2009/07/31
週刊 落maga Vol.242-1 2009.7.31
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「週刊 落maga」Vol.242-1 2009.7.31 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ └┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘ ◇演目◇ ・「寄席めぐり楽天日記」 <読者のお便り~落語日記> ・「ピックアップ近日落語会」 ・「おいでやす繁昌亭」 **** みなさん、天神祭はどんなふうに過ごされたでしょうか。 花火を間近で見れず、残念、と思いながら、天神祭のごちそうの一つ、 白天を買って帰っておつゆにしました。 おつゆは、昔の大阪弁では「おつい」と言ったんですね。 ハモに、白天、白うり、そうめん‥並べたら、「白」づくし。 白は邪気をはらう色というけれど、そんなことも関係あるんでしょうか。 夏の旬の食べ物は目にも涼やかで、う~ん、おいしい。 これから真夏本番。落語会に行くのも汗だくです。 がんばりましょう。 **** そんな季節に、新聞でもご存知のように、桂米朝師匠が27日の検査入院で軽 い脳幹梗塞が見つかり、入院されました。約1ヶ月間の療養が必要とか。 なので、8月に出演を予定していた落語会は、1日の「姫路落語会」から、12日の 「米朝一門会」(名古屋)、13日(大阪サンケイホールブリーゼ)・15日(名古 屋)の「桂枝雀生誕70年記念落語会」、16日の「桂枝雀一門会」(静岡)、30日の 「桂春蝶襲名披露公演」(大阪松竹座)まで休演することになりました。 よくなられて、また、落語会でお顔を見れるのを楽しみにしていましょう。 一方、三代目桂春団治師匠は、検査入院されてましたが退院。8月から復帰だそう。 よかったですね。ひと安心。 両師匠ともご高齢なので、無理は禁物です。おからだ大事になさってくださいね。 **** さて、こんな長時間の寄席は久しぶりかな。 以前、笑福亭仁福が商店街で開催したことがあったけど‥。 今回のは新米さんも含めて若手中心に番組が組まれ、しかも、おしゃれな一流ブラ ンドが並ぶ御堂筋ぞいのビル地階にある、おそば屋さんが会場。今年2月から毎月第 二土曜に「しのぶ庵寄席」もスタートさせた、文化発信に意欲満々のそば処です。 今回のも時間帯によっては、美味しいおそばも付いていいます。 ☆「24時間落語マラソン」8/8(土)午後5時~9日(日)午後5時 ・しのぶ庵(地下鉄心斎橋3番出口 中央区南船場4-3-11 大阪豊田ビルB1) 4部構成「12区」にわかれていて、番組は下記のとおり。 8/8-第1部-「オープニング寄席」- ふるまいそば+手打ちそば券+ドリンク無料券付き 一区(午後5時~)笑福亭生寿、露の団姫、明石家のんき、桂春若 二区(午後7時~)生寿、団姫、笑福亭松五、笑福亭仁福 三区(午後9時~)生寿、松五、笑福亭智之介、笑福亭銀瓶 各前売2,500円、当日3,000円 8/8~9日-第二部-「丑三つ寄席」 四区(午後11時~)笑福亭智六、桂さろめ、桂福丸、明石家のんき 五区(午前1時~)林家染吉、桂咲之輔、福丸、桂三四郎 六区(午前3時~)さろめ、福丸、咲之輔、のんき 七区(午前5時~)福丸、染吉、さろめ、三四郎 各前売当日とも800円、オールナイト四~七区通し券2000円 9日-第三部-「モーニング寄席」 八区(午前7時~)咲之輔、福丸、染吉、のんき 九区(午前9時~)福丸、とま都、三幸、桂あやめ 前売1,500円、当日2,000円 9日-第四部-「フィナーレ寄席」- ふるまいそば+手打ちそば券+1ドリンク無料券付 十区(午前11時~)とま都、三幸、のんき、桂福団治 十一区(午後1時~)とま都、森乃石松、桂福矢、福団治 十二区(午後3時~)桂ぽんぽ娘、石松、のんき、桂文福 各前売2,500円、当日3,000円 という24時間落語会。若手を中心に21人が出演します。会場は座布団を並べ40人ほ どがすわれるスペース。高座もゆったりとられて、くつろいで見ることができます。 「食文化とともに大阪から若手が育つ場を発信したい」というしのぶ庵の社長さん。 関西演芸協会会長の桂福団治は「商人(あきんど)さんが立ち上がってくれるのが 大阪らしい」と喜び、のんきは「こういう場ができると、若い連中に負けんように 自分も頑張らなあかんなと思いますね」。福丸は「ふだん、仕事で落語を見られな い人にも24時間だと見てもらえる。僕らと同世代の若い人にも来てほしい」と。 予約は電話で、しのぶ庵心斎橋店=06-6241-2160まで。二部の通し券は店で販売。 http://www.shinobuan.com/ **** これは毎月第一、第三土曜日に開催。 08年4月からおこなわれ、上方の伝統芸能を初心者にもわかりやすく、しかも、コン パクトに4ジャンルずつ魅力を凝縮して届けているもの。新しいナイトカルチャーと しても注目を集めています。本格的な能楽堂が舞台、というのもいいですね。 より広い普及を願って、画期的な試みも実施予定。 ☆「初心者のための上方伝統芸能ナイト」 ・山本能楽堂(地下鉄谷町四丁目) これから予定されている8/15~10/17の5公演に、四カ国語(日本語、英語、中国語、 韓国語)の字幕の掲示と、プログラムや解説も四カ国語に翻訳したものを用意する とか。 日本の伝統芸能に興味を持つ外国人観光客や日本在住の外国人に向けたもので、言 葉の壁をなくして、見る人みんなが同時に楽しめることをめざしたもの。 スケジュールは ・8/1=山村若(上方舞)、内海英華(女道楽)、桂阿か枝(落語)、 山本章弘(能) ・8/15=善竹忠亮(狂言)、豊竹咲甫大夫(文楽)、島之内たに川芸妓連中(お座 敷遊び)、桂春蝶(落語) ・9/5=旭堂南青(講談)、小笠原匡(狂言)、山本章弘(能)、桂春蝶(落語) ・9/19=山村若(上方舞)、河村栄重ほか(能)、小笠原匡(狂言)、桂春蝶(落 語) ・10/3=桂吉坊(落語)、島之内たに川芸妓連中(お座敷遊び)、善竹隆平(狂 言)、豊竹咲甫大夫(文楽) ・10/17=山本章弘(能)、島之内たに川芸妓連中(お座敷遊び)、善竹忠亮(狂 言)、桂春蝶(落語) 落語ファンにとっても、能・狂言、文楽、講談、お座敷遊びなどは、知っておくと 落語の面白さも増そうというもの。これは入門のいいチャンスになるでしょう。 外国人の友達にもぜひ、教えてあげてくださいね。 各S席4,500円、A席4,000円、B席3,500円 問=山本能楽堂=06-6943-9454 e-mail: ticket@kamigata-night.com **** 昨年はアメリカ縦断という大きなチャレンジを成し遂げた桂かい枝。 30代は英語落語・海外公演も含め、さまざまな挑戦をして「なんでもできるした」 とか。 でも、今年は、40歳になり「地に足をつけて、しっかり積み重ねて行く40代にした い」と。もちろん、英語落語はライフワークとして続け、この9月も4カ国公演を予 定しているそう。でも、古典を芯にして「日本語の落語で評価してほしいし、だか らこそもっと芸を磨きたい」。 繁昌亭で開催している「さあ、カイシで~す!」はそんな地道な精進の場のよう。 今晩午後7時から繁昌亭である「林家彦いち・桂かい枝の落語会~ふたり<情熱>あ るき」東名阪のツアーも、東西の交流を通して、おおいに発奮し刺激をもらってい るよう。 で、そんなかい枝が新しい会をスタートさせます。 ☆「カイトリ! 桂かい枝研鑽落語会in TORII HALL」8月21日(金)午後6時半 ・トリイホール(地下鉄なんば) 桂かい枝「星野屋」「青菜」ほか1席。 ゲスト=桂文華。開口一番は笑福亭喬若 3ヶ月ごとに1回開くそうで、毎回3席を披露。今回は得意の男女の駆け引きの噺「星 野屋」と、大好きな噺というこれぞ夫婦愛の「青菜」のほか、新作を予定。 また、次回からは、初演を1席、必ず入れていきたいそう。 ゲストも自分をぎゃふんと言わせるような先輩をと、初回は兄弟子の桂文華を招い て。 トリイでの主役の会は久々なので、あのスペースでどう本気を出すのか乞うご期待。 「ストイックに挑んでいきたい。苦しみながら楽しげにやっていきたいです」。 ぜひ、足を運んでくださいね。 予約・前売2,500円、当日3,000円 問・予約はトリイホール=06-6211-2506 **** さてさて、テレビでも持ち味生かして、ショータさん、大活躍です。 昨年12月から少し間があいたけど、その分、期待も増そうというもの! ☆「春風亭昇太独演会 オレスタイルVOL.12」9月10日(木)午後7時 ・ワッハホール(地下鉄なんば) 出演は春風亭昇太 演目は当日のおたのしみ。 ただ一人のワンマンライブ。また、どんな噺をひっさげて来てくれるのか、乞うご 期待。古典も新作も自在な昇太流の爆笑世界に引込んでくれるはず。お客も一緒に 遊べるような、親密な空気の中でさりげなく深化も見せてくれることでしょう。お 見逃しなく。 前売3,000円、当日3,500円(全席指定) チケット発売は8月2日 チケットぴあ0570-02-9999(Pコード397-280) ワッハ上方6階事務所でも窓口販売 (完売してもあきらめないで。当日券も9/10午後6時から若干発売されますよ) 問=ティルト=03-3462-5606 **** その昇太をはじめ、東西の人気者が日替わりでゲスト出演します。 チケットの一斉発売ももう間近。 映画「ディア・ドクター」の好演で、ダイエットやせはしたけど存在感はまた大き くなった笑福亭鶴瓶の大きな挑戦です。 以前にもここでお知らせしたけど、もう一度。演目は当日のおたのしみ。 各日、鶴瓶の愛する噺家たちとの夢のコラボ、と言える公演です。 東京・大阪公演とも、8/8にチケット発売。お忘れなくね。 ☆「第二回落語大秘演会 笑福亭鶴瓶 JAPAN TOUR 2009~2010 WHITE」 東京公演> 9月7日(月)~11日(金)全5公演・各午後6時・浅草公会堂 出演は笑福亭鶴瓶と、日替わりゲスト 9月7日=立川志の輔、9月8日=春風亭昇太、9月9日=桂南光 9月10日=立川談春、9月11日=桂三枝 ●各6,300円 チケットぴあ=0570-02-9877(発売日特電・コード不要)、 以降=0570-02-9999(Pコード 396-227) ローソンチケット-0570-084-624(発売日特電・コード不要)、 以降=0570-084-003(Lコード 30076) CNプレイガイド=0570-08-9977(発売日特電)、以降=0570-08-9999 問=サンライズプロモーション東京=0570-00-3377 大阪公演> ☆11月3日(火・祝)~8日(日) 全6公演・シアターBRAVA! 開演は平日=4・5・6日が午後7時、土日祝=3・7・8日が午後2時 出演は笑福亭鶴瓶と日替わりゲスト 11月3日=立川志の輔、11月4日=桂三枝、11月5日=桂南光、11月6日=柳家花緑 (大阪公演のみ)、11月7日=立川談春、11月8日=春風亭昇太 ●各6,300円 ・チケットぴあ=0570-02-9580(発売日特電・コード不要)、 以降=0570-02-9999(Pコード 396-210) ・ローソンチケット0570-084-295(発売日特電・コード不要)、 以降=0570-084-005(Lコード 58867)、0570-000-407 ・CNプレイガイド0570-03-9966(発売日特電)、以降=0570-08-9999 問=キョードーチケットセンター=06-7732-8888 総合インフォメーション=WHITE事務局=03-5775-2777 **** ちょっとうれしくなるようなニュース。 いよいよ、枝雀一門の末っ子の直弟子・紅雀が独演会を開催します。 最近は大ネタにもつぎつぎ挑んで、陽気で無邪気なキャラときめ細かい工夫で、笑 いいっぱいの落語を届けてくれています。ウキウキするようなテンポの良さも特長。 どんどん面白くなっている中で、三席を魅力全開で届けてくれそうです。楽しみで すね。 ☆「桂紅雀独演会」9/13(日)午後3時・ABCホール 桂紅雀は「七度狐」「くしゃみ講釈」他一席を披露し、ほかに桂こごろう、桂雀五 郎が出演します。 前売2,300円、当日2,800円(全席指定) 発売中でチケットぴあ=0570-02-9999(Pコード397-099) **** 話題のルーヴル展、夏休みに行こうと思っている方もいらっしゃるでしょう。 これは見ておきたい。 国立国際美術館(大阪・中之島)で開催中の「ルーヴル美術館展 美の宮殿の子ど もたち」(~9/23)。 憧れのフランス・ルーヴル美術館のコレクションから、子どもたちを題材にした作 品を集めた展覧会です。ここで開かれる落語会の前後に楽しむのも良さそう。 特別なアートな空間で、ルーヴルと落語、なんてぜいたくなひとときになりそうで す。 ☆「月亭八天のルーヴル美術落語」8月27日(木)午後2時 ・国立国際美術館 地下1階講堂(地下鉄肥後橋、京阪渡辺橋) 月亭八天が2席を披露し、ほかに林家竹丸と笑福亭喬介が出演します。 一般2,000円、大学生1,700円、高校生1,300円 (自由席) 落語会料金は美術展入場料込み。 同展の観覧は当日の開館時間中(午前10時~午後5時)に限られます。 チケットは発売中。落語会のみのチケット、および当日券の販売はありません。 チケットぴあ0570-02-9999(Pコード396-012)、 ローソンチケット0570-084-005(Lコード 57800) 問=国立国際美術館=06-6447-4680 http://www.nmao.go.jp/ **** これはさよならなんですね。京都の地域寄席の老舗と言えた「染屋町寄席」。 1985年6月に京都の染枝連(せんぎれん=京都の手描友禅の工芸家や職人で結成した 団体)事務所で産声をあげ、201回からは井筒八ツ橋本舗5階にある北座に場所を移 し、08年からは今の京町家「ちおん舎」に移り、続いて来ました。 毎月一回開催されて、京都の落語ファンに長年愛されてきた寄席です。 300回を迎える節目の会を最後に最終回となるそう。 その記念に9/7~11日までの5日間、中心になってきた桂都丸と、同じく京都の顔で もある先輩の桂米二のベテラン二人が揃い会を開きます。 ☆「サヨナラ染屋町寄席連続5日間300回記念~米二・都丸二人会」 いずれも午後7時開演・京都・ちおん舎(地下鉄烏丸御池6番出口) 各日の予定は以下のとおり。 ・9/7=桂米二「くしゃみ講釈」「持参金」、桂都丸「みかんや」「花筏」、 桂とま都 ・9/8=米二「田楽喰い」「百年目」、都丸「住吉駕籠」、桂都んぼ ・9/9=米二「天狗裁き」、都丸「首提灯」「質屋蔵」、桂さん都 ・9/10=米二「牛ほめ」「たち切れ」、都丸「天神山」、桂二乗 ・9/11=米二「口入屋」、都丸「阿弥陀池」「らくだ」、さん都 25年も続いた寄席です。思い出深い人も多いでしょう。ぜひ行ってくださいね。 各1,500円(当日のみ) その前に最後の例会となる第299回が8/14(金)午後7時・ちおん舍で。 桂都丸が二席「蛇含草」と「舟弁慶」を披露。ほかに桂団朝、桂とま都が出演しま す。 これも1,500円(当日のみ) 問=川辺工房=075-531-2452 **** トリイホールでは続々といろんな落語家さんが主役の会がスタートしてます が、笑福亭銀瓶のこれは、もう定着したような。9月も開催されます。 昼の部は後輩たちと、夜の部は先輩をゲストに迎えて(それぞれ料金も異なりま す)、繁昌亭で続ける「天満の銀座」とはひと味違う緊張感の中、渾身の落語でお 客さんと密のつながる会です。進化も手にとるように。ご期待を。 ☆「トリギン!vol.4~笑福亭銀瓶奮闘会」9/20(日)昼・夜二公演 ・トリイホール(地下鉄なんば) 昼の部>午後2時開演 笑福亭銀瓶「はてなの茶碗」他一席、笑福亭遊喬「胴斬り」、桂ちょうば「ぜんざ い公社」 前売2,000円、当日2,500円 夜の部>午後6時開演 銀瓶「天災」他一席、ちょうば「月並丁稚」、ゲスト-笑福亭松喬「お楽しみ」。 松喬・銀瓶の対談あり。 前売2,500円、当日3,000円 昼夜セット券4,000円 問・予約=トリイホール=06-6211-2506 ============ *夏休みのお知らせ すみません。ちょっと長めのお休みをとらせていただきます。 ただでさえ暑くてぼっとしてるのに、仕事が山ほどたまってしまい、 たくさん時間が必要になりました。 次号VOL.243は9/4に配信させていただきます。 申し訳ありません。 夏バテにお気をつけて、旬のおいしいものをたんと食べて 愉しい夏をおすごしくださいね。 編集人拝 ============ 上方の落語会情報はこちらへ↓ ◎寄席情報サイト☆ねたのたね☆→http://ra-ku-go.com/netanotane/ =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-= ■「寄席めぐり楽天日記」 =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-= この前の日曜日、これはいいよ、と聞き、会があったので、録画して見ました。 ドラマ「官僚たちの夏」。ごらんになった方もいるでしょうか。 桂ざこばが出演していて、これがめちゃめちゃうまい演技で。 地なのか演技なのか境目がわからない、あの自然ななりきりようで絶妙の味を出し てました。 昭和34年秋、GATTの勧告をうけて、繊維自由化に踏み切る、という苦渋の決断を余 儀なくされる官僚たち。中小の繊維会社が倒産の危機に追いやられる、という史実 が背景。 その小さな繊維会社の社長を演じて、「むちゃくちゃ怒っとんぞ!」と迫り、デモ の先頭に立って必死に抵抗しながら、給料が払えないからと集団就職の女工さんた ちを田舎に帰す温かい社長を演じて、あわや不渡り、というところで、大企業との 合併‥じゃなく結局飲み込まれ、自社の名は失っても、工場長として残り、女工 さんたちを再度迎えて、これでよかったんかもしれん、と。 社長の焦燥や怒りや悲哀をしみじみにじませて、使う側の優しさもあふれんばかり で、あの時代、こんな人たちの苦しみが高度成長のかげにあったのだと、リアルな 感慨をもってほうふつとさせてくれる。ざこば、という人はすごいですね。演出の 方も感心してたそう。 佐藤浩市ら、巧い役者さんたちが大ぜい出てる中で、ひときわ愛おしい存在感で唯 一無二の個性を放ってました。出演はこの回までだったそうですが(すみません。 事後報告で。その前の回から出てたそう)。ドラマは、日曜夜9時台とは思えない骨 太な政治ドラマで、とても見応えがあります。 また、見てください。 **** ☆「桂米団治独演会」7/22・サンケイホールブリーゼ ・桂ちょうば「明石飛脚」・桂米団治「青菜」・桂宗助「親子酒」 ・米団治「たちぎれ線香」~仲入り~・米団治「くっしゃみ講釈」 (三味線=大川貴子、早川久子) 満員。小米朝じゃなくて、米団治として独演会、というのが見る方にも少し感慨深 いものが。ちょうばは何度もサゲと思わせて「この飛脚が‥」と小咄を続けてゆく 「明石飛脚」で、いい空気を作ってバトンタッチ。米団治はにっこり登場して、や っぱりきれいですね。なんでしょう、この歌舞伎役者のような華は。まさに皆既日 食の日だったので、その話題から。「青菜」は植木屋を楽しそうに演じて、ニンじ ゃないかもしれないけど、万年手しょうも自然に口にし、わさびって野菜でした ん?ときょとんとする顔もかわいらしい。かみさんのデンボのくだりも「ないこと に、あいつ、手ついてて、何かと思ったら、デンボ‥」とか、「わいらも学がある とこ見せたろ」とかいろいろ自分流に変えて。で、意欲満々で帰るも、長屋の入り 口でげんなりし、かみさんがドスをきかせた清川虹子みたいな暑苦しいむさ苦しい おばはん声で迎えて、ぷっと吹き出す可笑しさ。巧いとかそういうのじゃなく、お 腹の中にいやなものが何もない天然の無邪気さと懸命さが植木屋と重なり、気持ち よく楽しませてくれました。 宗助は、ビール小瓶でべろべろに酔う方法をまくらにして、父親と息子両方の酔い の演じ分けも巧みな「親子酒」。うどん屋相手に怒ったり笑ったり、とんがらし山 盛りうどんで悲鳴をあげたり、正統派の緻密な話芸は、男らも女房までもかわいく 描いて、すっきりとおさめてくれる。 米団治の「たちぎれ」は、若い頃からニンに合い得意だったことを思い出させまし た。前半が特に良かった。親戚や番頭の前に怒って現れるシーンは、映画「細雪」 の船場の若旦那がよみがえる品と美しさで目を釘付けにし、蔵に入るまでは満点の 出来。番頭も緊張感を保って奉公人の矜持を感じさせて。後半がやや芝居口調にな って演技がくさくなり、内儀が哀しくなりすぎて、惜しかったな。でも、地唄が聞 こえる中での若旦那の情感は、会場をしーんとさせるものがあり、本領発揮と言え たでしょうか。今度また演じる時が大事ですね。 「くっしゃみ講釈」は、自分の忘れグセ、失敗グセをまくらに笑わせて、地が本当 はおどけ、というのが全面に出た主人公で、どこか漫画チックなはしゃぎよう。講 釈には馬に乗るしぐさも入れて、くしゃみがもう少し講釈にからんでもと思ったけ ど、一生懸命さがないまぜになったパニックぶりで笑わせ、以前聞いた時よりはず っとのった一席に。拍手をいっぱい浴びて、本拠地での会は手応えも違っていて、 米団治らしい人の良い爽やかさが余韻になりました。 **** ☆「第70回花花寄席」7/25・ヨシモト∞ホール ・桂三幸「普請ほめ」・笑福亭たま「伝説の組長」・$10(漫才)・林家染弥「千両 みかん」~仲入り~・桂文三「悋気の独楽」・おしどり(音曲漫才) (三味線・林家和女) 50人ほど。初心者と濃い落語ファンがまざった客席。三幸は古典を素直に演じて好 感。サゲは変えて、「家計に穴が?そこにも秋葉はんのお札をはっときなはれ」。 たまはショート落語で自分の空気を作ってから自作「伝説の組長」。組長の奇跡の 武勇伝の肝心な所が抜けるのが笑いになって、ハメものの「とっつるがん」をバッ クに「天狗裁き」的夢の繰り返しでも笑わせて、サゲもきれいに決まってました。 漫才の二人は架空のCMを考えたり、少しづつ笑わせたけど、すみません、ぼーっと 聞き流してたら印象うすいまま終わってしまった。染弥は大ネタ。みかんに憧れる 描写がなかったり、物足りない部分もあったけど、番頭がはりつけの刑になるのを 恐れるくだりやみかん問屋とのやりとり、それにみかんを持ち帰り、井戸水で洗っ て黒塗りのお盆にのせて若旦那にさしだす所など、聞かせるところもふんだんに。 品を崩さなかったのが何より。これは似合う噺になっていきそう。 文三はNGKとの掛け持ちなので、トリでも仲入り後すぐに出てきて、「悋気の独楽」。 御寮人さんが上品で丁寧に演じつつ、女中のお竹が最初から可笑しく、踊りだした りハイテンション。口調も荒いおばはんで定吉が「おぶ、くんでんか」と言うと 「自分でくめ、アホ!」と怒鳴り、お手かけさんとこのお竹と比較して「おもろい 顔や」と言うと「何を!」とおっさん声になって暴れだす、という激しさ。御寮人 さんとの違いで笑わせ、これも文三らしさと言えるのかな。 最後はおしどりで、トリと喜んだら、トリの後の「バラシ」と言うそう、と。二人 はいつ見ても新鮮な工夫とアドリブでウキウキ楽しませてくれる。まこちゃんのア コーディオンとレトロな歌と、ケンちゃんの針金芸で終わるのもいいですね。幸せ な気分でお開きに。 ※ちなみに明日、8/1(土)の「花花寄席」(午後2時)は順に、笑福亭智之介、桂 坊枝、もりやすバンバンビガロ、笑福亭たま~仲入り~アジアン、桂楽珍「花筏」 という予定。 8/8は休演で、8/15(土)は、桂かい枝、林家染弥、林家花丸、笑福亭笑助、ギャロ ップ、川上じゅんが出演します。 各午後2時開演。 前売1.200円、当日1.500円 **** ☆「繁昌亭昼席」7/26 ・林家染太「動物園」・桂文鹿「延陽伯」・露の吉次「一眼国」・千田やすし-腹 話術・桂文昇「二人ぐせ」・桂都丸「宿題」~仲入り~・旭堂南海-講談「秀吉と 利休」・三遊亭円丈「新がまの油」・桂よね吉「芝居息子」・桂雀三郎「ちしゃ医 者」 (三味線・中田まなみ) 前半少し見逃し立ち見で、千田やすしの腹話術から。人形のひかるちゃんとちょっ と世相風刺も入れながら、ほのぼのと笑わせて。ひかるちゃんがトランクに入れら れる時に足がはさまると、客席から「あー」と声があがり、腹話術の一人で二人と いうマジックはこれですね。文昇は天神祭でずっと龍踊りを踊ってクラクラと言い つつ、相手に「つまらん」と言わすために頑張る男をすっとぼけた可笑しさで演じ て、とても軽妙。お客さんをふわっとのせてよくウケてました。都丸は、十八番と いえる「宿題」。「兄弟仲ようせえ」というお父ちゃんは、都丸そのもののよう。 問題がわからない感覚がそのまんま通じて、爆笑を。 南海は軽く、でも巧み。講談師は大ウソをつくと張り扇を乱打する、とふってから、 秀吉と利休の話に入り、冒頭から誇張オンパレードで乱打。そんな笑いふんだんに 届けて、利休はその後、牢に捕われ‥といい所で終えて。さらっとおりるのがいい ですね。で、東京の新作の巨匠は、ひょいと登場。昨日もそこにいたような違和感 のなさで(笑)。お客さんも円丈目当ての人がいたよう。ぼそぼそとしゃべるまく らは「噺家の若手は、笑わせるんなら誰でもよかった。‥少なくとも7~8人、って、 少ねえだろう」とか、妙にペーソスあり、アホらしさもありで、すっと客を笑いに ひきこんでしまう。本編は昔のがまの油の口上を言ったあとで、現代版の口上を。 がまの油エンタメ編、とか言ってちょい過激にギャグ満載ですすめ、二つで798ッと。 で、酔っぱらった油売り、包丁で腕を切ってしまい、「がまの油で効く‥かね?」 と塗って、がまの油ひと瓶全部塗って「重みで止めちゃう!」とやっても効果なく、 半泣きで「ああ~。お立ち会いの中に血止めはないか」。こういう御仁を繁昌亭昼 席でなんでもなく見られるのはぜいたくですね。 よね吉は「七段目」を七段目抜きで短めにアレンジした「芝居息子」を。定吉の芝 居の所でかっこ良く決めて、芝居噺のはなやぎ感でもひきつけて。ちょっとふっく らした感じがしたけど、女性ファン多し。トリの雀三郎は得意の噺で、久助の流れ 星への祈りは抜いてたけど、夜から夜明けの空気感も届けながら、やぶの赤壁先生 もみんな善良で、最後もばばちさは残らず、おかしな夢のような一編で得心を。 こんな昼席を見たら、お客さん、耳も肥えたでしょう。 **** ☆「第三回桂梅団治のこれ独演会?」7/26・繁昌亭 ・桂梅団治「子ほめ」・柳亭市馬「かぼちゃ屋」・梅団治「宇治の柴舟」~仲入り ~・梅団治「寝床」・市馬「百川」 (三味線・花登益子) 26日の夜席もまたうれしい会。完売して、補助席もいっぱい。出てきた梅団治、東 京から呼ぶんやったら、市馬さんにかぎる、とニコニコ。で、「子ほめ」は春団治 師匠の型で、言葉の言い損ないも「あーら蚊帳つりたい、首つりたい」など、笑い どころが山ほど。男もかわいらしく、梅団治の満面の笑顔がいかにも無邪気で師匠 そっくりな所も。「どう見ても生まれてないみたいや」をサゲに満足度高い一席。 市馬は期待度の高さを肌で感じたのか、最初はちょっと緊張気味だったけど、優し い笑顔でゆったりと場になじんで、相撲の行司さんの声色を高らかにやって「かぼ ちゃ屋」。こちらの「みかん屋」を東京に移植した噺で、展開も大体同じ。与太郎 がおじさんの世話でかぼちゃ売りになるもので、上を見て売れ、と言われてるのに、 元値で売って叱られ、出直してまた同じ所へ行く‥。市馬の与太郎のふわーっとの んびりした人の良さが、いいですね。こっちの気持ちを優しくしてくれる。空を向 いてる間に売れて、上方のより噺がシンプルなぶん、市馬の爽やかな語りと与太郎 の夢うつつのような軽味が相まって楽しかった。 梅団治は「宇治の柴舟」をこの日の目玉に据え、絵の美女に恋煩いした若旦那の噺 を気迫ときめ細かな情感とで聞かせ、幻想的な映像が浮かぶ一席に。気分転換に宇 治へ行き、そこで、その美女に会い舟で告白するも断られ突き飛ばされるという夢 を見た若旦那を、心理の陰影まで描いて、吸い込まれるような心持ちに。「寝床」 は大胆な圧縮で15分ほどで。けど、粗くはなく、演出も巧妙で要所をきちんと演じ るから噺の面白さは十分に伝わったよう。だだっ子になる旦那の演技もかわいかっ た。この日の梅団治は、三席とも持ってる力をいかんなく発揮して、いい落語を聞 かせてくれました。 で、トリをとるのは市馬。三橋美智也の「女船頭歌」を~うれしがらせ~て~~、 と美声で歌いあげて、拍手。「気がすみました」と(笑)。もっと歌ってほしいぐ らいだったけど、またの機会ですね。四神剣の説明をさらっとして日本橋浮世小路 の料亭「百川」で本当にあった話、と‥。奉公人に雇ってもらおうと来た田舎出の 百兵衛、客の座敷に用を聞きに行って‥、言葉の勘違いで話がどんどん変な方向に 行く物語は、百兵衛の「うっし!」という剽軽な声と朴訥な人柄がそのまま噺の 清々しい笑いになり、今まで聞いたどの人のより、市馬の「百川」は自然で朗らか。 心地よい風がふわふわ吹いてるような世界で、男らの描きようもすっきりした江戸 っ子の可笑しさで、いいものを聞けたうれしさがずっと後まで。相乗作用か、梅団 治もひときわ光り、これで2,000円はほんとにお得でした! **** ☆「お笑い怪談噺の夕べ~ホンモノのユーレイも出まあ~す!VOL.3」7/28・繁昌亭 ・笑福亭たま「ホスピタル」・林家染雀「腕喰い」・桂米左「猫の忠信」~仲入り ~・旭堂南鱗「応挙と幽霊の花魁」・笑福亭福笑「真田山慕情」 (三味線・吉崎 律子) 繁昌亭玄関前では、お化けのおどろおどろしい絵看板がお出迎え。毎年恒例ですね、 笑。まあまあの入り。昨年後半と同じ演目だから、二度はいいですもんね。編集人 は今年は二日しかないんだと7月の予定だけ見て買ってしまったのでした。もう~。 舞台は柳に墓石、灯籠、黒い幕。お化け屋敷ふうなセットで雰囲気いっぱい。たま は、時事ネタをマクラに久しぶりに聞く「ホスピタル」。病院が舞台のまさにお笑 い怪談噺で、小きざみに笑いを盛り込み、たまでしか出来ない演技もあって、会の 最初からしっかり盛り上げて。染雀は、乞食になる若旦那や面倒をみる徳兵衛に人 としての奥行きがあって、噺としてとても聞かせるものが。怪談めく終盤はお花に 哀感も。サゲで解き放つけど、手応えが残りました。米左も昨年の初演よりうんと 聞かせ、巧いなあと思わせた場面多々。とりわけ後半の猫の悲しい親恋しの告白は 独壇場。のった語りで、最後まで引きつけて。 南鱗は応挙と花魁の幽霊、そして、京都の老夫婦の因縁をじっくり語って、怖くは ない情の糸の不思議と温かみを。で、福笑はねばっこい語りで巧妙擬古典の怪談噺 を、じわじわと恐怖迫る演出で盛り上げて。結局、どれも二度目だけど、聞いてよ かったですね。 と、染雀演じるおそろしユーレイが出るまでは冷静に思ってたのだけど、今回は大 丈夫と席も移って壁際の中の方に入ってたのに、ええ~~、なんでやの、なんで ユーレイが横に来るのよ、と悲鳴上げる編集人でありました。大笑いされつつ、怖 くて半泣き。でもこんにゃくに醤油とだしの素までつけて渡してくれた染雀のサー ビス精神はうれしく、うちに帰って小芋と煮っころがしにしておいしく食べました。 感謝。 でも、もう一回行くときは、どうしよう~~。 **** ☆「できちゃったらくご!」7/29・動楽亭 ・桂三金「変わったお仕事」・桂三風「芸は人なり」・笑福亭たま「新品塁額 縁」・桂あやめ「あなたのためならどこまでも」~仲入り~・旭堂南湖「アザラ シ」・月亭遊方「彫刻の腕」 (三味線・林家和女) 入りは50人ぐらい。最初の出番決めジャンケンの勝負がなかなかつかず、見てる方 より、決まらない落語家さんたちの方が気を遣って焦ったかも。 で、みんなが避ける一番を、じゃ、と買って出た三金は、某女性がそのつど言う一 言に傷ついたエピソードで笑わせたまくらから、実話です、とある温泉での仕事の 噺を。次々「変更」を言う担当者にむっとしつつがまんした三金、やっと終えて来 週もと言われた電話で「すみません、担当者だけは変更してください」。構成が巧 くて、笑いもたくさん。脱「奥野君シリーズ」の落語になってましたよ。三風はこ の前北海道へ行った時の体験をまくらに、私が一門を持ったら、という噺を。一門 会の打ち上げで、師匠が陽気にふるまいながらも、客の入りの少なさをボヤキ、弟 子のまくらにダメだしをし、酒が入って酔ってくるとだんだん怒りが増して、果て は弟子らだけを目当てのファンが現れ、とうとう切れて激憤。「師匠、芸は人なり ですよ」という弟子の一言がサゲに。たまは、なぜか19世紀ヨーロッパの噺‥と、 絵描きのかみさんフランソワと額縁職人の亭主アルベルトの物語を会話は大阪弁で (笑)。愛情物語だけど、あらすじ説明の地語りが多め。「新品かさねがくぶち、 という物語」という題がサゲになる「真景塁ヶ淵(しんけいかさねがふち)」との 地口で終わるための展開は洒落としても、落語としてやや無理があったかな。 あやめは、なんと彦八まつりで初上映する新作映画「あなたのためならどこまで も」の台本を書き上げたそうで、それを予告編的に落語で披露。長過ぎるので途中 までだったけど、落語家の日常と師弟の関係や一門の事始めの様子など、大笑いの 誇張いっぱいで全部リアルなパロディ。ケッサクすぎて、映画になるのが怖いよう な(笑)。主役を演じるのは月亭八光だそう。そう思って聞いて、いろんな顔が浮 かびました。それにしても、アイデアがぶっとんでる。これは絶対見なくては。落 語にしてこんな可笑しいんだから‥。ご期待あれ。 南湖は皆既日食を見に行った話を目に浮かぶようにしゃべって、さすが講談師。本 編はちょっと荒唐無稽すぎるきらいがあり、アザラシがエベレストを登ったりして。 物語の基調は優しいものがあって聞かせたので、何か史実にひっかけて創作したら 説得力も増すのになと思いました。回想風でもよかったかも。遊方は、まさに湯気 のたつほやほやの作品。美術展である彫刻を見ていた男が、思わずその腕にさわり くしゃみをした瞬間にその腕が取れてしまう。あわててセメダインを買いに行くが、 その間にある会社の会長がそれを見て、腕が取れてる彫刻を素晴らしいと感動し買 うことに。作者は喜ぶも、もう一度作品を見に行くと腕が取れてるのに驚き、セメ ダインでくっつける。…遊方らしい、勘違いとごまかしとパニックの連続が面白く、 美術作品の価値に疑問を呈した目線も良かったな。必死になる演技で爆笑させて、 なんと「会長が欲しかったんは、取れた腕の方やったんや」という皮肉なサゲもナ イスでした。 今回のは全員、それぞれの流儀が面白く、充実の新作披露。マクラも聞かせ、長い 噺も多く終わったのは9時40分だったけど、時間は気にならなかったです。 =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= <読者のお便り~落語日記> **** 届いたばかりの(購読してます)「東京かわら版」8月号をぱらぱらめくって ると、思わず目が止まった34ページ、書評欄。 ここにこの前から話題にしてる三遊亭円丈著「ろんだいえん」と、柳家つばめの 「創作落語論」の2冊について笑福亭福笑がぶっちゃけた感想?を寄稿しているので すね。 これがおもしろい。 **** これからの時代は「どれだけ自分の個性を発揮できるか」であり、名人模倣 の落語家は消え、そんな落語が好きな落語オタクも「あと10年ぐらいたったら皆死 んどりますわ」と。思わずぐふっと笑えます。可笑しいなあ。 結局、持論をいっぱい書いてはって、おそらく編集部が期待した?二冊の本に対し て感じた賛否も含めての創作落語の考察は、ほとんどなくて(笑)、でも、とどの つまりはそういうことやん、という落語家が生きていく本音の部分をさらりと書い て笑い飛ばしてる。 福笑の口語体エッセイは軽妙なニヒリズムが詰まっていて、読ませてくれますよ。 手に取ってごらんくださいね。 420円。 **** さて、話はがらっと変わって(変わり過ぎ)、古典にまつわる話題。 「大坂離れて、はや玉造‥」、二軒の茶店で見送りの連中と酸い酒の一杯ものんで 別れをかわした喜六、清八の二人連れ、さあ、出ておいで、と「中道本庄玉津橋、 道を深江へ取ってまいります。笠を買うなら深江が名所、てな歌がございまして、 名前は深江笠やけど、実は浅い笠の一かいずつも買い、かぶりますと…」 その後、暗峠にかかる二人連れ。「伊勢参宮神乃賑」またの名を「東の旅」と呼ば れる上方を代表する旅噺である大河落語の「発端」。 これは冒頭のおなじみのくだりだけど、その深江の笠を見る機会がありました。今 も作っている人たちがいらっしゃるんですね。 **** 玉造駅前の二軒茶屋の石碑から深江の方へ。江戸時代、深江村のあたりは土 壌が適していたことから、菅の栽培が盛んで、村人が農業の合間に菅笠を縫って、 暗越奈良街道ぞいでは菅笠を売る店が並んでいたそう。それを、伊勢詣りの人々が 道中安全を願ってこぞって買い求めたと言います。 ちょうど深江稲荷神社の周辺で、神社前には「深江菅笠ゆかりの地」と刻まれた石 碑も。 この近くに菅細工を継承したお宅があり、「深江菅細工保存会」の中心にもなって います。お庭や近所でも菅を栽培し、今も伊勢神宮の式年遷宮に使用する特別な菅 笠や歴代天皇即位や大嘗祭の折にも菅笠を献納しているとか。 **** 実際に、菅笠をさわってみると、ツルンとした光沢があり芯はしっかりして るけどしなやか。晴れてるときは通気性が良くて涼しく(清々しいの語源も「す げ」から来てるという説も)、雨が降ると菅がふくらんで雨を通さない。晴雨兼用 のすぐれ物として、旅に愛用されたのだとか。 郷土の伝統工芸を絶やさないために、保存会の方たちは、周辺の小学校で菅細工を 栽培から教えているそうです。そして、細工は難しいらしく、暇さえあれば、菅を さわって練習しているのだとか。 「東の旅」の二人がかぶった、まさにその笠は適度に浅くて見通しもよく、ちょう ど両肩がかくれる幅があり、丈夫で見栄えも美しい笠でした。 明治になって麦わら帽に取って代わられ、鉄道ができたことで歩く旅自体がなくな り、菅も栽培されなくなり、消滅しかけた中で、技術を伝承して来られたのは頭が さがります。 コースターなど、小物も作っているそう。 今は菅と人材の両方の確保が急務だとか。 それでも、地元で見直されてまた、少しずつ広がりを見せているもよう。 この深江の菅笠をかぶって昔の伊勢参宮を再現して歩く方たちもいるそうです。 一瞬、本気でやってみたい、と思った編集人でありました。 **** お便りをお待ちしています。落語会に行った感想や、日頃、落語に関して思 っていること、マガジンへのご意見などなど、なんでも大歓迎。どしどし送ってく ださいね! 窓口はこちら→ rakumaga@yahoo.co.jp =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= ** 質屋寄席、行かれたんですね。チラシも話題になってましたっけ(笑)。心斎 橋での落語会は意外に少ないので、これからも続いて欲しいものです。お便り、お おきに! ●久しぶりの心斎橋でした。 ☆「第3回心斎橋質屋寄席」7月26日(日)大質ビル5階(大会議室) 演者および演目>桂佐ん吉「手水廻し」、桂歌之助「青菜」、桂梅団治「禁酒関 所」、林家染雀「質屋芝居」、桂福車「花色木綿」 約10年ぶりに心斎橋の街を歩いてきました。 雨が降るんじゃなかろうか、質屋さんのビルって何なのか?など不安にかられなが ら家を出ました。チラシに書かれた地図を頼りにそごう(もうじき閉店されるのは 寂しいし、そごう劇場がなくなるのは実にもったいない)と大丸の間の道を東に行 くとアッという間に会場に到着しました。 そういえば、このチラシが凝っていて(実物をお見せできなくて残念)演者の顔が 少女マンガ風に描かれていました。福車さんと梅団治さんはすぐに分かりましたが、 他の3人が誰がどれか分からず苦笑いしてしまいました。 会場に着くなり、お客さんの入りが悪く、大丈夫かいなと思ってましたが、徐々に 客が入って80人くらいになったころに寄席が始まりました。 佐ん吉さんが「手水廻し」を勢いよく演じ、歌之助さんが季節に合わせて「青菜」 を笑いを多く演じた後、梅団治さんが趣味であるSLの話をマクラで振ってから 「禁酒関所」を関所ができたいきさつから入って酒に酔った役人を機嫌よく演じて いました。(夜の独演会はどうだったんでしょうね)。 休憩を挟んで、この日のお楽しみといえる染雀さんの「質屋芝居」で本人いわくこ のネタを演じるのが3回目くらいというネタおろしに近い状態でありながら、芝居の 好きな質屋の連中が蔵の中で芝居の真似事を演じるさまを、高座で飛び回ったりし ながら質草を取りにきた客までを巻き込んで精一杯聴かせてくれました。(上方落 語の伏線の張り方やネタの進め方は結構理屈っぽいところがある)。 そしてトリの福車さんは「私のは別にいいでしょう」と言いながら「花色木綿」を 軽くならないよう丁寧に演じてお開きとなりました。 心斎橋でこういう会が行われているのも初耳だったし、会場の周辺が質屋さんが密 集していたりと発見もあり楽しませてもらえた、そんな日曜日でした。 (H.Y.さん) =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= ** 東京はいろんな会場で会があって、幅広さは大阪の比じゃないような。顔ぶれ も多彩で、鯉昇、百栄といった人たちもぜひ上方に来てほしい。毎度感謝のお江戸 だよりです。 ●7月24日(金)午後7時20分 ☆「第6回新宿亭砥(テイト)寄席~盛夏の新宿“涼を呼ぶ”三人会~」前売3000円 ・新宿文化センター小ホール(新宿駅15分) 新宿・紀伊国屋書店2階の小さな演芸充実レコード店、ミュージック.テイト主催。 恐るべき記憶力の店員さんに懐メロ曲名を告げると、収録CD名から歌手、在庫まで 即答が返ってくる。会場3階の部屋に椅子を並べ300人弱? 前座間に合わず。百栄途中から。 ・春風亭百栄「状況説明窃盗団」 お互いに、そして、観客に向かって、入ったデ パートや逃走車からの状況、会場とお客さんの状況までも説明し続ける3人組の窃盗 団。どこからこんな発想が‥。じわじわ来る。 ・春風亭鯉昇 出身・浜松の町興しの鰻の謎かけ公募作品を紹介。あまりにとぼけ て、事実か疑っていたら、実話。鰻「総理大臣と解く、頭はほとんど使ってませ ん」「茶の湯」 この噺ではめったにない全編、爆笑続き。 仲入り ・檜山うめ吉 俗曲 CD発売で急遽出演。地毛の見事な日本髪、楚楚とした風貌に 水色の艶やかな着物。おっとりした喋り。三味線と唄と踊り。邦楽のアイドル。 ・柳家さん喬「井戸の茶碗」 師匠小さん話などを振り、噺が決まらないと、ネタ 帳を頼み、3年目?一回目がブラックさん? 川柳つくし親子会、無駄な会だ(笑) ネタにもぼそぼそ突っ込むのがおかしい。噺はさらっと気持ちよく。涙をぬぐう人 あり、女性ファンの溜息。 仲入と終演後、一部出演者も出てCD販売。お茶お団子サービスもあり、手作り感溢 れるよい会。が、涼は呼んでないかも。開演が遅いのを出演者気にせずたっぷり。 10時近く。 (ヒラリーノさん) -その2- へつづく ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆編集・発行人 やまだりよこ ☆ホームページ担当 うっきぃ ─────────────────────────────────── ★ご意見・ご感想は rakumaga@yahoo.co.jp まで ★いただいたメールはできる限り掲載いたします。掲載不可の場合は、その旨 をお書き添えください。なお、個人的な返信については、ごかんべんください。 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