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これを読めばすべてがわかる!!なんてことはありえませんが、宇宙、地球、生命、人類の歴史をビッグバンから現代まで、1年半くらいでコンパクトにまとめます。4版目はトピックスとして生物の防衛戦略を特集中。

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2008/06/28

明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.41/4-

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明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.41/4-
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 Nature digest 日本語版6月号に集中力や注意力を向上させる効果がある薬の
濫用の話が載っていました。

 薬の名前はメチルフェニデート(商品名「リタリン」)、モダフィニル( 同
「プロビジル」)、β( ベータ)遮断薬の3 種類です。そういえば、リタリン
は、最近、濫用がニュースになっていましたが、確か、うつ病の治療薬でした。
記事ではメチルフェニデートは注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療に用いられる
精神刺激薬としています。大学のキャンパスでは「勉強の友」として、よく知ら
れているそうです。モダフィニルは、睡眠障害の治療薬。全身疲労や時差ぼけに
対しても使われている。心不整脈の治療薬として処方されるベータ遮断薬には抗
不安作用もあり、この辺が知的能力改善薬としての効果のようです。もっとも、
いずれも副作用もあるので要注意。

 Nature誌のアンケートによると、「薬物を服用する理由としては、「集中力を
高めるため」という回答が最も多かった。僅差で2位となったのは、「特定の作
業に対する注意力を改善させるため」という。」「美容整形の場合と同様、向知
性薬をめぐる生命倫理的問題と心理的問題が解決され、文化的に受け入れられる
ようになれば、向知性薬の使用量が増えていく可能性は高い。」「私は、プロ
フェッショナルとして、自分の能力を人類のために最大限に活用する義務がある
と考えています。『機能改善薬』が、この人道的な貢献に役立つのなら、それを
利用するのが私の義務なのです。」(以上、「」内は抜書き)

 頭をよくすると称する食品は問題なく流通していますが、このようなダイレク
トな作用を持つ薬の場合、倫理的に問題があるように思うのはなぜでしょうか。
いまや病気自体が少なくなってしまって、病気を治すための薬は商売にならな
い。現在は機能改善薬、外見改善薬(やせる薬なども)、そして、記事にあるよ
うに、美容整形が医療の花形になっています。歯医者も虫歯を治すのではなく、
歯列を直す矯正歯科の方が多くなっているのではないでしょうか。記事の薬も、
勝負パンツならぬ、勝負薬として使われています。一方で、スポーツ界はドーピ
ングと称して、薬は禁じられています。

 脳の機能の解析も進んでいますから、手術による脳機能の改善、遺伝子組換え
技術による人体改造も善しとされるようになるでしょうか? 麻痺などの身体障
害のために脳機能を改善する手術や遺伝病を改善するための遺伝子投与がその
きっかけになりそうです。


◆◇ 生体防衛論 ◆◇

39、侵入者を記憶する

+++ 侵入の検知 +++

ウイルス感染を受けた細胞は自殺し(アポトーシス)、マクロファージや樹状細
胞によって食べられます。両細胞は食べた周りの雰囲気(Danger Signals)、細
胞内タンパク質が漏出していること、異常な核酸があること、細胞が発したSOS
シグナル(サイトカインやケモカイン)をレセプターで検知し、新たなケモカイ
ンレセプターを発現します。このレセプターはリンパ節で作られ、分泌されてい
るケモカインに反応します。

+++ 侵入者の情報 +++

組織液の流れ(24を参照)に乗ってリンパ節にたどり着いたマクロファージや樹
状細胞はそこで発現しているケモカインに反応してリンパ節に留まり、食べた抗
原を適当に消化し、MHCタンパク質というお皿に乗せて細胞の表面に提示します。

ところで、免疫反応の実行部隊であるTリンパ球やBリンパ球は特異性の高い抗原
レセプターを持っています。が、特異性が高すぎてほとんど反応する抗原があり
ません。それでもTリンパ球やBリンパ球は日々、血液、組織液、リンパ節を循環
しています。そして、リンパ節にいる樹状細胞のMHCタンパク質の上に載ってい
る抗原ペプチドを調べてまわります。未反応のTリンパ球やB リンパ球も先ほど
のケモカインに反応するレセプターを発現しています。

+++ 機動部隊が行動開始 +++

抗原レセプターが、抗原ペプチドを持ったMHCタンパク質に反応すると、結合が
強固になります。Tリンパ球やBリンパ球は長めにマクロファージや樹状細胞に結
合することになりますが、そこで、さらに、いくつかのタンパク分子が結合を補
強し、さらに、サイトカインなどの信号分子も放出されて、Tリンパ球やB リン
パ球に増殖と活性化のスイッチが入ります(免疫シナプス)。活性化Tリンパ球
やBリンパ球はマクロファージや樹状細胞から離れてリンパ液の流れに戻りま
す。Tリンパ球はBリンパ球の集まった部位に移動してBリンパ球が抗体を大量生
産するような分化誘導サイトカインを分泌します。B細胞がリンパ節で樹状細胞
に結合することについてはビデオデータがありますが、活性化されるかについて
は異論もあることでしょう。

+++ 機動部隊は現場へ +++

活性化のスイッチは主に細胞表面上のレセプターです。活性化Tリンパ球やBリン
パ球は、リンパ液から血液へと移動しますが、血管の内側は、全身、同じ血管内
皮細胞からできています。どこが現場なのでしょうか? 血流に乗って、現場付
近の血管にたどり着くと、そこの血管内皮細胞はちょっと変化しています。血管
内皮細胞も現場で発現しているサイトカインやケモカインに反応していて、様々
な細胞を留めたり、通過させるシグナル(インテグリンタンパク質)を発現して
いるのです。活性化Tリンパ球やBリンパ球は、異常の起きている現場で発現して
いるサイトカインやケモカインに反応して、その場に留まり、血管壁を抜けま
す。血管壁を抜けた後も組織の中をサイトカインやケモカインに反応して、移動
します。

+++ 機動部隊の攻撃 +++

活性化Tリンパ球のうち、細胞障害性Tリンパ球は、現場で抗原レセプターに結合
する細胞があると、細胞膜に穴を開けるパーフォリンタンパク質や、相手の細胞
にアポトーシス(自殺)を誘導するTNFタンパク質(サイトカイン)を分泌し、
また、FasL(膜上のタンパク質)を発現して相手の細胞を殺します。ウイルス抗
原を持った細胞ではウイルスが感染していますから、ウイルスは細胞の中で増殖
中に、細胞という増殖の場を失うことになります。ウイルスの破片や細胞の破片
は食細胞(主にマクロファージ)が後片付けします。この過程でも免疫応答が起
こりますが、むしろ、マクロファージや好中球は火消し役に回るようです。

活性化Bリンパ球は大量の抗体を生産して、ウイルス粒子、ウイルスタンパク質
を発現している感染細胞に目印をつけます。抗体の目印に対して補体が集合して
細胞に穴を開けて殺します。また、抗体に対するレセプターを持った食細胞はウ
イルス粒子を食べて消化します。ウイルス粒子は細菌に比べて小さく、また、酵
素を分泌したりできないので、単純に抗体が結合するだけで機能を奪われてしま
います。

+++ 免疫記憶 +++

ウイルス感染の場がひと段落すると、活性化Tリンパ球、Bリンパ球の一部はメモ
リー細胞として、活動を休止し、待機状態になります。この辺のメカニズム、ど
の組織、器官で待機しているかなどは、現在も研究が進行中です。おそらく、メ
モリーリンパ球は活性化したリンパ球群から一定の割合で生まれてきて、体循環
をはじめ、再びリンパ節や組織で自分に相応しい抗原ペプチドを持ったMHCタン
パク質と遭遇するのを待つのでしょう。次に遭遇したときは初めて遭遇したとき
より速やかに活性化して分裂し、大量の活性化リンパ球と少数のメモリーリンパ
球とを作り出すのでしょう。

+++ 機動部隊は獲得免疫と呼ばれる +++

リンパ球が中心となって起こる激しい免疫応答は獲得免疫と呼ばれます。激しい
のですが、きわめて特異性の高い抗原レセプターを利用して抗原(外敵)にのみ
反応する免疫応答です。自然免疫では排除しきれなかったさまざまな病原体が全
滅します。

抗原レセプターはランダムに断片が組み合わされて多様な抗原特異性が生み出さ
れます。リンパ球は抗原レセプターを1種類だけ発現します。赤ちゃんがこの世
に誕生したとき、1種類の抗原レセプターを発現する数百、数千万のリンパ球集
団が完成して、全体として数百、数千万種類の抗原に対応可能になっています。 

抗原(病原体)が侵入すると、反応する抗原レセプターを持つ数種類(もっと多
いかも。抗原によって違う)のリンパ球は分裂して反応を起こします。リンパ球
は数が増え、メモリーリンパ球として待機します。これが免疫記憶です。

+++ 記憶が免疫の発見 +++

免疫現象は免疫記憶が発見されて、医学に応用されることになりました。一度感
染した病原体を免疫システムが記憶する。ならば、疑似体験させればいいのでは
ないか。疑似体験のための薬がワクチンです。重いアレルギーや自分の細胞に対
して反応する自己免疫病の場合はメモリー細胞を殺してしまえばいいのではない
か。それが免疫抑制剤です。免疫抑制剤は臓器移植のときにも使われます。が、
あまり多用すると、免疫で抑えられていた害のない細菌までが牙をむき、重篤な
感染症を起こすことになります。


◆◇ 森羅万象の系譜 ◆◇

35. 気候・・・周期的な寒冷化と温暖化

約1000万年前から、アフリカ東部の直下に高温のマントル物質がゆっくりと上昇
し、アフリカ大陸が裂け始めた。アフリカ大地溝帯は、陸上に出現した海嶺であ
り、このような場所は他にアイスランド、アメリカ合衆国のデスバレーに見られ
る。アフリカ大陸の東側を南北に2列に貫く谷であり、北は紅海となって、地中
海に向かっている。アフリカ大陸は、この大地溝帯を境にして現在も東西に分裂
しつつあり、付近では地震活動や火山活動が続いている。地溝帯のデスバレーや
東アフリカのジブチの塩湖、イスラエルの死海は海面より低いところにあり、谷
底には、多量の塩分が堆積する。これから数千万年後には海が入るであろう。

今から600〜500万年前に、地中海が干上がった可能性がある。地中海と大西洋を
つなぐジブラルタル海峡は、幅20km、深さ200〜400mの浅い海峡である。世界的
な海水準の低下によって、ジブラルタル海峡が陸になり、イベリア半島とモロッ
コがつながり、地中海は湖になった。そのあと、気候が乾燥したために海水が大
規模に蒸発した。蒸発岩といわれる、石膏や岩塩が地中海沿岸のスペイン、イタ
リア、ギリシャ、チュニジア等の国々で見つかる。また、地中海の深海底を掘削
した深海掘削計画の研究プロジェクトでも、同じように蒸発岩が確認されている。

500万年ほど前には哺乳類も草原に適応した種が出現した。犬や狼、馬の祖先、
人類の祖先である。鳴禽(めいきん)類と呼ばれる、さえずる小鳥たちが大発展
した。鳴声によるコミュニケーション、敏捷な運動能力が優勢となった原動力と
思われる。

黄土が堆積し始めたのは、中国黄土高原では約250 万年前からであり、その多く
が約200 万年前から始まった第四紀に入ってからである。チベット高原の隆起に
よって熱帯との大気循環が遮断され、中国内陸部が乾燥するようになったからで
あろうと推定されている。

100万年ほど前から氷期と間氷期が約十万年の周期で交替した。この時期を第4紀
と定義する。周期を解析するといくつかの周期が重なっている。気候変化の外因
として、地球と太陽との距離(10万年周期)、地軸の傾きの変化(2万年周期と
4万年周期)に伴う日射量の変化が考えられている。しかし気温や氷床の量など
の変化はそれ以上に大きく、大気、海洋、地形などが増幅機能として働いている
と考えられる。

氷期の最盛期には氷河が北半球の北部を広く覆い、間氷期になるたびに氷河湖の
決壊による大規模な洪水があった。イギリス海峡の海底には、壊滅的な洪水が
40万年前、20万年前の2回起こった証拠が残されている。大規模洪水によって、
ブリテン島は、現在のような大陸から切り離された形になったのだろう。

産業革命以後の近年の地球環境の変動は、過去の大規模な変動に匹敵する。この
変動は人間活動に起因することから、Anthropogenic(人間活動による)から
Anthropocene(第5紀?訳語不明)という新たな時代区分が古典的な地質学と関
係のない分野で導入されている。この時代区分は、定義が地層に依っていない。
地質時代の区分は地層に記録された生物種の消滅や地球環境の変化で決められる
ので基本的な考え方は同じである。


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 2008/6/28 発行
 発行人 岩田
 HP: http://eco-evo.hp.infoseek.co.jp
 ご意見・お問い合わせ: a6iwata@infoseek.jp
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