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2007/09/01

★SLN−83 投資信託購入の話★

★SLN−83 投資信託購入の話★

読者の皆さんこんにちは。新さっぽろリーガルネットの山畑です。

 今回は、投資信託の購入についてです。先日の8月24日付け朝日新聞に、
「評価損20万円以上2割 郵便局投信、世界株安で」
という記事が記載されていました。
政府の「貯蓄から投資へ」との掛け声とともに、投資信託の残高も79兆円
と巨額になっています。アメリカのサブプライムローンの問題で、郵便局以
外の投信にも評価損が発生したとすると、約3週間の間に数兆円を超える評
価損が出たのでないかと推定されます。
 ここ数年は、アメリカの好景気もあり、どの投資信託もそれなりの運用成
績をあげているようですが、最近のサブプライムローン問題とアメリカの景
気見通しにより今後の状況が不透明になってきています。

 投資信託は、投資家(購入者)が自己責任でリスクを負い、販売する金融
機関や投資信託を運営する投資信託運用会社等にとっては、信託財産の残高
が増えれば増えるほど儲かる商品です。郵便局をはじめ各金融機関は、重点
商品に位置付け販売に力を注いでいます。また、金融機関の増益の大きな要
因ともなっています。
ちなみに、国内で最大の投資信託の純資産額は、5兆3,900億円です。
信託報酬が年約1.3%とすると、毎年
 5兆3,900億円×1.3%=700億円
もの信託報酬を得ていることになります。仮に10年間とすると、7,00
0億円にもなります。

 自己責任による「投資」ですから儲かることも損することも当然あるわけ
ですが、いかに少しでもリスクを回避して、投資するかがポイントとなりま
す。

投資信託を購入するうえで、してはならないこととして、次の事項が挙げら
れます。
1 金融機関の窓口担当者に勧められるまま投資信託を購入すること。
  定期預金が満期になり、担当者に勧められるままに、何となく儲かりそ
  うだから購入したなんてならないよう気を付けてください。
  自分の意思を明確にしないと、1時間でも2時間でも色々な商品を勧め
  られます。
2 減っては困る資金で、投資信託を購入しないこと。
  たとえば、2〜3年後に使用する教育資金で、投資信託を購入していた
  としましょう。
  いざ、資金が必要になり解約するときに、購入した投資信託の基準価額
  が下がった状態で、解約することは、子供の教育資金計画にも大きな支
  障をきたす可能性があります。
 
 投資信託を購入するにあたっては、次の事項について自分なりに検討を行
い、理解して購入することをお勧めします。

(1)投資信託の仕組みを理解する。
 ア 金融機関の窓口で、投資信託の目論見書を入手することができます。
   目論見書の内容は、「ファンドの名称」に始まり、「商品分類」「フ
   ァンドの目的」「主な投資対象」(場合によっては、投資制限やベン
   チマーク)「価額変動リスク」「信託期間」「決算日」「収益分配」
   「申込単位」「販売価額」「申込手数料」「信託報酬」「換金単位」
   「換金価額」といった基本情報が全て網羅されています。
   これらの内容を一通り読んで、理解できるレベルになる必要がありま
   す。
   債権型の投資信託を購入するなら、金利が上昇すれば債権価格が下が
   り、投資信託の
   基準価額も下がる(儲けが減る、または損失が発生する)ことぐらい
   のことは、最低限知っておく必要があります。
   また、購入時に金融機関の窓口で、商品の説明を受けますが、その内
   容が理解できる
   ことが必要です。
 イ 経済状況を常にウォッチする。
   サブプライムローンの問題で、日本の株式市場も随分と影響を受け、
   株式型の投資信託の基準価額は大きく値下がりしました。
   自分の購入した投資信託の基準価額が、今後どのように変動するのか
   多少なりとも自分なりに予想できることが不可欠です。いつの時点で、
   売却すると最も儲かるか、または、損失を出来る限り抑えることがで
   きるのかの目安となります。
   投資ですから、投資信託を購入する時点で、どのラインで解約して利
   益を確保するかまたは、損切りするか目安を立てて購入することが必
   要です。

(2)購入資金、購入方法について
 ア 当面使用する予定のない余裕資金で購入する。
 イ 損失が出ても仕方ないとあきらめることができる資金で購入する。
   (なかなか難しいと思いますが・・・)
 ウ 自分が保有する金融資産については、預貯金や株式も含めてバランス
   を考えたうえで、投資信託を購入する金額を決める。
 エ 購入するときは、複数回に分けて購入しましょう。基準価額は、毎日
   変動しており、複数回に分けて購入することにより、購入価格の平準
   化を図ります。(ドルコスト平均法と言います。)
   たとえば、100万円分購入するとしたら、毎月10万円ずつ10回
   に分けて購入するようにします。

(3)商品の選択について
 ア 初めて投資信託を購入するときは、格付け機関のモーニングスターが、
   国内で販売されている主な投資信託の格付けを行っていますので、こ
   れを参考にします。
   最近の各投資信託の運用成績を知るうえで、非常に有用です。
 イ 投資信託には、収益を分配するものと再投資するものがあります。
   毎月分配型の投資信託の場合は、家計副収入あるいはお小遣いとして
   重宝できますが、分配の都度税金も徴収されるため、出来れば、半年
   決算や1年決算の投資信託をお勧めします。
   毎月分配型は、分配の都度、基準価額が下がり且つ税金も徴収される
   ので、それだけ信託財産が減少し、当然基準価額が下がった分、収益
   が失われます。
 ウ 値上り益を狙うのなら、株式を中心とした投資信託を、手堅く分配益
   を狙うのなら、債権を中心とした投資信託となります。

(4)購入にも保有にもコストがかかる。
   投資信託を購入するときには「販売手数料」がかかり、保有している
   間は「信託報酬」がかかり、そして、解約して換金するときには「信
   託財産留保額」がかかります。
 ア 直接負担する費用
  a)販売手数料
   金融機関の窓口で、投資信託を購入するときに購入金額の数%の販売
   手数料が必要となります。
   100万円分購入するとしたら、数千円から3万数千円必要となりま
   す。
   ノーロードファンドといった販売手数料が不要な投資信託もあります。
  b)信託財産留保額
   投資信託の種類によっては、解約換金時に差し引かれることがありま
   す。
 イ 間接負担する費用
  a)信託報酬
   投資信託を運用するための諸費用として、信託財産から年1%前後の
   割合で差し引かれます。
   もし、基準価額が1年間変動しなくても年1%前後の割合で差し引か
   れるため、それだけ基準価額が下がり、信託財産が目減りすることに
   なります。投資する商品の種類を決めたら、信託報酬の少ないものを
   選択すべきです。
  b)監査費用
   公認会計士等による監査が義務付けられているため、この監査に関す
   る費用が差し引かれます。
  c)売買委託手数料
   ファンド内で有価証券を売買する際の費用。売買頻度や金額により異
   なります。

  たとえば、販売手数料:3%、信託報酬:1%、信託財産留保額:0.5
  %の投資信託を100万円分購入して1年後解約換金したとします。こ
  のとき、基準価額の変動がなかったとすると、
  ○購入時・・・100万円−100万円×3%(販売手数料)=97万
   円(実際の購入した信託財産価額)
  ○保有時・・・97万円−97万円×1%(信託報酬)=96万300
   円(信託報酬控除後の信託財産価額)
  ○換金時・・・96万300円−96万300円×0.5%(信託財産
   留保額)=95万5498円(換金時の手取額)
  となり、約4万4500円の損失が発生します。特に、信託報酬は、運
  用成績が上がらないときには、ボディブローのように、じわじわと損失
  が一層拡大していきます。
   
(4)どのような投資信託商品を購入するか。
   1つの商品に、株式、債券、不動産投信(REIT)を組み込んだも
   のや株式のみ、債権のみ、不動産投信のみとした商品もあります。平
   均して、株式を中心とした投資信託の信託報酬は、高いようです。初
   めて、投資信託を購入するときは、3年以上運用しているもので格付
   けの高い投資信託から選択するのも一つの選択肢です。商品数が多い
   ので選択するのは大変ですが、種類の同じものを2〜3選択し、その
   中から自分のライフプランにあったものを選択することをお勧めしま
   す。
 ア 国際株式型
   主に値上り益(キャピタルゲイン)を狙う投資信託ですが、今後のア
   メリカ経済の状況次第と予想されます。ニューヨーク株式市場の株価
   が上昇しない限り、欧州や日本の株価上昇もあまり期待できません。
   中国やインドなどの新興国を対象とした投資信託は、200%以上の
   運用成績をあげているものも
   ありますが、いつの時点で売却するかは、各投資家の投資哲学次第で
   す。
 イ 国際債権型
   債権の利息による分配益(インカムゲイン)を狙う投資信託ですが、
   最近の株価低迷により、投資資金が債権市場に流れ込み、債権価格が
   上昇しています。
   購入するとしたら、運用益の配当実績と基準価額の変動を調査して決
   めることをお勧めします。
   モーニングスターの格付けの高いものから、選択するのも一考です。
 ウ 国際不動産投信(REIT)
   不動産投信の値上り益と分配益を狙う投資信託ですが、サブプライム
   ローンの問題が表面化するまで、活況を呈していました。最近は、基
   準価額の値下がりが目立ちます。
   問題に決着がつくまでは、この種類の投資信託は控えるべきかと考え
   ます。   
   
(5)保有している投資信託の見直し
   運用期間が無期限の投資信託には、預貯金みたいに満期はありません。
   1年に1回ぐらいは、どのくらいの収益が発生しているかチェックし、
   同じ種類の商品と比べて運用成績の悪いもの将来性のないものは、リ
   ストラしましょう。

 投資信託の購入を思い立ったら、まずは、投資信託について勉強しましょ
う。投資信託の仕組みを理解することにより、投資信託の基準価額が多少変
動しても狼狽せずにすみます。
また、解約換金のタイミングも見えてくると思います。

 最後に、欧米に比べて、日本のみが低金利が続いています。日本でも預貯
金金利が5%前後あれば、現在のように投資信託が売れるとは、思いません
が・・・。
投資信託を保有することは、リスクも保有することになり、1人1人のリス
ク保有の限界も考慮して投資家として、成長する必要があるのではないかと
考えます。

では皆様,またお会いしましょう!
(今回のメルマガは 山畑 昇 が担当しました。)

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