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2012/01/30

白雲の道通信 No.251 [2012/01/30]

== Hakuun.net Presents =================================================
                 ~~白雲の道通信~~
                                               No.251 2012年01月30日発行
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第十章 パラレル シフト


4 回避

 スイス本部中枢はブライアンの命令を、実行に移す準備を始めた。

 東洋圏内を周回している核搭載の人工衛星を東京に向けるだけで、数分後には
直接投下が可能になる。しかし、このシステムは2012年の今から7、8年ほど前、
米国の国防省が保有していたもので、その後進化していない代物だった。詐欺ま
がいの方法と脳に埋め込んだチップによって世界を乗っ取った後、武力的な脅威
がなくなったため、この種の武器はそれ程必要もなく、また今回の使用はブライ
アンにとって始めての事だった。
 3時間後と指定したのは、ブライアンや、ダイアンなどのトップが東京を離れ
る時間に余裕を持たせた時間である事は、本部も承知している。

 ブライアンは、同じ様に擬似体験しているダイアンに、この東京をすぐに離れ
るように支指した。この事を創造の戦士には告げないよう念を押しての指示だ。
 「はっ。ではそのように。テレポートの手配をします。本部のポートに移動し
ますが、よろしいいでしょうか」
 「そのようにしろ。私は、ミーナと新鋭ジェットで離れる。その手配を頼む。
2時間以内には東京上空を飛行していたい」
 「分かりました。直ぐに手配します」
 ダイアンは家族と数名の部下のみを、麻布地下に設置してある瞬間移動装置で
本部に移動する手配を急いだ。ブライアン閣下はミーナと一緒に東京の核による
壊滅を空から見物確認するつもりでいると察したが、その事でのリスクはないだ
ろうと判断した。

 アザミのアジトがあった跡地では、ナザレメンバーらの歓声の中心に、外側に
焼け爛れ一つない銀色に輝いた装置がその場にそぐわないほど、美しくその時空
に根を降ろしていた。
 この装置が突然現れた経緯は、一つの然るべき可能性として全員理解している。
 今では身体をもっての時空間を移動するのに慣れている者もいる。だが眼前に
時空を超えた装置を見るのは初めてで、みんなの心には目が覚める程の感動があっ
た。

 ショウが「今回だけはもうダメかと思ってみんな落胆していたけど、良かった!
 アザミの装置はこれからどれだけ進歩するか、本当に楽しみだよ」
 「ありがとう、皆さん、ご心配かけて申し訳ありませんでした。見ての通り、三
人とも元気に生還しました」
 みんな生き生きとした。この心強い装置の現状を変える大きな力がある事は、誰
の目にも明らかだったからだ。
 その時、目を閉じて本部の状況を感じ取っていたミューの様子が急に不安な顔に
変わって言った。
 「たいへん!一難去ってまた一難ね」
 そう言ってミューは、ショウとケンジ、それにミヨ、アザミを装置の中にさそっ
た。その様子を観て、ミヨは他のメンバーに
 「皆さん、今日はひとまず、解散します。今回の報告と今後について近日中に招
集いたします」
 ミューが、性急に訴えた。
 
 「ミヨさん、皆さん、申し訳ありません。しばらくの間、ここで待機をお願いし
ます」
 その事で、全員の心の中に一抹の不安がよぎった。
 装置の中に入ると、ミューは少し厳しく、申し訳ないような声で、伝えた。
 「この状況を監視していたらしいブライアンが、本部に東京を壊滅する様に命令
を下しました。3時間以内に核兵器が使われます」
 「な、ナニーっあのバカヤロウがまたそんな事をやらかそうとしているのか」
 アザミが言った。
 「...この危機は、おそらく回避出来ます。この亜空間に居た3時間の間に、
ミューさんとの量子科学上の大きな進化ありました。幸いメカに強いのケンジやプ
ログラムのプロもここに居ますので、核を消滅、あるいは地域的な移動が可能にな
ると思います。
また、この事に伴い、時空を変化させる必要がありますので、皆さんにも手伝って
もらうことになると思います」
 「...なるほど...面白くなって来た。それでは急いで対処しよう。必要な
事を指示してくれ。私とミヨがみんなのメッセンジャーになる」
 ショウやミヨたちが、装置の中に入っていったのを見て、トロンはこれ以上ここ
に留まる事は出来ないと察知し、この場を去った。
 盗聴されている事はいくつかの不審な出来事からも薄々感じていたが、彼の前か
ら子供の頃からの「自由」という思いが崩れてゆくのを、どうしようもない思いで
見つめていた。

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白雲の道通信(ID:0000114224) No.251(2012年01月30日発行)
発行:白雲の道治療院 magz@hakuun.net
ホームページ : http://www.hakuun.net/
バックナンバー: http://archive.mag2.com/0000114224/
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