2009/04/01
ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン neoneo 121号 2009.4.1
☆━┓ ┏━┓ ┏━┓ ┃n┣━┫o┣━┫e┣━┓ ★ドキュメンタリー映画の最前線メールマガジン ┗━┫e┣━┫n┣━┫o┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○ ┗━┛ ☆━┛ ┗━☆ 121号 2009.4.1 ∽∽∽∽∽∽ HEADLINE ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ †01 ■ドキュメンタリー映画のかたち 『長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語』 フォン・イェン(馮艶)監督インタビュー(2008年12月16日) (2) 聞き手:萩野 亮 †02 ■ワールドワイドNOW ≪ニューヨーク発≫ 最近思うこと 東谷 麗奈 †03 ■列島通信 ≪沖縄発≫ 沖縄国際映画祭と桜坂劇場 真喜屋 力 †04 ■広場 ■UCLAの土本典昭監督追悼上映会 4/17 UCLAメルニッツ・ホール ■優れたドキュメンタリー映画を観る会vol.23 特集「見よ、この人を!」 4/25〜5/2 下高井戸シネマ (4/24(金)午後7時より前夜祭) ■「自作を語る」などの原稿募集! ■上映の告知の有料化とカンパのお願い †05 ■編集後記 伏屋 博雄 ★バックナンバー閲覧はこちらまで まぐまぐ配信 http://blog.mag2.com/m/log/0000116642/ melma!配信 http://www.melma.com/backnumber_98339/ ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃01┃□日本のドキュメンタリー映画のかたち ┃ ┃■『長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語』 ┃ ┃フォン・イェン(馮艶)監督インタビュー(取材:2008年12月16日) (2) ┃ ┃■聞き手:萩野 亮(構成・採録) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●映画が撮るべきでないもの ――映画の結末についてなんですが、秉愛さんのその後の姿を映像ではなく、字幕 だけで説明しています。山形映画祭の際のインタビューで、「彼女の今のテントの 住まいを撮ることは簡単だけれども、そうはしたくなかった。ひとつの出来事の始 まりと終わりを、単に記録するだけの映画にはしたくなかった」とおっしゃられて いて、私は感銘を受けたのですが――。 よかった、ぜんぜん納得してくれない人もいるから(笑)。 ――私はこれは馮監督の映画作家としての倫理だと思ったのですね。映画が写すべ きものと写すべきでないものについて、何かお考えはありますか? 写すべきでないものは、個人のプライバシー。相手が嫌だったら絶対写してはいけ ない。幹部は違うんだけどね(笑)。肖像権がないから。だから普通の人間を作品 作りという大義名分で、立場が悪い人であっても、たとえ犯人であっても写す権利 はないですね。昨日菊池信之さん(注、音響設計スタッフ)と電話で喧嘩―でもな いんだけど、したんだけど、言い争いで、どちらもお互いを説得できなかった。 「盗み撮り」について菊池さんがいうのは、カメラ自体が暴力だから相手がどんな 人間であってもだめだと。私は相手が幹部だったらそのときどんないい方法がある かを考える。 たとえば彼の私生活のことだったら、町を歩いていても私は「撮らないで」といわ れれば撮らない。でも彼が公務を執行しているときに、しかもこんな悪意ある態度 だったら、どうして公に暴露することがいけないのかと。だから意見が一致しない んだけれど、菊池さんが「もっと大きく成長しようと思ったら絶対苦しむべきだ」 と。(笑)。カメラを持った時点でそれが暴力だとわかっているなら、持つべきで はないのではないか。菊池さんはもっと大きなことを考えているけど、私にとって は実際にどう撮影するかという具体的なことになっちゃうからね。 ●ドキュメンタリー映画における「音」 ――その菊池さんとの音の共同作業について伺いたいんですけども、五日間の作業 をされて、たいへん苦しかったというようなことを『映画芸術』(注、前掲、425 号)のインタビューでおっしゃられていますが、具体的にどのようなことを話し合 われて、どういう作業をされたのでしょうか? 菊池さんとの仕事は、私はとても勉強になった。というのは、ノイズ除去とか、そ ういうレベルのものじゃない。もともとDVのカメラマイク以外使っていないから、 ぼろぼろの音なのね。その音をいかに活かして、否定するんじゃなくて、―たとえ ば友だちがフランスでポストプロダクションの作業をしているときに、90%の音を スタジオで新しく作った。それもすごくリアリティがあって、すばらしい作品にな った。もう、作られたものかどうか、わからないの(笑)。本当にすごくいい設備 で録ったと思うくらいに、本当に臨場感があって、リアルで、うそとは思えないほ どよかった。 それもひとつの手法。でも『秉愛』という映画では、音はぼろぼろなんだけど、そ れなりの自分の生理をもった音として存在している。中国の風、そのときの山の上 の状況。音が破れているんだけれど、でもこの破れた音がなければ、私の気持ちは 表せない。これは私のそのときの面と向かって撮ることのできない、でも自分があ えて盗み撮りをしていて、足も震えていて、どきどきしながら撮っている心情と、 まったく同じもの! もう聞こうとしても聞き取れない、緊張して聞き取れない気 持ちと、マイクのうまく録れていない声が風にカバーされてしまって聞こえないの がとても私の心情と一致したから、どうしても使いたかった。だけど、映画として は、技術の面でいえばプロとして、他の人が聞くときに受け入れられない、―現場 にいなかったから、部分があるのね。じゃあ、いかに現場での気持ちを大事にしな がら、荒々しい音を活かして、しかも技術的にも一般の人にも感情が伝えられるか。 たとえば、そのカメラのぼこぼこした音だけだったら、伝えたいことが伝えられな いときがある。じゃあどうやって観客も受け入れられて、こちらも伝えたいものが ちゃんと届くようにするのか、ということを考えて、たとえばこのときの山上の シーンの音声の処理は、現場にありうるような音をもっと入れた。となりが道路工 事の現場だったんだけど、その音を入れたりして、微妙な調節でたいへんな作業に なるんだけど、そういう調整をした。 ――山上の風の音は本当にすごいですね。 そう。それをただノイズを抑えるだけじゃなくて、私はそれをどうしても留めてお きたかった。あとはたとえば次のシークェンスに持っていくにはどうやって持って いったらいいか、というようなこと。 ――音声にかかわってなんですが、この「映画芸術」のインタビューで、「中国で は近年フレデリック・ワイズマンが紹介されて、ナレーションも何もないのがかっ こいい、と思っていたのが、土本典昭監督の映画でその印象ががらっと変わった」 とおっしゃられています。馮監督の映画でいいますと、前作の『長江の夢』ではご 自身のナレーションがすごく印象的につけられていて、今回の『長江にいきる』で は、ナレーションなしの簡単な字幕だけになっています。この変化、スタイルの違 いというのはどういったことでしょうか? 今回はナレーションの入れようがない。というのは、事情説明は別に声じゃなくて もいいから。秉愛という人物は自分の言葉で自分を充分に語っている。彼女が何を 考えているか、どんな性格の人なのか、彼女は充分に自分で語っている。彼女自身 から人間像が浮かび上がってくるところがあったから、いらないと思った。気づい ているかもしれないけれど、私の「うん、うん」という相槌を打つ声を私はカット していないの。中国国内でよく「その声は簡単にカットできるし、きれいにしたら もっと完成度が高くなる」といわれるんだけど、私があえて保留したのは、カメラ のまったくないようにする(みせる)のが私はあまり好きじゃないから。だから秉 愛が桃を食べるときに、水を飲んでくーっとカメラを見てはにかんでいるのを私は とてもあたたかく感じて、「彼女はかわいい! 彼女が好きだ!」というのを留めて おきたいの。でもカメラを見ないようにするほうがいいとかいわれるんだけど、私 が思うのは「何がかっこいいのか」じゃないの。芸術でもそうだし、映画でもそう だけど、レベルが高いというのは決しておしゃれであるとか手法が洗練されている とかではない。感情がどれくらいあるのか、というのが私はとても大切だと思うん ですね。 ――いまのことと関ってなんですが、中国のインディペンデントのドキュメンタ リーで日本で見られるもの、山形映画祭などで上映されるものというのは、まさに ワイズマンのような「ダイレクトシネマ」と呼ばれるスタイルで撮られたものが多 いように思うんですね。監督ご自身の映画とは全然別のスタイルだと思うんですけ ども、ダイレクトシネマとご自身の映画ともっとも違っている点は何だとお考えで すか? 私は、本質は違うべきじゃないと思っているんです。ただワイズマンがやっている ことはとても高級な思考、―何といっていいか言葉が浮かばないけれど、ただ、い ま中国国内でみんなまねしているのがダイレクトシネマだとは私は思っていない部 分がある。ワイズマンの『動物園』を見ていても、他の作品を見ていても、すごく 深い思考がその背後にある。カットひとつひとつに意味がある。しかも決して人に 押し付けようとはしない。見ている人に、考える空間を残すのがすごくうまい、― うまいというか、高級というか、レベルが高いというか。おかしいんだけど、高い 低いなんてないと思うんだけど、すばらしい作家だと思う。だけど、中国でまだま だ努力が足りないと思うのは、へんに台詞がない、カメラを見ない、人物だけで成 り立つ、いかにも劇映画みたいなのをダイレクトシネマだと思うのは、もうまった くの誤解。 ――いま中国の作家でワイズマンの領域に達している作家はいないと。 ……(笑)。私はあまり見ていないから。この質問、カット(笑)。 ――すみません、答えにくかったですね(笑)。では菊池さんとの仕事の話に戻り ますが、デジタルで撮影されたインディペンデントの映画にプロのスタッフが関る ということでも、今回すごく注目されています。今後こういったプロとの共同作業 で、インディペンデントの映画が変わっていくと感じますか? 条件が合えば、私は試してみるべきだと思う。私もすごく勉強になったし。去年 (2007年)の山形映画祭で菊池さんがワークショップをやったときに、中国の監督 で参加したのは私だけだったのがとても残念だった。というのはみんな、現場では シンクロがいちばん大切でそれで充分とか、ドキュメンタリーはその音響設計の必 要がないとか考えているから。私はとても残念だと思う。彼らは損をしたと思いま す。ドキュメンタリーだから真実はどうのこうの、ということじゃない。あくまで 私たちの手にあるのは機械なんです。カメラは機械であるし、人の耳でもふたりが 現場にいたら聞こえてくる音が違う。注意がどこにあるのかで、聞こえてくるもの がぜんぜん違う。人間でも信用できないのに、なんで機械に頼りきれるのか。たと えば村のシーンひとつであっても、いろんな音が聞こえてくる。鳥の鳴き声、子供 の騒ぐ声、歌う声、豚の鳴き声とかいろいろあって。けれど、ちょうど私たちが撮 影するときに何も音がなかったり、ありえないような音が当然あったりするのに、 シンクロじゃなければだめ、ということはないと思う。だから音を作ることで、プ ロといっしょに仕事をすることで、私たちの視野はもっと広がって、世界がもっと 広がっていくのに、どうして拒否するのかと思う。私は、条件が合えばやるべきだ と思う。もちろんプロにもいろいろいるけど、私は菊池さんと出会えてとてもよか ったと思います。 (つづく) ☆『長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語』 (中国、2008年、DVカム、117分、原題:秉愛) 監督:フォン・イェン(馮艶)、音響設計:菊池信之、 配給:ドキュメンタリー・ドリームセンター ホームページ: http://www.bingai.net ☆上映 3月28日(土)より ●大阪第七藝術劇場(大阪市淀川区十三本町1-7-27サンポードシティ6F) http://www.nanagei.com/ ●京都シネマ (京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地 COCON烏丸3F) http://www.kyotocinema.jp/schedule.html ●名古屋シネマスコーレ (名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1F) http://www.cinemaskhole.co.jp/cinema/html/home.htm ●アンコール上映決定! 5月9日(土)〜5月22日(金) 連日AM10:00〜 渋谷ユーロスペース(渋谷区円山町1‐5)渋谷・文化村前交差点左折 TEL 03-3461-0211 ■フォン・イェン(馮艶) 1962年天津生まれ。天津の大学で日本文学を学んだ後、1988年から13年間日本に滞 在し、京都大学大学院で農業経済学を研究。1994年、映像ジャーナリストの集団ア ジアプレス・インターナショナルに入り、写真とビデオ制作を学び、ドキュメンタ リーを作り始める。2002年に帰国し、現在は北京・天津を生活の拠点とする。現在 三峡移民を描く一連の作品群の集大成となる『長江の女たち』(仮題)の編集中。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃02┃□ワールドワイドNOW ≪ニューヨーク発≫ ┃ ┃■最近思うこと ┃ ┃■東谷 麗奈 ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ テレビをつければオバマの景気対策法案か経営破綻、解雇のニュース、インターネ ットを開くと職探しの宣伝広告がフラッシュし、メールボックスには仕事あります という怪しげなスパムメールが増え、ランチに行っても店員さんと景気が悪いねと いう話になり、とにかく世間は不況、不況、不況である。またその話か、と思われ る方も多いだろうが、今回はニューヨークからの声ということで、私の思っている ことを書きたいと思う。 日本にいた頃に、バブル崩壊直後の不景気を経験したことがある。昨年末に、アメ リカで大手銀行や企業に政府のてこ入れが始まった時は、なんだかあの時の日本と 同じようなことが起っているなと感じていた。また、ニュースなどでも日本がこう 乗り切ったというようなことを言及しているのを聞くのだが、しかし私の中での切 迫感というのは、前回日本で経験したものとはなんだかとても違うものなのだ。 その理由は、大きく分けておそらく二つあるように思う。ひとつは、その頃と私の 勤めている業界が変わっていること。それから、もうひとつは日本ではなくアメリ カにいるということだ。日本にいた時は、終身雇用が常識の教育機関で働いていた ので、常勤はもちろんパートタイムのスタッフでさえ、自分の生活を脅かされてい る危機感を感じることはなかった。当時の勤務先で、不況を理由に解雇された人は いなかった。もちろん、その当時に職を失った人も多くいられるだろうから、私の 経験に限ってということなのだが、金融業界に勤める友人たちからも新卒採用数が 極端に減ったとは聞いても、解雇されたという話を聞くことはなかった。だから、 不況と聞いても、なんだかニュースの中でだけ起きている遠いところの出来事のよ うな感覚でいたのを覚えている。 ところが、現在の勤務先のマンハッタンの非営利のメディアセンターで経験する、 今年に入ってからの緊張感や焦燥感というのは私がこれまで全く味わったことのな いものだ。年始早々のミーティングで、今年は厳しい年になるから皆で頑張ろうと いう話をした頃から、急激に緊張感が増してきた。アメリカでは、大手企業や篤志 家たちからの寄付や助成金に運営資金をたよる文化芸術団体が多い。今回の不況で は、大手企業や個人の資産家たちこそが大打撃を受けており、どこも軒並み助成額 を減らしたり、寄付をやめ始めてしまった。当然、非営利のような団体はスタッフ を解雇せざるを得なかったり、プログラムの規模を縮小に追い込まれている。 私の勤務先で真っ先に影響を受けたのは、主に助成金にたよって運営を行ってきた 10代の少年、少女たちのメディアトレーニング・プログラムだ。規模の縮小は必須 と言われていた年始から、あっという間にフリーのインストラクターを削減せざる をえなくなり、先日も決断を迫られる同僚のディレクターが悲痛な様相をしていた のを目の当たりにした。フリーといえど、何年も関係を築いてきた気心の知れた仲 間だ。 私の部署は、プロジェクト毎にフリーランスのスタッフを雇ってビデオを制作して いるが、今年に入って、何かプロジェクトがないかという問い合わせが頻繁に来る ようになった。これまでとても忙しく、あちこちのプロジェクトを掛け持ちして、 スケジュールを確保するのさえ難しかった優秀な編集者やカメラマンたちが、時間 に余裕があるので、何かあったら回してくれと言ってくる。そうしたメールを見る 度に、私も決して人ごとだとは思えなくなってきた。先日も、進行するプロジェク トの制作保険を手配するために保険会社とやりとりをしていたが、大量解雇でスタ ッフの仕事量が増えてしまった保険会社の作業が大幅に遅れるということがあった。 違う業界で働く友人たちからも、人員削減のため家族や親しい同僚が解雇されたと いう話をもう数回は聞いている。 医療保険制度や年金制度がうまく機能していないアメリカでは、解雇になれば即、 保険ナシ将来の保証ナシになる。私も例外ではなく、まさに明日は我が身である。 また、不況だからといって物価は下がらない。それどころか、マンハッタンの地下 鉄はまたも値上げを5月から施行することになっており、ますます日々の生活に不安 感が増してくる。 そんな緊張や不安の中、ここ数ヶ月何度となく考えされられるのは、メディアがど れだけ人々に必要とされているものなのだろうかという根本的な問いだ。医療や教 育に比べれば、メディアなどなくても人間は生きていける。メディアやエンターテ イメント業界が破綻の危機に陥っても、おそらくオバマが税金を使った国からの補 填政策をとるとは思えない。広告や宣伝にお金を使うことは控えられ、テレビやイ ンターネットも番組のスポンサーが減ってしまい、やめざるをえなくなったプログ ラムがあると聞く。映画製作なんて贅沢だと言われ、企画も通りにくく、以前より 縮小されたスタッフでプロジェクトを動かさないといけない。しかし、それでも作 り出さなければならない番組や作品というのはあるのだろうか。私たちがどんな時 でも絶やしてはならないと思うメディアとは何なのだろう。 一方で、前述のフリーランスの友人たちだが、仕事がないとぼんやりしているばか りもいられないと、時間に余裕のある今だからこそ、自分の手でできるプロジェク トを始める機会にするのだと話してくれた。久しぶりに仲間で集まり、自分たちの 機材を持ち寄って作品を撮り始めたとか、こういう時こそと、規模は小さいが自分 の楽しめる作品の制作に乗り出したという。 メディアにも、生活の糧として作り出されなければならない作品と、伝えたいこと がまずあって生まれる作品がある。両者のバランスをうまくとりたいと思うのが、 メディアに関わる私たちの願いだが、なかなかうまくいかないのが常だ。しかし、 この不景気は、社会で本当に必要とされているメディアを生み出すいいチャンスな のかもしれない、と暗くなりがちな状況の中で自分を励まそうとするこの頃だ。 ■東谷 麗奈(ひがしたに・れいな) 前号のneoneoでも告知してくださった 東京渋谷アップリンクでの 拙作『Shall We Sing?』の上映には多くの方がお越しくださったようでありがとうございます。イ ンディペンデント作品を支えてくれる日本の土壌に改めて感謝です。見られた方、 ご感想お待ちしてます。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃03┃□列島通信 ≪沖縄発≫ ┃ ┃■沖縄国際映画祭と桜坂劇場 ┃ ┃■真喜屋 力 ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ とっくに桜の時期も終わり、すでに劇場前の桜の木は若葉が満開。ところどころに サクランボが赤い実をつけている状況です。こいつは酸味が強いのはまだしも、 少々渋いので食用にはならないのが惜しいところ。まあ…何はともあれ、すでに夏 の足音が近づいている沖縄です。先日、沖縄県の中部にある北谷町で開催された沖 縄国際映画祭は、吉本興業が力技で盛り上げたおかげで、これまで沖縄で開催され たどの映画祭よりも立派な映画祭になった。リゾート指向の沖縄県としては、もっ とも手本にしたい形だったんじゃないかだろうか。驚いたのはメジャー映画を大量 に抱える地元のシネコン、ミハマ7PLEXが、全館あげて映画祭にホールを提供したこ とだ。たかだか三日間の映画祭とはいえ一番驚いたのはその部分でした。いったい いくら払ったんだろう?とセコイことを考えずにはいられない。映画祭自体は11万 人の人間が来場したということで、まずまずは成功なのだろう。実質は映画よりも、 吉本のタレントライブなどのイベントで無理やり盛り上げた感があるのは否めない し、レッドカーペットとかも浮き足立ってる感じはするが、沖縄の映画文化が盛り 上がることは悪いことではない。とか何とか言っても、会場から遠く離れた那覇の ミニシアターには映画祭の“え”の字も聞こえてこなかったので、偉そうなことを 言ってもしょうがないんですけどね。蚊帳の外と言うよりは、作品が決まるのが遅 かったりやなんかで、細かい宣伝をしてる暇がなかったのでしょう。会場となった シネコンの系列館にもチラシがなかったと言うから、シネコンのクールさも凄いが、 主催者のがんばりが、宣伝よりも開催そのものに軸足を置いていた感じで、かなり 力技を感じます。これは悪口じゃなくて感動して言ってるんですよ。まじで来年は ゲストを一人二人送り込んでくれたら、独自企画で那覇会場として盛り上げてあげ られるのに。余談ですが、知事主催のウェルカム・パーティーに呼ばれて顔を出し たんですが、シネコンの人が一人もいなかったのに驚きました。せっかくのお祭り なんだから、もっといっしょに盛り上げればいいのに。そんなふうに、まるっきり 違う世界で沖縄国際映画祭は開催され、終了しました。 その頃桜坂劇場は何をしていたかと言うと、桜坂市民大学という劇場が運営してい るワークショップ(全100クラス以上)の発表会。朝から晩までフラダンスや空手の 演舞、着付けの披露から、脚本の朗読、自主映画の上映などがメドレー状態で展開。 スタッフ全員、表も裏も大忙しなわけで、僕を除いて国際映画祭に足を運べる者な どいないのが現状。僕も映画祭で来沖した監督に取材をすませると、映画を観るま もなく劇場にトンボガエリ。講師をしていた小学生の映画『父をひく』のワールド プレミア上映に立ち合うという感じでした。『父をひく』は、小学生の自転車が暴 走して次々人を跳ね飛ばすという傍若無人な子供映画です。果たして国際映画祭と 『父をひく』を比べながら、沖縄の映画界に大きな意味を持つのはどっちだろう? と考えずにはいられません。ああ、そうそう。大人の映画制作チームが作った 『3メートル・ヒージャー(3mヤギ)』の公開もありました。これは沖縄の北部に伝 わる巨大ヤギが人を襲う都市伝説を元にしたコメディ。桜坂劇場、独自路線で爆走 中です。 ■真喜屋 力(まきや・つとむ) 1992年『パイナップルツアーズ』の1パートを監督。BOX東中野(現・ポレポレ東中 野)スタッフを経て、演出業、Web製作などで、東京、沖縄、台湾を行ったり来た りしていたが、2005年4月より沖縄に居座り、桜坂劇場プログラムディレクターを 担当。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃04┃□広場 ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □UCLAの土本典昭監督追悼上映会 一晩、2本だけの上映会ですが、学内関係者だけでなくロサンゼルス近辺に在住の 多くの方々に土本さん映画とお仕事を理解していただくきっかけになることを希望 しています。 とき:4月17日 19時より ところ:UCLAメルニッツ・ホール RM2534 一般公開、無料 (席数に限りがありますのでお早めにご来場ください。) プログラム:作家と映画紹介 映画上映『水俣 患者さんとその世界』(英語版、1971年) 討論会 映画上映『ドキュメント 路上』 (1964年) 共催:UCLAテラサキ日本研究センター、UCLA映画・テレビジョン・デジタルメディ ア学部 協力:シネ・アソシエ、土本基子、シグロ(株) 念願だったロサンゼルスでの土本作品上映会が追悼という形になったのは残念です が、もっと大きなプロジェクトのスタートラインに立ったようで嬉しいです。 ◇────────────────────────◆◇◆ ■優れたドキュメンタリー映画を観る会vol.23 特集「見よ、この人を!」 4/25(土)〜5/2(土)下高井戸シネマにて特集上映 4/24(金)午後7時より前夜祭 今年のテーマは、「見よ、この人を!」としました。どん底の不況の中でドキュメ ンタリーが人々に力を与えることが出来るなら、と選りすぐりのヒューマンドキュ メンタリー11本を連続上映致します。 作品に登場する人物達は、どんな困難な状況に於いても、己の信念を貫きながら生 きています。そのとてつもない生命力は観客である私達に大きな力を与えてくれる に違いありません。 ロビーでは、恒例の「世田谷手をつなぐ親の会」〜福祉作業所の手づくり作品の販 売を行います。そして今回は、日本を代表する女流画家・合田佐和子さんのご厚意 で唐十郎・唐組のポスター回顧展を開催致します。皆様のご来場を心よりお待ちし ます。 (優れたドキュメンタリー映画を観る会:飯田光代) 「見よ、この人を!」公開前夜祭(下高井戸シネマにて) 4月24日(金)19:00〜22:00 (予定)※開場18:30 前売限定150名(※当日券の販売はございません。) <プログラム> ■ミニ・ジャズ・コンサート 出演:津村和彦(ギター)、久万正子(ヴォーカル) ■『多摩ニュータウン わたしの街』上映 (2008年/日本/1h26)*劇場初公開/プロジェクター上映 監督・脚本:森康行 高度成長期に開発された、多摩ニュータウン。ゼロから地域社会を築き上げ、高齢 化が進む現在も介護を支える輪がある。ここに暮らす人々の姿から、社会とは何か、 故郷とは何かを問いかける。 ■森康行監督と南文憲さん(プロデューサー・撮影)によるトークショー 一般・学生1700円/小・中・シニア・会員・障害者1500円 ※特別イベントのため、招待券等はご利用いただけません。ご了承下さい。 『小三治』 (2009年/日本/1h44)監督:康宇政、出演:柳家小三治/立川志の輔/桂米朝 ●4/25(土)〜5/1(金)アフタヌーンショーPM1:30 ★4/26(日)伊勢真一さん(構 成協力)、4/29(水・祝)康宇政監督によるトークあり ●5/2(土)レイトショーPM9:15 ★康宇政監督によるトークあり 当代随一の噺家、柳家小三治。人々が惹きつけられる「噺」を紡ぎ出す裏側には何 があるのか?高座の表舞台と裏舞台で落語を通じて、弟子を育てること、己を磨く こと、そして落語と格闘する噺家の“ひたむきな姿”を映し出す。 『あもーる あもれいら 第2部・勝つ子 負ける子』 (2008年/ブラジル・日本/1h45)*劇場初公開/プロジェクター上映、監督:岡村淳 ●4/25(土)モーニングショーAM10:30 ★岡村淳監督によるトークあり ブラジルの貧しい家庭の子供が通う保育園を記録したシリーズ2作目。問題が相次ぐ 日常の中で迎えた、年に1度のお話し大会。園長であるシスターのねらいは、子供た ちが“負ける”ことを学ぶこと。 『パレスチナ1948・NAKBA(ナクバ)』 (2008年/日本/2h11)*プロジェクター上映、監督・撮影・写真:広河隆一 ●4/25(土)レイトショーPM8:45 ★森沢典子さん(製作「1コマ」サポーターズ) によるトークあり ●5/1(金)モーニングショーAM10:15 イスラエルが建国された1948年、70万人以上のパレスチナ人が難民となった。動乱 の中東の核心にあるNAKBA。世界に隠され続けた悲痛な歴史が、40年に渡る徹 底的な取材によって、いま姿を現す。 『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』 (2007年/日本/1h42)*プロジェクター上映、監督:大島新 ’07年度日本映画批評家大賞ドキュメンタリー作品賞 ●4/26(日)モーニングショーAM10:45 ●5/1(金)レイトョーPM8:50 ★大島新監督によるトークあり近年、再評価の動きが 高まる唐十郎。還暦をとうに過ぎても、名声を得てもなお、ただひたすらに舞台に 立ち続ける彼を追う。平成の世を疾走する最重要無形文化財の魂の記録。 『白い花はなぜ白い−哲ちゃん・映像作家−』 (2008年/日本1h24)*プロジェクター上映、監督:伊勢真一 ●4/26(日) レイトョーPM8:50 ★伊勢真一監督によるトークあり 植物学者「牧野富太郎」を敬愛し「穂高」を描いた映像作家、渡辺哲也。旧友、伊 勢真一が綴るレクイエムは、白い花・二輪草に夫婦愛を添えた詩情豊かなヒューマ ン・ドキュメンタリー。 『チェ・ゲバラ−人々のために−』 (1999年/アルゼンチン/1h29)監督・脚本:マルセロ・シャプセス ●4/27(月) モーニングショー AM11:00 ●4/30(木) レイトョーPM8:50 ★星野弥生さん(『父ゲバラとともに、勝利の日ま で』編著者)によるトークありかつての友人、同志、愛娘らがゲバラに対するそれ ぞれの想いを語る。そのインタビューと貴重な記録映像から、彼の性格、信念、 数々の戦いの記憶、そして日々の姿が蘇っていく−。 『URINARA 祖国 −母のまなざし、息子の声−』 (2005年/日本・韓国/1h00)*プロジェクター上映、監督・制作:河 真鮮 ●4/27(月)レイトョーPM8:50 ★河 真鮮監督によるトークあり小学校5年生で来 日し日本の生活にすっかり慣れた高校3年生の夏、韓国の徴兵に行かなければならな いことを知った監督の息子、ユウサン。兵役のため祖国に戻った彼の姿を追う。 『からっ風と太陽が知っている〜こころみ学園物語〜』 (2004年/日本/1h45)*劇場初公開/プロジェクター上映、監督:藤澤勇夫 ●4/28(火)モーニングショーAM10:25 ★藤澤勇夫監督によるトークあり 足利市の山間部にぶどう畑に囲まれた、日本で唯一ワイナリーを持つ知的障害者施 設「こころみ学園」がある。園長は川田昇さん。泥だらけになって働く農作業は過 酷だが、園生の表情はみんな明るい。 『フツーの仕事がしたい』 (2008年/日本/1h10)*プロジェクター上映、監督・撮影・編集:土屋トカチ ●4/28(火)レイトショーPM8:50 ★土屋トカチ監督によるトークあり ●4/30(木)モーニングョーAM11:00 1日18時間の労働と低賃金、休みなし。家に帰れない日々が続く−。ひとりのトラッ ク運転手の生き残るための闘いを通して現在の日本の労働状況を見つめる。格差社 会の現実を容赦なく突きつける骨太な一本。 『多摩ニュータウン わたしの街』 (2008年/日本/1h26)*劇場初公開/プロジェクター上映、監督・脚本:森康行 ●4/29(水・祝)モーニングョーAM11:00 ★石田恭子さん(NPO法人たつなみ会事務 局長)によるトークあり高度成長期に開発された、多摩ニュータウン。ゼロから地 域社会を築き上げ、高齢化が進む現在も介護を支える輪がある。ここに暮らす 人々の姿から社会とは何か、故郷とは何かを問いかける。 『40年目のビデオレター アマゾン編』 (2002年/ブラジル・日本/1h18)*劇場初公開/プロジェクター上映、監督:岡村淳 ●4/29(水・祝)レイトショーPM8:50 ★岡村淳監督によるトークあり1962年、700名 近い移住者を南米4カ国に運んだ「あるぜんちな丸」。あれから40年、船の同船者た ちの今を追ってわかったのは、あまりにも多様な移住者それぞれの人生だった。 ※スケジュールは変更になる可能性がございます。 ※トークがある日は、上映の前後どちらかに10分程度を予定しております。 <ドキュメンタリー特集共通前売券発売中!> 1回券1000円(チケットぴあ・下高井戸シネマ窓口にて) 5回券4500円(下高井戸シネマ窓口にて) 当日料金:一般・学生1300円/小・中・シニア・会員・障害者 1000円 ★4/28(火)と5/1(金)は料金サービスデーのため皆様1000円です。 ◇────────────────────────◆◇◆ ■「自作を語る」などの投稿、歓迎! 「自作を語る」欄は、監督自らが作品について語るコーナーです。制作した動機や 撮影のポイント、編集で心がけたこと等を内容に盛り込んで頂きたいと思っていま す。その他の投稿も歓迎します。「自作を語る」は1600字程度。監督のプロフィー ル(150字)、作品のデータ、上映スケジュール、HP等をお知らせください。 原稿締め切り:配信日(1日&15日)の3日前までに、下記に送信ください。 E-mail: visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋まで ◇────────────────────────◆◇◆ ■上映の告知の有料化とカンパのお願い ■伏屋 博雄(本誌編集長) neoneoの購読は無料ですが、経費を(その大部分は稿料ですが)賄うため、上映等の 告知は有料にしています。なお皆様にカンパもお願いしていますので、ぜひご協力 ください。 (1)上映等の告知の有料化 40字×30行(行数の空きも計算)以内につき、2,000円 です。それ以上の行数の場合は加算します。 (2)カンパのお願い 一口2,000円。何口でも。 送金方法:郵便振込み:00160-8-666528 neoneoの会、又は、 みずほ銀行池袋支店、普通口座、2419782 (有)ネットワークフィルムズ (銀行振込の場合は、その由を visualtrax@jcom.home.ne.jp 伏屋宛にお知らせく ださい。) 以上、neoneoの継続ため、よろしくお願い致します。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃05┃■編集後記 伏屋 博雄(ふせや・ひろお) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●『長江にいきる』の監督、フォン・イェンのインタビュー。前回は成立過程に時 間を割き、長い制作期間に視点が変化したとフォン・イェンは述べ、「三峡ダム建 設によって翻弄される秉愛一家」という社会的テーマから、ひとりの女性の個人史 に眼を転じていったのは、「子どもが生まれ」たことが大きな要因だったと証言し た。で、今回は、ドキュメンタリー映画の「音」について発言している。今日本で 公開しているのは初公開の山形映画祭のときのバージョンとは違い、音声のスタッ フが加わり新たに音の編集作業を経て完成した作品だそうだ。 「音」をいかにリアルなものにするかがその焦点になっている。一般的に言って、 リアルとは、ひとつは現実を「再現する」ことに他ならないが、重要なのは「いか に「本質を突いているか」ということである。とかくドキュメンタリーの場合、 「音」の問題については軽視され、配慮されていないことが多いのではないか?フ ォン・イェンはその音に工夫を凝らした点を詳述しており、極めて本質的な発言を しているように思う。 ●どうにもならないというべきなのか、今日の日本は閉塞状況下にあるが、≪ニ ューヨーク発≫の東谷麗奈さんもアメリカのメディアに不安をにじませている。し かし一方で、こういう時代だからこそ、メディアの在り方を考え、時代を串刺しす る作品をつくるチャンスではないか、という考えも生まれるというもの。「何をど のようにつくるか」は、ドキュメンタリーを作ろうとする者にとって合わせ鏡であ る。 ≪沖縄発≫の真喜屋力さんが沖縄国際映画祭についてレポートしている。これまで この映画祭の実態についてわからない点が多かったが、ようやく大筋を掴むことが できた。その一方で、那覇で地域の独自性を打ち出そうとしている桜坂劇場の奮闘 ぶりも窺え、心強く思った。 ●「キネマ旬報」4月上旬号に、「映画本大賞2008ベストテン」が発表されている。 昨年出版された映画図書リスト(約800冊)のなかから12人の選者の総得点によって 選考され、『ドキュメンタリーの海へ 記録映画作家・土本典昭との対話』(現代書 館)が高評価を受けた。この本は『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕 事』( http://www.tsuchimoto-eiga.com/ )の撮影中に行われたインタビューをも とに誕生した。ドキュメンタリーに関心を持つ者にとって必読書である。 第1位 葛井欣士郎『遺言 アートシアター新宿文化』(河出書房新社) 第2位 芝山幹郎『アメリカ映画風雲録』(朝日新聞出版) 第3位 吉田広明『B級ノワール論 ハリウッド転換期の巨匠たち』(作品社) 第4位 土本典昭・石坂健治『ドキュメンタリーの海へ』(現代書館) 第4位 大林宣彦『大林宣彦の映画談義大全 ≪転校生≫読本』(角川学芸出版) 第6位 中野翠『小津ごのみ』(筑摩書房) 第7位 R.ラードナーJr.『われとともに老いよ、楽しみはこの先にあり』(清流出 版) 第8位 M.H.ウィルソン『孤高の騎士 クリント.イーストウッド』(フィルムアート 社) 第9位 山根貞男『マキノ雅弘 映画という祭り』(新潮社) 第10位 津野海太郎『ジェローム.ロビンスが死んだ ミュージカルと赤狩り』(平凡 社) 上記のうち、『遺言 アートシアター新宿文化』は、プロデューサーだった葛井欣士 郎氏の回想書であり、アートシアターが果たした役割が燦然と輝いている。私の青 春時代と交差し、60年代から70年代の疾風怒涛時代の記憶が生々しく蘇ってきた。 平沢剛氏のインタビューは用意周到で、葛井氏の記憶力にも驚嘆した。『小津ごの み』は従来の小津安二郎論とは一線を画す本だ。出演者の服装や着物の柄、たたず まい、さらに調度に目が行き届き、実に新鮮な小津論として読んだ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■発行:ビジュアルトラックス visualtrax@jcom.home.ne.jp ■責任編集:伏屋 博雄 ■編集デザイン:能川 悦子 ───────────────────────────────────── ★ご意見・ご感想はビジュアルトラックスまで ★いただいたメールには全て目を通しますが、必ずしも返信できるわけではありま せん。また、いただいたメールをこのメールマガジンに掲載させていただくことが ありますが、掲載不可の場合はその旨をお書き添えくださるよう、お願いいたしま す。 ───────────────────────────────────── ★バックナンバー閲覧、およびメールマガジン配信解除はこちらまで まぐまぐ配信 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