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2007/12/14

ベトナム現地直送 アオザイ通信 vol.051

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━ティエラエデュネットキャンパス━━

▲     ー ベトナム駐在員がお届けする素顔のベトナム ー
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■■▲          アオザイ通信
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■■■■▲                                  2007年12月14日発行 vol.051

━━━━━━━━━━━━━━━━━  http://www.te-campus.com/eco  ━━

年中真夏のホーチミンより、駐在員の目からみた素顔のベトナムをお届けしま
す。

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■ 目次
vol.051
[1]日本語能力試験が終わって
[2]「すみません」という文化を持つ国
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vol.051
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 春さんのひとりごと
 <日本語能力試験が終わって>
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12月初旬に日本語能力試験が実施されました。ハノイでは約5千人、そして
このサイゴンでは8千人を超える受験者の応募があったそうです。ですから今
年は、ベトナム全土では合計1万3千人強の受験者が日本語能力試験に挑んだ
訳です。 

本番の試験の2週間前には、試験監督員(これはベトナム人が担当します)と
試験監察員(これは日本人が担当します)に対しての打ち合わせがありました。
この会合には、私も当日出かけていきました。 

会場の大広間に集まっていたのは、圧倒的にベトナム人の方が多く、日本人は
30人に満たない数でした。あとで試験担当の責任者であるT先生に聞きます
と、今回の試験に当たりベトナム人の試験監督員は約500名、日本人の試験
監察員は約30名いるということでした。 

この日の会合では、試験当日の注意点や、当日に自分が赴く会場や、試験監督
員たちの集合時間などが伝達されました。 

そしていよいよ12月のこの日、本番の試験日を迎えたのでした。私は人文社
会科学大学に、まだ外が薄暗い朝6時前には到着しました。 
さてしかし到着したのはいいのですが、会場の入口には誰もいなくて、これか
らどこに行けばいいのかがさっぱり分かりません。(誰もいなくても案内の掲
示物くらいはあるだろう)と思って探しましたが、それらしき物も全然見当た
りません。

まあしかしこの日には(おそらくそういう事が予想されるだろうな)とは私も
想像出来ましたので、事前の会合の時に「当日は、試験監督の人たちはどこに
行けばいいのかを案内してくれる人が、入口にいますか?」と質問しますと、
担当のベトナム人は「ええ、大丈夫ですよ。案内する人が出ていますから」と
いう答えでしたが、やはり私の懸念した通りでした。それらしき人は一人もい
ませんでした。 

私以外にも、後から来た人たちも(どこに行けばいいのか?)と途方に暮れて
います。それで私は(外から見て、電気が付いている部屋がおそらく集合場所
だろう。そこに行けばいいんだろう)と想像して、その部屋に入るとやはりそ
こが集合場所でした。 

ベトナムにいると、日本ではあまり発生しないような、こういう事態がよく起
きます。ですからそういうふうに当日発生するであろう問題点を事前に予測し
ておいて、それで当日問題が起きたら、その都度対処方法を考えないといけま
せん。 

今回私は日本語能力試験の監察員として初めて参加しましたが、私なりにいろ
んな問題点が見えて来ました。細かい問題点はいろいろありましたが、その中
でも最大の問題点は、「情報伝達能力の低さと連絡・確認の弱さ」という点で
しょうか。 

ベトナムの人たちは、「報告・連絡・相談」という、日本では大変重要視され
るものを、日本人ほどはあまり重要なものだとは思ってもいないし、その必要
性も感じてはいません。お互いに確認した約束などでも悠然と遅れたり、平気
で約束をスッポカシたりする人もいますね。この点は、ベトナムでベトナム人
を使って仕事をしている日本の人たちが、毎日頭を抱えているところです。 

今回のことで言えば、具体的には試験当日に生徒たちが集合する時間の連絡の
徹底が全くなされていないということでした。この事は、日本人の時間感覚に
対しての厳しさと、ベトナムの人たちの大らかな(裏を返せば無頓着な)時間
感覚との大きな違いを現しているといえるでしょうか。 

サイゴンでの結婚式なんかでもそうですね。いつも時間通りに始まったためし
がありません。だいたい1時間〜1時間半遅れが普通です。2時間遅れたこと
もありました。といいますのは、招待状に書いてある開始時間になっても、普
通は誰一人として来ていないからです。 

しかし新郎・新婦は、招待状に書いてある時間の30分前には式場の入口に立
ち、式が始まるまではお客を迎えるためにずっと立ちっぱなしです。そして、
招待客の8割くらいが来た頃に外での出迎えを終えて、それから式場の中に入
っていきます。ですからふつうは約2時間くらいは外に立っていることになり
ます。実際私の時がそうでしたから。 

最初のころはそういう風習を知らない“時間に厳しい日本人”が早めに行くと、
誰も来ていない中で何もすることもなく、誰と話することもなく、ピーナッツ
だけを肴にしてビールを3本も、4本も飲み続けるということになってしまい
ます(まあ、飲まなくてもいいんですが)。 

そしてこの試験時間の件に関しては、実はある日私が教えているクラスの中の
5・6人の生徒が、試験の十日ほど前に「先生、私たち全員が試験当日は学校
に何時に集まるのかが分からないんですが・・・?」と聞いて来たことから、
その試験時間に関する連絡・確認の不徹底が判って来たのでした。 

私は、「何ば、今頃そがんこつば言うとっとか!」と、思わず熊本弁で答えて
しまいました。「でも受験票のどこにも、当日の集合時間も試験開始時間も書
いていないんですが・・・」という返事なのです。 

「そんなバカなことがあるか。どれ受験票を見せてみろ!!」というと、ある
生徒がたまたまその日持参していた受験票を見せてくれました。私はそれを手
に取り、表と裏をじっくりと見ました。 

すると何と、やはりそこには日付だけは書いてあるものの、集合時間や試験開
始時間などは、どこにも全く記入されていなかったのです。 
その受験票を手にしてしばらく見つめながら、(う〜ん)と私も唸ってしまい
ました。 

この受験票自体はおそらく日本国内で作成したものらしく、日付は世界統一標
準で決められた日が印刷されていましたが、時間はその国の現地の都合や、会
場使用の事情があるので敢えて書いていなくて、「現地で決めた都合の良い時
間を書いて生徒たちには渡して下さい」という意図なのだろうと推察しました。
しかしこのサイゴンでは、現地で決めたその時間自体がそもそも書いてないの
です。 

試験当日の集合時間や、試験の時間が明記されていない受験票を、平気で生徒
たちに手渡すということはどういうことなのだろうか。日本人の感覚では考え
られないことです。 

「この受験票を貰う時点で、担当者は試験が何時から始まるかをあなたに伝え
なかったの?」と聞きますと、「何もなかったですよ。ただこの紙一枚を呉れ
ただけで終わりでした。」と言うではありませんか。 

その時に「試験は何時から始まるんですか?」と自ら質問しない生徒もまた生
徒ですが、少なくともサイゴンでは(8千人を超える受験生のうち、その大部
分が当日の試験の開始時間を知らないのか・・・)と想像すると、鳥肌が立っ
て来ました。 

私はその授業を終えてからすぐ教室を抜け出して、私の知り合いのベトナム人
の試験担当者に、当日の時間を確認して生徒たちにまた伝えました。しかしこ
うして学校に来ている生徒たちには先生から連絡することが出来ますが、まっ
たくの個人で申し込んでいる生徒たちには、どうやって当日の試験時間の連絡
をするんだろうかと不安になりました。 

後日念のために、私の知人のベトナム人の先生たちの中にもこの日本語能力試
験を受ける人が数多くいますので、その中の一人の先生に「試験時間は何時か
らか知っていますか?」と聞きますと、何とその先生も、「いやー、そう言わ
れれば私も正確な時間は知りません。」と言うではありませんか。 

「あなたは正確な時間を知らないのに、当日はどうやって決められた時間まで
に行くのですか?」と再度質問しますと、「私は昨年も受けています。それで
昨年があのくらいの時間だったので、今年も同じだろうと思い、その時間頃ま
でに行けばいいかなと思っていました。」という、何ともおおらかな答えでし
た。 

さらに良く聞けば、「昨年も受験票には時間は明記されていなかった」という
彼の返事でした。要は正確な時間を生徒に伝える立場にある当の先生たちの中
にも、試験当日の正確な時間を知らない先生がいたということです。 

この点は、この日の試験当日にサイゴン市内にある主だった日本語学校の先生
たちにも聞きましたが、やはり知らない生徒が数多くいて、「7時集合だろう。
いや7時半集合だろう。8時前に行けばいいんじゃないかな?」などと、いろ
んな情報が飛び交っていたということです。 

さて当日の正しい時間は、7時から7時半までに集合して、7時半から点呼を
取ってから試験の受け方についての説明をして、8時から試験のスタートとい
う流れでした。 

興味深かったのは、このような不充分な連絡の仕方でも、あまり大した混乱も
なく始まり、それほど心配した大量の遅刻者もなく、淡々と試験が始まって、
ほぼ予定時間通りに終わりましたから、しっかりとした運営能力はあるのでし
ょう。 

しかしこの試験には主催団体として、「国際交流基金」の名前が書いてありま
したが、とうとう最初から最後までその人たちの姿を見ることはありませんで
した。最も大事なこの試験当日に、「国際交流基金」のスタッフの方々は、一
体どこで何をされていたのでしょうか。 

そして試験当日はサイゴン市内に5つの会場が設けられいて、私が担当するこ
とになった人文社会科学大学には、全部で約1000人の受験生が集合したと
いうことでした。 

しかしやはり心配していたように、試験開始後20分くらいして男の生徒2人
が息を弾ませて走ってやって来ました。試験開始後の10分までの遅刻は入室
が許されていますが、この男子生徒2人はそれを10分も超過しています。

「試験時間は何時から始まるのか知っていましたか。」と監督員が聞きますと、
「知りませんでした。」という返事をしていました。(小さい子供じゃあるま
いし、知らなかったのなら何で、いろんな所や友人に前日に電話してでも聞か
なかったのか)と、その呑気さにも呆れてしまいます。

しかし決められた規則は規則として、涙を飲んで厳格に適用せざるを得ず、残
念ながら2人の生徒は失格となり、この試験を受けることが出来ませんでした。
肩を落として悄然として階段を降りて行く2人の姿を、今でも思い出します。 

さて私が受け持った教室は全員が2級の受験者たちで、試験終了後に廊下で
「どれくらい日本語を勉強していますか?」と聞きますと、3年から4年くら
いという答えが多かったですね。「何のために日本語を勉強しているのですか。
」と質問しますと、「日本の会社で働きたいから。日本に留学したいから。日
本のことを良く知りたいからです。」という返事でした。 

今回の試験で私がもっとも懸念していたのは、ベトナムの学生によくある「カ
ンニング」でした。しかし今回は、そういう心配していた場面はほとんどあり
ませんでした。 

ただ数少ない例外としては、私が見回っていたある一つの教室で、3人掛けの
机に座っていた真中の生徒の一人が、しきりに両隣の答案に目配せをしていた
のを発見したので、すぐ別の席に移動させました。それ以外は、みんな真面目
に試験に取り組んでいました。 

数多い受験生たちが、朝から続々と教室に入る光景を眺め、そして私たちの母
国語である日本語の試験に、今目の前で必死に取り組んでいる姿を見ています
と、今のベトナムでの日本語教育の広がりを実感して本当に感無量の思いがし
ました。 

そして私は、(試験の最後に、受験生たちに何か励ましの言葉を贈りたいなー)
という気持ちが無性に湧いてきました。

試験が終わり、生徒たちが帰る直前に私は、時間の許す限り10ほどの各教室
に入り、次のような激励の言葉を受験生に贈りました。もちろん日本語で。 

「試験はどうでしたか。難しかったですか。この試験の結果は来年の3月くら
いに出ます。しかし大事なのは単なる結果ではなくて、試験の結果がどうであ
れ、これからも続けて日本語を勉強し続けることです。今回2級に合格した人
たちは次は一級を目指して下さい。残念ながらダメだった人は再度挑戦して下
さい。来年またお会いしましょう」と。  


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 ベトナムBAOニュース
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ベトナムの新聞に載った記事の中で、みなさんが関心を持ちそうなニュースを
お届けします。

「BAO(バオ)」というのはベトナム語で「新聞」という意味です。
「BAO読んだ?」とみんなが学校で話してくれるのが、ベトナムにいる私が一
番嬉しいことです。


■ ■ ■ 今月のニュース
<「すみません」という文化を持つ国> 
現在私の弟は日本で技師として働いています。そして今、交通事故に遭い、あ
る病院に入院していました。その時点(ちょうどカント−の大橋が工事中に崩
落した時)では、弟は集中治療室にいましたので、新聞を読むことが出来ませ
んでした。それで、弟はその事故のことを知らなかったのも当然なのです。 

ある日、一人の日本人の看護婦が弟に会った時に、そのカントーの橋の崩落の
事故のことを知らせました。その時には、その看護婦さんが弟の世話をしてい
たからです。 

そしてさらにその日本人の看護婦は、弟に会った時に「すみません。本当に申
し訳ありません。」と、深々と頭を下げて謝りました。私の弟は今回の事故に
直接何の関係もないこの看護婦さんが、ベトナム人である自分にどうして謝る
のかがすぐには理解出来ませんでした。 

しかし徐々に、あのカントー橋の建設には多くの日本人も関わっていたから、
この看護婦さんは同じ日本人の一人としてこころを痛めているのだろうと感じ
ました。その看護婦さんは、「今回の事故については、本当に残念で仕方があ
りません。こころから謝りたいと思います。」と言ってくれたのでした。 

看護婦さんが弟に対して謝ってくれた時の態度は、「他人から指示されてそう
いうことを言ってるのではなく、本当にこころから謝りたいという感じだった」
と、弟は電話の向こうで話してくれました。私は弟が体験したこの出来事で、
日本人の考え方や習慣が少し判ってきたように思います。 

その看護婦さんは今回のカントー橋の崩落について、日本人が関係した事故な
ので、「同じ日本人」として責任を感じ、謝罪の言葉を表したかったのでしょ
う。

私の弟がベトナム人であるのは見たら判ります。それで「すみません」と言っ
たのでしょう。そして弟に向かって、ベトナム人全体に謝りたいと言う気持ち
を表したものだと思います。私の弟は、カントー橋崩落の直接の犠牲者ではな
いにも拘わらずです。そしてその看護婦さんは、その気持ちを言葉だけではな
く、行動ででも表しているのでした。 

この看護婦さんは、日本人が自分の非を認めた時に素直に「すみません」とい
う気持ちを表わせる、素晴らしい教育を受けた人なのだなと思いました。
 


(解説)
日本国内において、日本人はよく「すみません。」という言葉を至るところで
よく使います。それは無用の対立やトラブルを少なくし、社会の潤滑油のよう
な働きをしている面があります。 

かたやベトナム国内において、ベトナム人は日本人ほどは「すみません。」と
いう言葉は使いませんね。しかしこれはどうも日本の方が特殊なようで、他国
においては「すみません。」という言葉はあまり聞かないと、テトになると帰
って来る複数のベトナム人に聞いたことがあります。 

そしてさらには食事をする前、飲み物を飲む前に、日本語で言う「頂きます!」
という言葉もベトナムには普通はないといいます。 

「では、どうぞお召し上がりくださいと言われた時にはどうするんですか。」
とベトナム人の先生に聞きますと、「無理に訳すればありますが、普通の言い
方としてのベトナム語に当てはまるような、そういう表現はないですねー。何
も言わずただそのまま食べるだけです。そして食べ終えてから(大変美味しか
ったです。ありがとうございました)というベトナム式の挨拶をして終わりで
す。」といいます。 

日本人が言う「すみません。」は社会全体を円滑に営むための、永い年月をか
けた日本人の深い智恵が込められているのではと思います。相手が「すみませ
ん。」と言ってきたら、少々不満でも相手を赦してあげないといけないという
気持ちになります。 

一方ベトナムでは、例えばバイクを運転していて後ろから追突された場合、後
ろから追突した人が「すみませ〜ん、大丈夫ですか?」ということはあまりあ
りません。そのまま何も言わずに、逃げるようにバイクを走らせて行きます。 

そういう習慣の中で育ってきたベトナムの人が日本へ行き、日本人からこのよ
うな対応をされたら面喰うことでしょう。そしてそういう異文化習慣の違いを
理解し、相互に比較して、その後ベトナムに帰って来たら、(どちらの習慣の
ほうがいいのだろうか?)と考えてくれるベトナムの人たちが出現してくるこ
とでしょう。

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アオザイ通信はweb版もあります。ベトナム人のフーンさんと結婚するまで
の春さん奮闘記、初めて日本を訪れたときのフーンさんの日記など、あなたの
知らないベトナムがいっぱい! http://www.te-campus.com/eco/

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■編集・発行 ティエラエデュネットキャンパス
http://www.te-campus.com
■ご意見・お問い合わせ info@te-campus.com
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