明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.37/4-
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明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.37/4-
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ガソリンが高騰しています。40年も前にローマクラブが「成長の限界」を著し
て原油があと30年で底をつくと警告したときは、オイルショックが起こりまし
た。私も中学生でしたから、そのときの社会的な状況を覚えています。ところ
が、1980- 1990代は原油価格が低く抑えられていたために、原油回帰が起こりま
した。世界的な競争が激化したときでもあり、短期的な展望が重視され、産業界
(社会)が原油に大きく依存することになりました。ここに来てのオイルショッ
ク。当然の成り行きでしょう。原油の埋蔵量はあと何年分あるでしょうか?
もっとも、今回のオイルショックは原油の埋蔵量に限りが見えてきたというだけ
でなく、投機的な動きも大きいようです。
この40年間、一貫して底流のようにエコ社会の技術基盤が整備されてきたはず
です。小さくてエネルギー効率がよい電子製品。また、製品を作る製造ライン。
そろそろ、開発された技術をライフスタイルとして統合し、ライフプランとして
統合していく哲学が必要ではないでしょうか。
◆◇ 生体防衛論 ◆◇
37、変化することで病気を起こす
○インフルエンザウイルスに限らず、RNAをゲノムとするウイルスはDNAをゲノム
とするウイルスに比べて複製の間違いを起こしやすい。その理由の1つには複製
ミスを直す仕組みがないことが挙げられています。DNAウイルスは感染した宿主
の DNA複製機構を利用して、複製のミスを取り除くと考えられるからです。もう
一つの理由として、RNA合成酵素自体の性能の問題。その性能を変えることでウ
イルスの病気を起こす能力まで変えることができると報告されました(Nature,
439, 344-348, 2006)。
+++ 微生物はクローンを取って、性質を解析する +++
動物のクローンは、同じ遺伝子を持つ個体として、マスコミで、また SF小説で
おなじみです。動物のクローンは自然界では誕生しないので、話題になったり、
小説になったりするのですが、動物以外では一般的です。例えば、植物の挿し
木。親の体の一部を栽培して別の独立した個体にするわけですから、クローンで
す。全国のソメイヨシノはクローンであるとの説があります。バナナは種のない
突然変異体を挿し木で増やして栽培するそうです。人工的でないクローンも昆虫
の例にあります。アリマキは単為発生で大発生します。
微生物の性質を調べるためにはクローンとして大量に増やすことが必須です。微
生物は小さすぎて、観察しずらく、構成成分を調べるにも、性質を調べるにも1
匹からでは材料が十分にとれないからです。
細菌は寒天培地の上で増殖させ、コロニーを作らせます。言い換えると、水分は
少ないが、栄養分はたくさんある環境を作り出して、細菌が泳げないが増えられ
るようにします。そうすると、細菌は分裂しながら塊となって増えます。これが
コロニーです。少数の細菌を寒天培地の上に撒くと、1個の菌から子孫ができて
コロニー(クローン)が取れます。
ウイルスの場合の似たような方法でクローンをとります。ウイルスは細胞の中に
侵入して増殖します(32-34を参照)から、まず、細胞を培養する必要がありま
す。ウイルスが拡散しないように、細胞の培養液を軟寒天もしくは粘度の高い物
質で固めます。ウイルスを十分薄めて感染させると、1つの細胞で増殖したウイ
ルスは、その細胞を壊して周りに散らばり、周りの細胞に感染します。細胞が
ゆっくり増殖するように培養すると、ウイルスによって壊された細胞の穴(プ
ラーク)が大きくなっていきます。プラークを観察しやすくするため、ウイルス
を感染するときに細胞が単層になるように培養します。プラークの周辺の軟寒天
中にウイルスのクローンが散らばります。
+++ RNAウイルスは変異の入ったゲノムの集団 +++
RNAウイルスのクローンを取るにはプラークの周りにあるウイルスを軟寒天ご
と、小さなスポイトで吸い取ります。そのあと、培養細胞に感染させて増やせ
ば、理屈上、1つのウイルス粒子由来の子孫、すなわち、遺伝子がまったく同一
なウイルス集団を得ることができます。もっとも、必ずしも一致するわけではあ
りません(34を参照)。
実際のところ、わずかな変異があります。ポリオウイルスの例(冒頭の論文、
Nature Med, 14, 154, 2008)では1ゲノムあたり2個の塩基置換があります。す
なわち、ポリオウイルスのゲノムは約7500個の塩基からなりますが、平均してそ
のうちの2個(約0.027%)は個々のウイルス粒子の間で違っています。
RNAウイルスはクローンをとる操作(クローニング)を行っても遺伝子から見る
とたくさんの変異があり、おそらくは分離株(採取した宿主が違う)の間では
もっと違いが大きいでしょう。こんなに違ってくると、1つの種とは厳密にはい
えないのではないか、という意見があり、quasispecies(擬似種)と提唱されま
した。
ちなみに、人間では0.1%ほどの違いがあるそうですから、RNAウイルスの変異は
それほど大きくない? ヒトゲノムの個人差についての詳細は現在計画(進
行?)中で、これから明らかにされるでしょう。
+++ 変異の少ないRNA合成酵素を持ったウイルスは病気を起こさない +++
やっと本題です。核酸のそっくりさん(核酸アナログ)を薬に使って、合成ミス
の少ないRNA合成酵素をもったポリオウイルスのクローンを取ってきました。間
違いの確率が1/6です。このクローンと野生株(元の株)をマウスに感染させた
ところ、野生株を感染させたマウスは2-5日で神経症状を示して死亡しました
が、クローンを感染させたマウスでは死亡しませんでした。 100倍量のクローン
を感染させると5-9日で死亡しました。核酸アナログを使ってRNA合成酵素の間違
いを誘導したクローンは野生株と同じようにマウスを殺しました。クローンを直
接、脳内に注射するとマウスは死にました。この研究から考えられた仮説は、
* RNAウイルスが病気を起こすには、ゲノムが多様な集団であることが必要条件
である。
* ポリオウイルスの場合、クローンの中には脳に侵入するために活躍するウイル
スがいるはずであること。
です。今まではウイルスは単純な複製機械と考えられてきましたが、この仮説か
ら浮かび上がってくるウイルス像は、様々な才能(遺伝子)をもった異能集団。
それぞれが助け合って、宿主と戦い、生き延びているたくましい集団です。
余談ですが、ポリオウイルスはマウスには感染できません。実験に用いたマウス
は、ヒトのポリオウイルスレセプター遺伝子を導入した遺伝子改変マウスです。
+++ 病気を起こすこと(病原性)はRNA合成酵素の性質で説明できるか +++
なぜ、ウイルスが病気を起こすのかは大きな謎です。病気を起こさないウイルス
もたくさんいる(はずだ)からです。単純には、病気を起こすウイルスはプラス
アルファの遺伝子があると考えられました。大きなウイルスは病気を起こすため
の余分な遺伝子を持つことができます。しかし、疫病を起こすウイルスは小さな
RNAウイルスが多く、とても余分な遺伝子を持つ余裕がありません。RNAウイルス
は必ずRNA合成酵素を持ちますから、RNA合成酵素の正確さ(実際には構造的な特
性)が病原性に関与する仮説は万能型です。RNA合成酵素のランダムなミスは遺
伝情報の揺らぎを引き起こし、変化する多様な環境への適応能力の基盤となるで
しょう。
◆◇ 森羅万象の系譜 ◆◇
31. 天変地異・・・宇宙からの破壊
ジュラ紀の終わりから新生代に連続する新しい地殻の動きがはじまった。一つは
大西洋が開いたことであり、ローラシアは再び裂けることとなった。裂け目はゴ
ンドワナに延び、南アメリカとアフリカが分断された。1億4千万年前に始まった
ゴンドワナ大陸の分裂はそれだけでなく、アフリカからマダガスカル、南極、
オーストラリア、インドが切り離され、それぞれが北上した。この動きに伴って
テチス海は、できつつあったユーラシア大陸の下にもぐりこみ始めた。沈み込み
帯は後に隆起し、アルプス・ヒマラヤ造山帯と呼ばれる。テチス海の南にはイン
ド洋が出現し、拡大した。
オーストラリア大陸は1.5億年前に南極から切り離されて独立した生態系を持つ
ようになった。特筆すべき動物は有袋類である。とくにカモノハシは哺乳類と爬
虫類の両方の性質(遺伝子)を持っている。他の大陸では子宮を持つ哺乳類が出
現し、有袋類を駆逐した。
インド大陸の移動速度は突出している。計算では毎年20cm。オーストラリア大陸
は毎年数cm、大陸の乗っていない太平洋プレートも毎年5cm程度である。地中海
はまだ残っているが、インド大陸は5千万年前にユーラシア大陸とぶつかった。
インド大陸の地殻は厚くなく、比較的軽いので沈み込むことなく、ユーラシア大
陸に圧力をかけ、ヒマラヤ山脈とチベット高原を隆起させた。
中生代には現代社会に欠かすことのできないものができた。中東の石油である。
石油を溜め込んだアラビアプレートは、先カンブリア期から中生代に渡ってゴン
ドワナ超大陸の北側に位置し、消長の激しい大海に面していた。ゴンドワナ大陸
は南にあったので、アラビア・プレ−トは赤道圏内に、ほかの大陸と衝突もせ
ず、また、マントルに沈み込むこともなく、安定に維持された。
中生代にはテチス海に没することになり、そこで大量の有機物を溜め込んだと思
われる。温暖なテチス海は次第に閉じて、アラビア・プレートだけでなく、他の
北アフリカやアメリカの油田地帯も生み出した。アラビアプレートは現在、ユー
ラシア大陸と衝突中で、イランのザクロス山脈を隆起させている。いずれアラビ
ア・プレートも、巨大なユーラシア大陸へ突っ込んでいくはずなので、現在の中
東油田も破壊されてしまう。
パンゲア超大陸が裂けるときは、大規模な火山活動が陸上に発生した。それま
で、南極まで温暖だった気候が寒冷化した。生物相に大きな変化があった。被子
植物が裸子植物にとってかわった。また、被子植物が作り出した色彩豊かな蜜を
持つ花は昆虫をひきつけ、両者に共生関係が成立した。鳥類は現在のグループの
ほとんどが出現した。海では硬骨魚類が現れた。
植物界の変化は、恐竜の種類にも影響し、ジュラ紀型から白亜紀型に変化した。
巨大化する一方だった竜脚類・雷竜(ブラキオサウルスなど)や剣竜(ステゴサ
ウルスなど)は絶滅し、より機動的で、集団生活をするイグアノドンの仲間や角
竜(トリケラトプスなど)が取って代わった。
白亜紀の終わり、6500万年前に生物界は史上2番目の大絶滅を経験した。その原
因は、隕石の衝突とされている。直径約10kmの彗星か小天体が現在のメキシコ湾
に落下した。衝突によって、大津波などの直接効果で多くの生物が犠牲になっ
た。一方、間接的に、ちりやガスが、成層圏までたくさん舞い上がり、太陽光を
さえぎって、地球を寒冷化させた。植物が一時的に大打撃をうけた。食物連鎖の
頂点にある動物ほど受ける打撃は大きく、恐竜の絶滅の大きな引き金になった。
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2008/5/31 発行
発行人 岩田
HP: http://eco-evo.hp.infoseek.co.jp
ご意見・お問い合わせ: a6iwata@infoseek.jp
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