メルマガ「教会音楽あれこれ」No.7
教会音楽シューレメールマガジン「教会音楽あれこれ」No.7 (Maerz 2004)
◆◆お知らせ◆◆
◎「ルターとバッハドイツ紀行2004」が感謝の内に終了しました。今回で3度目のドイ
ツ紀行です。ルターとバッハ。確かにそれぞれ「宗教改革の旗手」であり「音楽の父」
ではありますが、二人の人としての生きざまや葛藤、そう言った事実をもありのまま
に見、「普通の人」として生き、神に仕えた二人の足跡を、等身大のものとして追い
たいというのが私の願いでした。メルマガで、またホームページの「教会音楽ツアー」
欄で、旅行記を紹介していきます。
ルターとバッハの足跡を追いながら、しかしルターとバッハを貫いて、ルターとバッ
ハが指し示したものに出会っていきたと願います。
◎『新しい歌を主に歌え −礼拝と会衆讃美と讃美歌集の現在を探る−』(21世紀ブ
ックレット24、いのちのことば社)が間もなく発売予定です。讃美歌集への問題意識
から、私自身のフィールドである福音派の牧師・教会音楽家有志で2001年より継続し
てきた「福音主義教会歌集研究会」の取り組みを6人の共同執筆でまとめたものです。
植木は“ドイツ担当”で、その讃美歌集の歴史を追っています。いずれホームページ
からも注文・入手できるようにしたいと思っていますが、とりあえずリンクページか
らいのちのことば社に入って頂ければ案内を見つけられるかと思います。
◆◆教会音楽あれこれ(その7)−ヨハン・セバスチャンの足跡− ◆◆
これまでと異なる視点で、一人の人を追って見ることにします。その人とはヨハン・
セバスチャン。敢えてここで“彼”を、バッハと言わずにいようと思います。
“彼”の足跡を辿る上で、ライプツィヒという町は余りにも有名です。“彼”はこの
町で1723年から1750年まで死に至るまでの27年間、トーマス・カントールの職にあり
ました。当初“彼”はトーマス・カントールの第1候補ではありませんでした。テレ
マンら有力な候補が3人の後の、いわば補欠候補だった“彼”は、それらの3人がい
ずれも辞退したために、繰り上がったという訳です。“彼”の雇用契約は“ライプツ
ィヒ市”との間に交わされました。
トーマス教会での“彼”の主な職務はカンタータの作曲、そしてトーマス学校での教
鞭です。若い頃からオルガニストとして優れ、ワイマール時代には重要なオルガン作
品を多く残した“彼”でしたが、ライプツィヒではオルガンを弾くことは職務ではあ
りませんでした。カントールの職務を教会でのそれと想像すると以外に思われるかも
知れませんが、トーマス学校での授業も職務の内でした。“彼”は“子供相手”に教
えることは苦手だったようです。市との契約書には「良き教師として尊敬を受けられ
んことを」と書かれている程です。
さて今でこそトーマス教会は“彼”故に有名になりましたが、この歴史上最大の教会
音楽家の実際の足跡は、とても当たり前な“日常”の連続でした。当時そもそも“音
楽家”が実際に生活を営むことの出来る術は、おおよそ3つの職業しかありませんで
した。一つは宮廷に使える音楽家のそれ、一つは町楽師、そしてもう一つが教会に仕
える音楽家です。“彼”はその全てを経験し、いや実際は生活していくために苦闘し
ていたと思われます。それらの仕事において“彼”は様々な葛藤をも通りました。“
彼”自身が原因ではなかったこともあったでしょうし、実際“彼”自身が原因であっ
たことも多かったようです。ワイマール時代には、フランスのチェンバロ奏者ルイ・
マルシャンとの競演から逃げ講演は中止。“彼”のその頑強な態度故に4週間収監さ
れるといった逸話さえあります。
バッハ。「偉大な音楽の父」というようなふれ込みで語られることの多い名前。その
人も一人の人として、一人の家庭人として、一人の教会の仕える音楽家として、実際
に苦闘しました。ライプツィヒでの市との契約条項に「カンタータの作曲」の項がな
かったら、これほどの教会カンタータを後世に残すことは有りませんでした。何か「
教会に仕える偉大な音楽家」が最初からいたのではなく、ある音楽家が、ヨハン・セ
バスチャンが、彼に与えられた一日一日の職務に、その週次の週の職務に、実際的・
具体的に忠実に向き合っていったごくごく一人の普通の人の日常。。そこに神さまの
御手が伸べられ教会の讃美に用いられました。
だから私はいつか御国で“彼”とすれ違ったら(!?)、こう声をかけたいと思うのです。
「セバスチャン。ライプツイヒでは毎週毎週仕事大変だっただろう。でもありがとう。
君は意識しなかったかも知れないが、神さまは君の仕事を用いて下さったよ。後の時
代の教会は、君の残した楽譜で新しい歌を歌ったんだよ。」
そんな等身大の“セバスチャン”の、日常に働かれる神さまの御手。それは今私達の
傍らに働かれる神さまの御手です。それを感じ、信頼し、委ねていく。それが自分の
目にはさほど重要ではないようにも思える一つ一つのことに向き合っていくこと。教
会音楽に取り組むということはまさにその一つ一つなんだと思います。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◇ルターとバッハドイツ紀行2004に参加して(参加者からの声)◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◇/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄/ ̄◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◇(抜粋)たとえば20日の夜の教会コンサートでのア・カペラの讃美やオルガ◇◇
◇◇ンの響きが礼拝堂と一体になっていること。それらが日常生活の中に深く、◇◇
◇◇自然に入りこんでいること。頭で“理解”するよりも、そこの空気を呼吸す◇◇
◇◇るように、そんなことを感じました。 ◇◇
◇◇ そしてルターとバッハの足跡を尋ねる中では、今まで本の中のあるいは楽◇◇
◇◇譜の上の人物でしかなかった彼らの、自分と同じように信仰や人間関係に悩◇◇
◇◇んだり、仕事に追われて愚痴をこぼしたりする「普通の人」としての素顔に◇◇
◇◇触れることができました。・・・・ Kaorin◇◇
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◆◆教会音楽シューレあれこれ◆◆
◎ワークショップ
2004年度上半期は2回行いますが、今までとは少し異なる企画です。
・・第4回 5月22日(土)13:00-16:00 於:キリスト教朝顔教会
「現代ドイツの教会音楽−新賛美歌集奉献礼拝に見るドイツ教会音楽の今日−」
昨年来延期になっていたものです。ヴュルテンベルク州教会(南西ドイツ)
における新賛美歌集(Evangelisches Gesangbuch, 略称EG)奉献礼拝(1996年)
のビデオを鑑賞しながら、ドイツの教会が、今日どのように教会音楽に取り
組んでいるのかを見ます。「ドイツでは今もバッハ中心なの?」「ゴスペル
は歌うの?」「楽器はパイプオルガンだけ?」「教会音楽教育の内容は?」
「カントールはどんな仕事をしているの?」そんな素朴な疑問等をきっかけに、
私達日本の教会の課題について共に考えます。ゲストに、私植木の出身大学、
ヴュルテンベルク教会音楽大学副学長のフォルカー・ルッツ先生を迎えます。
・・第5回 7月〜8月頃日程調整中 於:マナ・オルゲルバウ社
パイプオルガン工房の見学会です。
◎教会音楽ツアー
・・同行講師の私(引率者?添乗員?)を含め19名、無事に帰国致しました。
旅行記をこれからまとめようとしているところです。いずれこの欄にも一部掲
載したり、メルマガでも恵みを分かち合いたいと思います。次回のドイツ紀行
は同じコースで2006年3月を予定しています。ご質問・ご要望等お気軽にお寄
せ下さい。
◎レッスン
・・合唱指揮法グループレッスンは3月より予定を変更し、火曜日の19:00-21:00に
なりました。4月は20日(火)です。
◆◆教会音楽シューレホームページについて◆◆
◎KMSホワイエ
・・どうぞお立ち寄り下さい。本質的な話題、ちょっとコーヒーブレーク、またま
たアカデミック。。どんな話題もどんなアプローチも歓迎です。
◎別館「カントールの家」は未だ準備中です。いつになることやら。。
神はわれらの避け所、また力。
苦しむとき、そこにある助け。
それゆえ、われらは恐れない。
たとい、地は変わり山々が海のまなかに移ろうとも。
たとい、その水が立ち騒ぎ、あわだっても、
その水かさが増して山々が揺れ動いても。
(聖書:詩篇46章1節)
2004年3月31日
植木紀夫
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教会音楽シューレ
http://church.jp/kms/
E-mail: kms@mail-box.jp
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教会音楽シューレ・メールマガジン「教会音楽あれこれ」
発行者:植木紀夫
mag2 ID:0000115900
バックナンバー:http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000115900
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