2008/11/09
★SLN-101 事実実験公正証書★
★SLN−101 事実実験公正証書★ みなさんこんにちは。 新さっぽろリーガルネットの森越です。 今回は、事実実験公正証書というあまり聞きなれない公正証書についてお 話します。 事実実験公正証書とは、公証人が作成する、公証人の五感の作用により直 接見聞した事実を記載した公正証書です。 公正証書といえば、法律行為を対象とした売買等の契約書や遺言書などが 一般的です。 しかし、たとえば、相続人から相続財産把握のために被相続人名義の銀行 の貸金庫の中身を点検・確認してほしいとの嘱託を受け、貸金庫を開披し 、その内容物を点検する公正証書を作成するわけです。 事実実験公正証書を作成しておけば、公正証書の原本は、公証役場に保存 されるとともに、公務員である公証人によって作成された公文書として、 裁判上真正に作成された文書と推定され、高度の証明力を有するので、証 拠保全の効果が十分期待できます(一部を日本公証人連合会のWEBサイト より抜粋)。 ここで、養子縁組をする際に事実実験公正証書を利用した方が良いと思わ れるケースについてお話します。 養子縁組そのものは、要件を備えた養子縁組届を届け出ることによって成 立します。 しかし、以下のようなケースではどうでしょうか。 養母候補者(以下、「甲とする」)は、まず子を、次に配偶者(以下、 「Aとする」)を亡くし、直系尊属もすでに死亡しており、兄弟姉妹もい ない老女であるので、その死亡後に法定相続人が不存在である(高齢のた めに介護老人保健施設に入所している)。 養女候補者(以下、「乙とする」)は、上記Aの妹であって、Aの死亡後に 甲の療養看護に努めていた。 このままの状態で甲が死亡した場合にも、乙は特別縁故者として甲の財産 の分与を受けること(民法958条の3)ができないわけではありません。 しかし、家庭裁判所の審判手続によらなければならず、しかも、裁判官に 相当と認められなければ、その分与を受けることはできません。 Aの弟丙・丁なども、乙以上に甲の療養看護に努めてきたと主張するかも しれません。 以上のようなケースでは、公正証書遺言を利用することで、甲の財産を乙 に遺贈することもできるでしょう。 しかし、甲は自分の死亡を前提とした遺言書を作成することにどうしても 納得してくれません。 また、甲の財産額にもよりますが、公正証書遺言を作成する公証人手数料 は安価ではありません。 けれども、単純に甲乙の養子縁組届を届け出たのでは、丙・丁などが養子 縁組の無効・取消を主張してくるなどのトラブルが事後に発生するおそれ があります。 そこで、公証人に上記介護老人保健施設に出張しての「養子縁組意思の確 認及び養子縁組届作成に関する事実公正証書」の作成を依頼し、甲に養子 縁組をする能力があり、その意思で養子縁組届書に自書捺印した事実を公 証してもらうことにするのです。 丙・丁なども甲と養子縁組をするかもしれません。 しかし、甲が高齢であることをいいことに、単純に甲と丙・丁などとの養 子縁組届だけが届け出られた場合は、乙はその無効・取消を争うことがで きます。 同じように事実実験公正証書を利用しようとしても、実際に丙・丁などが 療養看護をしていなければ、甲が承諾しないでしょう。 ちなみに、このケースでの公証人手数料は、所要時間1時間として、出張 加算があっても、約3万円です では皆様、またお会いしましょう! (今回のメルマガは 森越博嗣 が担当しました。) <本メルマガにおいて,守秘義務上必要な場合は,依頼人の承諾を得て掲載しています。> SLN → http://www.h7.dion.ne.jp/~sln/ ブログ → http://blogs.dion.ne.jp/npo_sln/ 登録・解除 → http://www.mag2.com/m/0000115599.htm バックナンバー → http://blog.mag2.com/m/log/0000115599 まぐまぐ! → http://www.mag2.com/



