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2006/05/05

麦藁の山の中の針●55針目●

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● 麦藁の山の中の針 ●
      55針目―――舞台と私

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今年の1月から、舞台の写真を撮っています。

お芝居といっても、いろいろ。
劇団四季みたいな大掛かりな舞台を手がけるところ。
文学座とか、俳優座とかいった老舗の劇団。
つかこうへい、マキノ・ノゾミ(MOP)といった、オリジナル脚本が売り
の劇団。
赤テント、黒テント、そとばこまちといったアングラ。

まだまだいっぱい、それこそ佃煮にできるほど(笑)の劇団数があります。
学生時代はテント芝居をよく観ましたが、残念ながら、ちゃんと分類し
てご紹介できるほど芝居通ではありません。

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私がはじめて舞台を撮影したのは、金春流能楽のアメリカ公演でした。

公演中毎日、ビデオとカメラの両方で演目の『土蜘蛛』を撮影しました。
最後のぱぁぁぁっと蜘蛛の糸が散る瞬間…ちゃんと撮れていたんだろう
か…今から思うとはなはだ疑問ですが…(笑)

それから幾星霜。

昨年の夏のことです。
ある写真家の舞台写真を観たことから、「舞台が撮りたい!」

でも、おいそれとチャンスはありませんでした。

           ◆∵∴∵∴◆∵∴∵∴◆

それがひょんなところから、俳優の岡田真善さんから声が掛かりました。
彼はプロカメラマンでもあります。
役者仲間のお稽古を撮っているうちに、自分の写真が一枚もないことに
気づいたのですね。
かねてよりSNSを通じて交流があり、私の作品を気に入ってくださっ
ていたという経緯もあって、依頼されたのでした。

いきなりのゲネプロ撮影(ゲネプロとは、本番前の通し稽古のこと。ヘ
アメイク、衣装、照明も本番と同じ)。
緊張で胃がキリキリ、熱さえ出る始末(子供みたいですね(笑))。

それが撮影が始まったとたん、夢中に…
今までにたくさん観てきた映画、能舞台、お芝居…それらのすべてが、
感性の奥底でリンクし始めた感じがしました。

嬉しいことに演出家のグレッグに写真を気に入っていただき、また役者
さんたちにも喜んでいただいて、その後に繋がってゆきました。

今、グレッグ・デール演出、劇団T・H・E、アガサ・クリスティ原作
『ゼロ時間へ』のお稽古を撮影しています。
5/11〜14まで吉祥寺シアターにて上演されます。
日本初演となるミステリー。
ミステリーとしてはもちろんのこと、恋愛ドラマ、人間ドラマとしても
面白い。
おすすめです。

そして私が1月に撮った、同演出、劇団、原作による
『そして誰もいなくなった』の写真展が公演中、同時開催されます。
2Fギャラリーに、ばぁぁぁっと130枚ほど展示します。

この機会に、ぜひ足をお運びください。
少しでも、舞台の面白さが伝われば幸いです。

詳細はこちらでどうぞ

http://sanalabo.exblog.jp/4541871/

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ちなみに岡田真善(しんぜん)さんは、岡田真澄さんと藤田みどりさん
のご長男です。

『そして誰もいなくなった』で死ぬシーンを演じた真善さんをファイン
ダー越しに覗いたとき、日活時代、裕次郎の映画で、彼のお父さんが死
ぬシーンを演じた姿がまざまざと蘇ってきました。
その気品ある美しい容姿とともに、血は争えないなぁとつくづく思いま
した。

また藤田みどりさんは、藤田敏八監督の【八月の濡れた砂】(1971年。
助監督:長谷川和彦)が代表作です。
【八月の…】といえば、ヒロイン、テレサ野田の印象が強いのですが、
そのお姉さん役を演じています。

そんな映画スターの息子さん(私は真善さんが生まれたときのお父さん
の記者会見を、テレビで見ていたような記憶があります)が舞台で活躍
し、そしてそれを私が撮影しているなんて…なんだかとても不思議な気
がします。

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【八月の濡れた砂】は、シラけ世代の青年たちを描いた秀作で、主題歌
もヒットしました。
監督のパキさん(藤田敏八)といえば、秋吉久美子主演の【赤ちょうちん】
【妹】(ともに1974年)の他にも多数の青春映画があります。

また鈴木清順監督の【ツィゴイネルワイゼン】(1980年)では、存在感
のある演技で魅せてくれました。

あだ名の『パキさん』というのは、パキスタンの王子様みたいだからと
いうことで…つまり、お顔が濃いのですね(笑)

昔、映画関係者の方たちとご一緒に、新宿の呑み屋でお会いしたことが
あります。
明るく「好い人」といった印象でした。
始終ご機嫌で、何度かグラスを倒しては「あちゃぁー」みたいな可愛い
ところがある方でした。

享年65歳。
少し早すぎる死でした。

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 はご遠慮ください。              By Sana Tsukimori  月森 砂名

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