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カントール(教会音楽家)植木紀夫先生が、教会音楽やその個々のテーマについて「あれこれ」と語ります。

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2003/12/31

メルマガ「教会音楽あれこれ」No.4

教会音楽シューレメールマガジン「教会音楽あれこれ」No.4 (Dezember 2003)

◆◆ご挨拶◆◆
2003年最後の「教会音楽あれこれ」12月号をお届けします。間もなく一年を終えよう
としています。皆様それぞれどのようなクリスマスを迎えられたでしょうか。「教会
音楽あれこれ」読者の皆さんは、何らかの形で「教会音楽」「音楽」に繋がる方々か
と思います(発行者にはどなたがメルマガに登録されているかはわからないシステム
になっていますが故)ので、やはり何らかの形で教会又はコンサート等にお出かけに
なられたのでは、と想像しています。私の所属する教会では12月が伝道月間でした。
私自身も教会での諸行事やその他の活動でのコンサートを主の守りの内に終え、束の
間の(?)休息に浸っているところです。
今日は大晦日です。このメルマガが届く頃は静まった夜、丁度紅白歌合戦の最中でし
ょう。私が大晦日に思い出すのは、静かに新年を迎える日本とは対照的なドイツの「
花火の大晦日」。と言っても全くオーガナイズされた花火でなく個人で勝手に上げる
ものです。新年の喜びを町全体で祝うという感じでしょうか。午前0時に町中の教会
の鐘が一斉に鳴り響きます。「色々な新年の迎え方があるのだなぁ」とクールに感じ
ていたのではなく、私も率先して花火をあげていました!この日ドイツでは消防署は
ピリピリ。道路は火薬の匂いで充満。一夜明けた元旦にまず確認するのは勿論「うち
の車は大丈夫かな・・」。そんな賑やかな大晦日を最後に過ごしたのもかれこれもう
4年前。実は私は日本の静かな大晦日が好きです。静かに過ぎた年を思い起こし感謝
し、静かに新しい年を望む。その方が深い様に感じます(ドイツにいたら花火をあげ
るでしょうが)。

◆◆ルターとバッハ ドイツ紀行2004(2004/3/18-27)◆◆
前回のメルマガでもお知らせしましたが、教会音楽シューレの特別企画である、ルタ
−とバッハ ドイツ紀行2004の参加者を募集中です。これまでに頂いた問い合わせは
20名弱程です。ホームページ(http://church.jp/kms/)に案内に以前のツアーの写
真も少し載せていますのでご覧下さい。
内容に関する問い合わせ・ご質問等は、 
 教会音楽シューレ     TEL 03-5355-0392 MAIL:kms@mail-box.jp まで
申し込み、資料請求・旅行条件等に関する問い合わせは、
 (株)JTB丸の内支店 TEL 03-3284-8821 MAIL:marunouchi_pn1031@syt.jtb.co.jp
までお願い致します。滞在延長・部分参加等も対応可能です。
申し込み締め切りは2月10日(火)となります。どなたでも参加を歓迎致します。

◆◆教会音楽あれこれ(その4)−飼い葉桶のクリスマス−◆◆
年末の音楽というと何を想い浮かべるでしょうか。第九は教会音楽という文脈からは
外れるにしても頻度としてはその次はメサイヤ。しかし何と言っても、日本では余り
演奏される機会の多くないJ.S.バッハのクリスマスオラトリオが、私にとっての「12
月の音楽」でしょう。クリスマスオラトリオの演奏に初めて参加したのはドイツ留学
中の1995年、私の指揮法の師ゲルハルド・ヘス氏の指揮棒の元での声楽ソリスト(エ
ヴァンゲリスト)としてでした。それ以来留学中は2000年に帰国するまで毎年演奏す
る機会がありました。
この「オラトリオ」は元々それぞれ異なる祝祭日に奏される6つのカンタータの集合体
です。教会暦では降誕節の後さらに「降誕節後第1日曜日」「元旦」「降誕後第2日曜
日」「顕現節」と続きます。クリスマスオラトリオの6つのカンタータは初演された
1734-35年の暦で言うと、第1部〜第3部のそれぞれを12月25日〜27日のクリスマス第1
日〜第3日に、第4部を1月1日の新年礼拝、第5部を1月2日の「降誕節後第1日曜日」、
そして第6部が顕現節に演奏された訳です。「クリスマス」はそのような長い暦のスパ
ンで覚えられ祝われていました。

良く知られている様に、バッハは既に作曲したカンタータ等を再び転用するパロディ
を随所にちりばめつつ、転用とは思えない程の新しさを持って主の降誕の表現してい
ます。バッハのカンタ−タ創作において、その歌詞は自由詩(サロモン・フランクに
よる詩が有名)とコラールによっていました。宗教改革直後の時代と異なり200年後の
バッハの頃は、コラールを編曲したり、コラールを元に作曲するということは既に下
火になっていた時代でした。そういう中でバッハは、コラールにこだわったのです。
カンタータや受難曲の中にコラールが散りばめられていたことは、当時の状況として、
それを聞く会衆が理解できたということに留まらず、コラールという「会衆の歌」(メ
ルマガ第2号参照)をして、会衆が自らの口で歌っていた信仰告白を重ねたのです。例
えばマタイ受難曲の中では「あなたがたのうち一人が私を裏切ります」と言われたイ
エスの言葉に、「主よ、まさか私のことではないでしょう」と合唱隊に歌わせた後、
バッハは福音書の物語をそのまま音楽で進ませるのを一瞬は止め「それは私です」(
=主を裏切るのは私です)とコラールで歌わせ、演奏者・聴衆を悔い改めと信仰告白
へと導くのです。

同じ様にクリスマスオラトリオ第6部において、東方の博士らがベツレヘムの馬小屋で
母マリアと共にいる幼な子イエスにひれ伏し拝み、黄金、乳香、没薬を贈り物として
ささげた、という箇所で。一つのコラールが挿入されます。

  まぶねのかたえに われは立ちて、受けたるたまもの ささげまつる。
  いのちの主イェスよ、わが身も心も とりて祝したまえ。

パウル・ゲルハルトによるこの賛美歌で、詩人は「飼い葉桶の傍ら」に立ち、罪人の
救いの為に来られたイエス様の前に献身を歌います。そしてクリスマスオラトリオに
は収められていないこの賛美歌の最終節では、

  愛する主イェスよ、今ささぐる ひとつの願いを 聞きたまえや。
  この身と心を 主のまぶねとなし、とわに宿りたまえ。

と歌います。従来の賛美歌とは一味違った視点。詩人はこの賛美歌そのものの世界に
深く入って行くのです。飼い葉桶の傍らに“立っていた”詩人の“位置”に変化が現
れます。「神であられるお方が最も貧しく低くなられた。私は跪いて主イエスを迎え
よう。いや跪くだけでも足りない。イエス様が眠る、飼い葉桶とならせて下さい。私
というという飼い葉桶にいつまでも住んで下さい」。詩人はこのコラールを通してそ
のような信仰告白をうたっています。

慣れ親しんだ“オラトリオ”を聞き演奏する時に、私達の視線がその“オラトリオ”
に留まらない様に。そのオラトリオを貫いて、そのオラトリオが歌う主イエスご自身
のご栄光のみが現されます様に。

◆◆教会音楽シューレあれこれ◆◆
3/27(土)に予定されているワークショップ「現代ドイツの教会音楽」を延期させて頂
きます。その日はドイツ紀行の帰国ですがフライトが夕刻着に変更になった為です。
また来年度上半期のワークショップ等の予定を立てているところですが、ワークショ
ップのテーマ等へのご要望等ございましたらお気軽にお知らせ下さい。全てのニーズ
にお答えすることはできないと思いますが、今後のことを考えていく上での参考にさ
せて頂きたいと思います。上記延期の件も日等決まり次第お知らせします。

◆◆教会音楽シューレホームページについて◆◆
◎教会音楽ツアー
 ・・上記の通り続けて参加者を募集中です。締め切りは2月10日になります。
◎ライブラリー
 ・・教会音楽ツアー「ルターとバッハドイツ紀行2004」のチラシの表裏が登録され
   ています。裏面の申込書をJTBにFAXして頂くことでも申し込みできます。

  善き力に われかこまれ、守りなぐさめられて、
  世の悩み 共にわかち、新しい日を望もう。

    過ぎた日々の 悩み重く なお、のしかかるときも、
    さわぎ立つ 心しずめ、みむねにしたがいゆく。

  たとい主から 差し出される 杯は苦くても、
  恐れず感謝を込めて、愛する手から受けよう。

    輝かせよ、主のともし火、われらの闇の中に。
    望みを主の手にゆだね、来るべき朝を待とう。

  善き力に 守られつつ、来たるべき時を待とう。
  夜も朝も いつも神は われらと共にいます。

(ドイツ国教会新年礼拝指定讃美歌:D.ボンヘッファー獄中書簡による)
(歌詞は讃美歌21-469番による)

2003年12月31日
植木紀夫
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教会音楽シューレ
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E-mail: kms@mail-box.jp
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発行者:植木紀夫
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