Interlocal News 2006-04-12:ドイツのインキュベーター
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■■インターローカル ニュース
■■Interlocal News 2006-04-12(vol. 129)
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──あなたの街はどうしてる?
そんな報道をドイツ・エアランゲン在住の
ジャーナリスト、高松 平藏がお送りします。
http://www.interlocal.org/
□□ 目次 □□
- ドイツのインキュベーター
【ニュース】20周年を迎えたビジネス・インキュベーター
【コラム】倒産処置もインキュベーターの社会的責任
【編集後記】ドイツの“官” メールマガジン
※写真・グラフがごらんいただけます。
ウェブサイト http://www.interlocal.org/20060412_129.htm
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ソーラーエネルギー事情〜ドイツの街角から
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【ニュース】20周年を迎えたビジネス・インキュベーター
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ドイツ南部のエアランゲン市(バイエルン州)にあるビジネス・インキュベーター
(『孵化器』の意)、IGZ(イノベーションと起業センター/Innovations- und
Gruenderzentrum der Region Nuernberg-Fuerth-Erlangen)は設立20周年を迎え、こ
のほど記念行事が行われた。
先月10日に行われた行事にはかつての『入居企業』の経営者やハンス・スピツナー
氏(バイエルン州経済・インフラ・運輸・技術省の事務官)らが参加した。
IGZの運営会社が設立されたのは1984年。その2年後、実際のインキュベーター
としてスタートした。設立者はエアランゲン市と隣接するフュルト、ニュルンベルグ
の3都市、および同地域ニュルンベルグ地方商工会議所、中央フランケン地方手工業
会議所。この日はシーグフリード・バライス博士(エアランゲン市長)、ロランド・
フレック博士(ニュルンベルグ市経済局代表で政治家)がこれら設立者の代表として
祝辞を述べた。
IGZの総面積は4,500平方メートル。この20年で101社が入居し、倒産は5件だっ
た。そして72社が巣立った。それらの企業のうち13社はIGZの近くでオフィスを構
えており、中には自社ビルを建てた会社もある。これらの企業やパートナーたちで構
成される“IGZ−コミュニティ”の売上高は96年の段階で4,300万ユーロだったも
のが2005年分は2億1,700万ユーロを見込んでいる。そして1,257人の雇用を生んだ。
こういった成果をあげたのが、インキュベーターの運営責任者であり、すぐれたコ
ンサルタントでもあるゲルト・アンリガー博士の存在だろう。同氏はもともとバイエ
ルン州経済省のイノベーション局に在籍していたが、設立時に『志願』した。
ある入居企業の役員によると、アリンガー博士とはしょっちゅう顔を合わせるとい
う。入居企業にとっては常駐顧問といったところだ。きめ細やかなコンサルティング
が同インキュベーターの特徴になっている。
■■自治体連携のシンボル■■
設立当初をふりかえると、当時、州政府は技術関連の強い地域で2つのパイロット
プロジェクトを立ち上げようと考えていた。結果的にニュルンベルグ地域とミュンヘ
ンに白羽の矢がたち、ミュンヘンにはMTZ(ミュンヘナー・テクノロジーセンター
/Muenchener Technologiezentrum)がつくられた。
また、このころアメリカ、オランダ、イギリスといった国々でベンチャービジネス
の育成センターがすでにあり、ドイツ国内およびバイエルン州でも関心が高まってい
た。こうしたムードはインキュベーター設立の追い風になったことは想像に難くな
い。
このような誕生の経緯から、州や自治体の政治にはIGZに対して期待感があり、
特別な存在感がある。たとえばバイエルン州政府はハイテク推進政策とクラスター政
策を90年代後半からすすめており、州経済省のスピッナー氏はIGZが重要な一拠点
であることを強調した。
ニュルンベルグ地域は周辺の都市と連携を組み、昨年から『メトロポリタン地域・
ニュルンベルグ』として経済振興をはじめ、プレゼンス(存在感)を高めることに注
力しており、マーケティング組織がつくられた。こうしたことを動きを背景に、IG
Zの20年の実績について、フレック博士は地域連携の成功のひとつの証として評価し
た。
IGZの所在地であるエアランゲンは大学の街でもあり、自治体規模が小さいこと
が逆に幸いして産官学のネットワークが強い。こうした特色を活かして90年代後半か
ら医療産業の振興に注力。IGZなどハイテク関連の機関は同市の経済政策の強い基
盤になった。バライス市長は『IGZの成功は自治体政治、経済界、学術の共同の取
り組みがうまくいっていることの表れだ』と語った。
同インキュベーターはニュルンベルグ、フュルトの隣接するあたりにあり、かつて
は田園風景の広がる地域だった。しかし今では、ハイテク関連の企業や研究所も周辺
に集まってきており、ハイテク産業地域として年々充実している。ちなみに音声デー
タ圧縮技術『MP3』を開発した、フラウンホッファー研究所も同地区にある。
(了)
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【コラム】倒産処置もインキュベーターの社会的責任
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数年前にビジネス・インキュベーター IGZの運営責任者で入居企業のコンサル
ティングを行っているゲルト・アリンガー博士(=写真)に取材をしたことがある。
このとき『インキュベーターの社会的責任』ということを語ってくれたことがあっ
た。
同インキュベーターの入居を希望する場合、たとえ技術者出身の経営者の場合で
も、分厚い書類が必要だ。それが作れない人は経営ができないという。しかも2年先
には黒字経営のあがるように経営戦略を持つ会社を入居社として許可するという立場
をとっているとのことだった。
こうした姿勢を明確にしているのは、入居途中で経営がだめになることがインキュ
ベーターの社会的責任として考えているからとのことで、したがって誰でも入居を許
すわけにはいかないといういう。
たとえば2人の共同責任者が不仲になった場合はきれいに終わらせ、もし片方だけ
で経営が継続できそうであれば有限会社を作るといったケースもあったようだ。
ほかにも、優秀な特許を持っていても会社経営が無理な場合は特許の売却を進める
か、被害を最小限に食い止めるのに倒産させるとも語った。こういったことがイン
キュベーターの社会的責任というわけだ。
それだけに入居企業に対しては決算時にまで相談にのり、コンサルティングによっ
て作ったプランの結果にまで責任を持つとも言い切る。
ベンチャー企業の世界では起業するときには撤退戦略も重要だということもよくい
われる。経営者にはたしかに執念や執着も必要だが、売却や経営陣の入れ替えなどの
撤退戦略も経営戦略のうち。これで被害を最小限にとどめたり、雇用を守れるという
わけだ。
企業の社会的責任(CSR/Corporate Social Responsibility)という言葉があ
る。ひとことでいえば市場および社会に対する信頼性ということになろう。
概念そのものはかなり以前からあったが、企業経営に環境負荷の低減を組み込むこ
とが当然のようになってきたことや、経済のグローバル化を受けて、90年代後半から
よく言われるようになった言葉である。具体的な項目としては、環境問題以外にも、
地域経済、消費者保護といったことがあるが、さらに株主や雇用といったことも「社
会的責任」を果たす具体的な対象として考えられている。(了)
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【編集後記】 ドイツの“官”
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◆ドイツにかかわらず、欧州にも見られる傾向だそうですが、アメリカとの比較でい
えば何かにつけ官のイニシアティブが強いようです。バイエルン州についても官僚の
社会の発展に対する使命感が強いという話をきいたことがあるのですが、IGZをと
りまく『官』の協力体制と期待感をみると首肯できます。
◆ドイツ語で行政のことをVerwaltung(フェルヴァルトゥング)といいます。一般に
『管理』という意味でもありますが、『維持を代理で行う』といった意味合いがあっ
て、1050〜1350年の間に生まれた言葉です。この時代のドイツは城壁に囲まれた都市
が誕生した時期で、都市というのは都市国家。物理的にも統治方法も人間関係もこれ
までの集落とは一線を画す人工空間でした。
◆都市国家の歴史がドイツの独立性の高い自治体の体質をつくりあげた要因だと思う
のですが、都市はきわめて人工空間であるがゆえに運営維持のための戦略(政治)と
戦術(行政)が大切であります。そんなことが都市の『維持の代理人』である官僚の
イニシアティブの強さにつながったのかもしれません。
◆一方、イギリスが発祥のPPP(Public Private Partnership)も数年前からドイ
ツの自治体でよくきかれるようになりました。ちょっとした流行であります。今回20
周年を迎えたインキュベーター、IGZも多くの民間の協力があるわけですが、バラ
イス市長も『PPP』という言葉を使っていました。
◆ドイツはイースターの時期です。学校も休みなので、休暇をとっている人も多く、
街の中が少しのんびりしています。(高松 平藏)
※ドイツ語独自のアルファベットは英語式に表記しています。
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■■インターローカルニュース■■
発 行 : インターローカルジャーナル
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発 行 人 : 高松平藏
発 行 日 : 不定期
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