麦藁の山の中の針  RSSを登録する

最新作、メジャー映画のことなら任せとけ!…よそのメルマガに…(笑)。洋の東西を問わず、ジャンルの壁をぶち破り…まさに「映画の坩堝」。映画マニア★を自認するあなたにお届けするメルマガです!

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2003/11/21

麦藁の山の中の針●21針目●

_______________________________________________________________
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
● 麦藁の山の中の針 ●
      21針目―――バレエ&オペラ映画

┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛
 1940年代〜50年代にかけて、英国映画界の一時代を築いたマイケル・
パウエルとエメリック・プレスバーガー。

 代表作に、二人の軍人の国境を越えた友情を描いた【老兵は死なず】
(1943)や、デボラ・カーの尼僧姿が清楚な【黒水仙】(1946)などが
ある。

 今日は、パウエル=プレスバーガ共同製作(監督、脚本、製作)の、
【赤い靴】と【ホフマン物語】をご紹介しよう。

 いずれも英国のプリマドンナ、モイラ・シアラーを迎え、【赤い靴】
はバレエを、【ホフマン物語】はオペラを映画化したものである。

 ところでバレエファン、オペラファンのみなさんは、バレエやオペラ
は舞台で観るのがいちばん、と思っておられるに違いない。
 オーケストラの生演奏、大がかりなセット、観客を包み込む臨場感。
そして何よりも、長年磨かれたプレイヤーたちの妙技とその迫力は、舞
台だからこそ味わえるのであって、他に取って代わるものなどないと…。

 そこをあえて映画化しようと言うのだから、ナマを超えるだけの何か
がないと意味がない。
 この2作品は、みごとにその期待に応えている。

 縦横無尽、切替自由のカメラアングル。
 舞台で演じられる物語と現実のドラマとの重層構造(【赤い靴】)。
 またモンタージュ(合成)やソフトフォーカスなど、さまざまな撮影
技法を駆使することによって、舞台とはまた違った魅力がある。

===============================================================
 【赤い靴】(1948)。
 ロンドンのバレエ団に入団したバレリーナ、ヴィクトリア。
 「赤い靴」のプリマに選ばれ、公演はヒット。
 いつしか「赤い靴」を作曲した、同期のクラスターと恋仲に…。
 ヴィクトリアが恋にうつつを抜かし、舞台でも上の空であることに気
づいた敏腕プロデューサーは、クラスターを馘(クビ)にする。
 彼の後を追ってバレエ団を辞めたヴィクトリアだが、仕事か家庭か…
厳しい選択を迫られることに…。

 そのテーマをさらに掘り下げたい方には、【エトワール】(2000年―
ニルス・タヴェルニエ監督、撮影)がお勧め。
 「エトワール」を頂点に、階級社会が築かれたパリ・オペラ座のバレ
エ団。熾烈な競争にも挫けず、ひたすら夢を追い続けるバレリーナたち
を追った、ドキュメンタリーだ。
 マニュエル・ルグリをはじめ、日本でもお馴染みのモーリス・ベジャ
ールやミテキ・クドー、藤井美帆ら多数がインタビューに応じている。

 さて、話を戻そう。

 最愛の妻か、一流バレリーナか…男たちはヴィクトリアをめぐって火
花を散らす。
 新作オペラの初演を棒に振ってまで駆けつけたクラスターだが、結局、
諦めて妻の元を去る。
 泣く泣く夫と別れ、舞台に立つ決心をするヴィクトリアだが…。

 【赤い靴】は、アンデルセン童話のうちの一つである。
 「人魚姫」、「マッチ売りの少女」、「雪の女王」と同様に、切なく
もの哀しいストーリーである。

 映画の見どころは、バレエの舞台である。
 プリマの早変わり、ひとりでに動く赤い靴、踊る人型の新聞紙といっ
た特撮から、合成による幻想的なシーンまで、映像の特性を最大限に生
かしている。
 また、人気を博したバレエ団が、ヨーロッパ中を駆け回るようすを、
各国の有名ホテルの看板のコラージュで表現したシーンは、パウエル&
プレスバーガーお得意の、手際の良い粋な演出である。

           ◆∵∴∵∴◆∵∴∵∴◆

 【ホフマン物語】(1951)。
 ドイツの作曲家、オッフェンバックのオペラを映画化したものである。
オペラのみならず、バレエもふんだんに盛り込んだ、「芸術のてんこ盛」
みたいな映画だ。

 パリ、ベニス、ギリシャのとある島を舞台に繰り広げられる、詩人ホ
フマンの愛の放浪記である。

 バレエ「魅せられたトンボ」の斬新な衣裳、淡く深い色合いの蓮池と
舞台との合成、反射光を滲ませたソフトフォーカスの映像は、アールヌ
ーヴォーの旗手、エミール・ガレの花瓶を思わせる。

 悪魔が灰を投げ、それがパッと広がるスローモーション映像も、意表
を付く演出だ。
 能・歌舞伎の「土蜘(土蜘蛛)」をご覧になったことはおありだろう
か?
 シテが「蜘の巣」を投げつけると、パッと細い糸が千手の滝よろしく
広がる、あの「蜘蛛の糸」を、この灰のシーンは彷彿とさせる。

注:「土蜘」「蜘の巣」という名称は、金春流の謡本を参考にした。
  この「蜘の巣」は海外公演でも好評で、必ず大きなどよめきが起
  こる。ここだけの話だが…この一玉、けっこうお高いのだそうだ。

 また横道に逸れてしまった。話を戻そう…。

 映像や演出のみならず、ゴシック・ロマンの衣装や小道具、パンク・
ファッションのような奇抜なメイクなど、細部にわたって凝っている。
 のちにケン・ラッセルやデレク・ジャーマン、ピーター・グリーナウ
ェイといった、耽美派の映像作家を生んだ土壌を見たような気がする。

 オーケストラの指揮者が、「ホフマン物語」のスコアを閉じると、裏
表紙には「The End」の文字が…。
 そこへ、「Made in England」の金の刻印が押されるラストも、洒落
た演出である。

 音楽「ホフマンの舟歌」はご存知の方も多いかと思う。
 以前、ロベルト・ベニーニ監督の【ライフ・イズ・ビューティフル】
でも紹介したが…。(バックナンバーはこちら)
 http://www1.kcn.ne.jp/~shigeru-/back-n/017.html

 今回は、メロディーをお届けしようと思う。
―「ホフマンの舟歌」―
 http://www1.kcn.ne.jp/~shigeru-/music-s021.html

 オペラ「ホフマン物語」の第一話は、人形に恋する青年の話だが、人
形師の名前はコッペリウスという。
 どこかで聞いたことがあるなと思ったら、バレエの「コッペリア」
(くるみ割り人形)ではないか?
 オッフェンバックは喜歌劇「天国と地獄」で有名だが、作家としても
知られていて、チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」の原作者
である。

===============================================================
 バレエ、オペラ、アール・ヌーヴォー、お能…etc。
 今日のメルマガは、紹介した作品に倣って、「芸術のてんこ盛」にし
てみたが…。
 いかがだったでしょうか?
 下記の「砂名のファインダー」にも、ぜひ目を通してね。
 いくら芸術の秋でも、これじゃあゲップが出るな…。

★ ぜひともご覧になりたい方に… ★

 ビデオやDVDを購入して観たい!…でも、探すのは面倒という方。
 Amazon.co.jp の情報をどうぞ。

【赤い靴】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HARQ/tachiyomiboot-22/249-2525921-4040328

【ホフマン物語】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000AJG7R/tachiyomiboot-22/249-2525921-4040328

【エトワール】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00007B93U/tachiyomiboot-22/250-9164242-0994666

■□■ 月森砂名のファインダー ━━━━━━━━━━━━━■□■

―――佐川美術館―――

 「この芸術作品は、こう楽しむもの」という常識を覆すことは、たや
すいことではない。

 作品を良く知っていなければ、新しい魅力は引き出せない。

 先日、滋賀県は琵琶湖畔にある、佐川美術館を訪ねた。

 あの有名な(?)佐川急便が建てた美術館である。
 水に浮かぶ美術館…といった印象で、水の煌めく影が壁に反射した、
美しい建物だ。
(私の撮った写真があるので、良かったらどうぞ)
  http://www1.kcn.ne.jp/~shigeru-/sagawa

 常設は、日本画の平山郁夫と彫刻の佐藤忠良。

 ビジュアルライブラリーでは、パソコンで、佐藤忠良の彫刻を、前、
横、真上から鑑賞することができる。

 ふつう展示された彫刻は、前から、横から、ちょっと無理して後ろか
ら観るのがせいぜいだ。
 真上からのアングルと言うのは滅多にない。
 それをこのビジュアルライブラリーでは、バーチャルではあるが、真
上から観ることができる。

 また違った感慨があった。

 佐川美術館のサイトは、こちらです。
 http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/

┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛
※なお、本メールマガジンに掲載された内容を無断でご使用なさること
 はご遠慮ください。              By Sana Tsukimori  月森 砂名

◆関連サイトは http://www1.kcn.ne.jp/~shigeru-/
◆ご意見・ご感想・お問い合わせは下記のアドレスへどうぞ。
           sana_world@anet.ne.jp

このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ を利用
して発行しています。
解除はこちら http://www.mag2.com/m/0000112314.htm から。

最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る