明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.26/4-
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明快!森羅万象と百家万節の系譜 -No.26/4-
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住み替えに伴って、多額の資金が必要です。先日は住宅ローンの選択に頭を絞
りました。固定か変動か。固定なら何年にするか。今後の経済の見通しも必要で
す。このところの低金利政策で利子全般が抑えられていました。長期の固定金利
はほぼ横ばい。変動金利もほぼ横ばい。ここに来て少しずつ変動金利は上昇しま
した。短期の固定金利は一時期、変動金利を下回っていました。住宅ローンは返
済が確実なためか、ネットで公開している金利に、さらに1%ほどの金利優遇が
あります。
金利予想に関する様々な記事を見ると、金利は上昇すると主張します。「しば
らくは低金利だが、2-3年後には金利が上昇してくるだろう」 この言葉は金利
と景気と両方について何度も聞かされてきました。しかし、地球環境を保つため
に天然資源の無駄遣いをなくす社会では、どうしても成長をバックボーンとした
経済歯車は回らなくなります。局所的な成長はあっても、グローバル化のため
に、世界の経済は、ほぼ、ゼロサムになっているのではないでしょうか。
利子は経済成長が前提で成立する約束と思います。地球環境を維持するために
は低成長が必要です。おそらくは人類が大規模な破滅(成長がリセットされる)
を経験しない限り、今までのような高金利は期待できないでしょう。
今回は森羅万象の系譜はお休みです。
◆◇ 生体防衛論 ◆◇
26、組織の異常を検出するレセプター
○大腸菌に対する防御で、最後に解説するのはデフェンシンです。単なる抗菌ペ
プチドのひとつと考えられていましたが、意外とその活躍の場は広いのでした。
また、進化的にも興味深いペプチドです。
+++ デフェンシンの基本モチーフ +++
デフェンシンは粘膜で生産される抗菌ペプチドです。粘液の主要成分であるムチ
ンを生産するパネート細胞からα型が大量生産されますし、他の粘膜上皮細胞で
もβ型が生産されます。
デフェンシンは細菌の細胞膜に結合して穴を開けます。基本骨格はγ 型をしてい
ます。βシート状のアミノ酸鎖が折れ曲がって、交差する中央部分はシステイン
を介したジスルフィド結合によるピン止めがあります。両端(上とヘアピンカー
ブ)にプラスの電荷を持ち、細胞膜のマイナス電荷(リン脂質のリン酸基)によ
く結合します。疎水性のアミノ酸を持っていて細胞膜にもぐりこみ、穴を開ける
性質があります。デフェンシンを生産する細胞や粘膜上皮細胞ではデフェンシン
の作用をうまくブロックする仕組みがあるでしょう。
そのほかにも、いくつかの抗菌ペプチドがあります。おなじ構造上の特徴があり
ます(Nature Rev. Microbiol., 5, 727-740, 2007)。興味深いことに、立体構
造で調べると、γ型の抗菌ペプチドは昆虫や植物にもたくさん見つかり、しかも
カビや細菌にもあります。生物の進化の過程で防御ペプチドとして古い歴史があ
り、活用されてきた(現在でも活用されています)と予想されます。
デフェンシンは前線で働くだけでなく、免疫細胞にも作用して、活性を調節する
多機能ペプチドであることも分かってきました。
+++ 危険を感じるレセプター +++
デフェンシンのレセプターは十分には解析されていませんが、7回膜貫通型Gタン
パク質レセプターファミリーを介して作用します(Cell Mol Life Sci. 58,
978-89, 2001)。7回膜貫通型Gタンパク質レセプターファミリーは長い名前です
が、最近ではGPCR(G protein coupling receptor)という名前が定着してきた
ようです。このレセプターファミリーはヒトゲノムの中で最大のファミリーで、
2000あまりのメンバーがあります。その多くは臭覚レセプターです。視覚レセプ
ターも、痛みのレセプターもこのファミリーに入ります(本稿4、6、7を参照)。
免疫でも多くの場面でセンサーとして登場します。その代表はケモカインレセプ
ター。ケモカインは細胞が体内で移動するときの誘引タンパク質です。デフェン
シンと基本骨格が似ている分子、デフェンシンのように抗菌作用を持つメンバー
もあります。そのほか、補体C5a、C3aレセプター、プロスタグランジンEレセプ
ター、プリン(核酸の構成成分です)レセプターなどがあります。
いずれも組織が破壊されたときに生体反応によって大量にできる分子ですので、
警報分子として考えることもできるでしょう。体内の警報をキャッチするレセプ
ターと感覚を司るレセプターが同じファミリーであるのは偶然ではなく、使い勝
手のよかったGPCRが様々な分子や物理的な刺激に対して応答するように機能分化
したと考えることができます。
+++ まだまだある警報分子 +++
肺炎での例を紹介します。細菌の内毒素(LPS)を細かな霧に含ませてマウスに
吸わせると、肺に取り込まれて、肺の細胞を壊し、肺気腫が起こります。
LPSが結合すると、肺の細胞はケモカインを生産して、好中球を呼びます。大挙
して押しかけた好中球は、大量の活性酸素とタンパク質分解酵素を放出して辺り
かまわず組織を破壊します(本稿23を参照)。これが肺気腫です。
細胞の周りはコラーゲン繊維を中心とした糖タンパク質の籠(細胞間マトリック
ス)でできていますが(本稿22を参照)、これが破壊、断片化されます。その中
でもコラーゲンタンパク質の分解産物であるプロリン-グリシン- プロリンを含
むペプチド断片(PGPペプチド)はアセチル化されて好中球を呼び寄せ、活性化
させる働きを持っていました(Nature Med. 12, 317-323, 2006)。つまり、好
中球が怒りくるって細胞間マトリックスを破壊すると、そこから好中球を呼び寄
せて活性化させるPGPペプチドが大量に作られるのです。そして、ますます好中
球は組織を破壊するというポジティブフィードバックが成立します。好中球の反
応をとめることがうまくできないと慢性的な炎症になり、病気になります。
PGPペプチドはケモカインレセプターCXCRに結合します。 CXCケモカインをよく
見ると、レセプターに結合する部分にPGPのアミノ酸配列があり、同じ化学構造
をしていると考えられます。普段はコラーゲンタンパク質の一部ですから、CXCR
とは離れて存在しますが、組織(細胞間マトリックス)が何らかの原因で破壊さ
れると、「破壊が起こっている」信号となるのです。
○その他にもたくさんの危険を知らせる分子信号が体の組織に仕込まれているこ
とでしょう。大腸菌やウイルスが活動して組織を破壊したとき、また、単純に怪
我をしたときもこれらの体の異常を知らせる分子が免疫応答を引き起こすと考え
られます。
◆◇ 森羅万象の系譜 ◆◇
お休み
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2008/3/8 発行
発行人 岩田
HP: http://homepage3.nifty.com/ladybird/hp2/
ご意見・お問い合わせ: a2iwata@mb.infoweb.ne.jp
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