明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.32/4-
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明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.32/4-
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自然は直線が嫌いです。自然の中に直線ができるときは特別な条件の時。鉱物
の巨大な結晶は宝石として珍重される。でも人間は好きらしい。直線は簡単に予
測ができる規則性を持ちます。予測できることは、すなわち、人間にとって安心
できることを意味するからでしょう。ついでに、作業効率も上げるようです。
かくして人間が自分自身の生活環境を整え始めると、どんどん直線が増えてき
ました。社会にも家の中にもたくさんの直線があります。心ならずも人の心に定
規を当てるような文書主義の規則を作ったり、それを強制したりします。そんな
ときに直線で構成された社会に違和感を覚え、ちょっと位、外れてもいいんじゃ
ないかと考えます。
ということを象徴した住居が三鷹にある天命反転住宅である、ということを得
丸さんから聞いて、先週、訪問してきました。得丸さんはこの家で人類の文明の
起源(少なくともいくつかの文化的精神的要素)が洞窟にあると直感されたそう
です。人類は洞窟で裸になった仮説。この先が楽しみです。
◆◇ 生体防衛論 ◆◇
32、インフルエンザ・ウイルスのライフサイクル(1)
○ウイルスが感染すると言う言葉は、一般的にはウイルスが体内に入ることを言
います。しかし、ウイルスの立場からすると、劇的な変化はウイルスが細胞に入
ることで起こります。電子顕微鏡写真などで見るウイルスの写真は、いわば、ウ
イルスの種です。ウイルスが成長した姿は細胞内にあります。もっとも、成長と
は何かという、解釈の問題はありますが。ウイルスの本体、本来の姿は感染した
細胞の中に出現するのだと私は考えています。それははっきりとした境界を持た
ない姿なので、我々が想像する生物の姿とはまったく異なった形をしています。
○と、いうことで、インフルエンザ・ウイルスの細胞の中での増え方からはじめ
ましょう(ウイルス、56巻、p99-108、2006)。
+++ ウイルスは細胞の機能を利用して侵入する +++
空気と一緒に体の中に入ってきたインフルエンザ・ウイルスは、粘液にくっつ
き、運がよければ粘膜上皮細胞に接近できます。ウイルスがくっつく分子(レセ
プター)はシアル酸です。細胞膜の表面を覆う、糖の一種です。シアル酸は、全
身のどの細胞にもある分子ですので、インフルエンザ・ウイルスは、とりあえ
ず、どの細胞にも結合することができます。
インフルエンザ・ウイルスがシアル酸に結合するために使うタンパク質はHAタン
パク質です。HAはHemagglutininの略で、赤血球(Hema -)を凝集する
(agglutinate)因子(-in)という意味です。HAタンパク質のシアル酸に結合す
るという機能を赤血球を凝集する=赤血球が試験管の丸い底で2次元シートを作
る機能として測定したことに由来します。凝集しなければ赤血球は試験管の底の
一番低いところまで落ちて、赤い点に見えます。
インフルエンザ・ウイルスはレセプターに結合すると、細胞の食作用によって飲
み込まれます(17を参照)。食作用は別名、エンドサイトーシスです。エンドは
「内側」を意味する語幹で、エクソと対になる言葉です。食作用で作られるクラ
スリンで覆われた袋をエンドソームもしくは食胞と呼びます。食作用は細胞の恒
常的な作用と考えられていますが、もしかしたら、ウイルスが細胞膜に結合する
ことで食作用が引き起こされるもしれません。
エンドソーム内は胃袋のようなもので(23を参照)、食胞内は酸性になります。
その後、食べたものを消化する酵素を含んだリソゾームと融合します。ウイルス
は消化酵素がやってくる前に、行動を起こします。周りが酸性になると、ウイル
ス粒子に組み込まれたM2タンパク質の働きでウイルス粒子内が酸性になります。
M2タンパク質はイオンチャンネルで、水素イオンだけを通します。酸性になった
ことで、ウイルスの遺伝子を包むタンパク質と、ウイルスの膜を接着させている
M1タンパク質(ウイルス膜のすぐ内側にあります)がはがれます。ウイルスの遺
伝子を細胞に送る準備と考えられます。ウイルスの膜をエンベロープとも呼びます。
酸性条件下で、もう一つ重要な変化が起こります。ウイルスを細胞膜にくっつけ
ていたHAタンパク質は構造が変化して、結合していた細胞膜(エンドソーム膜)
を引き寄せます。ウイルスの膜と細胞の膜は同じ細胞の膜に由来するので、コン
タクトすると融合します。融合を促進するために、HAタンパク質の中に折りたた
まれていた疎水性ペプチド=細胞膜の脂質と強く結合するペプチドが露出して、
細胞膜に差し込まれます。
ウイルスの膜が細胞膜と融合すると、ウイルスの膜に包まれていたウイルスの遺
伝子が細胞内に放出されます。ウイルスの遺伝子の本体はRNAです。インフルエ
ンザウイルスは1つの遺伝子が1つのRNA分子になっていて、全部で8つの遺伝子、
8本のRNA分子で1個のウイルス粒子を構成します。厳密に言うと、 2つの遺伝子
を乗せているRNAは3つあります。まだ増えるかもしれません。ウイルスRNAは核
タンパク質に包まれていて、RNA-タンパク質複合体になっています。この中に3
つのサブユニットからなるRNA合成酵素が含まれています。RNA合成酵素はウイル
スのRNAを複製するための専用酵素です。
RNAタンパク質複合体はおそらく細胞内骨格(微小管系)に結合し、微小管の輸
送機能を利用して細胞の核に入り込みます。この辺の具体的なところはまだ分
かっていません。なお、微小管はエンドソームなどの細胞内小器官の輸送、細胞
分裂のときの染色体の輸送のときの線路の役割をしています。
○ウイルスは積極的に細胞内にもぐりこむ力はなく、あくまで細胞の生理機能に
乗っかって受動的に侵入します。この様子は細菌の毒素によく似ています(17
を参照)。
○細胞が遺伝子を発現して、様々なタンパク質を作り出し、タンパク質を利用し
てさらに多様な物質を作り、不要なものを分解するためには複雑なルールがあり
ます。複雑というより、たくさんのタンパク質や因子が関与していますので、多
くの知識が必要だといった方が適切でしょう。ウイルスのタンパク質もルールを
守って行われますが、何しろ、ウイルスの遺伝子は数に限りがあります。そこ
で、乱暴ですが、数で押す方法が採用されるようです。そうすると、細胞の本来
の機能や恒常性が乱され、細胞はウイルスが増殖するにつれて死ぬことになります。
○次回は、細胞の機能を説明しながらウイルスの複製について解説しましょう。
◆◇ 森羅万象の系譜 ◆◇
26. 魚の時代・・・カルシウムはリン酸塩それとも炭酸塩?
脊索動物から脊椎動物への進化、すなわち、魚類の誕生は、カンブリア紀後期
に、浅い海で起こった。最初に出現した脊椎動物は顎(あご)を持たない無顎
(むがく)魚類である。無顎魚類の中から体表にリン酸カルシウムの結晶をくっ
つけて体を守るものが出現して、生存に有利になった。
コラーゲン繊維は生物の多細胞化のときに誕生した外皮のタンパク質である。原
始の脊椎動物の体表は厚いコラーゲン繊維で覆われていた。骨は骨細胞がコラー
ゲン繊維の束の中に分泌するリン酸カルシウムの結晶である。最初の骨は皮膚に
作られた。
リン酸カルシウムの鎧(よろい)を完成させたのがオルドビス紀に棲息していた
甲皮類である。この種の脊椎動物は現代に生息していない。この甲羅を失って裸
となったのが現存の円口類である。進化の過程で、外骨格から内骨格へ移行し
た。背骨のように神経組織を守る骨。肋骨のように内臓組織を守る骨。ついで、
運動のための四肢の骨が発達した。脊椎動物の体も昆虫のように体節に分かれて
いて、椎骨が基本単位となっている。シルル紀を経てデボン紀までに、顎を持つ
タイプの魚類が相次いで海に出現した。
骨はリン酸を蓄積する倉庫としても機能する。リン酸は、あらゆる生命現象に分
子レベルで重要な役割を果たしている。リン酸を自由に使えるように蓄える仕組
みを持つことで、より高度な生物活動ができるようになった。
デボン紀は「魚の時代」と呼ばれ、脊椎動物の原形がつくられた。シルル紀に出
現した初期の硬骨魚類は、リン酸カルシウムの内骨格、すなわち、ミネラルの貯
蔵庫を持っていたため、汽水や淡水域に進出することができた。硬骨魚類はデボ
ン紀の淡水域で繁栄し、現在のほとんどの魚類の祖先である。多様な気候風土、
生態的に隔離された環境である河川・湖水で様々に進化した魚類はデボン紀の後
期には徐々に海へと回帰した。
陸の気候は変動が激しく、乾燥期が始まると川や池の水が減少して停滞し、鰓
(えら)呼吸では酸素が不足する。大気中の酸素を直接利用できる器官があると
生存に有利である。食道から枝分かれした、毛細血管が密に分布した組織、肺を
持つ硬骨魚類が誕生し、繁栄した。肺魚は当時の乾燥期を生き抜くことができ
た。肺魚は4本の足をもつ動物と魚類の間に位置する肉鰭(にくき)類と呼ばれ
る魚類である。鰭(ひれ)が肉質で、腕が肩(?)について、その先に鰭があ
る。魚類のほとんどは条鰭(じょうき)類である。放射骨が直接、肩(?)に
くっついている。
肉鰭類から両生類が進化した。最も原始的な四足動物とされるのはデボン紀後期
のアカントステガとイクチオステガであり、これらは足にそれぞれ8本と7本の
指を持っていた。
体の構造を支配する遺伝子はHox遺伝子である。魚のひれの発生と四肢動物の外
肢の発生におけるHox 遺伝子の発現は生きた化石(2 億5000万年以上前)である
ヘラチョウザメでよく似ていた。したがって、四肢発生(の一部)がすべての硬
骨魚に共通した原始的なものであり、高等魚類では進化の過程で失われてしまっ
たと考えられる。
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2008/4/26 発行
発行人 岩田
HP: http://eco-evo.hp.infoseek.co.jp
ご意見・お問い合わせ: a6iwata@infoseek.jp
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