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2007/12/07

e-NOVELS通信

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e-NOVELS通信 2007年12月7日号
第108号 隔週発行
発行 e-NOVELS http://www.e-novels.net/
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【重大なお知らせ】e-NOVELSが変わります。
購入方法に関わる問題も含む、大変重要なお知らせですので、サイトのトップ
ページからリンクがある、正式なお知らせのページを必ずお読み下さい。

現在アクセスをしていただいているe-NOVELSのサイトは、年内いっぱいで閉鎖
し、e-NOVELSは「TimebookTown」の一コーナーとして生まれ変わります。
(http://www.timebooktown.jp/Service/e-novels.asp)

現在のサイトでの更新は、11月27日号が最後となりました。長い間のご愛顧あ
りがとうございました。
以後は「TimebookTown」でも新作を発売していきます。すでに「TimebookTown」
にe-NOVELSコーナーが、オープンしております。変わらぬご愛顧をよろしくお
願いします。 

http://www.timebooktown.jp/Service/e-novels.asp


【ごあいさつ】
 ご愛読ありがとうございます。電子出版のプロ作家集団、e-NOVELSです。
 小説界の第一線で活躍する作家・評論家が、Web上で作品を発表、販売して
います。サイトには、無料で読める連載読み物などもあります。
 また、メールマガジンならではの、とっておきのおまけも用意しました。
 どうぞ、お読みの上、e-NOVELSを訪ねてみて下さい。また、よろしかった
らお知り合いにも広めていただければ幸いです。


【今回の内容】
・新作情報
・発売作品
・次号予告
・作家情報
・提携サイトのご紹介
・斎藤肇ショートショート・シリーズ「ありもしない街ガイド」
  17

※今週、12月7日販売開始の作品は次の通りです。
 詳しくは「TimebookTown」のe-NOVELSコーナーをご覧下さい。

[新作情報]
★『人魂』飯野文彦 ※値段60日168円、ロング210円
人魂というのは、生霊のことではないかと思った。最初、人魂と出会ったのは、
地元スーパーの片隅にある百円コーナーだった。陳列棚の間をふわふわと飛ん
でいたわけではない。商品として販売していたのである――。執筆は進まず眠
れもしない仕事場の闇の中で、青白い炎がゆらゆらと揺らめく。それに誘われ
るように、私の開いた口からも、嗚咽のごとく吐き出された青白い光の塊が。
それらはひとつに溶け合って――。仕事に行き詰まった作家の口から飛び出し
たのは、彼の迷える魂なのか。ふわふわと飛び回るそれは、やがて妻の情事を
盗み見て激しく燃え盛る。そのとき彼の心の中では――? 萌える炎は怒りの
印。魂抜けたら楽になる!? 『人魂』――飯野文彦の日常奇譚は、やっぱり最
後は大暴走。生活に疲れた者よ、百円コーナーに急げ!

[発売作品]
『ローウェル城の密室』小森健太朗 60日493円、ロング619円
『思慕』貫井徳郎 60日100円、ロング126円
『人間空気』二階堂黎人 60日201円、ロング252円
『桜川のオフィーリア』有栖川有栖 ロング170円
『黄泉屋敷事件』笠井潔 60日283円、ロング360円
『レタッチ』我孫子武丸 60日84円、ロング105円
『シンボル・ツリー』太田忠司 60日84円、ロング105円
『インド・ボンベイ殺人ツアー』小森健太朗 60日126円、ロング157
円
『バビロンの雨』早見裕司 ロング105円
『生き物カレンダー』北野勇作 無料
『冷蔵庫を捨てに』久美沙織 60日84円、ロング105円
『遠近感のない〈その男〉』飯野文彦 60日84円、ロング105円
『煙草屋の二階に住んでいる』飯野文彦 60日84円、ロング105円
『二重露出』貫井徳郎 60日96円、ロング120円

[次号予告]
「実は便が出ませんで……お腹に誰かいるんです。それがあたしの便を食べて
いるみたいなんです」――肛門科医師の許にやってきた女の奇妙な告白。「君
の骨だよ。食べてもいいかい? 止めるなら今だよ」「あたしを食べて」。彼女
を「骨抜き」にして、「中」に入り込んだ男はいったい何者なのか? 混乱す
る記憶、緩やかに崩壊する世界。そして、身体の中から声がする。「もっと食
わせろ。どんどん食わせろ。俺はここだ」――! 重層的に入り組んだ語りが、
あなたを眩惑する。SM雑誌のライターが引きずり込まれた、底無しの不気味な
世界。飯野文彦が『女体の中に』いる――。

そのほか『ゴッサマー・スカイ』(瀬名秀明)、『プレシャス・ライアー』(菅
浩江)、『アンドロイド殺し』(二階堂黎人)、『理想のペット』(我孫子武丸)、
『あり得たかもしれない未来、今ぼくがいる場所』(貫井徳郎)など15冊を配
本予定です。

[作家情報]
「何があっても、返本不可…」禁断の書を手にした怪奇作家の運命は? 中毒
者続出! ケータイlivedoorで掲載された怪奇な異色ホラー、文庫書き下ろし
にてついに完結!「続け読まんこった。一話読んだら、一週間。最低でも三日
は間を空ければ、まあ助かるかも試練。駄目かもしれないが」
『「超」恐い物語 黒い本』飯野文彦。竹書房文庫より発売中(税込630円)
です!

[提携サイトのご紹介]
e-NOVELSで作品を買ってみたいけど、どんな話なのかもうひとつわからないか
ら手が出ない――、そんな方のために、e-NOVELSから委託してウェブ書評家の
皆さんにe-NOVELS作品を取り上げていただいております。
よろしければ、書評を参考に、ご購入を検討してみてください。

政宗九の視点 http://d.hatena.ne.jp/mmmichy/
嵐の館 http://ha1.seikyou.ne.jp/home/arasiyama/
UNCHARTED SPACE http://www.h4.dion.ne.jp/~fukuda/
ウッドストック1979 http://gurenma.exblog.jp/


【メールマガジン特別企画】
連載 斎藤肇ショートショート・シリーズ「ありもしない街ガイド」
 17 白夜の街・ロンバス

 ありそうもない街、でも、なんだかあっても不思議ではないかも知れない街、
いやいや、決してそんなことは……。
 読む人を楽しませながら、ありもしないはずの街が、いつの間にか、魅力的
な「あったらいいかもしれない街」に見えてくる不思議。ショートショートの
名手・斎藤肇さんは、ありもしない街の地図を、どんどん広げていきます。凝
縮された文章の中に、あなたは、どんな街、いや、『世界』を見るでしょうか。

 ありもしない街ガイド 17
 
   白夜の街・ロンバス      斎藤 肇
 
 ひと気のない停留所に降り立つと、かすかに濡れた舗道から薄く霧が渦巻い
たように見えた。
 ロンバスは静かな街だ。小さな足音がよく聞き取れた。
 見上げれば、白く濁った低い空。空というより、天井という言葉の方が相応
しいかもしれない。この街をすっぽり覆う屋根のごときそれは、夜であれ昼で
あれおかまいなしに一定量の光をこの街にもたらしている。光を遅延させる特
殊な材質をさまざまに含んだ屋根が、夜と昼とを平均化して、一日すべてを薄
暮にしているという。
 外から訪れた者なら、このトワイライトな世界を、怪奇幻想小説の舞台のよ
うに感じるはずだ。だが、実際のロンバスは数千年におよぼうという平穏な歴
史を積み上げてきた、他に類を見ない平和都市でもある。
 停留所前に古い酒場の看板が見えた。この場所で、案内のシズクイシさんと
待ち合わせをしている。ドアを開くと、暗い空間に小さな黄色い光が灯って酒
の匂いを吐き出す。客の数は三人、そのうち、もっとも大きな身体の男がシズ
クイシさんだった。もう、ほろ酔いである。
「ここには時間というものがないんです」
 上機嫌で彼は言う。誇らしげに言う。
「時間がないのですか? それは、つまり……」
 昼夜の別がないなら、日付という概念は意味をなさないかもしれない。ほぼ
密閉された空間で季節の移ろいもほとんどないなら、もっと長い時間経過、た
とえば月や年というのも生まれてこないかもしれない。けれど、ひとがひとで
あるからにはさまざまな生理的欲求があり、変化や成長がある。時間がない、
という表現は適切ではないだろうに。
 そんなことを問いかけてみると、シズクイシさんはふらりと椅子から立ち上
がった。
「ちょっと外を歩きましょうか」
 立ち上がると、彼はとても背が高い。街を歩けば、酔っておぼつかないとこ
ろもあるが、おおむね颯爽と進んで行く。
「時間にはふたつあります。ひとつは、過去から未来へと流れるとされる時間。
これは、いうなれば蓄積であります。変化も成長も、蓄積ということです。も
うひとつはタイミング。複数のひとに蓄積があり、蓄積は今後の行動を決定す
るためにも使われます。そこで、複数の行動をシンクロさせなければならなく
なり、タイミングを合わせるための時間、時刻という考え方が発生するのです」
 時間はない、などと言いながら時間について説明してくれる。
「なんだか面白いお話のようですが、それはつまり、この街にも時間が存在し
ているということになるのではありませんか?」
 ふたつの時間のどちらも、社会生活というのをやっていくには不可欠な要素
であるように思える。
 問われたシズクイシさんはゆらゆらと早足でしばらく進み、やがて、
「……ああ。そうですねえ。時間がありますねえ。昔はなかったはずなんです
が、いやいや、昔というものがあるからには昔から時間が……」
 なんだか嬉しそうな表情を浮かべた。一瞬、立ち止まった。けれどすぐにま
た歩きだす。
 街は静かなまま、ただ広がっている。建物はいずれも、長い時を越えてきた
様子を見せる。
 シズクイシさんは長い、少し年季のはいった黒のコートの裾をはためかせて、
街を進んで行く。説明もしない。解説もしない。
 光を均質化する天井は、雨も防ぐだろう。だったら、この街の建物には屋根
などいらないだろうに、淡い煉瓦色の瓦を載せた時代のかかった建物群。
 黄昏の光の中、遠くは見通せない。薄闇にかすむ。
 時間がない、時間が存在しない、そんなシズクイシさんの言葉は、この町の
在りようとはたしかに矛盾していると思う。けれど、なにかちょっとした考え
で、考えの切り替えだけで、彼の言葉が正しく変わるような予感がする。
 シズクイシさんは立ち止まった。首をゆっくり左右に動かし、さらに二度ほ
ど回した。
「なんだか眠くなってきました。もう帰ります」
 一方的に別れを告げられて、一人でその場に取り残される。
 街の気配に包まれる。
 その目の前を、大きな貨物トラックが通り過ぎていった。
 なにか分かったと思い、しかし次の瞬間、言葉にできる答えは逃げ去ってい
る。
 たぶん、この街には今も時間が存在していない。
 街路に立ちつくして、ただそう感じている今。


【編集室から】
 これまでのサイトでの更新も終わり、いよいよ「TimebookTown」のほうで本
格的に始動となります。「TimebookTown」の更新は毎週金曜日ですので、それ
にあわせて、メールマガジンも今号から金曜(ただし隔週です)発行となりま
した。今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。
 さて私はと言いますと、ここ数週間、エバに懲りまくっております。エバと
いってもエヴァンゲリオンではありません。『エビータ』です。さる12月3
日、甲府で劇団四季の『エビータ』の公演があり、夫婦で観に行きました。何
年か前にも東京で舞台を観ましたし、マドンナが主演した映画も観ていたので
すが、どちらもすっかり忘れていました。(何しろ『レ・ミゼラブル』も二回
観ましたが、まだ内容がわからないので、妻に呆れられています。真相はいつ
も二日酔いで、途中で寝てしまったためなのですが……。)
 それで今度こそはしっかりと覚えようと、観劇の前に四季版以外にも海外版、
映画版と『エビータ』関係のCDを集めて、毎日毎日聞いて、いざ観劇に向か
ったので、内容はバッチリでしたし、興味を持って楽しめました。
 感想は「私もエビータになりたい」です。今度呑み会であったら、しばらく
その話ばかりでしょうが、覚悟してくださいね(って誰に言っているのでしょ
う、笑)。それにしてもミュージカルって、ほんとうに楽しいですね。今いち
ばん再見したいのは『マイフェアレディー』です。大地真央のファンでもある
のですが、上條恒彦が歌う「運がよけりゃ」は最高です。といったら妻がヤフ
オクで上條恒彦のCDを落としてくれましたが『マイフェアレディー』関係は
入っていないようです。でも「見果てぬ夢」が入っているそうなので、年末は
赤ワインを飲みながら、くりかえし聞こうと思っています。楽しみです。では
では運がよけりゃ、次は12月21日号で、お会いしましょう!(飯野文彦)


このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発行
しています。配信中止は http://www.mag2.com/m/0000115290.htmから。
バックナンバーは、http://www.mag2.com/m/0000115290.htmの「バックナンバ
ー」の項目から読めます。
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