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2009/02/17

麦藁の山の中の針

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● 麦藁の山の中の針 ●
      夢は持つことより実現する事に意義がある

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「夢は持つことより実現する事に意義がある」
いきなりですが、本田宗一郎氏のモットーです。
すいません、長い文章の最後に、また出てきます。
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さて、明日から2/22まで、銀座にて個展【花・はる・Run!】が始まります。

昨年の5月に続いて、一年に二度、銀座で個展を開催したことになります。
「またか…」と思われる方も多いでしょう。

しかし今回は初のギャラリー企画の個展です。
お金を出せば誰でもできる展覧会と違って、厳しい審査をクリアしての公募展、スポン
サーやギャラリー企画の展覧会は、依頼されてはじめて開催できるわけなので、たいへ
ん嬉しいです。

今回は広く愛される花のフォト・アート─新作A3サイズ12点を手がけました。

先日、ケーブルテレビ(J:COM)の取材、インタビューでも答えたのですが。

●コンセプト

人、動物、植物、自然、物、目に見えないもの etc …世の中のすべてに精霊が宿って
いて、心を澄ませば、その存在が実感できると信じています。
森羅万象に魂があって、決して人間だけが特別な存在ではない─

そんな思想に基づき、花を題材にした作品を創り続けています。

また私は、一日のうち長い時間を過ごす仕事場や、リラックスするための空間の「気」
をとても大切にしています。

方位と色は、運気を高めるのと密接な関係にあると言う考えから、カラフルながらも統
一感のある作品群は、暮らしを彩どり、良い気を取り込むアイテムとしてもお薦めです。

●作品づくりのプロセス(工程)

自事務所の「猫額スタジオ」にて、自然光、蛍光灯、蝋燭などのライティングでひとつ
ひとつ撮影。
現像後、photoshopにて丁寧に背景を取り除く。
Computer Graphic(CG)を使わず、薄絹の紗(しゃ)や絽(ろ)の着物のように重ねてゆく
のがポイントです。
花の色は自然のままで、パソコン上で着色することはありません。

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放映予定は3月、「アート・夢・ぽけっと」という番組です。
放映地域は練馬区、杉並区、春から千葉にもエリア拡大されると聞いていますが…放映
時間が深夜で、すでに個展が終わっているのが残念ですが。
いずれにしても、少しでも多くの方に作品について知っていただけるのはありがたいこ
とです。

さて今日は、「Photoshopで背景を取り除く」について少し書きたいと思います。

一眼レフカメラからデジタルカメラに移行する前から、手紙や葉書、チラシ、あるいは
インテリアに、Photoshopで加工した画像を使って、暮らしに彩どりを加えることがた
いへん好きでした。
元々小さい頃から絵は大好きで得意でしたし、大学では美術部でした。

ですがセンスと、知識やテクニックとは、まったく別次元のものだということに気がつ
いたのです。
平たく言うと、思った絵が作れない。

そこで、メールマガジンで配信している「Photoshop」「illustrator」講座を、まじめ
にみっちりと三ヶ月間続けました。もちろんテキストはプリントアウトして。
そこそこ思うような絵作りができ始め、ただでさえ好きなのですから、もっともっと作
るようになりました。
不思議なことに、やっているうちに、自分では良いと思っていたセンスも、それ程でも
ないことに…どころか、たいへん稚拙なものに思え、技術がアップするとさらにセンス
の良いものができるようになっていたのです。

そのうちに「私はPhotoshopが使える」と思い込みます。

さて東京に来てから、「電塾」というデジタル最先端の業界人(フォトグラファー、デ
ザイナー、企業など)が集まるセミナーの存在を知り、毎月の定例会に顔を出すように
なりました。
そこで画像処理の会社の社長に出会い、ぜひ画像処理の仕事がしたいという希望が叶え
られ、「見習い」として働くことになりました。

「じゃあ、ちょっとやってごらん」

言われた作業をやってみました。

「………」

社長は絶句しました。

「あんた、基本も何も…全くのシロートやね」

今度は私が絶句しました。
だって、一通り勉強したのですから、そこそこ使えるはず…と自惚れていたとしても不
思議はありません。
パソコンがマックだったということもあります(私はウィンドウズ派です)。

そこで、画像処理にもっとも重要な「切抜」の修行からやることになったのです。
いろんなやり方がありますが、プロの現場では「ペンツール」による切抜作業がもっと
も一般的です。
なぜなら、後で修正が効くからです。
あとからクライアントさんに「ここをこうしてくれ」というリクエストやクレームが入
った時、修正の効かない作業をしていたら、時間のロスばかりか、納品に間に合わない
事態も発生します。
ちょっとしたレベル補正も、すべてレイヤーで処理します。
ですから10〜20、時にはもっとたくさんのレイヤーが使用されるので、ファイルはとて
も重くなります。
レイヤーを結合するのは一番最後か(それも一部だけ)、ほとんど結合せずに保存しま
す。

加工する画像とは「遺影」でした。
写真館で節目ごとに家族写真を撮る機会がほとんどない昨今では、「遺影に相応しい写
真がない」「デジカメで撮った恐ろしく解像度の低い写真」「米粒大」などの最悪の写
真が持ち込まれ、それを少なくともA4サイズで観られる程度に仕上げねばならないので
した。
時には「一緒に写っているペットを消してください」「眼鏡の奥の風景を消してくださ
い」という注文も入ります。
それを、亡くなってから通夜までの短時間に仕上げねばなりません。
アルバムを観ながら想い出に浸っているのか、写真を頂戴するのはいつもギリギリ。
「もうちょっと待って下さい」と懇願する遺族から、無理やり写真を奪い取ってゆくこ
ともありました。
とにもかくにも画像加工には、たいへん高い技術とスピードが要求されるのです。
少しぐらいPhotoshopが触れるというのは、何の意味もなさないのだと、現場の厳しさ
を痛感しました。

さて。
話が逸れましたが、「ペンツール」。
イラストレーターでは良く使いますが、これ、慣れないと、ほーんと使いづらいコマン
ドです。

朝から晩まで、毎日ペンツールで切抜作業を練習しました。
「CTRL」キーでポイントの移動、「ALT」で方向線を操作して、セグメント(曲線)の
カーブを調整してゆきます。
ギリギリに切ると境界にバックの色が移ってしまうので、境界線の2ピクセル内側を切
れと言われましたが、私は今は1ピクセル内側を切っています。
そして最後に、「選択範囲を作成」します。
私はぼかしを2ピクセル、アンチエイリアスを掛けて、境界線を滑らかに、なじませる
ようにしています。

自分自身を器用な方だと思っていましたが、ずいぶん苦戦しました。
困難であればあるほど燃える私は、入社が確定したわけでもないのに定期券まで買い、
ヤル気満々でした。
それなのに、その会社を一ヶ月で辞めてしまったのです。
いつ顧客がお亡くなりになるか分からない仕事なので、24時間年中無休のシフト体制
で、休みは他の会社と同日数でしたが、一旦シフトが組まれたら決して休むことがで
きません。
舞台写真をやりたかった私は、それだけでは食べて行けませんでしたが、かと言って、
いつ入ってくるか分からない撮影の仕事と、一旦組むと変更できないシフト体制の会社
では両立ができず、どちらか一方を諦めねばならないことに気づいたのです。
もし舞台撮影の仕事を断るハメになったら…後悔するのは目に見えていました。
また、人が亡くなるのを予測しながら(たとえば、夏が終わる頃や冬場は受注が多いな
ど)、人の死を待つ仕事であることにも抵抗がありました。
他に何も目的がなければ、続けていたかも知れません。
そんなこんなで、そこを一ヶ月で辞め、その二ヵ月後に「アトリエ砂名」という屋号で
独立したのです。

フォトグラファーであり、デザインの仕事もしますし、HP制作、更新の仕事も引き受け
ますし、小説家であり、アーティストとしても活動している…一見、何でも屋でありな
がら、一連の連続した作業ができるクリエーター、っていうか…そんなカッコいいもん
ではないな、仕事人をしています。
またスチール撮影からデザインまで出来るのは重宝で、デザイナーさんの中にはいまだ
に解像度が何かさえ分からない人も(信じられませんが)、いるのです。
そんな時、アドバイスしてあげられるだけのデザインの知識を自分が身に付けていれば
…と思います。

さてそんな私が、「現像後、photoshopにて丁寧に背景を取り除く。Computer Graphic
(CG)を使わず、薄絹の紗(しゃ)や絽(ろ)の着物のように重ねてゆくのがポイントです」
で、修行した技術を駆使した作品を創り続けているのは、当然の成り行きかも知れませ
ん。
小さい頃から好きだったことが、曲がりなりにも仕事になったことはたいへん幸せなこ
とだと思います。

「夢」を持つことは素晴らしいことです。
でも「夢」は見るものではなく、持つものでもなく、実現するものだと思います。

「夢物語」「夢見る夢子さん」「夢想」「妄想」など、さまざまな言葉がありますが、
想像だけで終わらせてはつまらない。

そのためには、夢と実現の間を埋める、土台と屋根の間を取り持つ「柱」や「壁」のよ
うな確固たる技術と修練は避けて通れません。

そんな花のフォト・アート展、新作12展です。

http://www.k5.dion.ne.jp/~sana_55/info.htm

前回感じた反省点はクリアしたつもりです。ですがおそらく、一週間足らずの会期中、
自分の作品とじっくり向き合った時。
またまた自分の未熟さに打ちのめされながら、次の課題を見つけることになると思いま
す。

お寒い中、お忙しいところたいへん恐縮ではありますが、お近くの方、ご興味のある方、
足をお運びくださいましたら幸いです。

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※なお、本メールマガジンに掲載された内容を無断でご使用なさること
 はご遠慮ください。              By Sana Tsukimori  月森 砂名

◆関連サイトは http://www.k5.dion.ne.jp/~sana_55/
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           sana_tsukimori_55@w2.dion.ne.jp 

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