2007/06/28
人材育成の110番-人材を人財に変身!
人材育成の110番 ― 人材を人財に変身!
株式会社 総合経営センター流人材育成の考え方
第87回「ランチェスター戦略のすすめ」
●今どき大変珍しいことですが、ひと昔前に終わった戦略理論と思い、お蔵入りに
なっていたテキストをバージョンアップする機会に恵まれました。その戦略論とは
「ランチェスター戦略」です。
●ランチェスター戦略を研究し、市場競争に勝つための実務的理論として構築され
たのが故田岡信夫先生です。ランチェスター戦略は田岡氏によって日本で花開いた
と言われています。私も中小企業診断士として駆け出しの1970年代後半、田岡先生
の本をほぼすべてむさぼるように読んだものです。そして研修用のテキストも作っ
たものです。
●1980年代、バブル経済の時代に入ってからランチェスター戦略は、どこからもお
呼びがかからなくなりました。私が得意としておりました事例研究「桶狭間の戦い
に見る織田信長の戦略と戦術の分析」「アサヒビールの戦略」「織田信長の構造改
革」などは、まったく日の目を見ることはなくなりました。
●この度、ランチェスター戦略が蘇ったのは、名古屋の中小企業家の団体がその研
究会を開き、そのために私を講師として招き4回ほどセミナーを実施する企画案が
まとまったからです。第1回目は既に終わりました。
●「経営戦略研究会セミナー参加者募集中!! ランチェスター戦略への展開」と
いう呼びかけで、受講者集めが始まりました。「現状突破したい。起業したときの
ような確信を持って舵を握りたい。そうお考えの方のために、このランチェスター
研究会は発足しました。『一点突破』を目指す効率的な戦略と戦術で、10倍の成果
を発揮する『飛躍』をめざして一緒にやりましょう」というチラシの中身が効いた
のか、40名を超える受講者が集まるヒット商品となりました。
●なぜ今、ランチェスター戦略か。そんな思いをしながら、テキストの改訂をして
いると、不思議にひかれるものを感じました。70年から80年代にかけて、多くの経
営者、管理者はその戦略に魅了されました。特に弱者である中小企業の人たちには
またとない刺激を受ける人が多かったと記憶しています。
●ランチェスター戦略には強者の戦略と弱者の戦術がありますが、弱者の方に重点
があります。弱者は市場においていかに戦うかです。そしていかに勝ちを収めるか
です。
●弱者は強者に包み込まれたら終わりです。攻めることによって活路を見いだすの
が弱者戦略の基本であり、ランチェスター戦略が中小企業の人たちに受けたのは、
それがまさに弱者の戦略だったからです。
●お蔵入りしていた「市場戦略の基本〜ランチェスター戦略の活かし方〜」が、本
当に久し振りに人目にふれることができたのは、中小企業家が今こそランチェスタ
ー戦略を研究し、市場戦略の原点に戻ろうと考えたからなのでしょう。
●弱者の市場戦略と戦術のポイントは「局地戦の展開」「接近戦・一騎打ち型の展
開」「局所優勢主義と少数精鋭主義」「プッシュ・アンド・プルの陽動作戦の展開」
「競争目標と攻撃目標の区別」「先手必勝」「長所で勝負」。それにランチェスタ
ー戦略はもう一つ「一点集中主義」を加えます。
●織田信長の桶狭間の戦いを分析しますと、弱者の作戦が見事に浮かび上がってき
ます。あれほどの戦略人間は、日本の歴史上類例を見ないでしょう。信長は、優れ
た戦略家であったために、己を過信し、独断的なマネジメントを展開したといえま
す。明智光秀の反乱がなくても、いつか側近に裏切られる運命にあったのです。信
長には、天下を取る戦略は卓越していましたが、天下を治める戦略は脳裏になかっ
たのでしょう。
●中小企業の経営者たちが今、ランチェスター戦略を研究したいと考えたのは、先
行きに望みを持ち始めたからではないでしょうか。戦略とは差別化の条件を創り上
げることですが、足元がふらついて、しっかり立てないようではいけません。
●足元をかためて、攻めの気持ちを持たない限り、生きた戦略は生まれません。そ
の意味では今回の企画がヒットしたのは有難いことです。前を向いている人にとっ
ては、戦略の研究は楽しいの一言です。
●市場の弱者が、競合うごめく中で他社を差別化し、自社の地位を確立するために
は、弱者の戦略と戦術を自社なりに実行することです。ただし、他社と同じような
ことをしているようでは望みはありません。特異性を発揮することです。他社が容
易にマネの出来ないことを実行しなければいけません。
●戦略とは明日を見据えて、知恵をしぼり出すことです。その知恵が他社の容易に
思いつかないものであれば、差別化が可能になります。差別化ができた時に、戦略
はなったといえるのです。
◇−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−◇
株式会社総合経営センター
代表取締役社長 加藤 靖慶
(中 小 企 業 診 断 士)
★ ご意見・ご感想をお待ちしております。
E-mail:katoh@skc-katoh.jp
URL:http://www.skc-katoh.jp/
経営革新サポーター&経営パートナー
◇−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−◇


