2008/12/31
ドイツフラッシュニュース (2008/12/30)
====================================================================== << ド イ ツ フ ラ ッ シ ュ ニ ュ ー ス >> 2008年12月30日号 ====================================================================== <いつもの(?)前書き> 2008年もいよいよあと1日となりましたが皆様如何お過ごしでしょうか(=_=)ペ コリ。以前お伝えの通りこの「ドイツフラッシュニュース」は現在では不定期発 行としており、日々のニュースに関しては別の「ドイツデイリーニュース」の方 で多少飛び飛びながらも解説付きで書いておりますので興味のある方は以下から ご購読下さい(=_=)ペコリ。 http://www.geocities.jp/ksensei_germany/DailyNews.html ちなみにこの「ドイツデイリーニュース」で取り上げたここ数日の話題は以下 の通りです。 ★相続税改正法案とオンライン盗聴法案にケーラー大統領がサイン ★ドイチェ・バーン 労組トランスネットのスト予告に静観の構え ★アンケートにほとんどの業界が経済状況が悪化していると回答 ★ハイリゲンダムのサミットでも使われたビーチチェアメーカーが倒産 ★ハノーファー近郊の自動車部品メーカーStankiewicz 倒産 ★ドイツの国内消費好調で経済危機の影響ほとんど見られず ★ケーラー大統領夫妻とメルケル首相夫妻がお手製の夕食会 ★次期光熱費精算での多額支払いの可能性について賃借人協会が注意喚起 ★クヌート育ての親Doerflein氏の息子 遺品をオークションで売却 ★ホーム下の線路をトイレ代わりにした40歳女性が列車にはねられ死亡 ★自動車部品メーカーボッシュ 電気自動車への過度の期待に釘を刺す ★CSUゼーホーファー氏 減税が足りないとしてCDUの景気刺激策に同意せず ★パッサウの極右によるとみられる警察署長襲撃 以前手がかり不明 ★ドイツの一般労働者の年間病欠日数 再び増加の傾向 ★オーストリア国境近くの山で10歳女児が170m滑落するもほぼ無傷 ★ヘッセン州緑の党 CDUコッホ政権への協力を行わないことを明言 ★経済活動への自由度でバイエルン州がトップに ★ロシア モスクワ−サンクトペテルスブルク間ICE改良型高速列車を公開 ★政府 第二次景気対策に当初予想より少ない250億ユーロ拠出へ ★ケーラー大統領 クリスマス教書で経済危機はチャンスでもあると語る ★ドイチェ・バーン車掌に対する暴力・暴行が増加 ★トラックメーカーMAN スウェーデンのスカニア株保有比率引き上げ さて年末ということもあり日本風にいうところの「今年の十大ニュース」でも 書きたいところですが、それはそれでなかなか大変なためとりあえずこちらの新 聞社の「重大ニュース」の一つとして取り上げられていた今年のSPDの混乱ぶ りについて以下にまとめてみました。余裕があれば追って他のニュースについて も書く予定です。 ☆ ☆ ☆ ★2008年重大ニュースその1 「SPDベック党首 悔し涙の電撃辞任劇」 今年の8月24日、当時のSPD党首でラインラント・プファルツ州知事でもあるベ ック氏と連邦外相シュタインマイヤー氏がベルリンで極秘会談を持ちました。ベ ック氏は党首ながらDie Linkeとの関係などについての失言などでSPD支持率の大 幅な低下を引き起こし次期総選挙後の首相候補の座がかなり難しいことを自覚し ていたためこの会談ではベック氏の側からシュタインマイヤー氏に対して自主的 に次期首相候補のポストを提供した形になりました。つまりベック氏は党首の座 には残るが次期首相候補は辞退しシュタインマイヤー氏に譲る、これを9月初め のシュヴィーロウ湖での党幹部会合で明らかにすることとしてそれまでは内密に しておくことで両者が合意に達しました。 一方ガンと戦っていた配偶者の世話のため一時政治の一線から離れていた元党 首ミュンテフェリンク氏が配偶者の死から時をおいて政界に本格復帰、9月3日に はミュンヘンで「臆病ぶっていないで熱い心で道を切り開いていくべきだ」と低 迷するSPD人気を揶揄しつつ党員を鼓舞する演説を行い拍手喝采を浴びました。 この「臆病」というところには支持率急落に右往左往する党首ベック氏への皮肉 が込められていたことは言うまでもありません。 そして翌9月4日、ベック氏とシュタインマイヤー氏、ミュンテフェリンク氏の 3名がボンのホテルで会談しました。そこで話し合われた今後の方針はベック氏 が党首、シュタインマイヤー氏が次期首相候補そしてミュンテフェリンク氏が選 挙対策委員長という党運営のトロイカ体制でした。実はこの時点で既にベック氏 は自分を押しやろうとする無言の圧力を感じ取っていたのですが、しかしそれを わかっていながらも党首として振舞うことを続けざるを得ない苦しい立場に彼は 置かれていたのでした。 ところがその新体制が明らかにされるシュヴィーロウ湖での党幹部会合を翌日 に控えた9月6日、極秘情報となっていたはずのシュタインマイヤー氏の次期首相 候補就任が週刊誌シュテルンのインターネット版そして公営放送ARDのニュー ス番組でスッパ抜かれてしまいました。これは明らかに党首ベック氏の権限の大 幅低下を意味するわけで他マスコミも大騒ぎ。ベック氏はARDの直撃取材でこ の事実を知らされ呆然。その日彼は裏を取るため夜まで関係者に電話を掛け続け、 最終的にこれがミュンテフェリンク氏側が意図的にリークした謀略であると確信 しました。彼はシュタインマイヤー氏に電話し党首の座を辞任することを告げ、 一旦は再考するよう説得されたものの最終的に自身で決断しました。 翌9月7日の朝、シュヴィーロウ湖畔のホテルでの党幹部会合を前にそこから少 し離れた田舎のコテージにシュタインマイヤー氏、シュタインブリュック氏、シ ュトルック氏、ナーレス氏など党主要幹部が集まりました。そしてその場でベッ ク氏自らが党首を辞任する意向を伝えたのです。それと同時に、彼としての最後 の抵抗で後任党首として彼に近い立場のオラフ・ショルツ氏を提案したのですが、 普段なら熟慮派で受け答えにも慎重なはずのシュタインマイヤー氏が即座に彼の 提案を退けその代わりに選挙対策委員長となるはずだったミュンテフェリンク氏 を後任党首として逆提案したではありませんか。最後の最後まで煮え湯を飲まさ れたベック氏は「このシナリオを描いたやつが結局全てを持って行きやがった」 と悔しがったとのこと。 そのコテージのごく一部の幹部による密会の後、シュヴィーロウ湖畔のホテル に場所を移して党幹部会合が開かれました。この場でのベック氏の党首辞任の知 らせはコテージでの密会に参加しなかった出席者に驚愕を持って迎えられ、また 前日のスクープの影響で大勢が詰め掛けることとなったマスコミ陣もまさかのベ ック氏辞任に大騒ぎ。当のベック氏はホテルへの到着時マスコミを避け裏口から 入り、参加者の前で短時間だけ挨拶した後再び裏口からひっそりと去って行きま した。 この日の午後に彼はマスコミ向けに声明を発表。それによると「意図的に流さ れた誤った情報のために私の決定が全く異なった形で報道される結果となった。 これは党首としての私の業務執行余地と決定権が著しく制約されていることを意 味し、これ以上党首として不可欠な権限を維持できなくなったと判断せざるを得 ない」というもので、通常の辞任劇にはあり得ない特殊な環境に彼がいたことが よくわかります。 そんな傷心のベック氏でしたが良いこともありました。辞任劇のわずか1週間 後の9月13日、州政府知事を務める地元ラインラント・プファルツ州州議会での 信任投票で99.5%という高い支持率で知事に再信任されたのです。「やっぱ何だ かんだ言っても地元が一番だなあ〜」と言ったかどうかは知りませんが、ベルリ ンの党中央本部からはじき出された同氏も今後は地元で州知事として高い人気を キープしながら幸せな政治生活を送っていくことになりそうです(=_=)ウウム。 ☆ ☆ ☆ ★2008年重大ニュースその2 「SPDヘッセン州代表イプシランティ氏の乱」 イプシランティ(既に離婚したギリシア人夫の姓をそのまま使っている)氏とい えば2006年12月のヘッセン州(ヴィスバーデンを州都とし大都市フランクフルト を抱える州)のSPD州代表選挙で事前の拘束力のない党員による投票では優位だっ た対抗馬ヴァルター(Walter)氏を僅差で破って同州SPDの党代表の座に就任した 女性州議会議員です。ちなみにこの時の選挙、第1回投票で172対172の同数とな ったために2回目の投票が行われ結局175対165でイプシランティが辛勝したとい うものでしたが、週刊誌によると最近になってこの選挙についての不正疑惑も沸 き起こってきているとか。 そのイプシランティ氏、リベラル政党であるSPDの中でも比較的左寄り傾向を 持ち、大学授業料の無料化や全日制学校の導入、原子力エネルギーの廃止など党 内右派や州政権党CDUや州知事コッホ氏などは(=_=)ウウムとなるような政策を推 進。原子力発電問題では党内右派で大手エネルギー企業の関連会社の監査役の立 場にもあるシュレーダー政権時代の元経済相クレメント氏と対立し、同氏をして 「州総選挙において(イプシランティ氏の率いる)SPDに投票することは考え物だ」 と言わしめ、党内にさらなる混乱を生み出したりもしていました。 2008年1月27日の州議会総選挙ではそれまで単独政権を維持してきたCDUが票を 大きく減らした一方でイプシランティ氏率いるSPDが7.6%も伸ばし、得票率では 36.8%対36.7%とあとわずかで逆転するところまで漕ぎ着けました。獲得議席数に 至ってはCDU・SPD共に42議席と同数、こういった場合党としての主張が近い少数 政党と連立を組むことで連立安定政権を成立させるものなのですが、両党ともに 距離を置く左派政党Die Linkeが新たに6議席を得た関係でCDUが11議席のFDPと連 立しても計53議席、SPDが9議席の緑の党と組んでも51議席止まりでどの党も総議 席数110の過半数を押さえられないという不安定な状況となってしまったわけで す。 これを打開するためにイプシランティ氏が仕組んだのが禁じ手である左派政党 Die Linkeの協力を得てSPD−緑の党による少数連立政権を樹立し同氏が知事の座 に就くというものでした。もちろん旧東独の共産党を母体とする同党と連立を組 むわけには行かず、あくまでSPD-緑の党政権成立に「反対はしない」という形で の協力関係でしかないわけですが、そのレベルであってもSPD内右派勢力からは 激しい抵抗があり、ヘッセン州だけではなくベルリンの党中央部までも巻き込ん で大騒ぎした挙句最終的には党首ミュンテフェリンク氏を含め彼女の方針を黙認 するという形になりました。 これを受け10月のヘッセン州SPD党大会ではこの方針に対する党員投票が行わ れ96%という圧倒的支持を得、SPDとして万全の体制をもって11月初めの州議会で のイプシランティ氏知事選出選挙に臨むはずだったのですが・・・。何と投票の 前日の11月3日になって突如味方であるSPD内部から4名もの州議会議員がイプシ ランティ氏の知事就任を支持しない意向を表明。Die Linkeとの協力関係を嫌っ たというのがその理由ですが、ただでさえ過半数ギリギリのところで綱渡り的に 進めていた話だけに4人の票が抜けることで計画は全てが水の泡。結局翌日4日の 知事選出の投票は中止され、後にはSPD党内に深い傷が残ることとなりました。 結局これ以上の政治的混乱を避けるため実質的な再選挙(次期選挙前倒し)を行 うことでCDU含め各党が合意、11月中旬に議会を解散して1月中旬に新たに州議会 総選挙を行うこととなりましたが、SPDで謀反を起こした4人に対しては党除名な どの声も上がる一方で今回の計画を推進したイプシランティ氏にも「ほら見ろ言 わんこっちゃない」的な責任なすりつけ批判が巻き起こりました。最終的に同氏 は党代表の立場には居残ることになったものの再選挙後の知事候補には別にシェ ーファー・ギュンベル氏を擁立、敗戦処理のための党代表のような立場に格下げ されることとなりました。 イプシランティ氏としては保守系コッホ氏による政権を倒すために手段を選ば ず危険な相手(Die Linke)と組んで攻め落とすつもりだったのが、戦いの前日に なって突如味方による反乱で自爆するという形になってしまったわけで、もちろ ん党内情勢を読みきれていなかったという点で彼女自らの失敗であったとはいえ 少し同情してしまいたくなります。しかし2008年1月の総選挙で得票率を12%も失 いボロ負けして押され気味となっていたCDUにとってはこのSPDの自爆は正に反撃 のためには渡りに船、同党を率いるコッホ氏としてもさぞかし笑いが止まらなか ったことでしょう(=_=)ウウム。 この混乱が影響したのかどうか先日の世論調査ではCDUが支持率で過半数を得 ているようで、来年1月の総選挙でももしCDUが勝つことになればイプシランティ 氏の政治的影響力はさらに弱体化することでしょう。SPD自体も州だけではなく ドイツ全土でLinkeとの関係がよりセンシティブになるなど今回の「乱」の結果 はSPDに大きな後遺症を残していったと言えそうです(=_=)ウウム。 ====================================================================== ☆ご意見・ご質問は本メルマガへの返信でお問い合わせ下さい。 ☆メルマガ「ドイツフラッシュニュース」のバックナンバー及び 購読解除(まぐまぐ)は http://www.mag2.com/m/0000116555.htm ☆メルマガ「ドイツデイリーニュース」購読ご希望の方は以下ページから お申し込み下さい。 http://www.geocities.jp/ksensei_germany/DailyNews.html


