2003/12/22
TICAD News ?No.12?
□■□■□■□■ TICAD News 〜No.12〜 □■□■□■□■ ■□■□■□■□ 2003.12.22 ■□■□■□■□ ☆★☆ 目 次 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 1.第3回アフリカ開発会議(TICADIII)に対する関係国・機関の評価 (1)全般的な評価(TICADIII開催の意義等) (2)会議の運営に対する評価 (3)対アフリカ支援イニシアティヴに対する評価等 (4)首脳会談等に対する評価 (5)先進国による評価 (6)アジア諸国による評価 (7)TICADIIIのフォローアップに関する意見 2.在外公館からの現地情報(ナイジェリア連邦共和国) (1)ナイジェリア連邦共和国概要 (2)ナイジェリアの歴史・文化 3.アフリカの貧困削減と食糧不足問題解決に役立つネリカ米 4.お知らせ ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 1.第3回アフリカ開発会議(TICADIII)に対する関係国・機関の評価 第3回アフリカ開発会議(TICADIII)(9月29日〜10月1日、東 京)についてはアフリカ諸国・関係機関のみならず、アジア諸国及び先進諸国 からも高い評価とともに、今後のフォローアップに対する期待が表明されてい ます。以下、その概要をご紹介します。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (1)全般的な評価(TICADIII開催の意義等) ◆1998年に開催されたTICADIIに比べ多くの元首、国際機関の長が 参加しており、プロセスの着実な進展が見られる ◆国際社会がイラク問題に関心を集中する中でのTICADIII開催は改め て日本のアフリカ外交重視を示すもの ◆米国、中国、EUは最近アフリカへの支援強化に乗り出しているが、これ もTICADが呼び水となっている ◆今回のTICADIIIがアフリカ諸国を中心に多くの国・機関がハイレベ ルの参加を得て開催された背景には、これまで対アフリカ支援に積極的で あった日本に対する信頼感と期待の現れである −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (2)会議の運営に対する評価 ◆準備の面でも議論の内容の面をとっても非常によく運営された申し分のな い会議であった ◆議事日程、協議事項等よく整理されており有意義な会議であった ◆日本政府の会議組織力と運営力には深い感銘を受けた ◆これほど大規模なTICADIIIが予定どおり進行したことは日本政府の高 い運営能力の賜物であり、大いに感嘆している −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (3)対アフリカ支援イニシアティヴに対する評価等 (イ)10億ドルの無償資金協力 ◆10億ドルの支援は日本のアフリカ問題に誠実に取組む意思の現れ ◆日本の対アフリカ協力は資金的数字に裏打ちされたプログラムを出してお り高く評価したい ◆会議開催中に10億ドルの支援を表明したことは効果的 (ロ)NEPAD支援 ◆NEPADを日本及び先進国が支援するという環境作りに貢献した日本の 役割は世界的に評価されるべきである ◆アフリカ諸国のイニシアティヴであるNEPADが重要であることは言う までもないが、TICADが果たした役割は極めて大きい ◆NEPADのオーナーシップやパートナーシップといった考え方がTIC ADの文脈で捉えられたことはアフリカにとっても歓迎すべきこと (ハ)パートナーシップの拡大・南南協力 ◆今後日本との対アフリカ協力に関する三角協力を更に進めていきたい ◆アジアの経験をアフリカに活かしていきたい ◆アフリカ首脳のみならず、国際機関や開発パートナーとが共に集まってア フリカの発展に絞って議論を行ったことは意義深い ◆多くのアフリカ代表がアジアからの技術移転に真剣な関心を示したことは、 今次TICADIIIが大いに意義ある会議であったことの証 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (4)首脳会談等に対する評価 ◆森前総理の参加や小泉総理との首脳会談の設定等、日本がアフリカを重視 していることが現れており、特別の注目が向けられていると感じた ◆小泉総理をはじめ多くのアフリカ諸国首脳と交流する機会が得られたこと を高く評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (5)先進国による評価 ◆TICADIIIはNEPAD支援における日本のプレゼンス及びTICA Dの役割の重要性を確認する機会となった ◆開発パートナーがほぼ皆揃う貴重な会議であり、G8、国連総会等一連の 会議との流れにおいて重要な役割を果たした ◆多くのテーマをミックスさせながら議長サマリーを見事にまとめ、TIC ADを制度化することに成功。数多くのアフリカ開発フォーラムの橋渡し をした意義が最も大きい ◆アフリカ諸国がNEPADに真剣に取り組み始めたというこのタイミング でTICADIIIが開催されたことは大変時宜を得たもの ◆TICADIIIを通じてアフリカ諸問題に注目を振り向けた点及び、TI CADがアジアとアフリカの接点になっている点を評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (6)アジア諸国による評価 ◆TICADプロセスは今後も継続されるべし。アフリカ諸国のイニシアテ ィブであるNEPADに対してTICADの果たした役割は大きい ◆TICADIIIは運営面においても内容においても大変良かった。技術面 でアフリカ協力に貢献したい ◆日本側によって完璧に組織された会議で素晴らしい。対アフリカ支援につ いては日本との協力を期待 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (7)TICADIIIのフォローアップに関する意見 ◆AUに加えSADC、ECOWAS等地域機関との協力が重要 ◆TICADIIIのフォローアップのための機関を設立することを提案 ◆開発についての議論は熟しており、今次会合の成果を今後の開発プロセス のメカニズムとして如何に具体化させるかが重要 ◆TICADIIIは成功したが、今後のフォローアップ、日本企業の投資促 進等が今後の課題 ◆今後のフォローアップについては年に一回程度の高級事務レベルによる定 期的会合開催を提案する。毎回1つのテーマに絞り込んで議論するのも良 い ◆今後日本とアフリカ協力のみならず、アジア・アフリカ協力をより具体化 すべき ◆食糧・農業を含む貧困対策、産業育成、人的資源開発の3点がTICAD の目指すべき方向であると考えている ><><><><><><><><><><><><><><><><><>< 2.在外公館からの現地情報(ナイジェリア連邦共和国) (1)ナイジェリア連邦共和国概要 ☆面 積: 約92.4万キロ平米(日本の約2.5倍) ☆人 口: 1億3,280万人(2002年) ☆首 都: アブジャ ☆言 語: 英語(公用語)、各民族語 ☆宗 教: イスラム教(北部中心)、キリスト教(東南部中心) アフリカ最大の人口を有するナイジェリア連邦共和国(以下ナイジェリア) は、産油国、地域の大国として西アフリカ地域で大きな影響力を持っていま す。国土は日本の約2.5倍、気候は熱帯性で雨季(4〜10月)、乾期 (11〜3月)に分かれます。12月から2月にかけては「ハマターン」と 呼ばれる砂嵐がサハラ砂漠から吹いてきます。 (2)ナイジェリアの歴史・文化 ☆歴 史 (北部ナイジェリア) 北部ナイジェリアには紀元前2000年頃から人類が住み着き、紀元前 500年頃から鉄器や土器の使用が始まったとされています(ノク文化)。 ノク文化は3世紀頃に消滅したといわれますが、7世紀頃にハウサ民族に よる初期国家が誕生し、10世紀頃までに都市国家群を形成しました(ハ ウサ王国)。 ハウサ王国は職業による階層制度をとり、商人はガーナ、マリ、ソンガ イなどの王国とも交易を行っていました。14世紀に入ってハウサ王国に イスラム教が浸透し、イスラム法で管理された社会を形成しました。また 北部の地域では13世紀頃から牧畜民のフラニ人(イスラム教徒)が移住 を開始し、18世紀後半になるとジハード(聖戦)の名の下にハウサ諸国 を攻撃し傘下に収め、各地域にシャイフ(長)を置いてハウサ諸王国をエ ミレート(首長国)として統轄しました。各エミレートはシャイフに馬、 綿、布などを貢納しました。 こうした歴史的背景から、ナイジェリア北部ではイスラム文化が発達し、 現在もイスラム教徒が多く居住しています。一部の地域では、現在でも、 エミール、オバなどと称される伝統的首長の影響力は絶大です。 (南部ナイジェリア) 南部ナイジェリアには紀元前1万年頃の住居跡が残されていますが、そ の後出現した精巧な青銅細工を特徴とするイボ=クウ文化(9〜10世紀 頃)までの歴史は未だ多くは知られていません。以降、南東部地域にはイ ボ民族が居住するようになり、現在もキリスト教徒であるイボ人社会が形 成されています。 南西部には写実的な人像彫刻(テラコッタ、銅、青銅等)を特徴とする イレ=イフェ文化(11〜15世紀頃)が発達しました。同地域では、1 3世紀頃からイフェ王国、オヨ王国など10あまりの王国が形成されたが 中でも、イフェ王国とオヨ王国は、ハウサ王国を通じたサハラ交易により 経済基盤を固め、勢力を伸ばしました。また、12世紀頃にはイフェ族か ら王族の先祖が分かれ、ベニン王国を形成し、15世紀頃には城壁で囲ま れた首都も整備されました。 ☆文 化 ナイジェリアが世界に誇る文学者としては、1986年にノーベル文学 賞を受賞したウォレ・ショインカ(Wole Soyinka)が挙げられます。ノー ベル財団は受賞発表時に、「同人は、地中海地域との歴史的つながりを持 つ、ヨルバ民族固有の神話、儀式、文化的パターンにルーツを持っている とともに、本国及びヨーロッパで受けた教育を通じて、西欧文化への造詣 が深い。随筆集『神話・文化・アフリカ世界』は特に読み応えがある。」 と評しています。ウォレ・ショインカはビアフラ戦争時、領土分離主義者 との共謀を疑われ、1967年より2年間投獄されました。当時の経験を 題材にしたノンフィクション作品『その男は死んだ(The Man Died)』は ナイジェリア国民に広く読まれています。 ☆スポーツ ナイジェリアにおける国民的スポーツはサッカーです。ナイジェリアで は1990年代に入って本格的なプロサッカーリーグの整備が進められ、 1996年のアトランタオリンピックではブラジルを下し、金メダルを獲 得し世界中を驚かせました。昨年6月に開催された日韓共催ワールドカッ プでは予選で敗退するも、最も激戦と言われた1次グループF組(スウェ ーデン、イギリス、アルゼンチン)でのナイジェリアチーム(通称:スー パーイーグルス)の善戦ぶりに対し、日本の観客からも熱い声援が送られ ました。 ><><><><><><><><><><><><><><><><><>< 3.アフリカの貧困削減と食糧不足問題解決に役立つネリカ米 UNDP途上国間技術協力部 南南協力シニア・アドバイザー 藤村 建夫 アフリカ大陸の総人口7.3億人の約30%、2.2億人が最貧困層といわ れ、その大部分がサブ・サハラ・アフリカに住んでいます。かつて、国際食糧 政策研究所(IFPRI)は2020年の世界の食糧予測を行い、サブ・サハ ラ・アフリカは、27百万トンの穀物が不足すると予測し、その内、米不足は 7百万トンと予測しました。今、その食糧問題解決に、一つの希望が見えてき ました。 1994年、コートジボワール共和国にある、西アフリカ稲開発協会(WA RDA)は、アジアのイネと西アフリカのイネを交雑し、雨の少ない西アフリ カに適した新しい陸稲品種(ネリカ稲)の開発に世界で初めて成功しました。 この共同研究の重要性に着目し、1997年以来、日本政府は国連開発計画 (UNDP)への南南協力拠出金を含む資金援助を活用して新品種の一層の研 究開発を支援してきました。この共同研究プロジェクトは、アフリカ開発国際 会議(TICAD)フォローアップ事業の一つとして推進され、WARDAと UNDPの途上国間技術協力部(Special Unit for Technical Cooperation among Developing Countries)が協力して研究成果の向上に努めてきました。 共同研究の実施は、WARDAが中心となり、世界的な研究機関(国際稲研 究所(IRRI))、国際熱帯農業研究センター(CIAT)、コーネル大学、 フランスの研究開発院(IRD))、中国の雲南農業研究院、東京大学、国際 農業研究センター(JIRCAS))が主として稲の遺伝子の分析を担当し、 アフリカ17カ国の農業研究機関(NARS)がネリカ稲新品種の野外での栽 培評価を担当して行なわれてきました。このような南の国々の研究機関に先進 諸国の研究機関が加わった南南協力の形態は、三角協力と呼ばれています。 これまでの共同研究により、3,000種以上の交雑種から、有望なネリカ 稲300種以上が普及米として精選され準備されています。このネリカ稲の収 量は、在来種の1ha平均0.8トンに比して、肥料なしでも1.3トンと多 く、少しの肥料(60kg〜70kg/ha)を追加すれば、3トンに増大する という実験結果が出ています。さらに、播種から収穫までの期間が、90−1 10日と在来種の130−150日よりも30−40日も短縮される上、雑草 に強いため、農家、特に女性の労働が大きく軽減されます。病害虫に対する抵 抗力もあり、加えて蛋白質が在来種よりも2%多く、その味もおいしいと農民 に評価されています。 ネリカ稲の優れた性質は、多くの農民に知れ渡り、種子の配布を求める要請 が大変強くなってきています。このため、2002年3月に、ネリカ稲を普及 促進するための「アフリカの稲作支援計画」(African Rice Initiative(A RI))が立ち上げられました。計画では、2002年から2006年までの 5年間に、西・中部アフリカ7カ国(現在では9ヶ国に拡大)を中心に、ネリ カ稲の耕地面積を21万haに増大し、生産高を年産744,000トンする ことにより外貨を年に88百万ドル節約する目標が立てられました。さらに東 部、南部アフリカの7カ国に対しても、農民に対する試験的な普及活動が計画 されています。ネリカ稲の普及は、日本政府、UNDPを始め、国際協力機構 (JICA)、世界銀行、ロックフェラー財団、アフリカ開発銀行(AfDB) 、米国の国際開発庁(USAID)、国連食糧機関(FAO)等の援助機関が 協力して推進しています。 ネリカ稲は約3ヶ月で収穫ができるため、土壌保全の観点から、WARDA は米の収穫後に豆類を栽培する二毛作を推奨しています。さらに低地天水型と 低地灌漑型のネリカ稲がすでに開発されており、2005年以降に普及段階に 入ります。ネリカ稲はアフリカの貧農を対象として、肥料や水、労力といった 投入を極力少なくして生産性を向上させることを目指して開発されました。ま た、組織培養の技術と戻し交配の技術を使って種の開発が行なわれており、い わゆる遺伝子操作によるものではありません。このようにネリカ稲は種々の利 点を持った優れものですが、大規模に開発される過程ではいろいろな望ましく ない結果も予想されるところから、ARI計画の中で社会・経済的、および環 境へのインパクト調査も実施されることになっています。これらの配慮を通じ てネリカ稲が継続して普及・増産されれば、アフリカの食糧不足に対して、相 当に貢献することが期待されています。 2002年8月にヨハネスブルグにおいて開催された「持続的開発に関する 世界サミット」において、ギニアでネリカ稲を栽培している農民は、「ネリカ 稲を栽培したことによって、収穫の半分(2トン)を家族全員で主食として年 中食べられるようになった上、残り半分の余剰米(2トン)を売って、子供達 に良い教育を受けさせられるようになったので、ネリカ稲に大変感謝しており、 より多くの農民がネリカ稲を栽培して生活を向上させて欲しい」と語りました。 このような農民の喜びこそが貧困の削減と言う成果であり、ミレ二アム・サミ ットでの目標(MDGs)達成に貢献するものといえます。ネリカ稲の普及は アフリカの貧困削減と食糧不足の改善に少しずつ役立ってきています。 ><><><><><><><><><><><><><><><><><>< 4.お知らせ メールマガジンへのご登録ありがとうございました。 TICADIIIは終了しましたが、より多くの皆様に「アフリカ」に親しみ を持っていただくため、今後も、「TICAD News」は継続して発行す る予定です。 引き続き、皆様よりの情報をメールマガジンに掲載したいと考えていますの で、イベントや講演会の情報など、アフリカに関する内容の情報の提供お願い します。以下のアドレスまでメール送付下さい。 ☆送付先 : ticad3@mofa.go.jp ※いただきました情報は全て掲載できるとは限りません。あらかじめご了承願 います。


