場の強者であり、流通支配権をわが手に持っていたといえます。
●設備面とともにしっかりした技術を持つ人材、生産工程管理のプロ人材を抱えてい
る企業がいかに強みを持っているかという証明です。中小企業は一点集中の戦略を持
つべきです。
●大企業、競合企業に代替されないだけの技術・サービス面の一点を持つこと、そこ
に縮小する国内市場においてさえも生き残れる光明があるのです。どんな小さなこと
でもいい。市場に対してはっきりと違いを言える「質」の差を持ちたいものです。
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株式会社総合経営センター
代表取締役社長 加藤 靖慶
(中 小 企 業 診 断 士)
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経営革新サポーター&経営パートナー
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