明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.33/4-
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明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.33/4-
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暫定的なガソリン税がまた復活しました。復活する理由は暫定的に決められた
当時の理由ではなく、すでに既得権化した財源となっているからです。既得権化
しても暫定的であったのですから、本来の理由を再吟味しなかったのは政治の責
任でしょうか。
税は一般財源化して、道路以外にも使うそうです。この点については異存があ
りません。そもそも、地球温暖化の片棒を担いでいるのは車社会であること。自
動車関連産業は多額の税金を投入し、必要な道路を整備し、自動車の普及を促進
したわけですから、それなりの恩返しが欲しいところです。輸出産業として日本
の経済成長を支えましたが、その円高の見返りに農業などの基盤産業が破壊され
ました。
ガソリンにしろ、道路にしろ、国民各自のエゴイズムに基づく判断が優先され
て、大切な公共財が破壊されているように感じます。本当に、国民はすべての情
報を合理的に勘案して判断しているでしょうか。国民の判断の名の下、環境や基
盤産業や心の問題などが失われている気がしてなりません。その元凶は国民一人
一人の判断が正確に集計されれば公共的な善と見なされる思想にあると思います。
大体、すべての人に平等に信頼性の高い情報が与えられていると考えるのには
無理があります。重要な情報ほど秘匿されるのではないでしょうか。また、情報
が与えられても科学的に因果関係が解明不可能な、調査や実験に長い時間のかか
る問題、確率しか分からない問題もあります。
決断する人の責任は重くなる一方です。むしろ、その人の人柄が優先されてし
まうのでしょうか。それとも識者の最大公約数という逃げ道でしょうか。
◆◇ 生体防衛論 ◆◇
33、インフルエンザ・ウイルスのライフサイクル(2)
+++ DNAを読み書きする方向 +++
一般向けのDNA(遺伝子)の解説の中ではDNAに方向があるということはあまり説
明されません。専門的には5'→3'の方向が正の方向です。方向は DNA、RNAの構成
要素であるリボースという糖の構造から定義されます。正の方向はDNAやRNAの合
成の方向やタンパク質に翻訳(専門用語です)される方向です。
すなわち、DNAは相棒の情報(核酸塩基の並び)に基づいて、 5'→3'の方向に合
成されます(伸びます)。RNAはDNAの情報に基づいて、5'側から順番に伸びてい
きます。タンパク質はmRNAの5'→3'の方向の情報に基づいて、tRNAを介してリボ
ソーム(RNA→タンパク質翻訳装置)で合成されます。塩基配列も5'→3'の方向に
並べ、遺伝暗号もこの方向で読み、解釈します。
タンパク質のアミノ酸の並び方にも5'→3'の方向に対応した方向があります。ア
ミノ酸のアミノ基(-NH2)が核酸の5'に相当し、カルボキシル基(- COOH、酸性
を示します)が3'に相当します。
DNAは二本鎖ですから、片方の鎖にタンパク質のアミノ酸配列の情報が書き込ま
れています。反対側は複製のときに利用されう相補情報だけが書き込まれていま
すので、遺伝子としては意味を持ちません(例外はあります)。アミノ酸配列を
指定する鎖をセンス鎖、相補鎖をアンチセンス鎖と呼びます。
+++ インフルエンザ・ウイルスの遺伝子はすぐに複製されるよう準備されてい
る +++
インフルエンザの遺伝子はRNAです。RNAは1本鎖です。書き込まれている情報は
相補情報。すなわち、アンチセンス鎖です。
前回、インフルエンザ・ウイルスの細胞外粒子の中では遺伝子はタンパク質と
RNAの複合体(RNP複合体)となっていると紹介しました。
実際にはRNAはNP(nucleoprotein = 核タンパク質)タンパク質にまきついた形
をしていて、全体は棒のようになっています。NPタンパク質をはずすと、輪の形
になったRNA分子が現れます。 RNAの端の12塩基もしくは13塩基が相補的になっ
ていて、部分的に二重鎖構造になっています。二重鎖になった部分はPA、PB1、
PB2の3つのタンパク質から構成されるRNA合成酵素が結合しています。RNP複合体
にRNAの材料であるNTPと緩衝液を加えるとRNAの合成が始まります。NPタンパク
質はスムーズなRNA合成に不可欠です。
ウイルスの粒子に入っていたのはアンチセンス鎖ですから、合成されたRNAはゲ
ノムの相補鎖(cRNA。センス鎖です)になるか、mRNAとなってタンパク質合成の
鋳型になる2つの道があります。ただし、mRNAとして機能するためには細胞の
mRNAの振りをしなければなりません。インフルエンザ・ウイルスのPB2タンパク
質は、細胞のmRNAの目印でもある5'側のキャップ構造を細胞のmRNAから切り取っ
て、そのRNAの断片からインフルエンザ・ウイルスのmRNAを作り出します。
RNAの端の二重鎖になっている部分はウイルスRNAの複製開始点でもあり、mRNAの
合成を指示するプロモータでもあります。一番最初に核に到着した RNP複合体が
センス鎖をつくるのか、mRNAを作るのかはまだ不明です。
RNAゲノムのセンス鎖ができても、端っこの二重鎖構造は変わりません。センス
鎖からゲノムRNA(cRNAに対してvRNAとも言います)が複製されて、ゲノムの合
成は一回りします。1つのcRNA、vRNAから複数のvRNA、cRNAが合成されますか
ら、材料がある限り、インフルエンザ・ゲノムはねずみ算式に増えていきます。
実際にはvRNA→cRNAより cRNA→vRNAの方が10倍ほど合成速度が速く、効率的に
vRNA(アンチセンスRNA、ゲノムRNA)を作り出すようです。
+++ mRNAには印がつけられる +++
細胞のmRNAは核の中の遺伝子の配列をコピーして細胞質(核の外)にあるリボ
ソームまで情報を運ぶ働きがあります。
細胞のmRNAは、まず、細胞のRNA合成酵素(巨大なタンパク質の複合体です)が
遺伝子のプロモータに結合し、RNA合成が始まります。プロモータは遺伝子が
mRNAにコピーされる(転写される)かどうかを決める DNA上の配列です。様々な
遺伝子の活性を調整するタンパク質が結合します。
最初のmRNAは長いRNAの分子ですが、RNA合成酵素は遺伝子の終わりを意味するポ
リAシグナル(遺伝子の配列)に到着すると、アデニル酸の連続であるポリAを
合成します。さらに、ポリAの反対側の5`端にキャップ構造というグアニル酸
(G)の変わった形の分子が結合します。さらに、遺伝子内からタンパク質に読
まれないイントロン部分が切り出されます(スプライシング)。なぜ、イントロ
ン配列があるのか分かっていません。真核細胞にはありますが、原核細胞にはあ
りません。また、ウイルスの遺伝子にも一般的にはありませんが、一つの遺伝子
を有効利用する場合はスプライシングが起こります。
キャップ構造とポリAがないと、mRNAとして認められません。おそらく、インフ
ルエンザ・ウイルスなどのRNAをゲノムとしてもつウイルスの排除に役立ってい
ると考えられます。細胞内にはキャップ構造とポリAがない RNAを認識するタン
パク質(NLR。21を参照)があって、そのようなRNAがあると、侵入者であるとし
て警戒シグナルが出されます。
加工が終わったmRNAはリボソームのスモールサブユニットや翻訳開始因子(eIF
タンパク質)と結合して核膜にあいた穴(核膜孔)を通って細胞質に出て行きま
す。タンパク質の合成は細胞質で行われますが、合成されたタンパク質が働く場
所に正しく移動するための仕組みがあります。次回は合成されたインフルエン
ザ・ウイルスのタンパク質と共に細胞内を移動しましょう。
◆◇ 森羅万象の系譜 ◆◇
27. 陸への進出・・・遮るもののない世界への拡散
現在の北米からヨーロッパにかけて存在する巨大な炭田は石炭紀に繁茂した植物
に由来する。米国のウェストバージニア州では、35万年かかって形成された 17
メートルの厚さの石炭層が117も重なっている。
シルル紀(約4.5億年前)にオゾン層が完成し、植物が上陸した。デボン紀に長
い時間をかけ、水分の蒸発を調節する気孔、水を運ぶ維管束、乾燥に強い胞子を
装備したシダ植物は石炭紀に大森林を形成した。シダ植物は生活環の一部に液体
の水を必要とする受精期があるため、水辺から離れることができなかった。大森
林は食べる動物もなく、丸のままたおれて積み重なり、炭化した。すなわち、炭
素を大地に埋めていった。光合成で作られた酸素が呼吸で消費される相手方の炭
素が地中に埋められたため、大気中の酸素濃度が上昇した。植物の上陸当時は大
気中の酸素が1%程度であったが、石炭紀からペルム紀(3.5-2.5億年前)にかけ
て30%あるいはそれ以上に達した(現在は21%)。
植物の後に節足動物が上陸した。節足動物は殻に覆われていたため、比較的乾燥
に強い。空気から直接、酸素を取り込む仕組み(気管。気管の体表にある開口部
を気門という)を装備すれば陸上に上がることができた。節足動物は陸上では巨
大化できない。体を支える外骨格の重量が大きいため、外骨格が大きくなるには
大きな筋肉が必要になるが、容積の制限がある。筋肉の性能により、大きさの上
限が決まる。また、気管は酸素を受動的に取り込む装置であるため、酸素呼吸が
十分にできない。
しかし、石炭紀からペルム紀にかけては酸素濃度が上昇したことにより、呼吸の
問題は解決した。昆虫類の進化が進み、巨大化した。ペルム紀以降、巨大な炭田
ができなくなったのは大繁栄した昆虫類が植物を食べ始めたためではないか。以
後、昆虫は植物の天敵となり、3億年の間、両者の間で濃密な共生関係、食べる
ものと食べられるものの攻防が進化・発展した。
シダ植物群と節足動物群がそれまで砂漠であった陸地を次々に土壌化していっ
た。土壌とは、地表を覆う岩石の風化生成物と植物の分解残留物の混合物であ
る。粗粒の無機物、コロイド状の無機物、有機物、微生物、土壌溶液、土壌空気
からなる。陸上の安定な生態系に必須のものである。
両生類の出現はデボン紀後期である。内陸部が乾燥したが、大森林が適度な湿気
を保つゆりかごの環境を作り出した。ペルム紀には両生類は繁栄を続け、その大
きさは1.5メートルほどにもなった。両生類の中から殻のある卵を産む有羊膜類
が分岐し、より乾燥した土地へと棲息範囲を広げた。この頃の陸上に進出したば
かりの生物の分類は整理されていないようだ。絶滅種も多い。ペルム紀には有羊
膜類から進化した哺乳類型爬虫類であるディメトロドンなどが覇権を握り、その
大きさは3.5メートルほどにもなった。また、哺乳類型爬虫類は哺乳類の祖先で
ある。
ペルム紀末(2.5億年前)には地球史上最大の大絶滅が起こった。海棲の無脊椎
動物の96%の種が消えた絶滅事変は数百万年の間に進行した。パンゲア超大陸の
周囲へ沈み込んだ海洋プレートが一斉に地球の核へ向かって落ち込みはじめ、そ
の反動として地表に向かう巨大スーパーホットプルームが発生した。旧中国大陸
を中心に巨大な火山活動があり、大噴火の跡がシベリア洪水玄武岩とされてい
る。大量の火山灰で地球が覆われ、寒冷化したという説があるが、これでは海の
生物の絶滅が説明できない。代わって、大気中のメタンや二酸化炭素が増え、温
室効果で気温が上昇するとともに、酸素欠乏が長期に渡ったという説が検討中で
ある。呼吸器系のより進化した二枚貝などはこの変化にたえることができたよう
だ。単細胞のフズリナ類や長い間繁栄してきた三葉虫は絶滅した。サンゴ類、ウ
ミユリ類、腕足類、コケムシ類、アンモナイトが次の三畳紀にわずかに残された。
海洋だけではなく、陸上においても生物は大量に絶滅した。哺乳類型爬虫類もペ
ルム紀後期には長期に渡って数度の絶滅現象を経験した。陸上の生物の中で生き
残ったのは効率的な呼吸装置を持つ生物である。鼻と口を分離して、横隔膜を
使って呼吸する生物や、特に鳥類(恐竜も)のように、肺のほかに気嚢を持っ
て、出入り方だけでなく、循環型の呼吸が呼吸器を発達させた動物が生き残っ
た。植物は乾燥に強い種子により子孫を残せたためにあまり大絶滅しないのだ
が、ペルム紀末の大量絶滅では植物もかなり絶滅した。
ペルム紀末の大量絶滅を区切りとして古生代から中生代に代替わりした。三畳紀
はじめは地球上の生態空間は空っぽで生物があまりいない状態ではなかったか。
三畳紀に超大陸パンゲアは北上し赤道をまたぐようになった。三畳紀に入ると爬
虫類が大きく進化し、ついには恐竜が地上に大繁栄した。
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2008/5/3 発行
発行人 岩田
HP: http://eco-evo.hp.infoseek.co.jp
ご意見・お問い合わせ: a6iwata@infoseek.jp
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