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2007/12/31

【かしこい人の見分け方】No.185 「自分で決めたことを守る人」

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         か し こ い 人 の 見 分 け 方

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                                                       2007/12/31 No.185


【今週のポイント】

 ○ 自分で決めたことを守る人

 × できない言い訳を考える人

              *******************************************

今日は、大晦日。明日はお正月ということで、「来年の目標」を決めようと思っ
ていらっしゃる方が、おそらく多いのではないかと考えて、このポイントを選ん
でみました。

僕もそうなのですが、1年の初めなど、何かのスタート時点で目標を決め、実際
にそれに取り組んではみたものの、結局はなし崩し的に挫折してしまったという
経験をお持ちの方は、とても多いのではないでしょうか。

一見逆説的なようですが、人から命令された事やお願いされた事というのは、よ
く守れるものなのに、自分で主体的に決めた事というのは、案外かえって守れな
いものですね。

それは、人が決めた事というのは、従わないと、その人から怒られる、あるいは
その人の信頼を失うといった、自分にとっての具体的な「損害」が明らかである
のに対し、自分で決めた事には、そのようなはっきりした「損害」がないためで
す。

しかしもちろん、自分で決めた事であっても、それを決めた理由が当然あるわけ
ですから、それを破ることには、何かの「損害」はあるわけです。そして、それ
は自分自身でも漠然と感じることですので、自分が決めたことをやらなくなると
きには、自分でその言い訳を考えて、自分に言い聞かせるのが通例でしょう。

本当に当初想定していた状況が大きく変化することはあるわけですから、必ずし
もそれが常に悪いわけではないのですが、一方で、そういうことを繰り返してい
ると、「自分は本当に意志が弱いな」という自己嫌悪につながっていき、あまり
いいことはありません。

逆に、途中で何か障害が発生したとしても、それを何とかして乗り越え、当初の
目標を達成した場合には、とても強い達成感と、自分に対する自信が得られるも
のです。すると、次の目標を立てたときには、最初の時より楽にそれを達成でき
るようになっており、さらに自信が深まるという好循環になるでしょう。

とはいえ、人間というのは、本質的に感情に流されやすい、弱い存在ですから、
何の工夫もなく、意志の力だけで自分で決めたことを守り通そうとしても、なか
なかできるものではありません。自分で自分に強制するための、何らかの工夫を
することが必要です。

かしこい人を見ていると、目標を手帳やパソコンに書いて毎日進行状況をチェッ
クしていたり、一緒に目標に向かう友人やライバルを見つけたり、ブログで公開
して他人にも見られるようにしたりといった「工夫」が見られます。

やり方は、人それぞれでしょうが、共通しているのは「守ろうとする意志と努力
がある」ということです。

来年こそ、がんばりましょう。



【最近読んだ本】

以下は、僕が最近読んだ本の感想で、僕の書いているブログ「最近読んだ本」
( http://books.fujishima.main.jp/ )からのご紹介です。

約1ヶ月半で読んだ本ですので、いつもより、やや多めですね。

おすすめは、文系なら「心にしみる四字熟語」、理系なら「〈はかる〉科学―計・
測・量・謀…はかるをめぐる12話」、金系(笑)なら「相場で負けたときに読む
本 実践編」かな。どれも、おもしろかったです。


●「トポロジーの発想」
 → http://books.fujishima.main.jp/?eid=616757

図書館で見かけて、おもしろそうだなと思って借りて読んでみました。「トポロ
ジー」という言葉と、大雑把にそれが何を意味しているのかくらいは一応知って
いましたが、想像していた以上に深い内容で、正直驚きました。

第2章で出てくる「一筆書き」の理論や第6章の「メビウスの帯」は、子供の頃
にも読んだことのあるもので馴染みの深いものでしたが、不動点定理、有向グラ
フ、アイデンティファイ、オリエンテーション、オイラー標数などの概念は、こ
の本を読んで初めて知ったものです。これらの概念だけを聞いたのでは、ややこ
しくてめげそうになりますが、「不動点定理」では、洗濯機やそうめん流し、台
風の目が、「有向グラフ」では家系図や人脈図、発電所のネットワークなどが比
喩として用いられたり、「オリエンテーション」の説明では、「鏡の像は、なぜ
左右が逆になるだけで上下が逆にはならないのか」といった問題との関連で述べ
られたりと、説明に工夫が加えられており、とても興味深く読むことができまし
た。

中でも、鏡についての説明は秀逸で、あの朝永振一郎が「しっくりこない」と
言っていたこの問題が、この作者の説明では実にしっくりと腑に落ちました。


●「大人のための漢字力養成講座」
 → http://books.fujishima.main.jp/?eid=616759

実家の近くに医者があるのですが、そこの息子さんが出版社に勤めていて、本を
書かれたんだよと実家の母に教えられて読んでみたのがこの本です。

「大人のための」とありますが、内容的には、小学校高学年から中学校の頃に
習ったような覚えのある、漢字や熟語についての基礎知識をおさらいしているよ
うな本でした。

ただ、すでに忘れてしまっていたようなこともいろいろあり、「ポイント」とい
う形で要所要所に要約があってわかりやすくまとめられていましたので、いい復
習になりました。

それほど斬新なところはありませんが、漢字や熟語の基礎知識について、気軽に
楽しみながら復習できるというところが、なかなか良いと思います。


●「心にしみる四字熟語」
 → http://books.fujishima.main.jp/?eid=620361

前に読んだ「大人のための漢字力養成講座」と同じ著者の本ですが、こちらの方
が圧倒的に力作だと感じました。

最近軽くブームになっている感のある「四字熟語」をテーマにした本ですが、単
純に四字熟語を取り上げるのではなく、それが使われている文学作品を1つ取り
上げ、その作品内でのその四字熟語の位置づけや、四字熟語の出典となった中国
古典がある場合には、その使われ方との対比などを通じて、深く文学を味わおう
という趣旨のものです。

ですから、どちらかというと、四字熟語そのものよりも、むしろ取り上げられた
文学作品の解説の方に、より多くのページが割かれているのですが、これがなか
なかポイントを突いていておもしろく、とても勉強になりました。(以下略)



●「雪国」
 → http://books.fujishima.main.jp/?eid=625999

ノーベル文学賞も受賞した、あまりにも有名な小説なのですが、実は通読したの
は、これが初めてでした。

以前、テレビでさわりが紹介されていたことがあり、いつか読んでみようかと
思ってはいたものの、きっかけがなくそのままでいたのですが、「心にしみる四
字熟語」を読んで、この本も取り上げられていたことで、読んでみる気になりま
した。

ストーリーは、身も蓋もなく言ってしまえば、金持ちの道楽者と温泉芸者との恋
物語といったところ。ストーリーの起伏は乏しく、これは若い頃に読んだのでは、
きっと退屈していただろうな、と思わせるものでした。

しかし、文章が半端でなく美しく、会話の言葉遣いも実にきれいな標準語で、読
んでいてとても心地よく感じます。また、ヒロインの駒子の心情が複雑に揺れ動
くのが一種のサスペンスを感じさせ、40代半ばの今読んでみると、結構どきど
きして楽しめました。

まあ、詩情というものには全く疎い、ほど遠い自分なので、この作品の鑑賞を書
く資格はそもそもないのかもしれませんが、これが正直な感想といったところで
す。


●「〈はかる〉科学―計・測・量・謀…はかるをめぐる12話」
 → http://books.fujishima.main.jp/?eid=632501

中部大学中部高等学術研究所の共同研究として取り上げられた、「はかる」を
キーワードとした、専門分野の垣根を越えた幅広い分野からの研究成果が、新書
版としてまとめられたものですが、実際に、「はかる」という言葉には、こんな
にも広がりがあるのかとびっくりするような内容の本でした。

サブタイトルにあるように、全部で12の論文が取り上げられているのですが、
第1部のテーマは「はかる尺度・単位」で、その冒頭の2つの章は「メートル法
の成立」「キログラムの再定義」というとろこで、まずまず予想の範囲内のもの
でしたが、3つめにはいきなり「環境をはかる」と来ます。そして、4つめが
「肌理(きめ)と情報」。

続いて、第2部の4つの章のテーマは「国土・都市をはかる」で、古代シュメー
ルの土地測量、朝鮮の古地図、考古学へのリモートセンシング活用、都市計画の
空間尺度と、話が大きくふくらみます。

そして第3部の4つの章のテーマでは、なんと「感性・意味をはかる」として
「音をはかる」「美をはかる」「罪の重さをはかる」「メタファーで世界を推し
はかる」と、ちょっと想像も付かなかったところにまで話が及んで行きます。
(以下略)


●「冷蔵庫のうえの人生」
 → http://books.fujishima.main.jp/?eid=640037

書評で、母と娘のメモのやりとりだけで成り立っている小説、というのを見かけ、
それはおもしろそうだな、と思って読んでみました。

実際に、一切地の文がなく、本のすべてが、母と娘とが、それぞれ冷蔵庫のドア
に貼り付けたメモのやりとりだけで成り立っています。それでいながら、離婚し
た父親、娘のボーイフレンド、友人、親戚、母親の仕事先の人、娘のバイト関係
など、かなり多彩な人間関係の中における、さまざまななエピソードがしっかり
と盛り込まれ、また、登場人物達の感情の動きも、メモに書かれている文章から
しっかり読み取れるという、実にすごい本でした。

本の冒頭からラストにかけての、娘の成長ぶりもしっかりと感じ取ることができ、
必ずしもハッピーエンドというわけでもないのですが、読後感はとてもすっきり
としています。

メモの余白も効果的に使われている関係上、小説のボリュームとしてはさほどで
はなく、すぐに読み通してしまえる本ですが、とてもおもしろくて、お勧めです。


●「相場で負けたときに読む本 実践編」
 → http://books.fujishima.main.jp/?eid=640044

筆者は、プロのトレーダーであり、その経験から書かれた本です。

この手の本の類書もいろいろありますが、僕は、この本は本質を突いていて、な
かなかいいと思いました。

筆者がこの本で繰り返し主張していることは、「感情に流されないよう、ルール
を決めて合理的、機械的な取引をすべし」「損切りを躊躇するな」「人の言うこ
とに従うな」ということであり、極論すれば、この2点のみを、さまざまな切り
口から述べているだけ、といっても過言ではありません。そして、作者のその主
張には、僕も全く同感です。

結局のところ、資金運用というのは、一般に思われているのとは違って、勝つた
めの戦略よりも、負けを小さくするための戦略立案こそが重要なので、そのため
には、感情のコントロールというのが、最大のポイントと言っても過言ではない
わけですから。

書かれていることの多くは、すでに知識として知っていて、実際に実践している
つもりのものでしたが、いくつかおもしろい有意義なノウハウもあり、また、改
めて考えると、きちんと実践ができていないこともありました。

自分の資金運用を振り返る上で有益な本ですし、また、単に資金運用にとどまら
ず、リスクのある仕事上の判断を行う上でも、示唆に富むところの大きい本です。



【編集後記】

トムさんから、いつものように、コメントをいただきました。

> >【今週のポイント】
> > ○ 問題に早期対処する人
> > × 問題が明らかになるまで待つ人
> 
> 今回のポイントは反省しきり・・のポイントです。
> 個人の問題への対処は自分のペースでできるから大丈夫なの
> ですが、組織的な問題への反応が先走り過ぎているのです。
> 「時代を一歩先取りするのは早すぎる。半歩先取りするのが
> 一番良い」という言葉をどこかで聞いたことがありますが、
> 組織的な問題への対処もそれに通じるものがありそうです。
> 
> 「問題に気づいたらすぐに声を上げるのではなく、問題に
> 気づく人が全体の1/3程度に達したのを目安に声を上げる」
> 
> 自分の場合は努めてこんな風に心がけています。
> 「問題の提起者」というのは不遇になりやすい、という普遍的
> な法則があるからです。だから、できるだけ自分だけが気づい
> ているときに声を上げない方が良いのです。
> 
> 食品偽装の問題も、末端が気づいていながらトップがそれを握り
> 潰す構図があったのが一番の問題なのでしょう。だから、最後は
> 内部告発がきっかけになって、大きなブランド損失を招くこと
> になってしまったということだと思います。
> 
> 
> 末筆ながら、、
> 本年も色々お世話になりました。
> 来年も良い年でありますように。

ふーむ、「「問題の提起者」というのは不遇になりやすい…だから、できるだけ
自分だけが気づいているときに声を上げない方が良い」ですか。

おっしゃられることも、分かると言えば分かるのですが、ちょっと消極的に過ぎ
るような気もしますね。

不都合なことを指摘されると、感情的不快感を引き起こしてしまうというのは、
おっしゃるとおりだと思います。それがたとえ真実であろうと、合理的であろう
と、「感情的不快感」にとっては、関わりのないことですから。

ですから、ストレートに問題を提起するのは、単に自分が干されるだけの結果で
終わり、改善に役立たないことが多いというのは、実際にあるでしょうね。

ただ、僕が思うには、それは、「指摘が早すぎた」のが原因と言うよりは、言い
方に気を配らず、ストレート過ぎる物言いをしてしまった結果であることが、む
しろ多いのではないでしょうか。以前のポイントでも触れましたね。

大勢が気がつき、口にするようになれば、言い方に気を配らなくても、「みんな
がそう言っているから、自分もそう言った」という言い訳で逃れられるというだ
けですね。

前回のポイントに即して言えば、全体の1/3もおかしいことに気づくまで待って
しまうと、修正のコストが既に相当大きくなってしまっているように思えます。
そういうことに気づいて早めに手を打つのは、もちろん一義的にはトップの責任
でしょうが、「気づいてしまった人」が何らかの手を打とうとする、という組織
の方が、おそらく強いのではないでしょうか。

また、個人としても、そういう苦労はしておいた方が、後々伸びるようにも思い
ます。

まあ、今の話は抽象論ですので、具体的場面に応じて、対応方法は様々でしょう
が、そういう考え方もある、という風にお考えいただけたなら、幸いです。

トムさん、いつもコメントをありがとうございます。


さて、2007年も、残り1日となりました。

みなさまにとっては、良い1年だったでしょうか?

2006年5月に衣替えして、月間で約1年半ほど続けてきた「かしこい人の見
分け方」ですが、毎月最終月曜日に定期的に発行する現在のパターンも、ややマ
ンネリ化してきたような気がします。

そこで、来年は、お話ししたいポイントができたときに、不定期に配信する方式
に切り替えたいと思います。また、本のご紹介なども必要最小限にして、1回当
たりのメルマガの分量を減らす予定で、場合によっては、携帯版(ミニまぐ)で
の配信に切り替えるかもしれません。

まだ、それほど具体的計画は立てていないのですが、とりあえず今後は、「忘れ
た頃にやってくる」天災のような(?)メルマガになることを、ご了承ください。


それでは皆様、よいお年をお迎えください。



◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇
発行者     : 藤島 昇
Webサイト  : http://fujishima.main.jp/
メルマガサイト : http://www.mag2.com/m/0000118741.html
メール     : noboru.fujishima@gmail.com
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