2007/05/24
人材育成の110番-人材を人財に変身!
人材育成の110番 ― 人材を人財に変身!
株式会社 総合経営センター流人材育成の考え方
第85回「組織の要はミドルマネジャー」
●ミドルマネジャーがしっかりしている組織は業績が上がっている、とひと昔前に
はよく言われたものです。それが2002年までの失われた10年で、すっかり死語にな
りました。
●組織のフラット化や成果主義のあおりで、ピラミッド型組織の上下左右の要にあっ
て貴重なブリッジ機能を果たし、コミュニケーションセンターの役割を担っていた
ミドルマネジャーが人件費削除のための恰好のターゲットとなりました。上場企業
がリストラによる人員削除を発表すると株価が上がったものです。労働分配率が減
る分、利益分配率が上がると株式市場が見たからです。
●「人材は人財」という言葉は現場の技術専門職や専門スタッフに向けられており、
少なくとも部課長職には当てはめられなかった言葉です。それよりも専門的能力を
持たずに年収だけ高い部課長の首を切れば、若いスタッフが2人から3人は雇える。
こちらの方が企業にとってははるかに有利だという理屈が優先していました。まさ
に管理職受難の時代が、失われた10年の間続いてきました。
●さて、これからの日本の企業の発展を考える場合、真先に見直さねばならないの
がミドルマネジャーの役割だと思います。今、組織はプロのミドルマネジャーを求
めています。
●プロのミドルマネジャーとは何をする人か。今のように責任が重い割りには年収
が低く抑えられてなり手が少ない時代と違って、ひと昔前までのミドルマネジャー
は、部門の利益管理を任されているという自負がありました。部下とは年収格差が
あり、プライドも高かったように思います。すべてのミドルマネジャーが優秀だっ
たわけではありませんが、自部署の利益に対して責任を持ち、経営参画意識が高かっ
たと評価できます。
●そして、何よりも部下を育てるのに情熱を持っていました。部下を育成しても自
分の存在が危なくなるということがなかったために、安心して組織と付き合うこと
ができたのだと思います。失われた10年の間に管理者たちが受けた仕打ちは、それ
まで経験したことがなかっただけに、心を荒廃させるという深い傷跡を残しました。
●日本の組織は、管理者をリーダーとする(そのリーダー像は父親的あるいは兄貴
的存在でありましたが)チーム力によって成果を上げてきました。他部署に対して
強いライバル意識を持ち、部下たちをあおってきました。今と違って上司と部下と
の間には強い絆があり、目標を達成すれば一杯飲みながら上司はみんなを慰労した
ものでした。ただし、部門間・部署間で壁をつくるという悪弊も残しましたが …
●組織のフラット化によってだぶついたミドルマネジャーをリストラという名のも
とに整理し、成果主義を押しつけることによって昔のよき時代の上下の絆は断ち切
れ、個人主義が一般化しました。成果を上げるのは個人であって、チーム力ではな
いという思い上がりが企業を苦しめてきたことは事実です。
●組織における個人とは何でしょう。個々人がそれぞれに目標を決め、自分の計画
に従って行動していれば1+1は「2」の力にしかなりません。「2」が二乗のエネ
ルギーを発揮して、「4」の成果を上げるためにはチーム力を必要とします。その
チーム力こそ、組織力なのです。
●組織の要はミドルマネジャーです。出来の良い、優秀なミドルマネジャーを抱え
ている組織は強いはずです。「管理をする」という仕事は、部下を動機づけ、PD
CAを回すことですが、それがうまく回れば成果は出ます。日常管理がうまいとい
うことになります。それゆえに「管理をする」という仕事は立派な専門職です。プ
ロの仕事なのです。
●今の若い人たちは、父親の苦い体験をたくさん見てきました。会社のために、休
暇も取らず、子供たちとの団らんの時間もほとんど犠牲にして働き続け、一段一段
監督職から管理職の階段を登ったあげくにリストラで終わりでは目もあてられませ
ん。自分は父親のようにはならない。そのためにスペシャリストとしての職務を持
ち、それによって市場評価も得られるような職務知識・技術・技能を得たいと考え
るようになっています。
●「管理する」という仕事は、まぎれもないプロの仕事であるのにもかかわらず、
誰にでも置き替えられるという悪しき錯覚があることは残念なことです。本当のプ
ロマネジャーはその人の固有の職能で誰もが簡単に代替できるものではありません。
●規模の大小を問わず「管理する」プロがいる組織は強い組織です。その組織は、
年功序列を排し実力主義を貫いていますが長期雇用を保障することが暗黙の了解事
項になっています。いや、そうでなければプロマネジャーなど育ちません。
●世界に通用するわが国の優良企業であるトヨタ自動車を中心とするトヨタグルー
プ、ホンダ、キャノン、シャープ、京セラ、村田製作所、日本電産などの京都企業
などは長期(終身)雇用を保障しています。社員は加齢化におびえることなく働け
るわけです。安心して部下を育成することができるのです。個人プレーに走ること
なくチームプレーに邁進することができるのです。その結果、企業は相乗効果とい
う成果を得ることができるのです。
●中小企業でも、しっかりミドルマネジャーが機能している組織は強いです。働く
人を大切にする組織では、トップが厳しい要求をし、内から管理者たちを揺さぶり
続けても、組織に対するロイヤルティが強い分だけ管理者たちが挑戦していくはず
です。
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株式会社総合経営センター
代表取締役社長 加藤 靖慶
(中 小 企 業 診 断 士)
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